「採用DXって何?」「採用DXを導入するメリットは?」などと気になっていませんか?
DXはデジタル化によって新たな価値を創出・変革することを意味し、採用DXはデジタル技術を活用して採用のやり方を変えることを意味します。採用領域にDXを導入することで、採用コストの削減や優秀な人材の確保、候補者体験の向上などのメリットを得ることが可能です。
本記事では、採用DXの定義や重要性、導入のメリット・デメリットについて解説します。採用DXの成功事例やおすすめツール、導入の進め方などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
採用DXとは?
採用DXは、デジタル技術を活用して採用活動を効率化・高度化する取り組みです。従来の採用方法と比較して、AIやビッグデータ分析を駆使し、より効果的な人材獲得を実現します。
具体的には、オンライン面接システムの導入やデータ分析に基づく採用戦略の立案などが含まれます。採用DXにより、企業は採用コストの削減と優秀な人材確保の両立が可能です。
DXの進め方について身近な例を知りたい場合は、資料にまとめているのでぜひ以下からダウンロードを進めていてください。
参考:文部科学省「文部科学省におけるデジタル化推進プラン」(令和2年12月23日)
人材採用においてDXが重要視されている理由
人材採用におけるDXの重要性は、企業の競争力強化と持続的成長に直結します。従来の採用手法では対応が難しくなっている採用市場の変化に、DXを通じて対応ができるようになりました。
とくに、以下の3つの要因が採用DXの必要性を高めています。
- 採用市場の競争激化
- 労働人口の減少への対応
- テクノロジーの進化
採用市場の競争激化
採用市場の競争激化により、企業は優秀な人材の獲得に苦戦しています。採用市場が厳しい状況下で、採用DXは企業の採用力を大幅に向上させます。
例えば、AIツールを活用すれば大量の応募書類を効率的に整理し、人事担当者の初期選考作業を支援することが可能です。人事担当者は、より多くの時間を面接や候補者との直接的なやりとりに割けるようになります。
労働人口の減少への対応
労働人口の減少は、企業の人材確保を困難にしています。ただし、採用DXは労働人口減少の課題に対する有効な解決策となります。
例えば、AIマッチングシステムを導入すれば、求職者と企業のニーズを高精度でマッチングさせ、採用の成功率を高めることが可能です。さらに、リモートワークを前提とした採用活動により、地理的制約を超えた人材獲得ができます。
テクノロジーの進化
テクノロジーの進化は、採用活動に革新的な変化をもたらしています。採用DXを通じて、最新のテクノロジーを活用することで、企業は競争優位性を獲得できます。
例えば、VR技術を活用した職場体験やチャットボットによる24時間対応の候補者サポートなど、新しい採用手法が可能です。新しいテクノロジーの技術は、候補者体験の向上と採用プロセスの効率化を同時に実現します。
採用DXのメリット
採用DXの導入は、企業に多くのメリットをもたらします。主なメリットは以下のとおりです。
- 採用コストの削減
- 定量化されたデータを活用した採用計画が可能
- 候補者体験(CX)の向上
採用コストの削減
採用DXの推進により、採用にかかるコストを大幅に削減できます。実際に、Thinkings株式会社の調査によると、AIツールを活用した企業の73.3%が人員リソースが「足りていた」または「まあまあ足りていた」と回答していました。
引用元:AI活用の有無が採用活動の成否に影響。活用した81.4%が採用目標数を達成、73.3%が人員リソースに充足|PR TIMES
さらに、AIツールを活用した企業の81.4%が採用目標数を達成し、74.4%が採用した人材の質に関する目標を達成したと報告されています。
引用元:AI活用の有無が採用活動の成否に影響。活用した81.4%が採用目標数を達成、73.3%が人員リソースに充足|PR TIMES
以上の結果から、採用活動にAIツールを活用すれば、採用コストの削減と採用成果の向上の両立が期待できます。
人的リソースの最適化につながっています。
定量化されたデータを活用した採用計画が可能
採用DXにより、採用活動に関する様々なデータを収集・分析できる点もメリットです。定量化されたデータを活用すれば、より効果的な採用計画を立案できます。
例えば、過去の採用データを分析することで、最適な採用チャネルや採用時期を特定することが可能です。また、応募者の属性や選考までのデータを分析すれば、採用基準の最適化や採用成功率の向上につながります。
候補者体験(CX)の向上
採用DXは、候補者体験(CX)の向上に大きく貢献します。デジタル技術を活用することで、応募者にとってよりスムーズで魅力的な採用プロセスを提供できます。
例えば、AIチャットボットによる24時間対応の問い合わせ対応や、モバイルフレンドリーな応募システムの導入により、候補者の利便性が向上します。また、VR技術を活用した職場体験により、候補者は入社前に職場の雰囲気を体感できます。
身近なルーチン業務からはじめられるDXとは?
