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AI業界の新たな勢力図、MetaとMicrosoftが急接近

公開日
2025.05.18
更新日
2026.06.17
AI業界の新たな勢力図、MetaとMicrosoftが急接近

 

少し前までのAI業界は、米OpenAIが大きくリードし、MicrosoftがパートナーとしてOpenAIをサポートしている、という感じだった。しかしここにきて、ソフトバンクがOpenAIに急接近し始め、一方でMicrosoftはMeta Platformsと足並みを揃え始めた。

今日、AIの基盤モデルの開発競争でリードしているのが、OpenAI、Anthropic、Google、x.aiといった米国勢。そのすぐ後ろにいるのが、DeepSeek、アリババなどの中国勢だと言われる。

米IT大手は、主に資本的に支援する形でAI大手をサポートしており、MicrosoftはOpenAIを、AmazonはAnthropicと組んでいた。ところが最近はMicrosoftに代わってソフトバンクがOpenAIを支援することが増えてきた。

詳しく見てみよう。MicrosoftがOpenAIに最初に10億ドルを出資したのが2019年。OpenAIのAIモデルの開発は、Microsoftのクラウドサービス「Azure」上で独占的に行われることになった。その甲斐もあってか、2022年11月30日にOpenAIがChatGPTをリリース。生成AIブームが到来した。その後も100億ドルを追加投資し、OpenAIとMicrosoftのスクラムが強固になったように見えた。

ところが2023年7月にMicrosoftがMetaのオープンソースモデルLlama2のサポートを開始し、OpenAIのモデル単独支援からマルチモデル戦略へと方針を転換した。米の大企業の間で、コストやセキュリティを理由に、オープンソースモデルをベースに自社AIを構築する動きが始まったからだ。2024年になりMetaがLlama3をリリース。MicrosoftはMetaをサポートし続けた。

2025年1月に、OpenAI、ソフトバンクグループ、Microsoft、Oracleが大規模なAIインフラ構築プロジェクトStargateを発表。同時にMicrosoftのAzure独占権が優先交渉権へとトーンダウンされた。

4月にはソフトバンクがOpenAIに最大400億ドルの資金を調達することで合意。ソフトバンクがOpenAIに急接近した。

そして4月29日に開催されたMeta主催の開発者向けイベントLlamaCon 2025には、MicrosoftのSatya Nadella氏が登壇。MetaのMark Zuckerberg氏とにこやかに対談し、両社の関係強化を印象付けた。

なぜOpenAIはソフトバンクに近づき、MicrosoftはMetaに近づいたのか。

まずなぜOpenAIはソフトバンクに近づいたのか。ひとつには資金調達の桁が変わったからだとみられる。OpenAIの次期モデルGPT-5の開発には、10億ドルから数百億ドルの半導体コスト、電力コストがかかると言われている。400億ドルの資金調達を約束できる投資家は、ソフトバンク以外に見当たらなかったのだろう。また、Microsoftがマルチモデル戦略に舵を切ったことで、Microsoftだけに依存するのは危険と見做したのだろう。

一方ソフトバンクとしては、傘下の半導体メーカーArmの半導体をデータセンター開発案件に採用できるというメリットがある。

MicrosoftがMetaに接近した理由は比較的単純だ。ここ1、2年で、米大手企業がコストやデータ自社管理を理由にオープンソースモデルを採用するケースが急増してきたからだ。

また、Microsoftは企業向けビジネスが得意で、Metaは消費者向けビジネスが得意。両社が組むことで互いの弱点を補完できるメリットもある。

OpenAI、Microsoft、ソフトバンク、Metaにとって非常に合理的な判断と言えるだろう。

この4社はしばらくはこの体制で進むだろう。しかし巨人Googleも黙ってはいない。中国AIやイーロン・マスク氏率いるx.aiというダークホースも健在だ。2025年の後半も、AI業界では熱い戦いが繰り広げられそうだ。

著者
湯川鶴章

AI新聞 編集長

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。