ChatGPTを活用することで、単純作業を削減し業務の効率化を図ることができたり、アイディアの整理や発展の助けとしても役立ったりするため、私たちはより高度な思考や創造物を生み出すことに、注力できるようになります。
この記事では、法人向けChatGPTの契約方法・料金・3つの注意点を解説します。
※この記事は2023年12月20日時点の内容であり、閲覧時にはサービス内容等が追加・変更されている場合がございます。何卒ご容赦ください。
OpenAIからChatGPTの法人契約プラン「ChatGPT Enterprise」が登場
2023年8月28日に、OpenAIは企業向けに「ChatGPT Enterprise」の提供を開始したと発表しました。
企業がChatGPTを活用するには、データのセキュリティ強化や処理能力の拡張、法規制への準拠、コスト管理、プライバシーの確保といった特有の課題に取り組む必要があります。
これらの課題は個人での利用と比べても複雑であることから、個人向けのChatGPTを企業で利用するのは難しいと考えられていました。
しかし、ChatGPT Enterpriseが登場したことで、企業が求める高度なセキュリティ・データ分析機能の提供が可能になりました。
また、ChatGPT Enterpriseは無制限な高速アクセスや長文入力が可能で、従来のChatGPTと同様に深い対話ができます。
これにより、企業は効果的かつ安全にChatGPTを活用できるようになりました。
ChatGPT Enterpriseの詳細はこの後の「ChatGPTの料金プラン」内で解説していますので、ぜひ参考にしてください。
ChatGPTとは会話型の「AIチャットボット」
ChatGPTは、OpenAIが開発したAIチャットボットです。普段、私達が使っている言葉(自然言語)を使ってChatGPTに質問したり、任意の作業を指示したりといった「会話」を行うことができます。
教育現場では新しいトピックやスキルの学習をサポート、ビジネスではChatGPTに疑似インタビューの相手になってもらい初期のインタビュー項目の設計に役立てる事例もあります。
このように会話を通じてユーザーの問題解決をサポートし、ヒントを与えてくれるChatGPTは、人間の知的な生産活動を後押ししてくれると言えます。
参考:NHK「チャットGPTどう使う?愛媛の教育現場で始まった模索」
参考:note「ChatGPTのマーケティング活用:疑似インタビュー相手として」
ChatGPTの機能と役割
ChatGPTは人間のように自然な言葉で対話可能なAIです。精度にはまだまだ課題はあるものの、相手のニーズを理解して適切な情報を提供することができます。
そのため、単なる作業補助ツールとしてだけでなく、“特定の質問に関する情報を迅速に検索して要約する”“報告書やプレゼンテーションの下書きを作成する”など、人々の能力を最大限に引き出す「有能な秘書」としての役割も果たしてくれるのです。
ChatGPTが企業にもたらす可能性
ChatGPTの導入により、組織の業務効率化が期待できます。
問い合わせ対応・データ入力・レポート作成等のタスクをChatGPTが自動的に処理することで、従業員はより高度な業務や創造的な活動に専念できます。
さらに、ChatGPTは年中無休で利用可能なため、時間や場所に制約されることなくいつでも必要な情報を得ることができます。
この利点を活かすことで組織の生産性を大幅に向上させられるでしょう。
AIのスペシャリストが語る、新時代に求められるスキルとは?
