お客様の声

正解のないDX人財像を二人三脚で言語化。日本光電の組織風土に深く入り込んだ伴走支援の裏側

日本光電工業株式会社

業種 医用電子機器の開発・製造・販売
従業員数 3,768名(グループ38社6,116名)(2026年3月31日現在)
用途 DX人財育成、DX人財要件定義策定
日本光電工業株式会社 人財開発本部
本部長 執行役員
田川 圭 氏
フェニックス・アカデミー(人財開発センタ) 所長
茂木 順子 氏
フェニックス・アカデミー 企画管理チーム マネジャ
髙木 綾香 氏
株式会社エクサウィザーズ HR Tech事業開発部
HRコンサルティンググループ グループリーダー
山根 彬
HRコンサルティンググループ
佐藤 翔太
セールスグループ
小野崎 楓
※所属部署、役職などは取材当時

Overview

導入前の課題

  • DXという広義の概念について、経営層と現場で多様な捉え方が存在していた
  • 自社だけで要件を作り上げることに対し不安を抱えていた
  • アセスメント結果を見てもDX人財像を定義できず、育成につなげられていなかった

導入の決め手

  • 自社と同じ目線で親身に解決策を考えてくれる伴走姿勢があった
  • 第三者の専門的な視点から的確なアドバイスや提案が得られた
  • ワークショップ開催支援などの関わりから、自社では気づけなかった強みに気づかせてくれた

導入後の効果

  • リテラシー人財と推進人財の2層からなる日本光電らしい独自の人財要件が明確になった
  • 経営メッセージを現場の言葉に翻訳し、目指すべき2つの推進人財像を明確化できた
  • 管理職向けセミナーに約8割が参加するなど全社的な意識変革が進んだ
  • 「まずやってみる」「事実で話す」「枠を超える」というマインドが芽生え、多様な部門から自発的な動きが生まれている

昭和26年創業の日本光電工業株式会社は、医療機器の提供にとどまらず、データやデジタルを活用したソリューションへの転換を目指してきました。長期ビジョン「BEACON 2030」のもとDX人財育成に着手したものの、自社に必要な人財像が何なのか、どう進めるべきかという悩みを抱えていました。

そこで株式会社エクサウィザーズがHRコンサルティグとして伴走支援に入り、今後の教育方針や評価の確固たる軸となる「日本光電独自のDX人財要件」を言語化しました。さらに、策定した要件を現場の共通認識へと浸透させるため、管理職向けセミナーを実施し、会社が目指す方向性や役割を丁寧に提示しました。

その結果、セミナーには約8割の管理職が参加するなど全社的な関心が劇的に高まりました。「DXは自分には関係ない」という漠然とした意識が「自分ごと」へと変わり、社員の自発的な育成プログラムの参加で実務での業務改善推進や、この活動をきっかけに他部署から「一緒にやりたい」と声が上がり部門を越えた関係性が深まったことなど、確実な変化を生み出しています。

長期ビジョン「BEACON 2030」が示す、DX人財育成を経営戦略に据えた3つの理由

人財開発本部 本部長 執行役員 田川 圭 氏
──御社の長期ビジョン「BEACON 2030」について教えてください。

田川氏: 当社が掲げる長期ビジョン「グローバルな医療課題の解決で、人と医療のより良い未来を創造する」は、2018年からの重層的な議論を経て策定されました。経営層や中堅層による戦略的対話に加え、国内外全拠点、約3,000名の社員を対象としたタウンホールミーティングを実施。トップと現場が直接言葉を交わす「対話型プロセス」を徹底することで、組織の総意としてのビジョン・ステートメントを策定しています。

このビジョンの背景には、医療を取り巻く環境の大きな変化があります。国内では高齢者の増加にともない、医療提供体制のあり方が問われるようになっています。加えて、医療従事者の不足も各医療機関の経営課題として深刻化しており、医療の質と効率化の両立が強く求められる状況です。

そういった変化を踏まえると、これまでのように医療機器というモノを提供するだけでは、現場が抱える課題に十分に応えられなくなってきている。そう感じていました。だからこそ当社では、データやデジタルを活用したソリューションを提供することで、医療の質の向上や現場の負担軽減に貢献していく、より包括的な価値提供への転換を目指しています。モノを届けて終わりではなく、医療現場に寄り添いながら、患者さんのためになる会社であり続けるために、このビジョンを掲げて進んできました。