自社のDXを推進しようと検討するものの、何から始めたらいいかわからない、また、社内の複数部署で合意形成を取る難易度が高い…と考えている方へ。
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採用DXのデメリット
採用DXの導入は、採用コストの削減や候補者体験の向上といったメリットが存在するものの、デメリットも存在します。主なデメリットは以下のとおりです。
- 初期費用とランニングコストの発生
- 既存システムとの整合性
- DX推進に必要なスキルを持つ人材の不足
初期費用とランニングコストの発生
採用DXの導入には、一定の初期費用とランニングコストが発生します。システムの導入や運用にかかる費用が、特に中小企業にとっては大きな負担となる点は大きなデメリットです。
例えば、AI面接システムの導入には初期費用として数百万円、月額利用料として数十万円程度のコストがかかる場合があります。ただし、長期的には採用コストの削減につながるため、費用対効果を慎重に検討することが大切です。
既存システムとの整合性
採用DXを導入する際、既存の人事システムや業務フローとの整合性が課題となる場合があります。新旧システムの連携や、データの移行・統合に時間とコストがかかる可能性が高いです。
例えば、新しい採用管理システムと既存の人事システムを連携させる際、セキュリティ上の問題が発生する恐れがあります。課題を解決するために、ITの専門知識や外部コンサルタントの支援が必要です。
DX推進に必要なスキルを持つ人材の不足
採用DXを効果的に推進するためには、デジタル技術やデータ分析に精通した人材が必要です。しかし、多くの企業でスキルを持つ人材が不足しているのが現状です。
例えば、AIやビッグデータ分析の知識を持つ人材や、デジタルマーケティングのスキルを持つ人材が求められます。しかし、人材の獲得・育成には時間とコストがかかります。
外部のDX人材を活用したり、社内人材の育成プログラムを整備したりするなどの対策が必要です。
採用DXの成功事例
採用DXは大手企業を中心に進んでいます。ここでは、具体的な成功事例を紹介します。
AI面接システムの導入|ソフトバンク
ソフトバンク株式会社は、新卒採用選考にAIベンチャーのエクサウィザーズと共同開発したAI面接システムを導入し、採用プロセスの効率化と公平性の向上を実現しました。応募者の表情や声のトーンなどを分析し、人事部門の業務負荷を軽減しつつ、より客観的な評価を可能にしています。
導入の結果、採用業務の効率化が図られ、人事部門の業務負荷が大幅に軽減され、より戦略的な業務に注力できるようになりました。また、AIによる客観的な分析により、人間の面接官の主観や偏見による影響を最小限に抑えられ、評価の公平性が向上しています。
参考:熟練面接官の視点でAIが採用評価――ソフトバンク、新卒採用の動画面接に「AIシステム」を導入|ITmedia エンタープライズ
AIを活用した採用マッチングシステムを開発|株式会社リクルート
株式会社リクルートは、AIを活用した採用マッチングシステム「MatchingScore」を開発し、求職者と企業のマッチング精度を向上させています。AIが求人情報と求職者のプロフィールを分析し、適合度を数値化したことで適切なマッチングを可能にしました。
マッチングシステムは過去の採用実績や求職者の行動データなど、多様なデータを活用しています。システムは常に新しいデータを学習し、マッチングアルゴリズムを改善し続け、市場のニーズに柔軟に対応しました。
マッチングの理由を明示すれば、求職者と企業の双方が納得感を持てるようになっており、透明性の確保も可能にした事例です。
参考:『リクルートダイレクトスカウト』リニューアル 求職者と企業双方のより良いマッチングへ|株式会社リクルート
「必要な人財」を「見える化」|サトーグループ
サトーグループは、人材管理システム「カオナビ」を導入し、「必要な人財」の「見える化」を実現しました。システム導入により、従業員のスキルや経験を可視化し、適材適所の人材配置と効果的な採用計画の立案が可能になった事例です。
サトーグループは元々グループ全体の人材情報の一元管理、適材適所の人材配置、効果的な採用計画の立案という課題を抱えていました。しかし、システム導入後に従業員のスキルを一元管理し、必要な人財を明確に把握できるようになったのです。
戦略的な人材配置が可能になり、可視化された情報を基に、適材適所の人材配置が実現しました。
参考:タレントマネジメントに取り組むサトーグループ。「カオナビ」によって経営陣とマネージャー層の人事情報把握が進む|kaonabi
採用DXにおすすめのツール7選
採用DXを効果的に推進するためには、適切なツールの選択が重要です。ここでは、採用DXに役立つ7つのツールを紹介します。
1. ジョブカン採用管理
特徴 |
