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【連載】新卒5カ月目、”AIネイティブ”営業のリアル ~営業経験の差はAIで補う。それでも「最後は人間力」と言い切る理由~

  • 河辺 健太郎(かわべ・けんたろう)
    株式会社エクサウィザーズ AIプラットフォーム事業本部 SalesTech事業開発部 FS・CSグループ
【連載】新卒5カ月目、”AIネイティブ”営業のリアル ~営業経験の差はAIで補う。それでも「最後は人間力」と言い切る理由~

生成AIやAIエージェントの進化が、企業経営のあり方を大きく変えようとしている今、私たちエクサウィザーズは、自らが最前線の「実験場」となり、AIドリブン経営を日々実践しています。この「AIドリブンデイズ」のコーナーでは、自社を実験場としたエクサウィザーズ社内のAI活用事例を発信しています。

今回お届けするのは、連載「広報が聞く、実験場のリアル」。話を聞いたのは、2026年4月に新卒入社し、セールステック事業部でフィールドセールス(FS)を担う河辺健太郎さんです。入社5カ月目にして、AIロールプレイングサービス「エクサベース ロープレ」や「エクサベース セールスエージェント」といった自社プロダクトを「売る側」でありながら「使い倒す側」でもある河辺さん。学生時代はAIを研究するエンジニアだったという異色の新人営業に、現場でのAI活用のリアルを聞きました。

「使わないという選択肢がなかった」——AIネイティブの新卒営業

――まず、普段の業務を教えてください。

河辺:セールステック事業部で、フィールドセールスを担当しています。扱っているのは、AIアバターと営業のロールプレイングができる「エクサベース ロープレ」と、商談準備や議事録作成といった営業の日常業務をAIエージェントが担う「エクサベース セールスエージェント」です。1日2件ほどの商談とその前後の準備・アフターフォロー、お客様への架電、契約書や見積書の作成などが日常業務です。入社からこれまでに初回商談を行った企業は70社以上になります。

――業務にAIを取り入れたきっかけは何だったのでしょうか。

河辺:正直に言うと、「使わないという選択肢がなかった」んです。学生時代は情報工学を専攻していて、画像処理やAR技術の研究、AIの仕組みを自分で構築して学習させる研究をしていました。AIを触るのが大好きで、常にAIが横にいる状態が当たり前。エクサウィザーズは全社的にAI活用が奨励されていますし、私たち2026年4月入社の新卒は、新人研修から「Claude Codeを使って開発をしてください」というお題が出るような環境でした。

Claude Codeの「スキル」で、思考プロセスまで型化する

――具体的には、どんなAIを使っていますか。

河辺:大きく3つです。自社プロダクトの「エクサベース ロープレ」「エクサベース セールスエージェント」、そしてClaude Codeです。時々「エクサベース AI」も使います。自分自身がセールスで、売っているプロダクトもセールステックなので、いわば自分がペルソナ。日常的に使い込んでいます。

――Claude Codeはどのように使っているのですか。

河辺:中心は「スキル」の活用です。あるタスクの型をAIに学ばせておき、いつ実行しても同じ形でタスクが再現される仕組みで、これがないと毎回長いプロンプトを打つ必要があります。社内の先輩が作った、エクサウィザーズのPowerPointフォーマットで提案資料を出力するスキルを自分なりに改変して使っているほか、最近は「思考プロセス」そのものをスキル化しました。

――思考プロセスのスキル化、というと?

河辺:コンサルタント的な考え方を身につけたくて、本で読んだ思考方法をまずAIに説明し、「この方法で考えましょう」と壁打ちをしてみたんです。出力が良かったので、「今やったプロセスを一般化してください」と言語化してもらい、「これをスキル化してください」と続けました。以降は別の案件でも、そのスキルを使えば情報の整理や、やるべきタスクの整理といった思考プロセスを実行してくれます。
いきなりスキルを作るのではなく、前段でしっかり壁打ちして言語化することが大事だと思っています。スキルは毎回同じ形で動くからこそ、最初に決めた型の質が低いと、気づかぬうちにすべてのアウトプットの質が下がってしまう。使いながら常に見直して、調整し続けることを意識しています。

