OpenAIが開発を進める次世代AIモデル「GPT-5」に、世界中から期待と注目が集まっています。一世を風靡したChatGPT(GPT-3.5)、それよりもさらに高度なGPT-4、マルチモーダル機能が強化されたGPT-4oと進化を遂げるGPTシリーズ。次に登場するモデルはどのようなAIになるのでしょうか?今回はそんなGPT-5をめぐる話題について、さまざまなメディアの記事から紹介します。
GPT-5とは
GPT-5は、OpenAIがリリースするGPTシリーズの次世代モデルです。2024年6月現在、OpenAIはGPT-5の機能はもちろん、開発スケジュールも明らかにしていません。GPT-5についての話題は各種メディアでも話題に挙がっていますが、そのほとんどはうわさや憶測の段階です。
とはいえGPT-5が、それ以前のモデルより高性能なものになることは間違いありません。2024年5月に発表されたGPT-4o(オムニ)は優れたマルチモーダル機能で世間から大きな注目を浴びましたが、GPT-5には、それを上回る機能や性能が与えられると考えられています。これについては、2024年に開催された世界政府サミットでアルトマンCEOが語った「もっと賢くなる」という言葉からも明らかです。
一方OpenAIも、GPT-5と名指しはしないものの「新たなフロンティアモデル」の学習を開始したことを明らかにしました。GPT-5の公開時期は2024年夏とも、それ以降ともうわさされていますが、その登場はいよいよ現実味を帯びてきたといえそうです。
ここではGPT-5をめぐる動きやうわさについて、各種メディアの記事から紹介します。
GPT-5の開発はまだ?アルトマンCEOが明らかにしたこと
2022年11月に公開されたChatGPT(GPT-3.5)をきっかけに、生成AIにかつてないほどの注目が集まりました。2023年3月には大幅に性能強化されたGPT-4が発表され、競合企業からも高性能なAIモデルが次々に登場しています。
こうした背景を考えると、OpenAIの「次世代モデル」と目されるGPT-5に大きな期待がかかるのも当然といえるでしょう。GPT-4の公開直後には、OpenAIがGPT-5のトレーニングを開始しているといううわさまで流れました。
OpenAIのアルトマンCEOはこうしたうわさを否定します。CNET Newsの記事によると、2023年4月に参加したMITのカンファレンスで「そのようなことはなく、今後もしばらくはないだろう」と語りました。またGPT-4では、トレーニングの完了から6か月間以上経ってからリリースしたことも明らかにしています。
一方こうした一連の発言からは、OpenAIが次世代AIモデルであるGPT-5の構想を持っていることも伺えます。AIの発展に対して懸念の声も上がるなか、アルトマンCEOが慎重な姿勢を見せるのも当然といえるでしょう。
参考:OpenAI、「GPT-5」の開発はまだ–アルトマンCEOが明言 – CNET Japan
参考:「GPT-5」は登場する?どんな未来が待っている?OpenAI CEOの発言からわかった2つの事実 | ライフハッカー・ジャパン
商標登録が明らかに!いよいよ現実味を増すGPT-5
GPT-5の開発についてOpenAIが沈黙を続けるなか、「GPT-5」の商標登録が出願されていたことが明らかになりました。出願日は2023年7月18日です。アメリカ特許商標庁(USPTO)のデータベースに掲載された出願内容には、言語モデルを使用するためのダウンロード可能なソフトウェアや、音声やテキストを生成するためのソフトウェアなどが含まれています。
この出願が、GPT-5の開発が開始されたことを示すものなのか、将来のGPT-5リリースに向けて単に商標を押さえただけのものなのかはわかりません。とはいえ、これによってGPT-5の開発と登場がいよいよ現実味を増したことだけは明らかといえそうです。
参考:OpenAIが「GPT-5」の商標登録を出願していたと判明 – GIGAZINE
GPT-5の開発は困難と明かすアルトマンCEO
GPT-5への期待は高まるものの、その開発は困難なようです。CNET Japanの記事によると、アルトマンCEOは2023年11月に参加した記者会見で「GPT-5と呼ぶモデルを開発する前に、われわれが解決しなければならないことはまだたくさんある」と語りました。さらに「いくつかのことは失敗に終わるかもしれない」とも述べています。
アルトマンCEOが指摘した「解決しなければならないこと」の具体的な内容はわかりませんが、それはソフトウェア的なものだけではないようです。これは同氏が「さらに多くのコンピューターを構築していく必要がある」と述べていることからも伺えます。
