◎マスク氏がAIの新会社を設立した理由
イーロン・マスク氏が、新会社「xAI(エックスAI)」の設立を発表した。「宇宙の本質を理解する 」ことが目標という。
Twitter上のAI研究者たちの反応を見ていると「集めた研究者の顔ぶれがすごい」という。それに加えて Twitter、テスラ、SpaceXといった企業と連携するので、ネット上のSNSのデータ、自動車で入手できるリアルな世界のデータ、宇宙のデータまで全部を使うことができる。すごいAIの会社になりそうな感じ。
またNVIDIAから数千個の半導体GPUを購入したらしい。同氏は以前から「GPUを買い集めることは、麻薬を買い集めるより難しい」とツイートしていたので、そのときからGPUを買い集めていたもよう。ただInflectionAI社が、2万4000個のGPUを使ったスーパーコンピューターを開発したので、それに比べればまだまだ足らない。Inflection AI社のスーパーコンピュータが報道された際には「今後、これ以上のスーパーコンピューターが次々と登場することになるだろう」とtweetしていたので、マスク氏がさらにGPUを買い集め、スーパーコンピューターを構築してくることはほぼ間違いなさそう。
これでAIをめぐる競争は①なんでもできる超大型汎用AI(InflectionAI、xAI)②クラウドコンピューティングサービス(Amazon、Google、Microsoft)③消費者向けチャットAI④業界特化型中規模AI(Bloomberg、Googleその他)といった4つのレイヤーで繰り広げられることになりそう。こうした競争が、あらゆる企業、産業を巻き込んでいくことになる。
ChatGPTを開発したOpenAIはGPU不足でイノベーションが減速しているみたいだし、これから注目すべきはInflectionAIとxAIとGoogleなのかも。xAIの設立のニュースに関しては「ChatGPTに対抗か」という論調の記事が目立つけど、そんなレベルの話じゃないと思う。(情報ソース
Bloomberg)
イーロン・マスク氏はなぜAIの会社を作ったのだろうか。イーロン・マスク氏は2、3年前からAIが人類に及ぼすリスクについて警告してきた。今年に入ってからは「少なくとも半年間は、これ以上大きなAIモデルを作るのを禁止しよう」という運動を起こしていた。
そのマスク氏がxAIという会社を設立した。なぜなんだろう。マスク氏自身が、twitter spaceというリアルタイムのオンライン配信で、その思いを語っている。
それによると、AIの研究開発を規制するのは簡単ではなく、規制できないのなら、人類のリスクにならないようなAIを自らが開発して普及させるしかない。そういう思いで、新会社を設立したという。
では今までのAIとは、どのように異なるAIを開発しようというのか。それは、好奇心が強く真理を追求しようとするようなAIを開発したいと言う。
AIのもたらすリスクにはいろいろあるが、人間を遥かに超えるほど賢くなれば人間を不要とみなして人間を絶滅に導くリスクがある、という意見がある。しかしもしAIの好奇心が強く真理を追求しようとすれば、人間を絶滅させないで、この不思議な生き物がどう進化していくのか、人類にどのような可能性があるのかを探求したいと思うはず。人類を絶滅させるのではなく、進化させる方向にAIは人間を支援するようになるはず。マスク氏はそうそう主張している。
好奇心を持たせることが、倫理をAIに教えるよりも、結果的に人間を支援するAIになるだろうというのがマスク氏の考えだ。なぜなら、倫理を教えるにしても、世界共通、時代を超えた倫理というものがあるのかどうか分からない。今の時代、今の社会にとって正しいことが、未来の時代、ほかの社会にとって正しいことなのかどうか。ある人にとっては正しいことが、他の人の迷惑になることもあるだろう。人間の仕事を支援し続ければ、究極の未来には人間は何もしなくてもよくなる。それが人間にとって幸せなことなのだろうか。こうしたことを考えると、正しいことをAIに教えるということの問題が見えてくる。それよりもAIに好奇心を持たせたほうが、人間のことを知りたいので人間の進化を支援するはず。マスク氏はそう考えているようだ。
