各職場が主体性を発揮。九州電力の成果に繋がる実践型AI人材育成
九州電力株式会社
| 業種 | 電気・ガス業 |
|---|---|
| 従業員数 | 21,092名(連結 2024年3月31日時点) |
| 用途 | DX人材育成、生成AIの利活用促進 |


Overview
導入前の課題
- 現業職場全体でDXの推進意識は醸成されているものの、さらなる浸透と自律的な取り組みを促進していく必要があった
- 生成AI導入後、「使い方が分からない」「自分の業務への適用方法が分からない」という声が多く上がっていた
- 既存の座学中心の研修で一定の知識は習得できていたが、スキルの定着や業務への具体的な活用が進んでいなかった
本生成AI研修を選んだ決め手
- 生成AIの構造から最新のトレンドまで、初心者にも理解しやすい丁寧な解説があった点
- 座学だけでなく、ハンズオン形式で成功体験を積める実践的なカリキュラムであった点
- 事務局の抽象的な要望を的確に汲み取り、最適な講師や研修内容を柔軟に提案してくれる対応力
生成AI研修を受講した効果や感想
- 受講者が生成AIを「身近なもの」と感じ、職場での利用促進や意識改革が進み、生成AIの使い方を深く理解するとともに、業務への適用イメージを持つきっかけとなった
- 研修受講者が自職場で研修内容を基に勉強会を実施すると、生成AIの利用率が向上するなど定量的な成果が見られた
- コミュニティ内でのナレッジ共有が活発化し、業務改善につながるアイデアが生まれるようになった
九州を中心に電力の安定供給を担う一方、ICTや都市開発など幅広い事業を展開する九州電力株式会社。「九電グループ経営ビジョン2035」のもと、DXを経営の重要課題と位置づけ、人的資本経営を加速させています。その変革の原動力こそが、デジタル技術と社員の挑戦心を掛け合わせた「QX(Kyuden Transformation)」です。エネルギーを基点に未来を切り拓くため、九州から世界へ新たな価値を生み出す組織づくりに取り組んでいます。
九電グループ経営ビジョン2035の実現へ。

大塚氏: 当社は「ずっと先まで、明るくしたい。」という理念のもと、持続可能な社会への貢献を目指しています。2025年5月に策定した「九電グループ経営ビジョン2035」では、2035年のありたい姿を掲げ、6つの重点戦略を軸に九州とともに成長することを目指しています。その中で、『企業変革をリードするDX推進』は重要な戦略の一つとして位置付けられています。電力業界を取り巻く環境が厳しさを増す中、デジタル技術を活用して生産性を向上させ、新たなサービスを創出し、企業の変革を進めることがDX推進の目的です。特に、AIの活用は未来を見据え、業務再設計を狙った取り組みであり、DX推進本部は、その変革を担う重要な役割を果たしています。
川口氏: 2023年に生成AIツールを全社に導入し、ワークショップの開催や活用事例の発信を重ねてきましたが、現場への定着には大きな壁がありました。DXという言葉自体が日常業務からかけ離れたものとして受け止められている実態や、DXについて気軽に相談できる人が身近におらず、進めにくいという悩みの声、生成AIの使い方を十分に理解できていないまま生成AIを試した結果「業務にどう使えばいいか分からない」と思われるケースが発生している等、こうした問題の解消が急務でした。
大塚氏: まずは各職場でDXを推進する際に「誰に相談すればよいのか」が明確でなく、職場単位で自律的に取り組む文化が育ちにくい状況に着目しました。そこで、問題の解消のため、現場の困りごとに正面から向き合うDXの推進役として「DXアンバサダー」という人材を配置・機能させていく施策を考えました。DXアンバサダーは、各支店のICT担当者に加え、社内公募で手を挙げた熱意ある兼業メンバーを含む計39名で構成されていて、彼らは現場の「身近な相談窓口」として、ツールの活用促進や機運醸成を進める役割を担っています。もちろん、その役割を果たすためには、知識の習得だけに留まらない実践的なDXスキルを身につけてもらうことが近道になると思い、支援する仕組みを整備していきました。
