デジタルのスキルと素養をアセスメントで可視化。選抜した新入社員対象のDX研修でイノベーティブ人財を育成
清水建設株式会社
業種 | 総合建設業 |
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従業員数 | 10,845名(単体 / 2023年3月31日現在) |
用途 | 新人研修、DX人財育成 |
デジタル化企画部 教育グループ
Overview
課題
- SHIMZ VISION 2030で目指す「スマートイノベーションカンパニー」の達成に向けて、事業構造・技術・人財のイノベーションが必要だった
- 建築や土木などの建設事業に加え、非建設事業においても分野を超えてイノベーションを実現できる人財が不足していた
- 2024年4月から建設業において適用された時間外労働の上限規制に対応して、業務効率化が急務だった
- 新卒・中途のいずれの採用においてもデジタル人財の確保に苦労していた
exaBase DXアセスメント&ラーニングを選んだ決め手
- デジタルやイノベーションのスキルだけでなく、素養も評価ができる点
- 受検者のレベルに応じて出題のレベルが自動的に変化するなど出題の精度が高く、信憑性がある点
- アセスメント結果で浮き彫りになった課題について、Udemy Businessで学べる点
exaBase DXアセスメント&ラーニングを受検・受講した効果や感想
- デジタルやイノベーションのスキル・素養を持つ者を可視化できたことにより、1年間のDX研修の受講者の選抜に役立てることができた。(研修参加者は、アセスメントの結果に加え本人希望も加味し選抜)
- DX研修受講者に年4回アセスメントを実施。その都度、結果を基に研修内容を見直すことができた
- アセスメント&ラーニングを導入し、受講者の個々の強みやデジタルやイノベーションスキルの伸びを確認できた
清水建設株式会社は、2030年を見据えた長期ビジョン「SHIMZ VISION 2030」の実現に向けて、事業構造・技術・人財におけるイノベーション、DXへの取り組みを加速させています。 同社では2023年4月から開始した、新入社員対象のDX研修に、エクサウィザーズが提供するexaBase DXアセスメント&ラーニングを導入しました。 今回は、本研修に携わった同社の人事部人財開発グループとデジタル戦略推進室の担当者やDX研修の受講生の皆様に、DX人財の育成を進める中で弊社のサービスをどのように活用いただいていたのか、お話をうかがいました。
デジタルスキルを持ち、イノベーションを生み出す人財の育成が急務
齊藤: 弊社は2019年5月に、2030年を見据えた長期ビジョン「SHIMZ VISION 2030」と、当面5年間の基本方針と重点戦略を取りまとめた「中期経営計画〈2019‐2023〉」を策定しました。その中では、2030年に目指す姿として「スマートイノベーションカンパニー」を掲げています。それを実現するために、事業構造・技術・人財の3つのイノベーションを加速させたいと考えました。具体的には、建築事業の深耕・進化に加え、非建設事業の収益基盤の確立を目指しています。それらの重点戦略を進める上で、DX人財の育成が急務でした。
髙木: DX人財の育成を加速したい理由がもう一つあります。建設業ではこれまで「時間外労働の上限規制」の実施が猶予されてきましたが、2024年4月から建設業にも適用されたからです。臨時的な特別の事情がなければ時間外労働の上限を超えることはできなくなりました。そこで、長時間労働や働き手不足を解消すべく、デジタルを活用して生産性向上を図る必要性は以前から社内でも認識されていました。
齊藤: 働き手の確保に悩む各部署から社員を集め、DX研修のために数か月を割いてもらうのは、とても厳しいことがわかりました。そこで、配属前の新入社員に限り、DX研修を実施することにしたのです。
髙木: 新卒採用においても、デジタルスキルを持つ学生の応募は限られていました。そこでヒントにしたのが、ダイキン工業様のDX人財育成です。デジタルに素養のある新入社員を選抜し、通常業務を行わず、社内大学で2年間、集中的にICT教育を実施していると知りました。私たちもそのくらい徹底的に研修をしなければ、DX推進はできないと考えました。
導入の決め手は、デジタルスキルに加えて、イノベーティブスキルや素養を可視化できる点
齊藤:
まず、新入社員333人のうち、1年間、DX研修を受けてもらう27人を選抜しました。