究極の形は「好奇心を持たせる」だが、その一方で、そのときどきでAI開発に何らかの規制を設けるべきだとも言う。
西側諸国だけが規制して中国が規制しなければ、AIの開発競争で中国に負ける可能性がある、という指摘があるが、これに対してマスク氏は「中国も規制を設けることになるだろう」と反論する。最近も中国に渡って政府首脳たちと会談し、規制しなければ共産党ではなくAIが中国社会を牛耳ることになる、と警告してきたという。会談後の感触としては、中国政府も何らかの規制に乗り出すことは間違いなさそうだと言う。
マスク氏は中国政府の考えをよく理解できるという。これまでの歴史的経緯を考えれば中国政府が今の考え方になることは当然であり、一部西側のマスコミが報じるように、まったく価値観の異なる危険な国家であるということはない、と言う。ただ台湾の問題は3年以内に何らかの決着に達し、その3年後にはデジタル・スーパー・インテリジェンスが登場するだろう、と予測している。同氏は「デジタル・スーパーインテリジェンスが、あと5、6年で完成しないのなら、逆にびっくりする (I’d be surprised if there is not digital super intelligence in roughly the 5 or 6-year timeframe)」と語っている。(情報ソース
Gail Alher氏のTweet 英語)
◎Google BARDがバージョンアップ 「ChatGPTを超えた」という意見も
Chat-GPTの対抗馬、Google BARDがアップグレードされた。一番すごいのが、Googleレンズが搭載されたこと(今は英語版のみ)。写真をアップロードして質問できるようになった。
僕自身の写真をアップして「これはだれ?」と「人物はまだ判断できません」だったけど。東武ワールドスクウェアに行ったときに撮ったエッフェル塔の模型の写真をアップして「ここはどこ?」と聞いたら「エッフェル塔が写ってるので、フランスのパリです」って答えた。まあ、これを間違うのは仕方がないかな。
友人のエンジニアは、ネジなどの部品の写真をアップして、見分け方を教えることで異常検知にも使えることが分かったと言っていた。Twitterを見ると、いろいろな使い方が試されており、「ChatGPTを超えた」という意見も散見された。
あとは回答の長さや専門性のレベルなども簡単に調整できるようになった。分かりやすい説明がいいのか、より詳しい説明がいいのかを選択できるわけだ。
また対応言語も40以上になった。
ただ日本語は未対応なので、Googleアカウント自体の言語設定を英語にしないと使えない。いずれすぐに日本語も対応になるだろうけど。
デザインやUXは、ChatGPTよりもBARDのほうが上かも。最先端を試したい人にはChatGPTがいいかもだけど、一般ユーザーにはBARDのほうが使いやすいかもしれない。
待ち遠しいのはプラグイン。adobeの画像生成系のプラグインも搭載される予定だから、早く使ってみたい。プラグインが乗ってきたら、ChatGPTの有料版を解約しようと思う。(情報ソース
Google Bard)
◎Meta(Facebook)のThreadsが人気 Twitterとは棲み分け
MetaのThreadsの人気がすごい。7/5の初日だけで7000万人が登録したもよう。(情報ソース
CNBC 英語)
イーロン・マスクがTwitterの経営に乗り出してから、いろいろ不満が出ていることもあって、Threadsに乗り移ろうという人が多いというのが急成長の理由、というような分析を目にした。もちろんそういう人もいるかも知れないけど、僕は単純にインスタグラムのユーザーなら簡単にアカウントを開設できることや、インスタグラムの友人たちのネットワークをそのままThreadsに持ち込めるからだと思う。
僕も一応Threadsに登録したけど、これからもTwitterを使うつもり。なぜならTwitter上でAIやWeb3の人たちのリストがあって、最新の情報が得られるから。
Twitterはこれからもビジネスや学問のSNSとして利用され、Threadsは若者やエンタメのSNSになっていくように思う。つまり棲み分けが起こるような気がする。
