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Perplexityの「Computer for Enterprise」に見るAIエージェント基盤の動向

公開日
2026.05.17
更新日
2026.06.17
Perplexityの「Computer for Enterprise」に見るAIエージェント基盤の動向

Perplexityが発表した「Computer for Enterprise」は、従来のAIチャットボットの枠を超え、複雑な業務を自律的にこなすデジタルワーカーとしての側面を強めている。ユーザーが自然言語で指示を出すだけで、AIが自律的に社内データベースのクエリを作成・実行し、売上予測のダッシュボードや財務モデルを構築する。SnowflakeやSalesforceといった主要なエンタープライズツールと安全に連携できるため、専門知識のないビジネスパーソンでも高度なデータ分析を業務に取り入れることが可能になる。

この発表に対し、AIエンジニアコミュニティや技術系メディアからは、実用的なAIエージェントの具体的な形として評価されている。特に、事前の環境構築を必要とせず、ブラウザ上で即座に自動化システムが稼働する利便性が注目を集めている。さらに、単一のAIモデルに依存するのではなく、タスクの性質に応じて複数の最先端モデルを同時並行で走らせ、適切に処理を割り振るオーケストレーションの仕組みも、技術的な完成度の高さとして支持されている。

こうしたAIエージェントの基盤を巡る競争は現在、急速に激化しており、市場は大きく2つの陣営に分かれつつある。

一方は、OpenAIやAnthropicのように自社で強力な最先端モデルを開発し、そのモデルと実行環境の強固な統合を強みとする陣営である。もう一方は、今回のPerplexityのように、タスクごとに最適な他社製AIを柔軟に組み合わせるマルチモデル対応を強みとする陣営だ。

企業ユーザーの視点に立つと、後者のアプローチには、特定のAI大手に自社のシステムやデータを囲い込まれるリスクを回避できるという利点がある。どのモデルが台頭しても、その時々の最適な選択肢を自由に切り替えてビジネスの自動化を進められる柔軟性こそが、今後のエージェント基盤選定における重要な指標になる。

著者
湯川鶴章

AI新聞 編集長

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。