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DX銘柄2025選定企業の取り組み事例を紹介|選考の概要やメリットも解説

DX銘柄2025選定企業の取り組み事例を紹介|選考の概要やメリットも解説

東京証券取引所の上場企業約3800社のなかから、DXに対する先進的な取り組みが評価された企業が選ばれるのがDX銘柄です。2025年度も「DX銘柄2025」として、31社(うち2社がグランプリ)が選定されました。

選定された企業は、いずれもDX推進に向けた盤石な社内体制を構築し、優れたデジタル活用の施策により企業価値向上を実現しています。いわば、DX推進のロールモデルとして評価を受けているのです。この記事では「DX銘柄2025」および、「DX注目企業2025」に選定された企業の取り組み事例を紹介します。

<この記事の要点>

DX銘柄とは何か
東証上場企業約3,800社から、デジタル活用で企業価値を向上させている企業を選定したもので、2025年は31社が認定(うち2社がグランプリ)。選考は経営ビジョンやDX戦略、人材・IT基盤・成果指標などを評価。

選定企業のメリット
DX銘柄に選ばれると、ブランド価値・業務効率・投資家からの注目・ESG評価・メディア露出などが向上し、企業の社会的・経済的地位が強化される。

代表的な先進事例
SGホールディングスは「物流×DX」でROI測定や新サービス創出、ソフトバンクはAI・インフラ開発で社会変革を目指す。その他にもJFEや双日、H.U.グループなどがDX人材育成に注力。


DX銘柄とは

DX銘柄とは、東京証券取引所に上場している約3800社のなかから、DX推進により企業価値向上に向けた優れた取り組みを実践し、成果を挙げている企業を選定するものです。DX銘柄に選ばれた企業は、DX推進の仕組みと社内体制を構築し、デジタル活用による優れた実績を上げている企業ばかりです。

DX銘柄の選定は、こうした企業の取り組みをモデルケースとして広く世間に広めることを目的としています。選定された各企業の取り組みを参考に、多くの企業でDXの取り組みが促進されることを目指すものです。

DX銘柄に選定された企業は、いずれもデジタルの活用によりビジネスモデルを含めた経営そのものの変革に取り組んでいる企業です。そうした企業のなかから、先進的な取り組みによりデジタル時代を先導する企業として「DXグランプリ」を選定。さらに傑出した取り組みを継続的にしている企業を「DXプラチナ企業」として選出します。なお、DX銘柄に選定されなかった企業のなかでも、特徴的な取り組みをおこなっている企業は「DX注目企業」として公表されます。

DX銘柄に選定されるメリット

DX銘柄に選定されることにより、以下に挙げるメリットが期待できます。

企業価値とブランドイメージの向上
  • DXに積極的に取り組んでいることのアピールになる
  • デジタル化の促進により業務効率が向上する
  • リソースを新たなビジネスモデルの構築に振り向け競争力強化が図れる
  • 革新的な企業としてのイメージアップにつながる
投資家の関心増加
  • DXに成功した成長が見込める企業として注目度が増す
  • 長期的な成長が見込める企業として投資家の関心が高まり資金調達が容易になる
社会的評価の向上
  • DX銘柄の評価項目には「サスティナビリティ」への貢献が含まれる
  • 優れた取り組みをおこなっている企業として、社会的評価やESG(環境・社会・ガバナンス)の評価向上につながる
メディア露出の増加
  • さまざまなメディアに取り上げられ知名度が向上する
  • ブランドが広く認知され取引先と顧客からの信頼度が向上する

このようにDX銘柄に選定されることにより、さまざまな面で企業価値の向上につながります。

DX銘柄の審査プロセス

DX銘柄に選定されるためには当該年度のDX調査への回答が必要で、DXポータルにログインし、調査項目に回答する方式でおこなわれます。

「DX銘柄2025」においては、以下の概要で実施されました。

【DX銘柄2025実施概要】

名称 デジタルトランスフォーメーション調査2025
略称:DX調査2025
調査対象 東京証券取引所の国内上場企業 約3,800社
(プライム、スタンダード、グロース)
調査実施期間
(回答受付期間)
2024年 12月 22日(月) 回答受付開始
2024年 12月 23日(月) 18時受付終了
調査方法
(WEB受付)
調査項目(選択式と記述式)に回答していただきます。
また、回答結果を下記のサイトから提出していただきます。
DX推進ポータル:https://dx-portal.ipa.go.jp