デジタルを活用した生産性向上という目標をより具体的に表現し、「『新たな視点』で業務に取り組むスキルを体系的に学び、イノベーティブな人財を育成すること」としました。
弊社はそれまで建築、土木といった、分野ごとの人財育成が主流でした。そのため、様々な分野を横断しながら新しい事業を創出するための教育が十分とはいえませんでした。そこで、デジタルスキルに加え、デザイン思考などの「事業創出」や「業務変革」につながるスキルを重視したのです。
髙木: エクサウィザーズに、デジタルスキルを測定するアセスメントの「DIA(デジタルイノベーターアセスメント)」に加え、弊社の求める人財にあった内容にカスタマイズすべく、1年間のラーニングコンテンツを提案していただきました。
カリキュラムは下記の通りです。上半期は、はじめに人生の価値観や当社で成し遂げたいことの言語化やDX概論の講義などを通じて、変革の必要性を理解し、イノベーティブマインドの醸成を行いました。続いて、ビジネススキルやデータサイエンス・機械学習、デザイン思考といったスキルの習得に関するカリキュラムを実施しました。分野によっては得意不得意も生まれ、講義や課題に苦労するメンバーもいましたが、ICT活用が進んでいる現場への見学や様々な部門の社員による講義などを通じて、学びの動機付けを繰り返し行いました。これまで学びを実践すべく、下半期には、社内課題に取り組むアジャイル実習を行いました。社内だけでなく、社外講師による講演の実施や、大学の先端技術を学ぶカリキュラム等も用意しました。
齊藤:
「DIA」スコアの信頼性が高く、私たちが求めるものに合致していたためです。DIAでは受講者の実力に合わせて次に出される問題が変動する仕組みをとっており、精緻にスキルを測定できるアセスメントだと感じました。
新入社員対象のDX研修は新しい取り組みのため、研修成果を定期的に見取れるよう、1年間のうちに複数回アセスメントを実施したいと考えていました。ただ、短期間に同じアセスメントを受けると、問題に慣れてしまい、スキルの伸びを正確に把握できないのではないかといった懸念もあります。
髙木: また、イノベーティブのスキルを重視している点もよかったです。DX研修の計画段階で、経営陣から「単にDX人財を育てるのではなく、イノベーティブなマインドを持って、分野を超えて連携しながら業務に取り組む人財を育成してほしい」と強調されていました。「DIA」では、デジタルのスキルや素養に加え、質問力やネットワーク力、発見力などのイノベーティブのスキルや、好奇心やポジティブ精神、やり抜く意志などの素養を測れる点が、当社のニーズにあっていました。
アセスメント結果に基づき、個人の課題をUdemy Businessで学習
髙木: 社内幹部からこの研修を実施する方針が示されてから研修開始まで、かなりタイトなスケジュールだったことが一番の理由です。以前からエクサウィザーズさんにはタレントマネジメント・HRテックの分野などで相談に乗って頂いていましたので、イノベーティブな視点を持つDX人財を育成するために、DX人財育成のプロに支援を求めました。非常にタイトなスケジュールでしたが、研修計画の策定から実施、効果検証まで、エクサウィザーズさんに伴走していただき、感謝しています。
齊藤: 1年間、集中的に研修を実施することにしましたが、座学の集合研修だけでは受講者の主体性や学習意欲も保ちにくいと考えました。そこで、補助教材としてオンライン学習サービスのUdemy Businessを導入しました。研修中は定期的に、Udemy Businessの学習時間を設け、研修の復習や自主学習に活用してもらいました。
髙木:
コンテンツが豊富なため、そのなかから新入社員が適切な講座を受講できるか少し心配もありました。そこで役立ったのが「レコメンド機能」でした。「DIA」のアセスメント結果に基づき、個別の受講者の目標や課題に合ったUdemy Businessの講座を自動的にレコメンドしてくれます。多くの受講者が、それを次回の「DIA」の受検までの学習指針として役立てていたようです。
加えて、それぞれの関心に合わせて動画編集やプログラミングなどのテーマを設定し、学びあう「グループラーニング」の時間を定期的に設けました。自身の得意なことや、受講してよかったコンテンツを社内SNSで紹介し合う風土も徐々に醸成されたことも、学びを継続する上で大切だったと感じています。
自律的に学べる環境によって、多数の受講者がスコアを顕著に伸ばす
