
七十七銀行 デジタル人材育成の挑戦:エクサウィザーズの研修プログラムで組織の変革を加速
株式会社七十七銀行
業種 | 銀行業 |
---|---|
従業員数 | 2,451名(2025年3月) |
用途 | DXリテラシーの向上/デジタル「コア」人材の育成 |


Overview
課題
- 業界においてAI活用やデジタル化など外部環境の変化が進む一方で、行内のDX推進に課題を感じていた
- 行内でデジタル人材育成にかかる施策を行うものの、基礎知識習得後に業務へ応用するステップが不十分だった
- デジタル「コア人材」*における課題設計から問いを立てる実践的なスキルが不足していた
*七十七銀行が定めるデジタル人材認定の定義の一部。詳細は後述の図解参照
exaBase DXアセスメント&ラーニング(ハンズオン研修)を選んだ決め手
- 課題設定力や論理的思考といったコンセプチュアルスキルを育成できる
- AI活用に強みがあり、銀行のデジタル戦略と高い親和性を持つ
- 部署横断で取り組む全行的な施策として位置づけられる
exaBase DXアセスメント&ラーニング(ハンズオン研修)を受講した効果や感想
- 参加者同士の議論が活発化し、DX推進の機運が高まった
- 企画から資料作成、プレゼンまで一気通貫で学べたことにより実際の現場で使えるスキルセットができた
- 各部署のDX推進を担う中心的な人材による部門横断のネットワークを形成することができた
七十七銀行は宮城県仙台市に本店を置く地方銀行で、東北地方を代表する金融機関の一つ。地域経済の中核を担い、個人・法人向けに幅広い金融サービスを提供している。主要事業は、預金・融資・為替といった伝統的な銀行業務に加え、資産運用、企業支援、デジタルサービスなど多岐にわたり、地域社会とともに持続的な発展を目指して事業を展開している。
デジタルとビジネス双方のスキルを持つ人材が不可欠と判断した背景

小川氏:
デジタル人材の育成を検討した当時、銀行業界はマイナス金利やキャッシュレス化、異業種参入といった構造変化に直面していました。新規ビジネス創出と業務効率化は喫緊の課題であり、DX推進が経営戦略の中心となりました。
そのためにはデジタルとビジネスの双方に精通した人材育成が不可欠であり、2022年4月から3階層に分けたプログラムを開始しました。

ただし、当初は、データサイエンスやAI、デザインといった領域において、専門人材の育成を進めていましたが、デジタルに関連する領域をカバーしきれていないという課題が残っていました。そこで経済産業省・IPAが定義したデジタルスキル標準¹を参考に、当行独自の「77DX推進スキル標準」を整備し、人材スキルを定義し直すことにしました。
「77DX推進スキル標準」では、当行のDXを実現する上で必要なスキルを6領域に整理しました。具体的には、経営戦略を踏まえてDXを推進するビジネスアーキテクト、商品やサービスの開発方針を担うサービスデザイナー、システム設計をリードするシステムアーキテクト、データ分析を担うデータサイエンティスト、安全性を確保するサイバーセキュリティ、そしてITと経営を結びつけ、取引先のデジタル化を支援するITコンサルタントです。
こうした標準を定めることで、人材育成の方向性を明確にし、将来的な全行員のデジタル人材化を見据えた育成に取り組むことにしました。