引用:『デジタルトランスフォーメーション調査(DX調査)2025について』DX銘柄評価委員会 事務局

上記概要で実施され、結果の発表は2025年の4月にプレスリリースで公表の後、5月末に授賞式を開催。各応募企業へのフィードバックは6月以降に実施されます。

DX調査の概要

ここでは、DX調査の概要について、選考プロセスと審査項目を解説します。

選考プロセス

期日までにDX調査に回答した企業が選定の対象になり、選考は、一次評価・二次評価の二段階でおこなわれます。

一次評価
  • 選択式項目(54問の選択式項目から自社に該当する選択肢を選ぶ)
  • ROE、PBRも加味される
  • 上記項目が委員会によりスコアリング評価される
二次評価
  • 記述式項目
    「DX実現能力」「ステークホルダーへの開示」「企業価値貢献」
  • 3つの観点から銘柄評価委員会が最終評価

審査項目

一次評価(選択式項目)、二次評価(記述式項目)の内容は以下の通りです。

選択式項目の内容は、デジタルガバナンス・コード3.0の「望ましい方向性」に準拠しています。

【一次評価(選択式項目)の概要】

デジタルガバナンス・コード5つの柱 柱となる考え方
1.経営ビジョン・ビジネスモデルの策定
  • デジタル技術の進化がもたらす環境変化を踏まえた経営ビジョン・ビジネスモデルの策定
2.DX戦略の策定
  • 環境変化を踏まえたビジネスモデルの実現に向けたDX戦略の策定
3.DX戦略の推進  
  3-1.組織づくり
  • DX戦略推進に向けた社内体制の整備と外部との協業も含めた体制構築
3-2.デジタル人材の育成・確保
  • DX推進人材の確保・育成方策の決定
3-3.ITシステム・サイバーセキュリティ
  • ITシステム環境に向けた投資計画・運用方針の策定
4.成果指標の設定・DX戦略の見直し
  • DX施策の成果指標策定と自己評価
  • 自社ITシステムの課題把握と戦略の見直し
  • 取締役会の役割・責務を明確にしDX戦略の方向性を示す
5.ステークホルダーとの対話
  • DX戦略と方策、成果指標についてステークホルダーに適切に示す
  • 経営者によるステークホルダーへの情報発信

参考:『デジタルトランスフォーメーション調査(DX調査)2025について』DX銘柄評価委員会 事務局

【二次評価(記述式項目)の概要】

二次評価は、選択式項目における「デジタルガバナンス・コード」に関する項目を、より深掘りする評価と、取り組みプロジェクトに対する評価がなされます。

デジタルガバナンスコード
DX実現力 1.経営ビジョン・ビジネスモデルの策定 記述1.経営ビジョン
2.DX戦略の策定 記述2.経営戦略・DX戦略
3-1.組織づくり 記述3.DXを実現するための組織づくり
3-2.デジタル人材の育成・確保 記述4.DXを実現するためのデジタル人材の育成・確保
3-3.ITシステム・サイバーセキュリティ 記述5.DXを実現するためのITシステム構築・利活用
記述6.デジタル化がもたらすリスク認識とその対応方法
4.成果指標の設定・DX戦略の見直し 記述7.経営戦略・DX戦略の進捗・成果を適時・継続的に確認するための工夫、見直しの方法
ステークホルダーとの対話 5.ステークホルダーとの対話 記述8.DXの推進に対する経営トップ自らのメッセージ発信・コミットメント
記述9.投資家等のステークホルダーに対する情報発信/対話
取組プロジェクト等に対する評価
企業価値貢献 記述10.デジタル技術を用いた既存ビジネスモデルの深化
⇒①ビジネスモデルの深化、②取組の成果指標、③ビジネスとしての成果
記述11.デジタル技術を用いた業態変革・新規ビジネスモデルの創出
⇒①新規ビジネスモデル等創出、②取組の成果指標、③ビジネスとしての成果

参考:『デジタルトランスフォーメーション調査(DX調査)2025について』DX銘柄評価委員会 事務局

なお記述式項目の冒頭には、「自社のDX施策のアピールポイント」を自由記載する欄が設けられており、自社の取り組み内容やDX施策の成果をアピールできるようになっています。