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金額 | LITEプラン:月額8,500円 STANDARDプラン:月額25,000円 ※応募者数に応じて変動 |
HPリンク | https://ats.jobcan.ne.jp |
ジョブカン採用管理は、採用業務全般を一元管理できるクラウドサービスです。応募者情報の管理から面接調整、評価管理まで幅広い機能を提供します。
特に、AIを活用した応募者スクリーニング機能が特徴的で、大量の応募書類を効率的に処理できます。カスタマイズ性が高く、企業の独自の採用フローに合わせた設定が可能です。
2. harutaka
特徴 |
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金額 | スタンダード:月額33,000円 プラチナ:月額55,000円 エンタープライズ:要問い合わせ |
HPリンク | https://harutaka.jp/ |
ジョブカン採用管理は、採用業務全般を一元管理できるクラウドサービスです。応募者情報の管理から面接調整、評価管理まで幅広い機能を提供します。
特に、AIを活用した応募者スクリーニング機能が特徴的で、大量の応募書類を効率的に処理できます。また、カスタマイズ性が高く、企業の独自の採用フローに合わせた設定が可能です。
3. HRMOS採用
特徴 |
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金額 | 個別見積もり制 |
HPリンク | https://www.hrmos.co/saiyo/ |
HRMOS採用は、採用管理から入社後の人材育成まで一貫して管理できるHRテクノロジーサービスです。データ分析機能が充実しており、採用活動の効果測定や改善に役立ちます。
特に、採用コストの可視化や採用チャネルの効果分析など、戦略的な採用活動を支援する機能が豊富です。加えて、入社後の人材データとの連携により、採用から育成までの一貫したデータ分析が可能となっています。
4. PRaiO
特徴 |
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金額 | 個別見積もり制 |
HPリンク | https://praio.jp/ |
PRaiOは、AI面接システムを提供するサービスです。応募者の表情や声のトーン、発言内容を分析し、客観的な評価を行います。
人間の面接官では見逃しがちな細かな反応を捉えられ、より公平で効果的な選考が可能です。面接結果のデータ化により、採用基準の標準化や採用傾向の分析にも活用できます。
5. RPM
特徴 |
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金額 | 個別見積もり制 |
HPリンク | https://zeku.co.jp/rpm/ |
RPMは、業界最大の400以上の求人媒体と連携が可能なツールです。主要媒体から地方媒体まで約95%のカバー率を誇ります。
採用業務の自動化と情報の一元管理を実現し、応募から採用までの全プロセスを効率化します。24時間365日自動対応が可能で、大幅な工数削減と採用数増加につながるツールとして有名です。
6. リクオプ
特徴 |
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金額 | 要問い合わせ |
HPリンク | https://www.recruitop.jp/ |
リクオプは、採用広告の最適化を支援するツールです。AIを活用して求人広告の効果を予測し、最適な掲載プランを提案します。
採用広告の費用対効果を向上させ、効率的な採用活動を実現します。リアルタイムでの広告効果測定と自動最適化機能により、常に最適な広告運用が可能です。
7. MyRefer
特徴 |
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金額 | 個別見積もり制 |
HPリンク | https://myrefer.jp/ |
MyReferは、社内の人材データベースを活用した人材紹介システムです。社内の人脈を活かした採用活動を支援し、文化適合性の高い人材の獲得に貢献します。
社員のエンゲージメント向上にも効果があり、採用活動と人材育成の両面で効果を発揮します。AIを活用した推薦機能により、最適な紹介候補者を社員に提案できる点が強みです。
採用DXを推進する上での課題
採用DXの推進には課題が存在し、適切に管理して解決することが採用DXの成功につながります。主な課題は以下のとおりです。
- 採用部門と事業部門の連携が必要
- 適切な組織体制が整っていない
- DX推進に積極的な投資を行えていない
採用部門と事業部門の連携が必要
採用DXを効果的に推進するためには、採用部門と事業部門の緊密な連携が不可欠です。両部門の目標や優先順位の違いが連携を阻害する要因となる場合があります。