川口氏: 現場の意識を変えるためには、単にツールを導入するだけでは不十分です。重要なのは、業務に即した具体的な活用方法を示し、小さな成功体験を積み重ねることです。一方で、内製の教育体制だけでは最新の技術動向を継続的にキャッチアップすることが難しく、視点が社内に閉じてしまう懸念がありました。そこで、DXアンバサダーが自職場へ持ち帰り、すぐに活用できるような最新かつ実践的なスキルを、外部の専門家から学ぶ機会が必要だと考えていました。
現場で使える「武器」を持ち帰るために。生成AIの落とし穴まで踏み込んだ提案力

川口氏: はい。既にお付き合いのあるベンダー様も含め、3〜4社にお声がけし、内容を比較検討しました。社内だけで教育を完結させる場合、どうしても活用の視点が限定されたり、最新トレンドの継続的なキャッチアップが難しかったりする課題があります。そのため、外部の専門的な知見を取り入れることで、アンバサダーが自職場へ持ち帰り、すぐに実務で活用できる「武器」を我々は提供したいと考えていました。
川口氏:
最大の理由は、多様な実務に直結する内容に加え、ITを専門としないメンバーにも理解しやすい研修を提案していただけた点です。アンバサダーは、複数の部門メンバーから構成されていて、必ずしもデジタル分野に精通している人材ばかりではありません。エクサウィザーズには、生成AIの基本構造やプロンプト作成に必要な前提知識を丁寧に分かりやすく説明した上で、実際に手を動かしながら回答精度の向上を体感できるハンズオン形式を提案していただきました。
加えて、「こう使えば便利」といった成功例だけでなく、「この聞き方では失敗しやすい」といった落とし穴まで丁寧にフォローしていただけたと感じています。
大塚氏: コンテンツの内容については、初心者にも理解しやすい導入部分から、コンテキストエンジニアリングやAIエージェントといった最新技術の応用まで、当社の要望に応じて柔軟にカリキュラムを調整していただけたことが非常に魅力的でした。この調整幅の広さと講師陣の質の高さが、最終的な導入判断を後押ししたと考えています。
川口氏: 担当者の方が私たちの意図を深く理解しようとする姿勢が非常に印象的でした。事務局として、「DXアンバサダーが最後までモチベーション高く参加でき、かつ現場で実践的に活用できる内容にしたい」という、やや抽象度の高い要望をお伝えしましたが、その背景まで的確に汲み取っていただき、最適な講師とカリキュラムをご提案いただきました。実際の研修では、一方的な講義に終始することなく、参加者の反応を見ながら柔軟に進行されました。また、質問にもその場でチャットを通じて回答するなど、参加者に寄り添った運営が行われていた点が非常に魅力的でした。
研修後、利用率が上昇。アンバサダー主導で広がる草の根の変革
川口氏:
受講後のアンケートや個別のフィードバックでは、「これまでの研修よりも内容が高度でありながら、非常に分かりやすく、生成AIの使い方をより深いレベルで理解できた」といった声が多く寄せられました。特に好評だったのは、講師が一方的に説明するのではなく、参加者に語りかけながら疑問点を丁寧に解消していく進行スタイルです。
さらに、ハンズオン形式の実践を通じて「生成AIは想像以上に実務で役に立つ」という成功体験を得られたことも大きな成果として挙げられます。その結果、「生成AIをより身近に感じられるようになった」「使うこと自体が楽しく、業務が快適になりそう」といった意識の変化が生まれています。単なる操作説明にとどまらず、業務改善に向けた前向きなモチベーションを引き出した点は、非常に意義深いと感じています。
川口氏:
はい。定量的にも明確な変化が現れています。あるアンバサダーが職場の会議で研修内容を共有し、20分程度のミニ勉強会を実施したところ、その部署の生成AIの利用率が、翌日から上昇しました。
これまで「使い方が分からない」「業務への適用方法が分からない」という理由で生成AIの利用を避けていた層も、身近な同僚から直接教わることで、「まずは一度使ってみよう」という前向きな姿勢に変わりつつあります。取り組みはまだ始動段階ではありますが、こうした草の根的な活動が成果として表れていることに、大きな手応えを感じています。