¹ 出典:経済産業省『デジタルスキル標準』
小川氏:
当行がデジタル人材育成を進めるにあたり、まず直面したのは銀行業界特有のDX化への課題でした。規制や既存業務の複雑さを背景に、AI活用やデジタル化が加速する外部環境に比べて、行内での変革は一歩後れを取っていました。加えて、外部研修等を通じて基礎知識を学ぶ機会は整っていたものの、それを実際の業務課題に応用するステップが不足しており、学びを成果へと結びつけにくい状況がありました。
さらに大きな課題として浮かび上がったのが、コア人材に求められる「課題設計力」の不足です。Excelなどのツールを扱うスキルは一定程度身についたものの、「何を目的に解決すべきか」「どんな問いを立てるべきか」といった実践的な課題設定の力が十分ではなく、学びを具体的な業務改善に展開することが難しい状況でした。
「小手先ではない」スキルと課題設定力の強化を狙いとした研修を導入
小川氏: 「課題設定から問いを立てる力」を育成できる内容は、我々が求める人材像に直結しており、導入の決め手となりました。また、AIを軸としたデジタル戦略を進める当行にとって、AI活用に強みを持つエクサウィザーズのノウハウには大きな期待を寄せていました。
平山氏: 人事部としては、既存の知識を業務に結びつける「橋渡し」になる点を高く評価しました。行員全体のリテラシー向上と、実務応用力を同時に進められる点が導入理由です。さらにディスカッションを重ねる中で、銀行全体の取り組みとして位置づけられることが確認できたことが、導入の決め手でした。
平山氏: 1日完結型で、前半はデータドリブンの価値や分析プロセス(課題設定/前処理/集計・示唆)のインプット、後半はExcel関数やピボットテーブルを用いた演習を通じて、日々の業務で使える分析の型を習得する構成でした。最後に回帰分析の基礎(相関係数、簡易的な分析)や可視化の基本も扱い、「示唆を言語化して伝える」ところまで一気通貫で体験します。
小川氏: デジタル戦略部は経営戦略の直下に位置するデジタル戦略の全体統轄を主として担当するほか、デジタル人材育成についても担当しています。人事部と企画段階から密に連携し、各部のハブとなる人材を選抜することで、実務に則した育成に力を入れました。
平山氏: 人事部は全社研修を担っており、ITパスポート取得の次の段階として「知識やスキルを業務にどう応用するか」が課題でした。そこでデジタル戦略部と共同で研修を設計し、人事部主導で選抜やプログラムの位置付けを整理しました。
小川氏: 選定対象はDX推進のハブとなる人材です。各部署で業務効率化やデジタル化を担うメンバーを中心に選び、研修で得た知識やスキルを部署に持ち帰り展開してもらうことを期待しました。さらに研修後にはDXスキルを可視化するアセスメントを受けてもらい、結果を踏まえて個々のスキルレベルを把握し、今後の育成計画を検討していきました。
平山氏: 年齢や経験ではなく、ハブ人材を重視して選定した理由としては、今後、DXを推進するうえで必要な共通言語や思考を持ち帰ることで、これまで活用されてこなかったデータやノウハウが引き出され、新たな価値創造につながると考えたからです。
小川氏: 最大の期待は、「小手先ではない」本質的なスキルの向上でした。定量的な成果は現時点で集計段階ですが、定性的には、参加者同士が活発に議論し合う環境が生まれ、それが組織全体のDX推進に向けた機運につながっています。
平山氏: 研修では期待通り「論理的思考」や「AI活用」が重視され、参加者からは「企画からプレゼンまで一気通貫で学べた」「グループワークで議論の質が高まった」といった声が寄せられました。狙いは、参加者がDX推進を牽引していく役割を認識し、自律的に課題を設定し、解決策を導く力を養うことでした。特に印象的だったのは、「人が担うべき役割にリソースを投下し、アウトプットを最大化するためにAIを有効活用する」という視点です。これは単なる知識習得にとどまらない、本質的なDX推進の方向性を示していたと感じています。

平山氏: 研修は、合宿形式の短期集中型研修で多様な人材が集まり議論を深める場にしたかったからです。実際に参加者からは「AI活用を前提とした独自性のある内容だった」「生産性向上を使命とする人材が集まり、マインドセットが揃った」という声が寄せられました。初日終了後には自主的に議論を続ける姿も見られ、部門を超えた前向きな交流が自然に生まれた点は特に印象的でした。
研修を通じて生まれた部門横断の連携と今後の育成方針
小川氏: 当行のデジタル戦略の根幹には「AIの最大活用」があります。エクサウィザーズはAIコンサルティングから実装、運用まで一貫して支援されており、その専門性と領域特化の強みは非常に心強い存在です。銀行業務には業界特有の要件があるため、汎用的なソリューションだけでは対応しきれない場面もあります。その中で当行のニーズに最適化されたAIソリューションを提案いただけることに大きな期待を寄せています。

小川氏:
今回の研修で部門を超えた連携が生まれたことは、大きな成果でした。各部署が持つデータやノウハウを共有・活用していく上で、こうした人的な繋がりは非常に重要です。
今後、さらに共通の体験を通じて新たなネットワークが形成され、部門横断の連携や、新たな企画創出につながることを期待しています。
小川氏: 当行で行っているお客様へのDX支援についても、提供できるサービスには限界があります。今後は国内外の先進事例も参考にしながら、お客様のニーズに応じた支援策を検討していく方針です。その中でエクサウィザーズとの連携は引き続き重要だと考えます。
平山氏: 変化の激しい時代において、従業員のスキルアップは企業の持続的な成長に直結します。実現には、自社に合った育成戦略に加え、外部パートナーとの協業を柔軟に取り入れることが欠かせません。その中でexaBase DXアセスメント&ラーニングは、スキルを正確に可視化し最適な育成プログラムを提供できる点で大きな強みがあり、今後の高度な育成スキーム構築にも参考になると考えています。