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最強バズワード「メタバース」1-14-2022ニュースダイジェスト

公開日
2022.01.14
更新日
2026.06.17
最強バズワード「メタバース」1-14-2022ニュースダイジェスト

ここ最近、個人的に気になった世界のテクノロジー関連ニュースを集めました。この記事は、会員向けの限定公開記事です。一部未確認のうわさや個人的見解を含みますので、一般公開はご遠慮ください。

毎年正月早々に米ラスベガスで開催される世界最大級のテクノロジー見本市Consumer Electric Show(CES)。昨年はオンライン開催だったが、今年はリアル開催ということで何人かの友人たちが参加してFacebook上で参加報告をしていた。それを見る限り、今年は「メタバース」が最も大きな話題だったようだ。

Facebookが社名を「Meta」に変更し、メタバースに全力投球する姿勢を見せたことに端を発したブームだが、CES開催に合わせて中国のバイドゥ、韓国のサムスンもメタバースに乗り出したと発表。韓国ヒュンダイも、CESでの記者イベントで「メタバースとロボティックスの融合に取り組む」と発表した。(関連記事Hyundai tells CES it’s bringing robotics into metaverse

このことを取り上げた記事を2本ほど読んだが、何のことやらよく分からなかった。記事のタイトルでは「ヒュンダイがメタバースにロボットを連れてくる」となっているのだが、記事の中身は「自動車や飛ぶクルマがメタバースへのアクセスデバイスになる」という発表者の発言を引用している。なんのこっちゃ。

よく分からないのでYouTube上にアップされた会見動画を見てみたけど、やっぱり何のことやら分からない。仮想空間内での変化を現実空間に反映させるためにロボットを使う、ということらしいが、その程度の説明では何のことなのか私には理解できなかった。

メタバースというバズワードに乗っかりたかっただけではないか、と勘ぐりたくなるぐらいだ。

そのほかのメタバース関連の発表を見てみたが、2000年代に流行ったSecond Lifeや2010年前後に流行ったアメーバピグと比べて何がよくなったのか、よく分からなかった。改良点がないのであれば、新しいメタバースのプロジェクトも、Second Lifeやアメーバピグと同じ運命をたどるのではないかと思えてくる。

あまのじゃくな性格なので、多くの人が熱狂すればするほど冷めたトーンで取り扱ってしまうところが自分にはあるのだが、この際はっきりと宣言しておきたい。

私は、いずれメタバースがすべての産業に影響を与える技術になるのだと確信している。ちょうど今、ほとんどすべての企業がAIに取り組もうとしているように、10年か20年後には、すべての産業のイノベーションにメタバースが関連してくるように思う。

ただ今じゃないような気がするだけだ。

もちろん一部の業界はもう既にメタバースによって大きく変わろうとしている。例えばゲーム業界は、ゲームの中で人々が集い、コンサートなども仮想空間の中で開催されるようになっている。ゲームの中で働くだけで、十分に生活費を稼げるようにもなってきたようだ。

また米テクノロジー評論家のShelly Palmer氏によると、定職につかずにお金が必要なときだけメタバースでコンテンツを売ったりして働くという新しいライフスタイルが登場しているという。そうしたライフスタイルは「ねそべり(lying flat)」と呼ばれ始めているのだとか。

中国では、スタートアップなどでむしゃらに働いて、若くして財をなす人たちへのアンチテーゼとして、野心も野望もなくただただ横になっているだけの「寝そべり族」という人たちが増えているらしいのだが、lying flatはそれに由来するネーミングかもしれない。(関連記事 中国の過酷な受験戦争を勝ち抜いた若者が「寝そべり族」になってしまう理由 https://diamond.jp/articles/-/277433 )

こうしたライフスタイルが可能なくらいに、メタバースの経済圏が大きくなってきているらしい。

このほかトレーニングやメンタルヘルス系のデジタルメディスンとしても、メタバースは既に有効だと思う。

しかし一方で、ただ集まるだけのコミュニティをメタバースにしたり、メタバースの中で仕事をするというのは、まだ難しいように思う。

しかし将来的には、リアルにオフィスで机を並べて仕事をするより、オンラインで共同作業するほうが生産性が上がるようになると思う。

イベント運営の会社を経営している友人がいるのだが、彼女によると、一人が複数台ものパソコンを持っている場合、オンラインで共同作業するほうが生産性が上がるという。

彼女の会社では一人当たり平均5台のパソコンを所有していて、zoomとGoogle meetの2つの回線を常時つないで、1つに進行スライド、1つに台本もしくは再生動画という、各自が担当する書類を同時にシェアしながらミーティングしている。こうすると、複数の書類が同時進行でどんどん出来上がっていくのだという。彼女いわく「環境が整うと、オンラインの便利さがリアルを超えていく」らしい。

こうした環境って別に複数台のパソコンと複数の回線が必要なわけではなく、超高性能パソコンが超高速ネット回線につながっていれば可能。つまり未来には、こうしたオンラインベースの共同作業が一般的になっていくのだと思う。

これがメタバースで働く、という本当の意味なのだと思う。上半身しかないアバターでユーザーを表現するというのは、パソコンの処理能力や回線速度が不足していることからくる苦肉の策に過ぎない。今日のメタバースというとアバターの空間という印象が強いが、メタバース=アバターである必要はない。

メタバースがいつぐらい、どのような形で普及していくか、に関しては、カイフ・リー氏の予測が当たっているような気がする。(関連記事:メタバース普及のロードマップ予測。カイフ・リー著「AI2041」から

このほかCESでは以下のようなプロダクトが気になった。

CES2022の話題デバイス①Movano Ring

睡眠状態を計測するウエアラブルデバイスとしてはaura ringの評判がいいが、今年のCESでmovano ringがaura ringを超えたって話題になっているようだ。細身で女性にもつけやすいデザインで、当局の認可を得て保険適用を目指しているらしい。心臓系のデータはもちろんのこと、血圧やグルコースレベルも測れないか研究を続けているという話もある。発売は今年下期らしいが、aura ringよりも低価格を狙っているという。

あとデバイス自体の性能よりも、アプリでデータをどう見せるか、何が分かるのかが、勝負になってきているようだ。

CES2022話題のデバイス②SleepNumber

睡眠を促進するベッド。最初は足の部分を温かくして眠りに落ちやすくし、その後は温度を下げるものの、朝方には温度を上げて目覚めやすくしてくれる。いびきをかき始めたら、その人のベッドの頭部が持ち上がり、空気が気管を通りやすくしてくれる。寝返りをうてば、ひざ関節部分のベッドがひざを支えるように持ち上がるなどなど。その人の睡眠状態にあった状態にベッドが自由自在に変形するらしい。

著者
湯川鶴章

AI新聞 編集長

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。