──長期ビジョンはフェーズ3まであると伺いました。フェーズ2において、DX人財育成が重要戦略の1つに組み込まれている理由をお聞かせください。

田川氏: 大きく3つあります。

1つ目は、事業モデルの転換を実現するためです。当社は今、ソリューション型事業への変革を進めています。その実現には、データ基盤を構築し、デジタルを活用して新たな価値を生み出せる人財が欠かせません。

2つ目は、業務プロセス変革を進めるきっかけになると考えたからです。社内でもデジタルツールの導入は進んでいましたが、実際には紙の情報をデジタル化する段階にとどまっている部分も多くありました。そこで「DX人財」という概念を明確に掲げることで、DXに対する共通認識を全社で育てていけるのではないかと思ったんです。

3つ目は、組織風土を変えるトリガーになると考えたことです。DXは単なるスキルの話ではなく、課題を自分ごととして捉える姿勢や、部門を越えて協働すること、挑戦し続けるマインドも求められます。人財育成の現場でこれまで大切にしてきた抽象的な要素を、DXというテーマを通じて実践してもらうことで、成果や成長にもつなげやすくなる。そう考えています。

──フェニックス・アカデミーのDX人財育成の取り組みについて教えてください。

茂木氏: 人財育成の取り組みは、長期ビジョンと連動させることが何より大事だと思って進めてきました。

フェーズ1では、「基盤の強化」をテーマに据えました。人事制度の改定とも連動させながら、課題解決や対人関係に関わるコアスキルを定義し、新しい人財育成体系を構築したんです。その中にDX教育も位置づけて、全社に向けて「これからDX人財育成に取り組んでいきます」とアナウンスする、いわば土台づくりの段階でした。

続くフェーズ2は、「成長への投資」として、より具体的な施策に踏み込んだフェーズです。ただ、その時点では社員がどの程度DXスキルを持っているのか、正直見えていませんでした。そこでまず、エクサウィザーズのDX人材アセスメント「DIA」*1を導入し、スキルの可視化を進めました。あわせて、可視化したスキルを伸ばすためのDXリテラシー教育プログラムも立ち上げ、社員が広く学べる機会をつくっていきました。

さらにフェーズ2の後半では、「日本光電としてどのようなDX人財が必要なのか」を明確にするために、DX人財要件の策定にも着手しています。「DIA」による可視化と教育、そして要件定義を組み合わせながら、実践に向けた土台をより具体的にしていくフェーズだったと捉えています。

これから実施するフェーズ3では、新規事業の創出や業務改革の実践を目指していきます。これまで整えてきた人財要件や育成施策が、実際の行動や成果としてしっかり表れてくる状態をつくっていきたいですね。

──「DIA」で社員のスキルを可視化した際、どのような結果になりましたか?

茂木氏: 対象を技術系社員中心の500人規模に絞って実施したところ、結果は思っていた以上に良かったんです。実は意外な人がポテンシャルを持っていることも見えてきましたし、きちんと育成していけば、長期ビジョンの実現にもかなり近づいていけるのではという期待を持てたのは、大きな収穫でした。

アセスメントで現在地を可視化。次に見えてきた「目指すべき姿」の言語化という壁

──DX人材アセスメント「DIA」の実施後、経営層へ結果を報告された際に新たな課題に直面されたと伺っています。具体的にどのような気づきがあったのでしょうか?

茂木氏: 経営層が集まるCXOミーティングでDIAの結果を報告した際、会社として目指すDXの具体像がまだ描けていない、という課題に直面しました。報告の場では、新規事業を創出する「攻めのDX」と、業務プロセス改革を進める「守りのDX」の両輪で取り組む方針を伝えました。

フェニックス・アカデミー(人財開発センタ) 所長 茂木 順子 氏

ただ、その場で経営層から「攻めと守りで、具体的に何をやるのか」と問われた時に、私たち自身がそれを十分に言葉にできず、会社としてどこを目指すのか、その目標地点がまだ曖昧だったことに改めて気づかされました。

──御社のそうした課題感を伺った際、エクサウィザーズとしてはどのように捉えたのでしょうか?

エクサウィザーズ 小野崎: 当初は、DIA実施後の教育効果を測るために、アセスメントの点数数値を目標設定に置いて議論を進めていたのですが、私たちが日本光電様と一緒に目指したいのは、点数が上がることそのものではありません。業務の進め方が変わったり、現場から新しいアイデアが出てきたりと、会社の中身そのものが変わっていくことだと思うんです。

エクサウィザーズ 小野崎

だからこそ、アセスメントの数値だけを追うのではなくて、会社としてどんな変化を起こしたいのか、その姿をきちんと言語化していく必要があるのではと考えました。

エクサウィザーズ 山根: 小野崎が話した課題は、実はDX推進に取り組む多くの企業様が共通してぶつかる壁でもあるんですよね。アセスメントで現在地を把握して、基礎学習を始めるところまでは比較的スムーズに進むケースが多いんです。でも、その先に「どこを目指すのか」という明確な指針がないと、次の育成ステップに進めなくなってしまう。

