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Web3ビジネスモデル研究 ニュースダイジェスト 5-12-202

公開日
2022.05.12
更新日
2026.06.17
Web3ビジネスモデル研究 ニュースダイジェスト 5-12-202

 

ここ最近、個人的に気になった世界のテクノロジー関連ニュースを集めました。この記事は、会員向けの限定公開記事です。未確認の情報や個人的見解を含みますので、一般公開はご遠慮くだい。

◎日本政府もWeb3を推進

制度改革を通じてWeb3を含む新しいサービスを醸成しやすい環境整備に取り組む意向を表明した。

海外からの投資を増やしたいんだろうな。

でも日本社会も遅ればせながらWeb3に軸足を移しそう。

https://coinpost.jp/?p=347588&fbclid=IwAR3e9s8TWpeKAG8miEWB3t1CM5GKO3DUjzTUjzby1otIkFoMFK83T5Spf0g

◎カリフォルニア州もWeb3推進も知事命令

https://www.coindesk.com/policy/2022/05/04/california-governor-signs-executive-order-to-spur-crypto-industry-in-the-state/

◎Web3ビジネスってマルチ商法?

Web3関連のブログや記事を読んでいると、ポンジというキーワードを目にすることが多い。

ポンジとは、簡単に行ってしまえばねずみ講やマルチ商法のこと。天才イタリア系米国人詐欺師のチャールズ・ポンジが1920年代に大儲けしたので、ポンジ・スキームと呼ばれるようになった。

暗号通貨関連のサービスにはポンジ的なものが多く、最初の頃に参加した人は儲かるけど、後から参入した人は損をするケースが多い。

法的な判断はさておき、損をする可能性があるかどうかはどこで判断すればいいんだろう。僕は、参加者が増えれば増えるほど参加者全員にメリットがあるかどうかで判断すべきだと思う。

ゲームすることで収益を得ることができるearn to playゲームの代表例であるAxie Infinityは、ゲームを長時間プレーしたりすると暗号通貨で謝礼が支払われるようになっている。運営社が支払う謝礼金の原資は、高額の入会金がベースになっている。プレーする人が増えてゲームが活性化すれば、参加したい人が増えるので、運営社にとってはメリットがあるし、ゲームが活性化することは参加者全員にとってもメリットがある。

ただ新規加入者の伸び率はいずれ鈍化する。鈍化すれば謝礼金も少なくなるので、金儲けを目的にゲームをしていた人は抜けていくことになるだろう。

earn to playを存続するために還元金の原資を入会金ではなく月額利用料に切り替える必要が出てくるだろう。

いずれにせよある程度の規模にまで成長させることは参加者全員にとってメリットがある話なので、その方法としてポンジ的な手法は有効だと思う。

一方で歩けば歩くほど暗号通貨を受け取ることのできるSTEPNは10万円近くする仮想スニーカーが原資。参加者が増えれば増えるほど仮想マラソンなどのコミュニティイベントが盛り上がるので、参加者全員にメリットがある。その時点まで、ポンジ的手法で加入者を増やすというやり方は有効だ。

しかしSTEPNもいずれ新規加入者の伸びは頭打ちになる。STEPNも仮想スニーカーという入会金の原資が切れることになる。

Axie、STEPNのどちらもいずれ新規加入者の伸び率は頭打ちになる。そうなったときに月額利用料を支払ってまでコ

ミュニティを活性化させることに意味があるのかどうか。

ゲームは、たくさんのゲーマーが活発にプレーし続けることに大きな意味がある。なのでAxieで、月額利用料を支払うプレーヤーは相当数残るだろう。

一方でウォーキングやジョギングって、大会のようなものがインセンティブになる場合もあるが、所詮単独プレー。還元金の原資が月額利用料になった場合に、どれくらいの人が残るのだろうか。

つまりSTEPNのほうがポンジ的な要素が強い。今から参入したら、恐らく自分が支払った金額を超える収入を得ることは難しいと思う。

今後もポンジ的手法は、いろいろなWeb3系サービスに使われることになると思う。

ポンジが悪や詐欺ということではなく、1つの目的を達成するための手段としては有効で、その目的が社会課題解決に貢献するものであれば、積極的に参加したり、金銭的に少々損をしても誰も文句を言わないように思う。

例えば二酸化炭素削減に協力した分だけ暗号通貨がもらえるゲームを作り、還元金の原資は最初は入会金で、途中から月額利用料に切り替える。CO2削減に協力したいという思いと、お金がほしいという動機が合わさって、多くの人が参加し、大きな成果を上げるようになるかもしれない。

◎Web3ビジネスモデル研究①STEPN

歩けば歩くほど仮想通貨をもらえるWeb3型サービスSTEPNってマルチ商法なんじゃないのかなって思って、STEPNをやっている友人のベンチャーキャピタリストに話を聞いた。これからいろいろ調べてみようと思うんだけど、まずは彼から聞いた話の要点を忘れないようにメモ。