今のところ、Twitterを超えるような新機能が搭載されたわけでもない。でもCEOのマーク・ザッカーバーグ氏は自律エージェントを「そう遠くない未来に」搭載することを言及しているので、それがどの程度の機能かが興味深いところ。(関連記事 チャット型AIは幻滅期に入ったのか)
一方で、Twitterの顧問弁護士がMetaのマーク・ザッカーバーグに「Twitterの社員を引き抜いて、社外秘情報を得ようとするのは違法」として提訴する可能性があることをほのめかす手紙を送ったらしい。Metaの広報は、Twitterの元社員はThreadsのチームには一人もいない」と反論している。
◎OpenAIを辞めた人たちが作ったClaude-2が話題
AnthropicのChatGPT対抗馬のClaude-2と呼ばれる言語モデルが話題になっている。
Anthropicって、ChatGPTを開発したOpenAIがMicrosoftの出資を受けて、非営利組織から営利組織になった数年前に、それに反発する社員がOpenAIを辞めて設立した会社。技術的にはOpenAI同等の技術力があると見られている。
Claude-2の特徴は、利用料金がOpenAIの最高峰モデルGPT-4の1/5で、最新のデータで学習しており、小説一冊分程度の情報を記憶できるという。(情報ソース
PC Watch)
◎AIが生成した価値の低い情報を掲載するサイトが急増中
広告収入目的でWebサイトを大量生産させる業者のことを「コンテンツファーム(コンテンツ農場)」と呼ぶが、コンテンツファームが生成AIを使ってさらに大量のページを作り出していることが分かった。AIが作ったオリジナリティに欠けるページだとは知らずに、多くの大手企業が広告を出稿しているという。
米調査会社Newsguardの調べによると、AIを使って自動生成したページを大量に生産しているウェブサイトの数が5月の1カ月間で49サイトから217に急増したという。中には1日に1200本以上のページを自動生成しているサイトもあったという。まら大手企業141社がこれらのサイトに広告を出稿しているという。
生成AIが登場してからネット上にはAIが生成した同じような内容の情報が氾濫する危険性が指摘されていたが、既にそういう状況になりつつあるもよう。今の生成AIはネット上の公開情報を学習しているモデルが多いが、今後こうしたオリジナリティのない情報を学習することで、モデルの性能が低下する可能性も指摘されている。(情報ソース
NewsGuard 英文)
◎ハリウッド俳優組合ストライキの理由の1つに生成AI
テレビの俳優の組合と映画の俳優の組合で同時にストに入るのは初めてらしい。生成AIは、過去の写真や映像を学習し、存在しない人間の写真や映像を作ることができる。ハリウッドの制作会社が生成AIを頻繁利用するようになれば、俳優の仕事が激減する可能性がある、と組合側が考えたらしい。生成AIの利用などに関し、労使間の合意が得られなかったということらしい。まあそれだけが理由ではないみたいだけど。でも本当に将来の映画制作ってどうなるんだろう。もちろん有名俳優はだいじょうぶだろうけど、脇役やエキストラの仕事ってAIが生成した架空の人物に取って代わられるのだろうか。(情報ソース
The Verge 英文)
◎米政府機関が誤情報出力でChatGPTの調査を開始
米連邦取引委員会(FTC)は、OpenAIのチャットボット「ChatGPT」が「風評被害」を引き起こす可能性があるとして調査を開始した。誤情報が一定の割合で混じることが、ようやく問題視され始めたようだ。これまでもこの問題は指摘されていたし、Open AIに対する訴訟も起こってたけど、あまり大きく取り上げられなかった。
よくない話が大きく取り上げられないぐらい、一般ユーザーがChatGPTに魅了されていたということなんだろう。
6月の利用者数が4月の数から1割ほど低下したらしいし、いよいよChatGPTの幻滅期がそろそろ始まりなのかもしれない。
でも最近は検索機能やプラグイン機能が搭載されて、より正確な情報が出力されるようになってきているんだけどな。政府の動きはいつも少し遅い。(情報ソース Forbes Japan)