日本光電様も、まさにその状態だったのだと思います。国が示している一般的な指標をベースとしながら、自社のビジョンに紐づいた独自のDX人財像を定義することが必要でした。会社としてどんなDX人財を必要としているのか、その「目指すべき姿」を自分たちの言葉にして、要件定義に落とし込んでいくことが欠かせないのではないかと考えました。

業務改善ワークショップとキーマンインタビューから導き出した、正解のない人財要件の最適解

──その後エクサウィザーズからどのような提案を行ったのか、背景を交えてお聞かせください。

エクサウィザーズ 佐藤: 業務改善のワークショップに同行した際、社員の皆様の意欲と能力の高さに、本当に驚かされました。参加者の皆様は、デジタルツールを活用して業務課題をどう解決するか、実装のところまでかなり具体的に考えられていて、「自社の力だけでもDXを進めていけるのではないか」と感じるほどでした。

ただ、それほどまでの意欲的な方々は、まだ少数だという実態も見えてきました。全社的に底上げをしていくには、まずどんなDX人財を求めるのかを明確にすることが必要だと思ったんです。その結果社員の皆様に腹落ちしていただくプロセスも含めて、伴走しながら「DX人財要件の策定」のご支援についてご提案しました。

茂木氏: エクサウィザーズを伴走パートナーとして選んだ決め手は、当社の状況を本当に親身になって聞いてくださったことですね。

ワークショップの後には「社員の皆様は、ご自身で思っている以上に素晴らしくできていますよ」と、第三者の立場から前向きな言葉もかけていただきました。社内にいると、自分たちの強みはなかなか見えにくいのですが、そこを改めて気づかせてもらえたんです。このパートナーと一緒なら、新しい挑戦も前に進めていける。そう思えたのが大きかったですね。

髙木氏: DX人財教育をスタートさせたものの、実際に進めていく中で「何を目指すべきか」という点に何度も立ち返ることになりました。

具体的な人財像が見えないまま進めることへの不安がある一方で、自分たちだけで要件を定義するにはDXに関する専門的な知見も十分ではなく、なかなか踏み切れずにいたのです。

暗中模索の状態が続く中で、「DX人財とは何をもってそう言えるのか」「どのレベルを目指すべきなのか」といった本質的な問いにもぶつかり続けていました。

そうした状況の中で、エクサウィザーズから「一緒に考えながら作りましょう」と声をかけていただきました。同じ目線で課題に向き合い、悩みながら伴走してくれるパートナーがいる。その安心感はすごく大きかったです。

エクサウィザーズ 山根: そもそも「DX人財要件」って、どの企業にとっても「これが正解です」と言い切れるものではないんですよね。だからこそ、要件を定めていくプロセスそのものに価値があると考えています。

エクサウィザーズ 山根

日本光電様は「BEACON 2030」という長期ビジョンを明確に掲げていらっしゃったので、まずはそこにきちんと紐づく人財像を描くことが大事でした。一般的な指標をそのまま当てはめるのではなく、経営層や現場責任者の方々が「なぜその人財が必要なのか」を語るプロセスを経ることで、社内の納得感も生まれてきます。だからこそ、キーマンへのインタビューを通じて、日本光電様ならではの言葉を一緒に紡いでいくアプローチをご提案しました。

──キーマンへのインタビューは、どのような基準で人選を行ったのでしょうか?

田川氏: インタビューの対象者は、経営層と現場責任者から会社がやりたいことを理解し、DXを進めているキーマン11名を選出しました。経営の思いをどう具現化していくかという観点で、これまでの経験や知見、あとはその方の人柄も含めて、事務局メンバーで話し合いながら決めました。

髙木氏: インタビューを通じて見えてきたのは、迅速な価値提供やオペレーショナル・エクセレンスの実現といった経営層からのメッセージに対して、皆さんが目指している方向性はおおむね一致しているということでした。

フェニックス・アカデミー 企画管理チーム マネジャ 髙木綾香 氏

一方で、事業部の現場レベルまで落としていくと、責任者が見ている視点や直面している課題にははっきり違いもあったんです。目指す世界観は共有できていますが、現状とのギャップや、部門ごとの認識の差を埋めていく必要がある。そのことに気づけたのは大きな収穫だったと思います。