・STEPNに入会するには、まずは10万円ほどする仮想スニーカーを購入しなければならない。それを原資として、多く歩いた人に仮想通貨が付与される。歩けば歩くほど、走れば走るほど、仮想通貨がもらえるので、参加者はがんばって歩いたり、走ったりする。僕の息子は「一日10分で6000円くらい稼げる」って喜んでいる。

・STEPNには2つの仮想通貨があって、1つは既に市場に存在する仮想通貨をベースにしたGMT。もう1つは独自に始めたGST。どちらも市場で売買可能。GMTの所有者は、STEPNの運営に関し意見を言える。GSTは、歩けば付与される。STEPNを楽天にたとえれば、GMTが楽天の株式のようなもので、GSTは楽天ポイントのようなもの。ただその楽天ポイントは市場で売買可能なので、今後利用者が増えると予想する外部の投資家が買いにくる。僕の息子が歩くだけで簡単に稼げるという感想を持っているのは、外部の投資家がGSTの価格を釣り上げているから。

・今はまだ上昇曲線上にあるので「歩くだけで簡単に稼げる」けど、いずれ話題にもならなくなれば、外部の投資家が去っていくので、価格は安定もしくは下落する可能性あり。新規加入者も可能性もある。分配する原資がなくなれば、マルチ商法同様の結末になる。

・そこで運営者側は近々仮想スニーカーの貸出サービスを始める予定。入会時の約10万円の投資ができない層がこのサービスを利用して新規加入してくるもよう。貸出サービスの儲けが、分配用の原資に充てられることになる。

・とはいえ、それでもしばらくすると新規加入者は頭打ちなるので、やはりマルチ商法と同じ結末に。

・運営者は、仮想マラソン大会などで原資の補充を計画。マラソン大会で有利になるような仮想スニーカーなどの販売もあるもよう。一般的なゲームで武器を販売するのと同様の手段。ユーザーを飽きさせないで、売り上げを維持する方法をいろいろ繰り出してくるもよう。この辺りはソーシャルゲームと同じような感じ。

・一方で、最初は金目当てで参加した人たちが、継続して体を動かす気持ちのよさに目覚め始める。金儲けではなく、運動自体が目的になってくる。

・Discord上にSTEPNのコミュニティが幾つかできており、大会での戦い方などのディスカッションが行われている。コミュニティーが楽しくなる人もいるもよう。

・車に乗らずにできるだけ歩くことは、脱炭素にもつながる。

・金儲け→健康の気持ちよさ・仲間の楽しさ・社会貢献。お金という外的インセンティブをフックにして、健康・精神といった内的インセンティブ、社会的インセンティブへと移行させることでコミュニティを維持する計画。

・コミュニティが維持されて楽天ポイントのようなGSTのやり取りが安定する。取引が安定的に継続している仮想通貨は人気があるので、価格が緩やかに上昇し続ける可能性がある。

・市場で売買できる仮想通貨をベースにしていることで、成立可能なモデル。

・STEPNは韓国ベンチャー。資金を仮想通貨という形で世界中から調達できるので、シリコンバレーに本拠地を設ける必要がない。Web3は脱シリコンバレーの動きでもある

・日本は資金なんちゃら規制法があるので、ポイントのようなものを市場で売買できない。

◎価値創造モデルの変遷

産業界の価値創造モデルは、もう何十年も大量生産モデルだった。職人が手作りしていた製品を、工場で大量生産することで製品の価格を下げた。大量生産の考え方は、サイロ化と1つの作業の繰り返しによる規模の拡大という考え方に進化し、コンビニやスーパーマーケットなど、あらゆる産業に波及した。

大量生産に代わる価値創造モデルとなったのがAIの正のスパイラルというモデル。データが増えれば、AIが賢くなり、AIが賢くなればサービスが向上し、サービスが向上すればユーザーが増えて、さらにデータが増える。このスパイラルが高速に回転することで、AI企業は急速に成長し、テック大手となって、わずか10年で経済を牛耳るようになった。

テック大手が力を持ち過ぎたためプライバシーの問題や不正競争の問題が起こり、その解決策としてWeb3というムーブメントが起こっている。

といってもWeb3の非中央集権のやり方ですべてが解決するわけではない。Web3の非中央集権のフレームワークの中にAIを取り入れる、というのが新たな価値創造モデルになる可能性がある。

特に社会課題解決の領域に「Web3+AI」のモデルが力を発揮しそうだ。

新たな価値創造モデルで成功した企業や国、地域が、大きく成長するのは当然のこと。新たなビジネスモデルや企業の登場が楽しみだ。

https://www.slideshare.net/sanguit/state-of-the-platform-revolution-2021-by-sangeet-paul-choudary

◎NFT市場が急速に縮小?

