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【2024年10月版】Microsoft Copilotとは?Microsoft 365との連携や「Copilot+ PC」にも注目

Microsoftが提供するAIアシスタント、Microsoft Copilot。OpenAIのGPTシリーズをベースに開発され、Windowsへの組み込みや、Word、Excelとの連携などMicrosoft製品との親和性の高さで注目を集めています。今回はそんなMicrosoft Copilotの概要と最新の話題について、さまざまなメディアの記事から紹介します。

Microsoft Copilotとは

Microsoft Copilot(以下、Copilot)は、Microsoftが提供しているAIアシスタントツールです。2023年2月の初登場時にはAIを搭載した「新しいBing」と呼ばれていましたが、同年11月に現在の名前に変わりました。

Copilotの特徴は、OpenAIが開発した大規模言語モデル(LLM)、GPT-4 Turboを採用していることです。精度の高さで定評のあるGPT-4 Turboの応答能力に加え、Prometheus(プロメテウス)と呼ばれる独自技術を組み込むことで、最新情報を回答に組み込むことが可能とされています。

WindowsやMicrosoft365など、Microsoft製品との親和性もCopilotの大きな強みです。特に2024年1月に発表された有料プラン、Copilot Proでは、WordやExcelなどのオフィス製品からCopilotにアクセスして、AIによる文書作成やデータ分析などを行えるようになりました。

ここではCopilotの詳しい特徴と関連サービスについて、各メディアの記事から紹介します。

「新しいBing」としてスタートしたMicrosoft Copilot

MicrosoftからAIチャットが発表されたのは、ChatGPTが世界的な話題を集めていた2023年2月のこと。発表時は「新しいBing」と呼ばれ、同社の検索エンジンBingの新機能という位置付けでした。

当初の機能は、文章による問いかけに文章で回答するというもの。まさに検索向けのチャットボットで、Microsoftではこれを「ウェブのAI副操縦士のような存在」と表現しています。その後、同年11月に「副操縦士」を意味する“Copilot”という名称に変更されました。

Copirot(新しいBing)が注目された理由のひとつは、大規模言語モデル(LLM)にOpenAIのGPT-3.5を採用していたことです。そのうえ、ChatGPT(GPT-3.5)の弱点だった「最新情報に対応できない」という問題にも、Microsoftが独自に開発したPromethieusというAIモデルを組み込むことで対応していました。

なお、OpenAIからGPT-4が発表されるのとほぼ同時に、CopilotのベースもGPT-4になっています。ライフハッカー・ジャパンによると、当時のCopilotは「OpenAIが開発したLLMの最新バージョンGPT-4を無料で利用できる唯一のプラットフォーム」でした。

参考:MicrosoftがAI搭載の「Bing」を発表。“ウェブの副操縦士”のような存在に – INTERNET Watch
参考:MicrosoftのCopilotは何ができる? ChatGPTとの違いを詳しく解説 | ライフハッカー・ジャパン

有料プラン「Copilot Pro」を発表したMicrosoft

OpenAIのGPT-4が有料(サブスクリプション)だったのに対し、同じLLMを無料で使えることはCopilotの大きな強みです。しかし2024年1月に、Microsoftから有料プランの「Copilot Pro」が発表されました。

ZDNET.comの記事によると、料金は「1ユーザーあたり月額20ドル(日本では3200円)」。これはOpenAIのサブスクリプションプラン、ChatGPT Plusと同じ金額です。

従来のCopilot(無料プラン)とCopilot Proの大きな違いは、Microsoft365との連携です。これまでWordやExcelといったMicrosoft365のアプリからCopilotを利用する機能は、ビジネス向けのサービス(Copilot for Microsoft 365)に限られていました。Copilot Proではこの機能が個人ユーザーにも解禁されるうえ、OpenAIの最新モデルGPT-4 Turboへの優先アクセスや、画像生成機能をブーストできる回数の増加、そしてカスタムAIを作成できる「Copilot GPT Builder」などの機能も追加されます。

これらの機能はあくまで発表時のものです。競合他社の有料プランもサービスを充実させるなか、Copirot Proも今後ますます魅力を増していくと考えられます。

参考:マイクロソフト、Copilotの有料版「Copilot Pro」を発表 – ZDNET Japan
参考:Copilotの個人向け有料プラン「Copilot Pro」を契約するメリットは?:極める!Copilot in Windows – ITmedia PC USER