課題を解決するためには、定期的な情報共有会議の開催や、共通のKPIの設定が有効です。また、デジタルツールを活用した情報共有プラットフォームの構築により、リアルタイムでの情報交換が可能になります。
適切な組織体制が整っていない
多くの企業で、採用DXを推進するための適切な組織体制が整っていない点が課題です。従来の採用部門の枠組みでは、DXの推進に必要なスキルや権限が不足している場合があります。
課題に対して、専門のDX推進チームの設置や外部専門家の登用が効果的です。既存の採用担当者に対するDXスキル研修の実施を行えば、組織全体のDX対応力が向上します。
DX推進に積極的な投資を行えていない
採用DXの推進には、適切な投資が不可欠です。しかし、多くの企業で投資の優先順位が低く、十分な予算が確保できていないことが課題となっています。
課題を解決するためには、採用DXの投資対効果(ROI)を明確に示し、経営層の理解を得ることが重要です。具体的な成功事例や数値目標を提示すれば、投資の必要性を説得力を持って説明できます。
採用DX導入までの流れ
採用DXの導入は、段階的に進める必要があります。採用DX導入の流れをまとめると以下のとおりです。
- 現状分析と課題の洗い出し
- 目標設定
- 適切なツールの選定
- 導入計画の策定
- 社内体制の整備
- 試験運用とフィードバック
- 本格導入と継続的な改善
1. 現状分析と課題の洗い出し
採用DX導入の第一歩は、現状の採用プロセスを詳細に分析し、課題を明確にすることです。定量的・定性的データを収集し、ボトルネックや非効率な部分を特定します。
課題の洗い出しを行う段階では、採用担当者や事業部門へのヒアリング、応募者からのフィードバック収集なども有効です。また、競合他社の採用までの流れを調査し、自社の位置づけを把握することも重要です。
2. 目標設定
現状分析に基づき、採用DX導入の具体的な目標を設定します。目標は具体的で測定可能なものにし、短期・中期・長期の目標をバランスよく設定することが重要です。
例えば、「応募者数の20%増加」「面接から内定までの期間を30%短縮」などの数値目標を設定しましょう。さらに、目標達成のための具体的な戦略やアクションプランも併せて策定することが効果的です。
3. 適切なツールの選定
設定した目標を達成するために最適なツールを選定します。市場にある様々なツールの機能や特徴を比較検討し、自社の要件に合致するものを選びましょう。
ツールの選定では、ツール開発者によるデモンストレーションや無料トライアルの活用が有効です。将来的な拡張性だけでなく、他システムとの連携可能性も考慮に入れることが重要です。
4. 導入計画の策定
選定したツールの導入計画を策定しましょう。導入スケジュールや必要なリソース、予算などを詳細に定めます。
計画には、既存システムとの統合やデータ移行の手順も含める必要があります。加えて、導入後の運用体制や教育計画についても、早めに検討しておくことが望ましいです。
5. 社内体制の整備
採用DXを推進するための社内体制を整備します。専門チームの設置、役割分担の明確化、必要なスキル研修の実施などを行いましょう。
また、採用部門と事業部門の連携を強化するための仕組みづくりも重要です。変更管理計画を策定し、新しいシステムへの移行をスムーズに行うための準備を整えます。
6. 試験運用とフィードバック
選定したツールの試験運用を行い、実際の使用感やパフォーマンスを確認します。ユーザーからのフィードバックを収集し、必要に応じて調整や改善を行いましょう。
試験段階で発見された問題点は、本格導入前に解決しておくことが重要です。試験運用の結果を詳細に分析し、本格導入に向けた最終的な調整を行うことが成功の鍵となります。
7. 本格導入と継続的な改善
試験運用の結果を踏まえ、ツールの本格導入を行います。導入後は定期的に効果測定を行い、継続的な改善を図りましょう。
KPIの達成状況を定期的にチェックし、必要に応じて目標や運用方法の見直しを行います。
さらに、新しい技術やトレンドに常に注目し、必要に応じてシステムのアップデートを行うことが重要です。
まとめ
採用DXは、企業の採用活動を革新し、競争力を高める重要な取り組みです。適切なツールの選択と導入プロセスの管理により、効果的な採用DXの実現が可能になります。
一方で、部門間連携や組織体制、投資などの課題にも適切に対処する必要があります。段階的なアプローチと継続的な改善により、採用DXの効果を最大化し、企業の持続的な成長につなげることが可能です。
ぜひ本記事を参考に、採用DXの導入を進めてみてください。
なかなかDXが進まない場合は、成功に向けたポイントを押さえておくことが大切です。以下ではDXを成功させるためのポイントを資料としてまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。