DX銘柄の位置づけ

DX銘柄として選定されるには、まずDX認定制度に取り組み自社のDXの取り組みが一定の水準に達していることが求められます。

DX認定制度とは、経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が主体となり「デジタルガバナンス・コード」に基づいた、DX推進における優れた取り組みをおこなっている企業を認定する制度です。

DX認定制度においては、以下の4段階にレベル分けがされており、DX銘柄に応募できるのは下から2段階目の「DX-Readyレベル」以上の企業です。

DX-Excellentレベル DXの取り組みが進み成果が出ている企業
模範的な企業として評価を受け「DX銘柄」の対象となる
DX-Emergingレベル
DX-Readyレベル DXに取り組んでいる企業(体制・整備が整った企業)
DX-Ready以前レベル これからDXに取り組む企業

参考:『DX認定制度概要』経済産業省 2022年10月

2023年の「DX認定制度概要」からは、「DX-Readyレベル」という表記は無くなっていますが、DX銘柄に申請をするには同レベルの取り組み実績が必要になります。すなわち、各方面のステークホルダーとの合意形成に基づき、DX推進の社内体制が整備され、すでに取り組みが始まっていることが応募条件となるのです。

DX銘柄2025選定企業一覧

ここでは、「DX銘柄2025」に選定された企業の一覧を紹介します。DX銘柄として31社が選ばれ、そのうち2社がグランプリに選出されています。「DX注目企業」としては19社、傑出した取り組みが評価された「DXプラチナ企業」には1社が選ばれています。

DX銘柄2025グランプリ企業(2社)

DX銘柄に選定された31社のうち、特に優れた「DX」の取り組みが評価された2社です。

証券コード 法人名 東証業種分類
9143 SGホールディングス株式会社 陸運業
9434 ソフトバンク株式会社 情報・通信業

引用:『「DX銘柄2025」「DX注目企業2025」「DXプラチナ企業2025-2027」を選定しました』経済産業省 2025年4月11日

DX銘柄2025(29社)

DX銘柄グランプリ以外の認定企業29社の一覧です。

証券コード 法人名 東証業種分類
1801 大成建設株式会社 建設業
2802 味の素株式会社 食料品
3591 株式会社ワコールホールディングス 繊維製品
3407 旭化成株式会社 化学
4901 富士フイルムホールディングス 化学
4568 第一三共株式会社 医薬品
5021 コスモエネルギーホールディングス株式会社 石油・石炭製品
5108 株式会社ブリヂストン ゴム製品
5201 AGC株式会社 ガラス・土石製品
5411 JFEホールディングス株式会社 鉄鋼
6367 ダイキン工業株式会社 機械
7011 三菱重工業株式会社 機械
6503 三菱電機株式会社 電気機器
6701 日本電気株式会社 電気機器
6902 株式会社デンソー 輸送用機器
7259 株式会社アイシン 輸送用機器
7936 株式会社アシックス その他製品
9101 日本郵船株式会社 海運業
9301 三菱倉庫株式会社 倉庫・運輸関連業
9433 KDDI株式会社 情報・通信業
2768 双日株式会社 卸売業
9962 株式会社ミスミグループ本社 卸売業
2678 アスクル株式会社 小売業
8316 株式会社三井住友フィナンシャルグループ 銀行業
8354 株式会社ふくおかフィナンシャルグループ 銀行業
7199 プレミアグループ株式会社 その他金融業
8253 株式会社クレディセゾン その他金融業
8802 三菱地所株式会社 不動産業
4544 H.U.グループホールディングス株式会社 サービス業

引用:『「DX銘柄2025」「DX注目企業2025」「DXプラチナ企業2025-2027」を選定しました』経済産業省 2025年4月11日

DX注目企業2025(19社)