Copilot ProでOfficeアプリが大きくパワーアップ

Copilot Proの登場は、Office365(いわゆるMicrosoft Office)の機能を大幅に強化しました。ただしOffice365のすべてのアプリでAIが使えるわけではありません。現在のところ、Word、Excel、PowerPoint、Outlookなど一部のアプリに限られます。

各Officeアプリで利用できる機能には、さまざまなものがあります。PC Watchの記事によれば、たとえばWordなら「雑多に入力したアイデアから文章の下書きを作ってもらう」「書きかけの文書の内容に基づいて文章を作ってもらう」「開いている文書を要約してもらう」など。もちろん文章の内容をチャットで質問することもできます。

複雑な機能が多いExcelも、Copilotによって作業の効率化が可能です。代表的な機能としては「データをグラフにしてもらう」「データの並べ替えやフィルターを適用してもらう」などが挙げられますが、2024年4月のアップデートでは「複数のテーブルにまたがる複雑な数式列を作成する」「手書き文字をテキスト変換する」、さらに6月のアップデートでは「列の分割」や「年齢の計算」なども行えるようになりました。

もちろんOfficeアプリのすべての機能を代替できるわけではありませんが、Copilot Proの頻繁なアップデートにより、今後もできることがさらに増えていくことでしょう。

参考:WordやExcelをAIで自動処理可能に。「Copilot Pro」はこうやって使えばいい!
参考:「Excel」のCopilotがより複雑な表の作成に対応複数列生成など複雑な質問にも答えられるように – 窓の杜
参考:「Copilot in Excel」がさらにパワーアップ! – 窓の杜

発表から3か月で廃止された「GPT Builder」

Officeアプリとの連携機能が強化される一方で、Copilot Proから消えていくサービスもあります。ZDNET.comの記事によると、有料プランに含まれている一般ユーザー向けのGPT Builderが、7月10日に廃止されることになりました。

GPT Builderとは、ユーザーが独自のチャットボットを作成できる機能です。OpenAIのChatGPT Plusにも同じような機能がありますが、ChatGPT版がストアで公開できるのに対し、Copilot版では個人利用のほか、指定した相手との共有しかできませんでした。

Microsoftによると、GPT Buildeの廃止は「コア製品のエクスペリエンスを優先している」ためとのこと。それ以上の詳しい説明はありませんが、日進月歩のAI業界で、より多くのユーザーに受け入れられる機能に集中していくのは当然のことといえるかもしれません。

参考:マイクロソフト、「Copilot Pro」の「GPT Builder」をわずか3カ月で廃止 – ZDNET Japan

ハードウェアにも広がる「Copilot」ブランド

Copilotの実行環境をめぐる動きとして、2024年5月に発表された「Copilot+ PC」が注目を集めています。Copilot+ PCとはMicrosoftが認定するWindows PCカテゴリーのこと。CPU(もしくはSoC)やNPU、メモリ、ストレージなどに一定の要件が設定されています。Microsoftの「Surface Pro」や「Surface Laptop」をはじめ、すでに複数のメーカーから認定PCが発売されました。

ライフハッカーの記事によれば、Copilot+ PCには複数のAIモデルが導入されています。PC作業のライムラインを自動作成する「リコール」機能や、画像生成をサポートする「コクリエイター」機能など、Copilot+ PCならではの機能もあるとのことです。

AIをより効率的に使えるPC規格の登場は、これからの生活やビジネスのスタイルを大きく変えていくかもしれません。

参考:AI処理に適した「Copilot+ PC」、各メーカーが続々発表 ラインアップ一覧 – ITmedia AI+
参考:MicrosoftのCopilot+PC試してみた。AI召喚でなにが変わる?Windows PCとどう違うの? | ライフハッカー・ジャパン

まとめ

WindowsやOfficeなどの製品と連携するCopilotは、競合他社のAIに対して圧倒的な強みを持っているといえるでしょう。巨大IT企業であるMicrosoftが手がけていることも大きな強みです。これからも頻繁なアップデートが予想されるCopilotですが、一方で機能の取捨選択も行われています。Microsoftのこれからの取り組みに、引き続き注目していきましょう。

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