エクサウィザーズ 佐藤: 今回の要件定義で重視したのは、一般的なDX人財像をそのまま当てはめるのではなく、日本光電様の長期ビジョンや現場の課題感に即した形で言語化することでした。

インタビューでは、経営層や現場責任者の方々から多様な意見が出てきましたが、それらを単に並べるのではなく、共通する価値観や目指す方向性を抽出し、矛盾や重なりを整理していきました。

エクサウィザーズ 佐藤

全社員に求めるものは普遍的な軸として置き、推進を担う層には業務に直結する具体的な役割を描く。そのうえで、細かく定義しすぎず、育成施策に展開できる粒度に整えることを意識しました。要件定義そのものが、関係者の認識をそろえ、次の育成につなげるプロセスになるよう伴走しました。

また、今回の要件定義をきっかけに、情報システム部門やセキュリティ部門との対話が生まれ、他部門からも前向きな反応があったと伺っています。社員の方々にどのような役割を期待するのかを言語化したからこそ生まれた動きであり、要件定義が次のアクションにつながった大きな成果だと感じています。

経営のメッセージを現場の言葉に翻訳。日本光電らしいDX人財要件とは

──完成された要件定義を見て、改めて「御社らしさ」やご自身の思いが反映されたと感じる部分はどこでしょうか?

髙木氏: 構成は、全社員向けの「DXリテラシー人財」と、その上位にある「DX推進人財」の2種類です。推進人財については、事業創造を牽引するリーダーと、業務プロセス改革を持続的に進める人財という2つの役割を設定しました。経営層から出ているメッセージをそのまま置くのではなく、社員が納得感を持って受け止められる形に整理して、フレームワークとして示せたところに、当社らしさが出ていると感じています。

茂木氏: インタビューの中で、「ルールは変えられるんだ、変えていいんだ」と力強く話していた方がいたのが、とても印象に残っているんですよね。社内のルールだけではなくて、医療業界の前提すら変えていく。そんな強い意思を感じました。

日本光電がこれからさらにブラッシュアップしていくうえでは、「まずやってみる」「事実で話す」「枠を越えていく」というキーワードがしっくりくると思っています。そこに至るために必要なスキルをベーシックなものとして整理して、どうやって獲得していくのかというロードマップまで描けたことは、新しいスタートを切るうえで大きな意味があったと感じています。

──最後に、これからDX人財育成に取り組もうとされている企業に向けてのアドバイスをお願いします。

田川氏: まずはエクサウィザーズに相談していただくことです(笑)そのうえで申し上げると、これまでの取り組みを通じて、当社のエッセンスが入った人財育成のフレームワークができたことは、自信を持って言える大きな成果です。アーリーアダプターが率先するだけでなく、組織全体で成果を出すために、引っ張る人とそれを支える人をしっかり底上げしていく体制のスタートラインに立てた実感があります。

これからDX人財育成に取り組む企業様には、まずはアセスメントなどで自社の現在地を知ることから始めることをおすすめします。その上で、「自分たちがどうしたいのか」をしっかり考え、経営から現場を巻き込んでいく覚悟を持つことが重要ではないでしょうか。

DXを通じて何を実現したいのかは、企業ごとに異なります。背景も課題も違う以上、一般的な正解をそのままあてはめても、うまく機能するとは限りません。正解がひとつではない時代だからこそ、自社の状況を正しく理解し、信頼できる伴走パートナーとともに独自のビジョンを描くことが重要です。それが、変革を前に進める鍵になるのではないかと思います。

*1 DIA(Digital Innovator Assessment)とは?

DXアセスメント市場シェアNo1※のDX人材アセスメント

DIAはDX人材の発掘・育成サービス「exaBase DXアセスメント&ラーニング」のアセスメントとして提供しており、累計2,500社、約42万人の導入実績(2026年3月時点)があります。経済産業省と情報処理推進機構が策定した「デジタルスキル標準」に完全準拠し、受検者や組織の強み・弱みを明確に可視化することができます。

※富士キメラ総研「業種別IT投資動向/DX市場の将来展望 2026年版 DX投資編」、DX人材アセスメントサービス2024年度

DX人材アセスメント

個人レベルで期待される役割(To-Be)と現状スキル(As-Is)を比較し、育成すべき「スキルギャップ」を明確に特定することができます。さらに、これらの個人データを集計・分析することで、組織全体を俯瞰し、「どの層に、どう育成すべきか」戦略的な育成方針を検討することも可能です。個人と組織の両面から客観的なデータに基づいて課題を把握することで、効果的な育成・リスキリングのアクション設計をサポートします。

例)育成・リスキリングにおける「DIA」の活用イメージ