AIやWEB3という言葉は耳にするものの、それが実際に仕事にどのような変化をもたらすのでしょうか。
「Web3時代のAI戦略」を執筆したエクサウィザーズ取締役の大植択真が、テクノロジーの現在地と今後の展望について解説しています。
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ChatGPTの料金プラン
ChatGPTのプランはEnterpriseを含めて現在3つとなっています。
各プランの概要と料金を紹介します。
Free Plan
Free Planは無料でChatGPTが利用できるプランで、GPT-3.5のモデルが使用されています。
「GPT-3.5」とは まず、「GPT」とはOpenAIが提供するAIモデルの名称で「Generative(生成)Pre-trained(事前学習)Transformer(事前学習モデル)」の頭文字をとっています。 OpenAIはGPT-1のリリースからGPT-4と進化を続けています。 Free Planでは、進化を続けてきたGPTシリーズの「GPT-3.5」が使用できるということです。 |
Free Planでは、自然言語を用いた質問回答や対話、文章生成などが可能です。基本的な機能は備わっているので、個人で使う分にはまったく問題ありません。
ただし、機能を追加できるプラグインは使用できず、安定性・精度・文字数・レスポンス速度などもGPT-4が利用できる有料プランと比較するとやや劣るため、利用する際には注意が必要です。
高頻度で使う方や精度の高い文章生成を求める方、法人での利用を考えている場合には、ほか2プランの導入を検討しましょう。
ChatGPT Plus
ChatGPT PlusとはGPT-3.5に加え、GPT-4も利用できるChatGPTの有料プランです。
OpenAI公式ホームページによると、GPT-4はGPT-3.5に比べて不適切なコンテンツの生成が82%減少し、事実にもとづいた回答が40%増加されていると記載があり、GPT-3.5よりも信頼性が高い回答が期待できます。
また、広範囲な一般知識と問題解決能力により、難しい問題をより正確に解決できます。
ただし、GPT-4は利用回数が設けられており、2023年9月の時点では3時間に50回までとなっています。
出典:ChatGPT
GPT-3.5は無制限で使用できますので、作業内容によって使い分けるとよいでしょう。
ChatGPT Plus
料金 | 月額20ドル (日本円で約2,888円 /2023年12月20日時点) |
---|---|
利用できるAIモデル | GPT-3.5、GPT-4 |
できること |
|
参考:OpenAI「GPT-4」
参考:OpenAI「Introducing ChatGPT Plus」
ChatGPT Plusに関しては、以下の記事でも触れているので、詳細をぜひご確認ください。
関連記事:【7/24更新】ChatGPTとは?使い方、料金、できること、注意点、社会への影響まで徹底解説
ChatGPT Enterprise
ChatGPT Enterpriseは、ChatGPTから2023年8月28日に新しく発表された企業向けプランです。
組織ならではの厳格な要件や高度なセキュリティを備えており、さらに「無制限のGPT-4アクセス」「最大2倍の速度で動作」「4倍の長さのプロンプト入力」などが可能となっています。
※プロンプトとはChatGPTと会話をする際の質問文・指示文のこと。
また、入力されたビジネスデータや会話がChatGPTの学習に使用されることはありません。
さらにChatGPT Enterpriseは「SOC2」に準拠しているため、プロンプトの内容が暗号化されるので安心して利用することができます。
ChatGPT Enterpriseは、セキュリティとプライバシーの課題を解決しているため、法人利用に特化したChatGPTとなっています。
Enterprise
料金 | 非公表 OpenAIに問い合わせ |
---|---|
利用できるAIモデル | GTP-4 |
できること |
|
参考:OpenAI「Introducing ChatGPT Enterprise」
参考:OpenAI「ChatGPT Enterprise」
上記の表にもあるように、Enterpriseは料金が公表されていません。
企業向けの充実した高性能のプランのため、ChatGPT Plusの料金より高額になることが予想されています。
そこで、企業でChatGPTを利用するための代替案を紹介します。
ChatGPTを法人契約する代替案・3選
ChatGPT Enterpriseの利用がスタートとなりましたが、現状では利用料金をOpenAIに問い合わせる必要があるため、「予算を超えてしまうのでは」「専門的用語に関する英語でのコミュニケーション」などの不安を感じやすく、法人企業にとってはハードルが高くなっています。
しかし、ChatGPTを法人で安全に利用する方法は他にもあります。
今回は代替方法として以下の3つを紹介します。
- 各企業が提供するChatGPT法人向けサービスを利用する
- ChatGPT APIを利用して自社で開発する
- 各社員が登録し、手当を支給する
①各企業が提供するChatGPT法人向けサービスを利用する