川口氏:
アンバサダー間のコミュニティでは、「このプロンプトを試したら、こういう回答を得られた」といった具体的なナレッジが活発に共有されています。以前と比べてコミュニケーションの頻度が明らかに増加し、互いの工夫や成果に刺激を受け合うことで、良い循環が生まれていると感じています。
さらに、アンバサダーを配置している部署が活性化している様子を見た他部署から、「どうやってツールを使っているのか教えてほしい」といった問い合わせが寄せられるケースも増えています。中には、「自分たちの部署はDXの取り組みが遅れているのではないか」と感じたことをきっかけに、利用を始める動きも見られます。このように、アンバサダーがハブとなって全社的な利用促進につながり始めていると捉えています。
川口氏: 営業部門のように大量の情報を扱う部署とは、特に親和性が高いと感じています。研修で学んだエージェント機能を活用し、グループ会社全体の商品情報を取り込んだチャットボットを構築している職場もあります。このチャットボットは、顧客への提案候補を即座に提示させる仕組みで、現在試験的に運用を始めています。
大塚氏:
現在の生成AIは、事務作業やメール作成といった主にオフィス業務で効果を発揮しています。今後AIの技術発展に伴い、画像や映像等の非構造データの活用等、各職場での活用ももっと広がっていくと思います。
今回の研修を通じて、「自分の業務にも応用できるのではないか」という気付きが現場で芽生え始めたことが非常に大切で、この小さな気付きの積み重ねが、将来的には大きな業務変革につながっていくことと期待しています。
2035年ビジョンの実現に向けて。AIのトップランナーと描く「人」を起点とした企業変革

川口氏:
導入後の運用フェーズにおける、きめ細やかなサポート体制を高く評価しています。日々の細かな相談に対しても迅速に対応していただけるうえで常に親身に対応いただけるため、事務局として大変心強く感じています。
また、今回の研修に限らず、提供いただいているオンライン研修やeラーニングにおいても、ご紹介いただく講師の方々の質が一貫して高い点が信頼につながっています。どのコンテンツにおいても受講者の理解度を深めるための配慮が行き届いていたと感じています。
川口氏: まずは、今回育成しているアンバサダーが現場で生成AIを活用し、その価値を周囲に伝え続けることが重要だと考えています。アンバサダーの取り組みが全社へ波及し、社員一人ひとりが「自分の業務を自ら変革する」という意識を持つことで、DXによる企業変革が特別なものではなく、日常的なものとして根付く組織を目指していきたいと思います。
大塚氏:
中長期的には、アンバサダーの知識やスキルの水準を、さらに一段階引き上げていく必要があると考えています。AI技術は日々進化しており、今後はローコード・ノーコードによるアプリ開発や、AIが業務のインターフェースとして活用されるスタイルが主流になるでしょう。
エクサウィザーズには、AI分野のトップランナーとして、こうした近未来の変化を先取りした提案を今後も期待しています。2035年のビジョン実現に向けて、DXが九州電力の成長を支える確かな仕組みとなるよう、引き続き一緒に取り組みを進めていければと考えています。
大塚氏: 「初心者にも分かりやすく伝えたい」という要望と、「最新技術や応用的な内容も取り入れたい」というニーズを同時に抱えている企業には、特に適していると感じます。要件への柔軟性、技術的な知見と教育ノウハウを組み合わせて、企業のニーズに合わせた研修を提供してくれる点は非常に魅力的で、いわば“難易度の高い要望”にも応えられる点がオススメポイントだと思います。
川口氏:
自社の課題やビジョンがまだ明確に言語化できていない段階でも相談にのっていただき、具体的な形に落とし込んでくれるパートナーを探している企業におすすめしたいですね。
研修の成果は講師の質に大きく左右されますが、エクサウィザーズは私たちの状況を的確に把握した上で内容をカスタマイズし、最適な講師をアサインしてくれました。自社の課題解決や成長を本気で目指している企業にとって、非常に心強い存在だと感じています。