「DX銘柄」に選定されていない企業のうち「企業価値貢献」において、注目に値する活動をおこなっている企業として、以下の19社が選出されています。

証券コード 法人名 東証業種分類
1333 マルハニチロ株式会社 水産・農林業
1803 清水建設株式会社 建設業
3402 東レ株式会社 繊維製品
4452 花王株式会社 化学
4911 株式会社資生堂 化学
4507 塩野義製薬株式会社 医薬品
5406 株式会社神戸製鋼所 鉄鋼
5711 三菱マテリアル株式会社 非鉄金属
9508 九州電力株式会社 電気・ガス業
9531 東京ガス株式会社 電気・ガス業
9021 西日本旅客鉄道株式会社 陸運業
9201 日本航空株式会社 空運業
9233 アジア航測株式会社 空運業
9302 三井倉庫ホールディングス株式会社 倉庫・運輸関連業
4768 株式会社大塚商会 情報・通信業
3132 マクニカホールディングス株式会社 卸売業
8174 日本瓦斯株式会社 小売業
8601 株式会社大和証券グループ本社 証券・商品先物取引
2181 パーソルホールディングス株式会社 サービス業

引用:『「DX銘柄2025」「DX注目企業2025」「DXプラチナ企業2025-2027」を選定しました』経済産業省 2025年4月11日

DXプラチナ企業2025-2027(1社)

特に傑出した取り組みを継続している企業として、以下の1社が選定されています。DXプラチナに選出されるには、「3年連続でDX銘柄に選定」「過去にDXグランプリに選定」されていることが条件となります。

証券コード 法人名 東証業種分類
5938 株式会社LIXIL 金属製品

引用:『「DX銘柄2025」「DX注目企業2025」「DXプラチナ企業2025-2027」を選定しました』経済産業省 2025年4月11日

なお、DXプラチナは3年間の時限措置としての認定であるため、「DXプラチナ企業2025-2027」として認定されています。

 

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「DXプラチナ企業2025-2027」の取り組み

2025年においては、株式会社LIXILが「DXプラチナ企業」に選出されました。同社の取り組みを見てみましょう。

株式会社LIXIL

2025年度、DXプラチナ企業に選出された株式会社LIXILは、2022年から連続してDX銘柄に選ばれ、2024年にはグランプリも受賞しています。こうした長期的かつ先進的な取り組みが評価され、2025年のDXプラチナ企業選出につながりました。

同社は、「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」を企業の目的(パーパス)として掲げ、リフォームを通じて日々の暮らしの課題解決に取り組んできました。特に、DXの重要性を早くから認識し、CX(顧客体験)とEX(従業員満足)の向上をDXの中心に据えて、業界の変革をリードしています。

顧客にとってリフォームは、暮らしをより良くするための空間を手に入れる手段です。その実現のためには、部門を横断したDXの取り組みによって、ショールームでのCX(顧客体験)を向上させ、継続的に価値を提供することが求められます。たとえば、2020年にはオンライン型ショールームの稼働が始まるなど、具体的な成果も現れています。

また、EX(従業員満足)の観点からは、積極的なAI活用による業務効率化や、多様な働き方への対応が進められています。LIXILでは、社内の誰もがAIを活用できる環境をいち早く整備し、日常業務でAIを活用する企業文化が根付きました。たとえば、営業日報の自動生成や顧客情報の効率的な活用による営業力の強化、遠隔地に住む従業員がオンラインショールームで接客できる仕組みなど、さまざまな成果が生まれています。

参考:『デジタルトランスフォーメーション銘柄2025』経済産業省他
参考:『LIXIL、「DXプラチナ企業」に初選定』LIXIL

「DX銘柄2025グランプリ」企業の取り組み

ここからは、DX銘柄2025に選定された企業の取り組みを紹介します。まずは、DX銘柄2025グランプリに選出された以下、2社の取り組みです。

  • SGホールディングス株式会社
  • ソフトバンク株式会社

SGホールディングス株式会社

佐川急便を核として陸運業を展開するSGホールディングス株式会社が、DX銘柄に認定されたのは、2021年、2022年、2024年に次いで4度目です。グランプリは初の選出となりました。

同社は、社会インフラとしての物流を担う企業であり「物流を止めない」ためには、企業としての持続的成長が必要と考えます。その施策の中核としてDX推進を掲げており、「デジタル基盤の進化」「サービスの強化」「業務の効率化」の3つを柱として施策に取り組んでいます。

同社の取り組みが評価された点は、以下の5つに集約されます。

  • 経営ビジョン実現に向けたDXの位置づけが明確で納得感がある
  • 物流をDXで支える成長戦略と実現に向けた施策が明確
  • 組織体制やITシステム構築、DX人材育成についても具体性をもって明示されている
  • 企業価値貢献の事例についても既存・新規事業において財務成果につながる展望が示されている
  • 成果についてROIで計測する先進的な取り組みをおこなっている。