1つ目は、各企業が提供するChatGPTの法人向けサービスを利用する方法です。
GPT技術を用いて企業用に開発されているため、安全かつ効率的に利用できるようになっています。
当社エクサウィザーズが提供する「exaBase 生成AI」では、企業のコンプライアンスやセキュリティポリシーに準拠したリスクコントロールを可能にしており、“禁止ワードの登録や社内での利用状況を確認できる機能”も備えております。
さらに「月額900円〜/1人あたり」から利用できるため、ChatGPT Enterpriseよりもコストを抑えつつ導入することが可能です。
このように、ChatGPT法人向けサービスではChatGPT Enterpriseに求めるセキュリティやプライバシーの確保を満たし、企業が導入しやすい値段設定にされている場合が多くなっています。
②ChatGPT APIを利用して自社で開発する
ChatGPT APIを利用して、自社でサービスを開発することも可能です。
この代替案は、自社のニーズや要望に合わせてカスタマイズが行える点がメリットです。
しかしながら開発を行うには費用がかかりますし、APIを利用するためにはOpenAI社に直接問い合わせる必要があります。
さらには、プログラミングの基本知識が必要で、経験豊富なエンジニアがいないと開発は難しいでしょう。
参考:OpenAI「Product」
参考:OpenAI「Pricing」
③各社員が登録し、手当を支給する
ChatGPTを各社員で登録してもらい、給与に手当として支給する方法もあります。
この方法は手軽に社内にChatGPTを取り入れられますが、従業員にとっては個人的な利用が難しくなり、ChatGPTの利便性を味わうことができなくなる可能性があります。
また、企業としても契約の管理や料金の清算などの管理コスト増大や、ガイドラインに沿った利用が行き届かない問題が発生する可能性があります。
これらのことを踏まえると、この方法では企業側の負担が増加する可能性が高くなり、またセキュリティ面においても高い基準をクリアしてChatGPTを利用することは少々難しくなるでしょう。
ChatGPTを法人契約する時のポイント
ChatGPTを法人契約する際は、社内で利用のルールを決めておきましょう。
ChatGPTに入力したデータや利用履歴は、学習に利用されるため、入力した内容が漏洩してしまう可能性があります。
特に顧客情報や企画書などの機密情報や、従業員の個人情報が漏洩した場合は、顧客や取引先からの信頼を失うだけでなく、悪用や損害賠償などのリスクも発生し莫大な損失に繋がりかねません。
そのため、「機密情報・個人情報は入力しない」「使用できる人を制限する」などのルールを定めて情報漏洩リスクを回避しましょう。
また、先にも触れていた情報漏洩のリスクを防ぐ方法があります。ChatGPTのオプトアウト設定を有効にすることです。入力データはChatGPTの学習に使用することを禁止できるため、情報が外部に漏れる可能性を限りなく低くすることができます。
ChatGPTを法人契約する時の3つの注意点
ChatGPTを利用する時の注意点を3つ紹介します。
これから紹介する点を理解して、安全にChatGPTを利用していきましょう。
- 誤った情報を生成する可能性がある
- 機密情報の取り扱いに注意する
- 回答に偏見や攻撃的な内容が含まれる可能性がある
①誤った情報を生成する可能性がある
ChatGPTが誤った情報を生成してしまう現象を「ハルシネーション」と言い、AIが本当の情報であるかのように提示する場合があります。
これは、AIが事実を持っていなくても最善の回答を提供しようと推測や仮定にもとづく答えを生成するからです。
OpenAIの公式ホームページやChatGPTの最初の画面にも「不確かな情報を生成する可能性があります」と表示されています。
参考:OpenAI「利用規約」
そのため、特に重要な判断をする際や専門的な知識が必要な状況では、他の信頼できる情報を確認することが大切です。
②機密情報の取り扱いに注意する
先述の通り、ChatGPTに入力されたデータは学習に利用されるため機密情報は入力しないようにしましょう。
個人情報や社外秘の情報を入力すると、その情報で学習した成果を使って、別の利用者に回答が生成される可能性があります。機密性の高い情報はこうした漏洩のリスクを避けるため、入力しないように注意が必要です。
もし、ChatGPTに情報を与える必要がある場合は、「個人や企業を特定できるプロンプトの作成を禁止する」といった対策や、先に触れたオプトアウト設定をするなど、常にセキュリティ面を考慮することが大切です。
③回答に偏見や攻撃的な内容が含まれる可能性がある
ChatGPTは偏見や攻撃的な言葉を避けるように訓練されていますが、不適切な回答を生成する可能性はゼロではありません。
これはChatGPTが様々な学習データから回答を生成するため、データ内にネガティブな内容が含まれていることで、不適切な回答を生成する可能性があります。
回答を鵜呑みにしてしまうと重大な倫理的問題に発展してしまいます。
OpenAIではモデルの改善を続けており、ユーザー側も、適切でないと感じる回答が生成された際に報告することができます。
ChatGPTの法人契約や利用に関するよくある質問
Q1:ChatGPTはこれまでの対話型AIと何が違うの?