一方、GPT-5に対するアルトマン氏の期待は本物です。GIZMODOの記事によれば、ポッドキャストに出演した際にGPT-4を「正直微妙」とまで語り、将来のモデルに対する思いを明らかにしました。
参考:OpenAIのCEO、「GPT-5」の開発には「困難な課題」–ハードウェアの可能性にも言及 – CNET Japan
参考:ChatGPTのエライ人「GPT-4は正直微妙。期待すべきはGPT-5」 | ギズモード・ジャパン
GPT-5は2024年夏に発表される?謎のチャットボットも話題に
GPT-5の公開時期について「2024年の中頃」と予想する声が上がっています。情報ソースは明らかになっていませんが、すでにデモンストレーションが一部で開始されているとも、その性能についてアルトマンCEOが好感触を持っていることなどもうさわされているようです。
さまざまな言語モデルの性能を評価できるサイト(LMSYS.org)に登録された「gpt2-chatbot」という謎のチャットボットも、そうしたうわさを裏付けているのかもしれません。GIGZINEの記事によると、このチャットボットはGPT-4アーキテクチャをベースにしていると考えられているようです。
とはいえ仮にデモンストレーションが実際に始まっているとしても、公式リリースまでのスケジュールを正確に予測することはできません。また新しいモデルがGPT-5ではなく、GPT-4のアップグレード版である可能性もあります。
参考:OpenAIの次世代大規模言語モデル「GPT-5」が2024年夏に公開されるとの報道 – GIGAZINE<
参考:謎の高性能AIモデル「gpt2-chatbot」がChatbot Arenaに登場、GPT-4.5かGPT-5なのではないかと話題に – GIGAZINE
GPT-5への期待が集まるなかで公開された「GPT-4o」
2024年5月10日にOpenAIが「何かを発表する」という報道も注目を集めました。アルトマンCEOが自身のXで「not gpt-5(GPT-5ではない)」と事前に告知したのも、GPT-5への期待の高さを裏付けています。
実際、この日に登場したのはGPT-4のアップグレードモデル「GPT-4o(オムニ)」でした。とはいえ新しいGPT-4oは従来のモデルをはるかにしのぐ応答速度やマルチモーダル機能を持ち、実質的に次世代モデルと呼べるほどの性能です。イベントでは実際に、GPT-4oが感情を持っているかのように音声会話をする様子も公開されました。
GPT-4oの登場は、シリーズの次世代モデルとなるGPT-5への期待をさらに高めるものとなっています。
参考:OpenAI、Google I/O前日に何かを発表へ 「GPT-5でも検索でもないよ」とアルトマンCEO – ITmedia NEWS
参考:OpenAI、最新AIモデル「GPT-4o」を発表–より高速に – CNET Japan
いよいよGPT-5のトレーニングがスタート?
2024年5月28日に、OpenAIが「新たなフロンティアモデル(next frontier model)」のトレーニング開始を発表しました。具体的にモデル名を出しているわけではないものの、GPT-5のことと考えるのが自然でしょう。
Impress Watchの記事によれば、新たなモデルは「AGI(汎用人工知能)の実現に向けて、『次のレベルの能力をもたらすシステム』」になるようです。
同時にOpenAIでは、OpenAIのプロセスと安全対策を評価する「安全・セキュリティ委員会」を設置しました。2024年中になるか、翌年以降になるかはわかりませんが、OpenAIの社内では具体的なタイムラインが作られつつあるのは間違いなさそうです。まもなく一般にも、GPT-5公開までのスケジュールが発表されるかもしれません。
参考:OpenAI、次世代モデルの学習を開始 – Impress Watch
まとめ
GPT-5についてのニュースは、そのほとんどが正確な根拠に欠ける「うわさ」に過ぎません。ですが、OpenAIの動きやアルトマンCEOの発言を見る限り、そう遠くない将来にGPT-5が公開されるのは間違いありませんし、その性能はGPT-4oすら、はるかにしのぐと考えられます。GPT-5がいつ発表されるのか、どのような機能や高性能で私たちを驚かせてくれるのか、これからも期待しながら待っていくことにしましょう。
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