今後は、社会に不可欠な物流インフラとして、デジタル技術を活用した「トータルロジスティクス」の提供による「新しい物流」の創造を通じ、社会課題の解決を図っていくとしています。

参考:『デジタルトランスフォーメーション銘柄2025』経済産業省他
参考:『デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)において 「DXグランプリ2025」に初選定』SGホールディングス
参考:『SGホールディングスグループDX戦略』SGホールディングス

ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社は、2025年まで5年連続して、DX銘柄に選定されています。同社は「デジタル社会の発展に不可欠な次世代社会インフラの提供」を長期ビジョンに、2030年までの中期計画を策定しDXに取り組んでいます。

具体的な同社のDX施策としては、業務効率化に向けた生成AIによる自社コールセンターの自動化や、AI搭載の基地局やデータセンターの整備、国内最大級の大規模言語モデルの開発など、多岐にわたります。

同社の取り組みが評価されたポイントは以下の5つです。

  • 企業価値貢献に関する取り組みも幅広く、高いDX施策の実現能力を有している
  • 業務の効率化・高度化を多様な形で推進している
  •  情報システムの整備やデータ・AIの活用も進んでいる
  •  デジタル人材育成において独自の人材像定義に応じたスキル向上策を講じている
  • 育成状況を数値化して把握するなど実践的な仕組みの構築が進んでいる

今後は、従来の「通信事業者」としての役割だけでなく「次世代社会インフラを提供する企業」への業態変革を目指し、さらなるDXの推進を加速させるとしています。

参考:『デジタルトランスフォーメーション銘柄2025』経済産業省他
参考:『ソフトバンクが「DXグランプリ」に初選定! 5年連続「DX銘柄」入り、AI人材の育成推進などが高く評価』ソフトバンク株式会社

「DX銘柄2025」選定企業の取り組み

つづいて、DX銘柄2025に選定された29社から、3社の取り組みを紹介します。DX推進においては、担い手となるDX人材の確保・育成が不可欠です。選定企業のなかでも、DX人材育成において、積極的な取り組みをおこなっている3社を取り上げます。

  • JFEホールディングス株式会社
  • 双日株式会社
  • H.U. グループホールディングス株式会社

JFEホールディングス株式会社

鉄鋼事業を中心に多角的な事業を展開する「JFEホールディングス株式会社」は、過去複数回にわたりDX銘柄に選定されています。同社では、DXを経営戦略の一つと位置づけ、事業競争力強化に向けたDX戦略に取り組んでいます。

DX人材の育成については、DXに対する意識向上の取り組みを実施している点が特徴的です。全社員がDXを自分事として捉え、積極的に参加していくための教育カリキュラムを用意し、全社的なDXリテラシーの向上に取り組んでいます。また、役員をはじめとした管理職層にも教育をおこない、新しい挑戦を歓迎する風土づくりや、DXコア人材に向けた専門教育の機会を設けるといった活動をおこなっています。

DXの成果を社内プレゼンにより共有する取り組みも実施しており、社長・役員をはじめ全社員に向けた全社横断的な成果発表の機会を1年に2回設けています。

参考:『デジタルトランスフォーメーション銘柄2025』経済産業省他
参考:『「DX銘柄2025」への選定について』JFEホールディングス株式会社

双日株式会社

総合商社である「株式会社双日」は、2025年で2年連続のDX銘柄選出となりました。同社は2030年に目指す姿として「事業や人材を創造し続ける総合商社」を掲げ、中期経営計画の5つの柱の一つとして「デジタル技術の徹底活用」を挙げ、DX推進に取り組んでいます。

同社はDX推進において、デジタルスキルとビジネスデザインスキルが両立した人材が必要であると早い段階から認識しており育成施策を進めます。その施策は徹底しており、2023年の段階でほぼ全社員がITパスポート試験に合格、eラーニングによるデジタル基礎学習の受講を全総合職が修了させています。

さらに教育パートナーの支援を得て、DX応用人材の育成カリキュラムを独自開発するなど、組織の中核としてDXを推進する人材の育成に取り組んでいます。

参考:『デジタルトランスフォーメーション銘柄2025』経済産業省他
参考:『「DX注目企業2024」に選出された双日デジタルを事業戦略に組み込みビジネスの拡大を目指す』エクサウィザーズ

