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日本語AIの実力は?ニュースダイジェスト 2023-7-4

公開日
2023.07.06
更新日
2026.06.17
日本語AIの実力は?ニュースダイジェスト 2023-7-4

◎日本語言語モデルの実力いかに

ChatGPTは確かに高性能なんだけど、機密性の高い情報をOpenAIに送るのってちょっと心配。そこでオープンソースの言語モデルをベースに、独自の日本語言語モデルを作る動きが一部で進んでいる。しかしChatGPTなどのOpenAI のモデルと比べて、独自日本語モデルの性能ってどうなんだろう。

この記事の著者のシバタアキラさんによると、オープンソースの言語モデルの主なものは次の3つ。

  • LLaMA Facebook改めMetaが公開した大規模言語モデル
  • GPT-NeoX EleutherAIが開発した完全オープンソースなモデル
  • Bloom フランス政府などが支援する研究者主導のモデル


よく耳にするのはLLaMAとBloomだけど、日本企業ではサイバーエージェントとrinnaがGPT-NeoXをベースに日本語モデルを開発したらしい。

シバタさんの調査結果によると、やはりOpenAI系のモデルの性能が高く、次にMosaicML。その次にrinnaがランクインしている。
この結果を見て、独自モデルを作るかどうかはは各社の事情次第かな。それほどプライバシーや機密情報が心配でなければOpenAIのモデルのほうがいいだろうし、機密情報を取り扱いたい場合は独自開発も検討すべきなんだと思う。

◎小規模言語モデルに注目

大規模言語モデルは高性能なんだけど、利用コストが高いのが難点。そんな中、それなりの性能を出せる小規模モデルが登場し始めた。性能を上げるには大規模にするしかないと思われていたんだけど、ここにきてモデルの大きさと学習データのバランスをよくすれば、小規模でも性能を出せるということをGoogle傘下のDeepMindが発見した。それ以来、小規模モデルの研究開発が加速しているようだ。Googleも今年の開発者向け年次総会で小規模モデルBisonを発表してきた。Bisonは使用料金がGPT-4の1/15という。

また小規模言語モデルは、用途を絞れば家電機器などに搭載することも可能。いろいろと新しい製品が登場してきそうだ。https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2306/19/news163.html

◎Appleの注目ゴーグル、初期ロット縮小

大注目のARゴーグル、Apple Vision Pro。報道によると、部品の供給が難しいみたい。初期バージョンは約50万円とかなり高価で、その次のバージョンから安くなるという話だったけど、この感じなら庶民にとって手が出る価格になるまで、まだしばらくかかりそう。

メタバースの時代がいずれくるのは間違いないとは思うんだけど、ビジネスに大事なのはタイミング。出遅れるのはもってのほかだけど、多くのベンチャー、プロジェクトはタイミングが早すぎて失敗する。Facebookが社名をMetaに変えてメタバースの機運を高めたことに乗じて多くの企業が動いたが、ほとんどが失敗。次のチャンスはAppleのVision Proだとみんな考えているけど、リーズナブルな価格のバージョンが出るのはしばらく先。ということでメタバースのチャンスも少し先になりそう。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-07-03/RX7CS5T0G1KW01

◎ハーバード大にチャットボット教師

学生のChatGPT利用を認めるかどうかという議論がまだ続いているが、米ハーバード大ではチャットボット教師を導入するという報道があった。ほんとかなあ?単にチャットボットの利用を推奨するというだけじゃないのか。記事からは分からず。


記事によると、「9月から同大学のコンピューター科学の授業にチャットボットを教師として導入する」と書かれてはいる。ただそれが、人間の教師なしでチャットボットだけで授業するのか、教師は人間だけど、ChatGPTのようなチャットボットを使っていいよ、という話なのか。前者だとAIが人間の教師を代替するということで、結構大きな話。一方で、チャットAIを使っていいよという話なら、別に目新しい話でもない。多分、チャットボットの利用を推奨した、というだけの話なんじゃないかな。そんなこと言われなくても、学生は既にがんがん使ってると思うけどね。

ネット上の記事って、アクセスを高めるために盛った見出しをつけることがよくある。騙されないように気をつけないと。
https://www.independent.co.uk/tech/harvard-chatbot-teacher-computer-science-b2363114.html


◎ChatGPTの利用率、日米で格差

日本の利用率が7%、米国の利用率51%らしい。ただアンケートに答えた人の数が日本人1万3412人、米国人402人という風に大きな開きがある。こんな調査結果ってある?統計的にどれだけ有効な結果なんだろう。まあでもその程度の格差があってもさほど不思議ではないかな。
https://www.m2ri.jp/release/detail.html

◎OpenAIが業務アシスタント開発?

正式発表ではないので、OpenAIの意図するところは分からないけど、ChatGPTってプラグインを使えば既に業務アシスタント的な動きをする。ので、OpenAIがそれを進化させたとしても、さほど不思議ではない。

OpenAIは、クライアント企業にAI機能を提供する黒子的存在で、クライアント企業とバッティングするような戦略は取らない。CEOのSam Altman氏がそう語っているインタビューを以前見かけたことがある。

ということは方針転換か、とも見えるんだけど、発表文じゃないので真意はつかめない。記者は、大袈裟なタイトルをつけたがるものだし。


まあこうした業務アシスタント、デジタル秘書のようなツールは、今回のAIブームの最終決戦地と見られているので、ここだけは参入しておきたいというところなのかもしれない。


業務アシスタントってどんなツールかというと、メールや文書執筆、スライド作成、会議の議事録作成などを支援してくれるツール。それってMicrosoftやGoogleが既に手がけている領域で、テック大手以外でも、無数のベンチャー企業が同様のツールで先行している。


そういう意味でOpenAIは後発だし、マーケティング力でテック大手に勝てるとは思えない。WindowsやGoogleのメール、ワープロ、表計算ツールにAIが乗ってくれば(既に米国では乗ってきているし、日本でもまもなく)OpenAIに勝ち目があるのだろうか。


ということでOpenAIが業務アシスタントの領域にさらに注力してきて、戦況は大きく変わらないように思う。なんでもできるという汎用AIのところはテック大手間の勝負になるし、それ以外の一般企業は、自分の領域に特化したAIツールを作るという競争で勝つしかない。特化型の領域はどれだけ独自のデータを持っているのかの勝負になるので、当然、その業界、領域で長年戦っている企業の方が強いに決まっている。戦い方は、先手必勝。それ以外ないと思う。

https://jp.reuters.com/article/openai-ms-idJPKBN2YC1LM

著者
湯川鶴章

AI新聞 編集長

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。