A.従来の対話型AIは、一問一答形式での返答が基本でしたが、ChatGPTは学習したデータや文脈を考慮したテキストを生成します。
連続して人間との会話をスムーズに行うことができ、その場で回答を生成していく点がChatGPTの大きな特徴です。
Q2:どのようなデータから学習しているのか?
A.ChatGPTでは、主にCommon Crawlが提供しているデータセットを利用し、主にWeb上の情報を集めて学習しています。
※Common Crawlとは、独自にインターネット上のWebサイトをクロールして収集し、そのアーカイブとデータセットを無償で提供している非営利団体のこと。
Q3:ChatGPTはビジネスのどんな用途で役に立つの?
A.大きく分けて、主に「コスト削減」「業務効率化」の2つの用途で役立ちます。
例えばこれまでSNS運用やブログの作成など、外注していた業務にChatGPTを活用することで人件費を削減できます。
また、企画書や提案資料、プレスリリースなどをChatGPTで作成することで作業を効率化し、売り上げにつながる業務に時間を割くことが可能になります。
Q4:他人の権利を侵してしまわないか心配
A.ChatGPTは学習データを元に回答を生成するため、似た表現の文章が生成される可能性があります。
そのため、生成された文章を使用する場合は、Web上に類似したコンテンツがないか最終確認が必要ですし、そもそも生成されたテキストをそのまま利用するということ自体は、避けた方が良いでしょう。
CCDなどのコピペチェックツール(Web上に類似コンテンツがないか検査するツール)を利用すると、安全かつ効率的にチェックできます。
まとめ
今回は、ChatGPTの法人契約方法として、OpenAIが新たに発表したChatGPT Enterpriseの概要や、各料金プラン、ChatGPTを法人契約する代替方法、注意点まで解説しました。
ChatGPT Enterpriseの登場により、「高いセキュリティ」「無制限な高速アクセス」「入力データはAIの学習に使用されない」などが可能となり、企業は効果的かつ安全にChatGPTを利用できるようになりました。
しかしEnterpriseは料金が公開されておらず、OpenAIに問い合わせる必要があるため日本の企業にとって少々ハードルが高くなっています。
そのため、ChatGPTを法人で安全に利用する代替方法を検討されてみてはいかがでしょうか。
弊社が提供する「exa Base 生成AI」は「月額900円〜/1人あたり」からご利用いただけるうえ、ChatGPT Enterpriseと同じようなサービスを提供させていただいております。
「exa Base 生成AI」は禁止ワードを登録できるため、社内の機密情報漏洩のリスクコントロールが可能です。
加えて、オプトアウト設定をしなくても入力したデータはChatGPTの学習データとして使われることはありません。
ユーザー単位での利用動向やチャット履歴も確認できるため、社内で利用する際のコンプライアンス準拠の確認も可能です。
ChatGPTを社内に導入したいとお考えの方は、大手企業を含む500社以上の企業と取引実績がある当社にぜひご相談ください。
参考文献:
イワタヨウスケ「ChatGPTがよくわかる本」(秀和システム)
古川渉一、酒井麻里子「ChatGPT 対話型AIが生み出す未来」(インプレス)