髙木: DX研修の受講者に「DIA」を年4回受検してもらったところ、回を追うごとにスコアは全体的に上昇していきました。受検後は、受講生に個人スコアや全体の平均点をフィードバックしました。データサイエンス・プログラミングなど、受講生が苦労して取り組んでいた項目のスコアが上昇しているのを見てフィードバックすることで、研修の効果検証だけでなく、受講者のモチベーションを維持するためにも効果的だったと思います。受講者からは、「『DIA』を定期的に受検することで、自分の成長を実感できた」といった声がありました。
齊藤: 顕著だったのが、主体性とスコアの伸びの相関です。レコメンド機能で推奨された講座以外に、自分が関心のある講座を受講していた者のほうが顕著にスコアを伸ばしていた点です。下半期は、実践的なアジャイル実習に取り組んだため、自分に必要な講座を主体的に学んだ結果、スコアが伸びたのだと推測しています。私たちが想定した以上に、自律的な学びに活用していたことをうれしく思います。
髙木: Udemy Businessが自律的な学びに活用されましたね。DX研修では、受講者が各自関心のあるテーマで業務改善を提案する機会を設けましたが、より説得力のある提案書とするために、Udemy BusinessでBtoCマーケティングを学び、資料を作成した者もいました。ほかにも、研修中にリーダーとして仲間をまとめる難しさを実感し、Udemy Businessで自分に合う講座を受講したり、社内SNSでオススメの講座を教え合うような風土も次第に醸成されました。
自ら課題を見つけ、学習で学んだことを業務で実践する
次に、同社のDX研修を受講している社員の方々に、 Udemy Businessの活用についてお聞きしました。選抜された新入社員の27人は、 DXに関する様々な研修を受けながら、 年4回「DIA」を受検し自分の到達度を確認しました。 Udemy Businessも活用して、デジタル分野を中心に自主学習を進めていきました。
生駒: 私は文系採用で入社したため、 営業や開発、 総務経理など様々な部署に配属される可能性があります。 入社当時は、デジタルに関する知識は浅かったので1年間集中して学べば、どの部署に配属されても将来の選択肢が広がるだろうと思いました。
東野: 『DIA』 の結果表には、 自分の課題克服に適したUdemy Businessの講座が紹介されていました。 その講座を中心に、 週2日の Udemy Businessの学習時間のほか、出勤前の30分間に倍速で視聴することを習慣にしていました。
田村: 研修の中には、チームでテーマを決めて課題解決に取り組むワークがありました。 私はリーダーとしてチームをまとめる難しさを実感し、Udemy Businessでファシリテーションの講座を受講しました。 チームのメンバーから意見を引き出し、かつメンバー全員 が納得できる結論へ導くコツを学びました。
ナー: アジャイル実習で取り組んでいるプロジェクトの1つとして、新たな企画の宣伝手法が求められるという課題がありました。 そこで、私はUdemy Businessで受講したBtoCマーケティングの知識を用い、「課題喚起」および「共感の獲得」を軸に広報コンテンツを作成することで、より魅力的な社内企画の広報活動を行うことができました。
生駒: デザイン思考やITパスポートといった資格取得など、 同じ関心を持つ仲間同士でグループ学習を進めました。 関心が同じであってもUdemy Business で受講している講座が違うこともあり、お勧めの講座を教え合うことで学びを深めていました。
田村: 1年間の研修が終わり、配属後は現場の生産性向上に関わる業務を担当する予定です。 ICTツールの導入が目的化しないように、現場の課題やニーズを分析して適切にDXを推進ができるよう、 研修で学んだことを生かしていきたいです。
分野を超えた視点でイノベーションを生み出せる社員の育成を目指す
髙木:
今後は、新入社員だけでなく全社にDXの学びを広げていきたいですね。2024年度から、全社向けデジタル人財育成プログラム「シミズ・デジタル・アカデミー」を開講し、全社員のデジタルリテラシーの底上げと、データやデジタル技術を活用した業務変革・新規ビジネス創出をリードするDXコア人財の育成※を進めていきます。
今後もエクサウィザーズさんにお力添えいただき、分野を超えた視点でイノベーションを生み出せる社員を育成したいと考えています。