Wall Street Journalによると、4月の最終週のNFTの売買件数が、22万5000件を記録した昨年9月から92%減少した約1万9000件になった。アクティブなウォレット数も、11万9000個を記録した11月から88%下落した1万4000個になった。

一方でドルベースの取扱額は高い水準を維持しているらしい。

ハイプサイクルで言うと、話題になったので多くの人が参入したハイプ期から、幻滅期に入ったということなんだろうな。でもいい作品は変わらず高値をつけているので、ここからゆっくりとした本当の成長が始まるんだと思う。

https://www.shellypalmer.com/2022/05/is-the-nft-market-flatlining/

◎プラスチック分解酵素をAIが生成

ペットボトルに使われているポリエチレンは完全に分解されるまでに450年かかると推測されている。あくまでも「推測」。だれも450年もかけて検証していないから。分解の途中でマイクロプラスチックになることは分かっていて、空気中に浮遊し人間の肺に沈澱することも分かっている。マイクロプラスチックが健康に与える影響はまだ分かっていないけど、空気中に浮遊マイクロプラスチックが増えることってあんまりうれしくない。

学術誌Natureに掲載されたテキサス大学の研究者の論文によると、AIを使って開発した分解酵素FAST-PETaseを使うと、速くて48時間、遅くとも8日後にはで完全に分解できたという。

https://www.dailykos.com/story/2022/5/1/2094913/-Waste-plastic-broken-down-not-in-centuries-but-in-days-by-an-AI-engineered-enzyme

◎地域通貨が、新しい資本主義を作る

天外伺朗さん曰く「金融マフィアによってすっかりギャンブル資本主義に侵されてしまったいまの社会を立て直すには、マイナス金利の地域通貨(コミュニティ通貨)を普及させるよりほかに方法がない」。なぜなら「不特定多数が相手だと出てこない良心が、顔見知り相手だと自然に働く、という傾向」を人間が持っているからだと言う。なので社会の自浄作用が働くように、「グローバル化に背を向け、ローカル化を追求する」のがいいのだと言う。

実は英国人ジャーナリストのAkeem Azhar氏によると、グローバル化から、ローカル化への流れの変化は既に始まっているという。

グローバル化は製造業が人件費の安い国へ移転したことなどが原因の1つになっているが、工場の自動化、ロボット導入などで、人件費の安い途上国に工場を移転する必要がなくなりつつある。また今後、3Dプリンターが製造業の中核技術になっていけば、国境をまたぐのは設計図だけで、消費者の近くで製品が製造されることになる。また植物工場や培養肉工場も消費者の近くに出来てくるだろうから、ますますローカル化が進む可能性がある。

資本主義をなんとかしないといけないという機運と、技術の進化に伴うローカル化の流れが合わさって、新しい通貨の仕組みが普及するのかどうか。興味深くウォッチしたい。

https://www.officejk.jp/seminar/detail07/

◎ポケモンGOのNiantic社が全地球ARプラットホーム

任天堂のライセンスを受けポケモンGOを開発した米Niantic社が、地球サイズのARプラットホームを5月24日に正式発表する。

ARは実際に見えている風景に仮想の物体や情報を表示させる技術で、ポケモンGOアプリでも目の前にポケモンが現れるといったAR技術を搭載していた。

新しいARプラットホームはLightship Platformという名称で、世界中の3Dマップを取り込めるようになっており、あらゆるデバイスが同じ3Dマップにアクセスできるようになるという。同社は既に何千もの場所を3Dマップ化しており、発表当日は複数の都市でARオプジェクトを見ることができるようになるという。

世界中のリアルな空間にデジタルオプジェクトを表示できるようにする壮大なプロジェクトで、このプラットホームがデファクトスタンダードになればNianticは、かなりの力を持つようになりそう。

でもGoogleなどのテック大手とかがだまってなさそう。

こういうテクノロジーは中央集権ではなく、非中央集権にすべきで、Web3的な対抗馬も出てくるだろうなあ。

https://www.smart2zero.com/en/planet-scale-ar-platform-aims-to-build-3d-map-of-the-world/

◎NVIDIAが薄型VRゴーグルの論文発表

AI半導体大手NVIDIAとスタンフォード大学が薄型ゴーグルに関する論文を発表した。視野角が120度ほどになるという。

VRゴーグルの普及の課題の1つが、ゴツい形状と言われてるんだけど、立体感を出したければある程度のゴツさが必要になってくる。ここまで薄くできるのは画期的なことだと思う。パンケーキのようにレンズを重ねる手法を採ったらしい。

ただやっぱり視野角は広いほうがいいなあ。

NVIDIA Researchers Demonstrate Ultra-thin Holographic VR Glasses That Could Reach 120° Field-of-view

著者
湯川鶴章

AI新聞 編集長

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。