
納得感のあるアセスメントでDXスキル・素養を可視化。DX推進人材を発掘
シチズン時計株式会社
業種 | 時計事業 |
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従業員数 | 14,817名(連結/2024年3月31日時点) |
用途 | DX人材のスキル・素養の可視化/製造拠点におけるリーダー候補の発掘 |


Overview
課題
- 製造拠点にはデジタル技術の素養がある人材がいるはずだが、日常業務からは見極めが難しく人材発掘に課題感があった
exaBase DXアセスメント&ラーニングを選んだ決め手
- 自社ニーズへの対応スピードがとても早く安心感があった
- 経済産業省がまとめるデジタルスキル標準に準拠したサービス仕様であり、社内のコンセンサスがとりやすかった
exaBase DXアセスメント&ラーニングを受検・受講した効果や感想
- 製造現場でのDX人材の発見につながった
- デジタルスキルの可視化はもちろんのこと、リーダーシップなどデジタルスキル以外の素養の面でも可視化された
- アセスメントを定点実施することで、研修の評価や効果を行えることが分かった
今後の企業の成長を考えると、外部パートナーとのDX推進は急務だった

出所:シチズン時計株式会社「DX推進についての基本的な考え方」
古屋氏: 2018年頃からデジタル化というキーワードが世間でも取り上げられてきましたが、当社ではデジタル活用が思うように進んでいない状態でした。今後の企業の成長や生き残りを考えるとデジタル技術の活用が生命線であると考え、デジタル領域での取り組みに力を入れ始めたのが背景です。デジタル技術の取り込み方や変革の方向性を検討していくために、2019年頃に全社組織が立ち上げられました。
現在シチズングループでは、シチズン時計の経営企画部DX推進室が取りまとめ役となって、DX推進における進捗確認および人材育成などのグループ共通の課題解決に取り組んでいます。具体的にはグループ会社間で課題共有や解決に向けた検討会を随時開催して、有効なDX施策の事例紹介やデジタルツールの情報提供を行うなど、グループ横断でDX推進に取り組んでいます。
デジタル活用・人材育成・データ活用など様々なテーマが設定されましたが、直近3年間はデジタル活用を担える人材育成に注力してきました。その中で、アセスメントを通じて社内のデジタル人材の把握や、彼らの育成方針の検討・決定を進めてきました。

古屋氏: 自社だけではどうすることもできない状況だった、というのが率直な答えです。プロの方にお願いするのが、目的達成の最善策であるとは考えておりました。当社は製造業ですので、ものづくりの技術を高めていくことに関してはスペシャリティがあると考えていますが、デジタル領域は自社の専門領域だとは考えておりません。特にデジタル人材の育成については、当社自身が持ち合わせていない観点でしたので、外部の支援は必要だと考えていました。
決め手は対応のスピード感と経産省お墨付きのデジタルスキル標準への準拠
古屋氏: スピード感ですね。何社かデジタル関連でご支援してくださる企業とやり取りしていました。エクサウィザーズはキビキビとスピード感ある対応をしてくださり、とても安心感を抱いた記憶があります。
また、デジタル人材という言葉が独り歩きしてしまいそうなフワッとした表現について、誰もが納得できる明確な定義があったのもポイントの1つです。他社サービスでは各社それぞれが考えるデジタル人材の定義で話が進みますが、エクサウィザーズが定めるデジタル人材は、経済産業省がまとめるデジタルスキル標準に準拠する人材だと定義されています。当社内でデジタル活用や人材育成の討議をする際、その都度、デジタル人材の定義について確認をしなくとも、経済産業省が定める人材定義と伝えるだけで共通認識がとりやすいことは重要なポイントでした。デジタルとだけ聞くと百人百様の理解がありますし、世代によっては理解し辛いコンテンツもあると思っています。アレルギー反応が出やすい世代にも、経済産業省がまとめたデジタルスキル標準に倣う人材を育成すると伝えるだけで社内の理解が得やすいことは、プロジェクト推進上重要でした。
アセスメントで社員のスキルレベルを丸裸にできた

出所:株式会社エクサウィザーズ
古屋氏: よくここまでのテストを作成されたな、というのが率直な感想です。管理職からのコメントでは、今までは感覚的に捉えていた個人のスキルを一定のレベルでデータ化されている点を評価されていました。今までであれば、「この人はこのレベルのことができそうだな」と想定ベースの会話になっていたものが、アセスメントによりスキルレベルを可視化できたことでデータをベースにした会話ができるようになったと伺っております。
岩井氏: アセスメントの魅力の1つに、デジタル領域以外の測定があります。リーダーシップやコラボレーションスキルなどのパーソナルスキルも測定可能ですが、数値を見ると実際に社員の状態を表していることが多く驚いています。アセスメントはDXスキルの可視化ツールだと考えられていますが、実はDXスキル以外の素養の面も正確に可視化されていると感じています。