先輩の時間を奪わない「AIロープレ」——新人の壁を越える

――自社プロダクトはどう活きていますか。

河辺:新卒営業の課題は、商材理解も浅く、話す力もない一方で、忙しい先輩の時間をブロックしてロープレをお願いするのは心理的ハードルが高い、ということだと思うんです。エクサベース ロープレなら、自分で対峙したいお客様像のアバターを作り、先輩社員が言っていた観点やキーワードを盛り込んだ採点基準を自分で組み立てて、何度でも練習できます。
学生の頃にインターンなどで営業経験はあるのですが、全然うまくいきませんでした。そもそも営業のやり方が分からないうえに、周りに営業に詳しい人もいなければ、ロープレの相手をしてくれる人もいない。練習も振り返りもできないまま、手探りでお客様と向き合っている状態だったからです。入社後にAIロープレを使い出してから、言語化能力や切り返し力がついてきている感覚があります。先輩の時間を取らせずにアウトプットの量を確保でき、質も上がる。まだまだこれからですが、もしAIロープレがなかったら、商談の場での対応はまだまだ厳しかったと思います。

――エクサベース セールスエージェントの方はいかがですか。

河辺:商談準備から議事録作成までAIがやってくれるので、型化された作業はAIに任せられるようになりました。体感ですが、初回商談1件あたりの前後の作業時間は、AIがなければ2〜3時間かかっていたと思うものが、今は30分ほど。ただ、これは準備を省いているわけではなく、むしろ逆だと思っています。AIが企業情報や過去の経緯を整理してくれた状態で臨めるので、お客様との会話の解像度が全然違うんです。そのうえで浮いた時間は、先輩との壁打ちや提案内容を考えること、お客様への電話といった、FSにとって本質的な時間に再投資しています。経験の浅い自分にとっては、AIが営業経験の差を補ってくれている感覚です。

意思決定は絶対に人間がやる

――どこまでAIに任せ、どこから人間が考えるべきだと思いますか。

河辺:意思決定の部分は人間がやるべきだと考えています。AIの出力が100%正確とは限らないし、それをお客様に伝えるのは自分。出力が合っているのか、何を伝えるべきなのかは、自分で意思決定しないといけない。提案内容も、出す前に必ず上長や先輩に見てもらっています。お客様との接点の部分は、この先も長く人間が担うと思っています。
AIとは「世の中を変えるための必要不可欠なパートナー」

――AIを使いこなせるようになって、働き方ややりがいに変化はありましたか。

河辺:AIがない時代に自分がFSをやっていたら、やることが多すぎて倒れていたと思います(笑)。準備がままならない状態でお客様の前に立つ不安や緊張といったネガティブな感情が、AIによって準備が高精度かつ効率的にできることで軽くなる。もともとエンジニアリング側の人間だった自分がFSに挑戦できているのは、「AIで効率化できるならやっていけるだろう」という感覚があったからこそです。AIはFSという仕事への心理的ハードルを下げてくれました。

――最後に。あなたにとってAIとは、一言で言うと何でしょう。

河辺:昔は「秘書」という感覚でした。でも今は、AIエージェント同士を連携させてチームとして動かせる時代です。秘書以上の存在、「世の中を変えるための必要不可欠なパートナー」だと思います。AIを使うか使わないかで、仕事の仕方や効率が大きく異なり、差がどんどん開いていく感覚があります。

――AIが急速に発展する中で、必要とされる人材であり続けるには何が必要だと思いますか。

河辺:「人間力」です。技術的優位性がなくなっていく中で、最後に何で選ばれるかといえば、人と人との関係性や信頼感。「この人に任せたい」と思っていただける力です。論理や作業はAIが支えてくれる。だからこそ、懐に入る力や、その場その場で感情に語りかける力が、個人も会社も大きくなれるかどうかの分かれ目になると思っています。

おわりに

自社プロダクトを自ら使い倒し、そのフィードバックを企画チームに返してプロダクト改善につなげる——河辺さんの実践は、まさに「自社を実験場に」というエクサウィザーズの姿勢を、新卒5カ月目の現場で体現するものでした。一方で、「AIは便利なのになぜ利用が広がらないのか」という問いには「まだ気づいていないだけかもしれない」とも。個人の活用をチームの共有資産へと広げていくフェーズは、これからです。AIという最先端の武器を使いこなしながら、最後は「人間力」で選ばれる営業へ。若きAIネイティブの挑戦は始まったばかりです。

※記載されている会社名、製品・サービス名は、各社の登録商標または商標です。

  • 河辺 健太郎(かわべ・けんたろう)
    株式会社エクサウィザーズ AIプラットフォーム事業本部 SalesTech事業開発部 FS・CSグループ
    名古屋工業大学で情報工学を専攻。大学3年次に、名古屋にある日本最大級のインキュベーション施設「STATION Ai」の起業家育成プログラム「STAPS」に参加したことを機に、起業やビジネスの世界へ本格的に足を踏み入れる。STATION Aiでの長期インターンや不動産テック系スタートアップでのエンジニア・PM・営業・経営を経験。海外の起業家育成プログラムにも参加し、視野を広げた後、2026年にBizDev職として新卒入社。現在はフィールドセールス/カスタマーサクセスを担う。