H.U. グループホールディングス株式会社

ヘルスケア事業を展開する「H.U. グループホールディングス株式会社」は、2023年より3年連続でDX銘柄に選定されました。同社はDX戦略として「H.U.デジタルVision」を掲げ、合理化・効率化を追求したリーンオペレーションの構築、デジタル技術を活かし個々に寄り添った価値の創造を目指しています。

上記に加え、新たなデジタルヘルスケアを目指すための人材・技術革新基盤の構築も目指しており、積極的なDX人材育成施策を展開しています。求めるDX人材について3つの定義を明確化し、基礎教育と専門教育を掛け合わせたカリキュラムを独自に構築しました。

基礎教育については全社的なリテラシー向上を目指します。さらに、専門人材の育成については実際の現場課題の解決を通じてDXスキルを習得する「現場伴走DXプロジェクト」を開始し、全社を挙げた取り組みを実施しています。

参考:『デジタルトランスフォーメーション銘柄2025』経済産業省他

「DX注目企業2025」選定企業の取り組み

DX注目企業2025選定企業からは、以下の2社を紹介します。

  • 清水建設株式会社
  • 東京ガス株式会社

清水建設株式会社

清水建設では中期経営計画(2024-2026)において、「デジタル」と「DX」を重要な機能と位置づけ「中期DX戦略2024-2026」を策定しています。同戦略では、「業務プロセス改革の実行」と「データを活かしきる経営」を目標に、「組織横断体制の構築」「人財の育成・採用」「環境変化に強い基盤の整備」の3つの方針を掲げDXを推進しています。

「人財の育成・活用」については、全社的なDXリテラシー向上とコア人材の育成を目指すなか、2023年より新入社員を対象にアセスメントを実施、DX研修を受講する人材を選抜する取り組みをはじめました。選抜された人材には、アセスメントの結果に基づき個人の課題に沿って、最適なコンテンツが提供される仕組みを導入しています。

アセスメントとeラーニングが連動したサービスである「exaBase DXアセスメント&ラーニング」を導入したことにより、DXスキルの底上げと、定期的なフィードバックが可能になり、大きな成果につながっています。

参考:『デジタルトランスフォーメーション銘柄2025』経済産業省他
参考:『exaBase DXアセスメント&ラーニング活用事例』エクサウィザーズ

東京ガス株式会社

東京ガス株式会社においても、中期経営計画にてDXを戦略実行の一つの軸と位置づけ、DX人材の育成に取り組んでいます。同社はDX人材育成ロードマップを整備し、人材育成プログラムの拡充に着手しました。

その取り組みの柱としてDX推進部門が事業部門と連携する、伴走型の教育体制の整備を目指します。この活動において同社は、「exaBase DXアセスメント&ラーニング」の研修・講演・人材採用支援を導入しました。同サービスの活用により既存社員対象の研修においては、最新情報を反映した質の高いインプットが可能になり、学習効果を高めています。

また、これらの取り組みは、DXの中核を担う高度人材の採用数増加にも寄与しており、DX推進の内製化が大きく進みました。

参考:『デジタルトランスフォーメーション銘柄2025』経済産業省他
参考:『exaBase DXアセスメント&ラーニング活用事例』エクサウィザーズ

「exaBase DXアセスメント&ラーニング」は、DX人材の育成をトータルでサポートするサービスです。アセスメント機能により、自社の既存スタッフのなかからDXの素養を持つ人材を選抜することや、それぞれのレベルに応じたeラーニングコンテンツの提供が可能になります。全社的なDXリテラシーの向上や、専門人材の育成を科学的に支援します。

DX人材育成5つのステップを網羅
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まとめ

デジタル化が加速する現代において、DXへの取り組みは企業価値の向上に欠かせない施策となりました。しかし、DXの推進において大きく後れをとっている企業が多いことも現実です。こうしたなか、DX銘柄に選定される企業の取り組みは価値のあるもので、大いに参考にすべきロールモデルといえるでしょう。

ぜひ本記事を参考に、DXの導入を進めてみてください。

なかなかDXが進まない場合は、DXロードマップを作成しておくことが大切です。以下ではDXロードマップ作成の全体像を資料としてまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

参考:DXロードマップの作成方法