アセスメント結果は各部門長に第一報を共有しますが、その都度、確かにその通りだなと納得感を持ったコメントを頂いています。また新しい発見もあるようで、この社員はこんな能力もあるのだと嬉しい気づきがあるようです。
製造拠点でのアセスメントは現場でのデジタル活用を推進する人材発掘の目的で実施
古屋氏: アセスメント実施の際は本社部門と製造拠点で実施目的を変え取り組みを進めておりました。製造拠点におけるアセスメントでは、デジタル人材の発掘を目的として進めていました。現場の方は理系の方が多いということもあり、我々プロジェクト推進チームでは、アセスメント実施前からデジタルスキルを持っている人材は製造現場に多いのではないかと仮説を持っていました。ただ、デジタルスキルの素地・素養があってもまだ花開かせていない社員も多いのではないか、とも考えていました。製造現場になりますので、職場によってはデジタル関連のスキル・技術を使わないことも多くあります。そのように埋もれてしまっている人材を発見・発掘する目的で、製造現場でのアセスメントを実施しました。
DX推進は販売部門やマーケティング部門だと親和性が高く、製造現場や工場だとどうしてもデジタル推進が遅れがちなイメージがありました。一方で今後のモノづくりの進化を考えると製造現場のDXは避けて通れず、今後は工場におけるDX推進を主力として進めていき、人材活用をしていきたいと考えています。

古屋氏: 工場の方は作業を進めながらデータを残すことが必要になります。例えばロット生産に関わる内容や、良品・不良品の把握などです。現場の方の記録方法は基本的に紙になります。紙に記録し、紙でまとめて、管理者の方がそれらの内容をエクセルにまとめファイルサーバーにアップデートするという流れが一般的です。従来のこの方法ですと、データはあるものの全データを横断的に活用できない状態でした。この状態を解決するには、紙でのデータ収集や記録を廃止し、データ記録の方法からデジタルデバイスで行うことが必要です。このような取り組みを中心となって推進できる素養のある人材をアセスメントで発掘できるのではと考えました。
古屋氏: 従来ですと、デジタル関連の技術について工場側のどの担当者と会話すればよいのか手探り状態でした。 今回アセスメントを実施し1人1人のデジタルスキル・素養が可視化されましたので、スコアを基に各製造現場の誰にどの相談をしたら話が進みそうか検討しやすくなりました。
古屋氏: 基本的には一緒の軸で分析を進めていました。全社的にデータ活用に力を入れていこうとしており、その点で本社も製造拠点も同じ分析軸で進めていました。本社と製造拠点で違う点があるとすれば、製造拠点に関しては人材発掘の観点でアセスメントを活用していました。
アセスメントのスコアを自社のタレントマネジメントで活用
古屋氏: 経済産業省が整理したデジタルスキル標準を軸にアセスメント結果の評価を進めたいと考えていました。デジタルスキル標準ではDX推進人材の役割が定義されていますので、社内の特定のポジションを担う際にはそれらを基にアセスメントで必要なスコアを整えた形です。例えば、新規事業を担うのであれば、アセスメントで一定のスコアが必要だというイメージです。タレントマネジメントを経済産業省の定義をベースに、アセスメントを活用し可視化・実現した感じですね。

岩井氏: アセスメント結果は人事情報に近い扱いになりますし、自社独自のニーズに合致する見せ方をするためにBIツールでインターフェースを加工する工夫が必要でした。製造拠点は本社とはまた違うニーズがあり、例えば工場長は全体のスコアを閲覧しますが、部門長は自部門だけのスコアを閲覧できるようにするなど、細かな閲覧権限の設定も必要でした。BIツールを活用してスコアの出し分けをしています。
DX人材育成を推進する連携体制と社内理解の促進
古屋氏: DX人材育成は人事施策と密接に連動する内容になりますので、DX推進室だけが単体で尽力するよりも、人事部門と密に連携し評価制度と連動させることで、より効果を発揮すると考えています。人事部が様々な研修を企画していますので、アセスメント結果を基にデジタル関連の研修はDX推進室で受け持ち連携して実施しています。

古屋氏: なぜやらなければならないのか、理解してもらうことに一定の難しさはありました。当社のような製造業である話ですが、全社的にデジタルスキルの習得を目指すと号令をかけても、あまり納得していない社員も一定います。
これらに対して社員が持っている本質的なスキルを十二分に活かす・発揮するために必要となるのが、デジタルスキルであるという説明は丁寧に行っていました。従来業務で培ったスキル・経験値にプラスアルファでデジタルスキルを備えることで、レバレッジが掛かるという話はことあるごとにしております。
製造現場との密な連携で受講を促進
古屋氏: 工場になりますので、PCが1人一台ない、あるいは個別のアドレスがないなど運用上の課題は幾つかありました。また基本的に常時ラインは動かしており、忙しい方が多いので、スケジューリングの工夫もしました。工場側で受け入れ態勢は整えていただいたので、本社の方で運用上必要な装備などは一式揃えて環境を用意し、アセスメントに臨みました。
アセスメントを定期的に実施し成長を定点観測していきたい
古屋氏: アセスメントは1度の受検で終わるものだとは思っておりません。現場からも複数回実施することでの差分を把握したいとコメントを頂いています。アセスメント受検者は日々の業務・プロジェクトや研修を通じて様々な経験を積みますし、それら日々の研鑽の成果を確認するためにも定期的なアセスメント実施による現在地の把握は必要だと考えています。
また、社内研修の効果測定にアセスメントを活用できるのではないかと考えています。例えばデータ活用の研修を行った後にアセスメントをすることで、研修の有用性なども可視化できると考えています。社内に複数回アセスメントを受験した方がいますが、難易度の高いデータ活用の研修を受けた後にアセスメントを受けてもらうと、数値がしっかりと伸びていました。数値の伸びもプロジェクトチームが想定していなかったビジネス・戦略スキルが伸びているなど新しい発見もあり、社内研修の効果測定としてのアセスメント活用は多いにありだなと考えています。
