産業構造の変化やデジタル技術の進展、人材の多様化などビジネスを取り巻く環境が目まぐるしく変化するなか、人材に対するアプローチも変化していかなくてはなりません。昨今、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に向上させることで企業価値を高める原動力とする「人的資本経営」の概念が浸透しつつあります。
かつて人材は「経営資源」として、管理の対象でした。人的資本経営では価値を生み出す「資本」として捉え、投資の対象とします。人材の価値を磨くための投資と取り組みが、その企業の将来性や価値判断の基準として捉えられるのです。この記事では、人的資本経営を進めるにあたって重要な、経営戦略と人材戦略の連動にスポットをあて、実践している企業の事例も紹介します。
人的資本経営とは
人的資本経営とは、経済産業省によると以下のように定義されています。
人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です。
出典:「人的資本経営 ~人材の価値を最大限に引き出す~」経済産業省
かつて人材は「経営資源」として捉えられ、効率的な事業運営のために管理すべき対象とされていました。人的資本経営において人材は「資本」として、企業価値向上の重要な要素として捉えられます。いわば、さまざまな教育や働きやすい環境の整備は人材への投資であり、投資によって人材の力を高めることが企業価値に直結すると考えられます。
すなわち人材にどれだけの投資をしているかが、その企業の価値判断の基準となり、あらゆるステークホルダーが注目するポイントとなるのです。
人的資本経営で求められる開示情報
2023年1月31日に公布された「企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令」により、対象となる上場企業約4000社に以下3つの事項を有価証券報告書に記載することが求められました。
- サステナビリティに関する考え方および取り組み
- 人的資本、多様性に関する情報
- コーポレートガバナンスに関する情報
参照:「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案の公表について 金融庁
この3つのうち「人的資本、多様性に関する情報」において、「女性管理職比率」「男性の育児休業取得率」「男女間賃金格差」の3点が必須の開示項目として定められました。
その他の開示事項は、明確には定められていません。金融庁が発行した「有価証券報告書のサステナビリティに関する考え方及び取組の開示例」では、以下の内容が望ましいと例示されています。
- 経営戦略と人材戦略の関係性や、どのような取り組みで双方が関連しているかについて開示すること
- 自社にとって重要な要素をKPIに設定し定量的に開示すること
- 人的資本がどのように価値創造と関連するか具体的に開示すること
- 人的資本にどのような投資をしているかや、投資の内容について開示すること
- 社員のキャリア形成について、会社がどのように関わっていこうとしているのか、その現状や考え方を開示すること
- 経営戦略と人材戦略の関係性も踏まえた、人材ポートフォリオについての考え方を開示すること
出典:「有価証券報告書のサステナビリティに関する考え方及び取組の開示例」金融庁
こうした情報が、株主を中心としたステークホルダーの関心事となっていることが推察されるでしょう。
人的資本経営が求められる背景
ここで人的資本経営が求められる背景を整理しておきましょう。
日本における人的資本経営のガイドラインとなる「人材版伊藤レポート(2020年版)」によると、技術革新や人口変化、価値観の多様化やESGの潮流が背景にあると読み取れます。
こうした社会的・経済的な変化が、人材を「コスト」ではなく「資本」として捉え、経営戦略の中核に据える必要性を生んだのです。
参考:「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書~ 人材版伊藤レポート ~」経済産業省
市場と産業構造の変化
グローバル化の進展や第4次産業革命によって、現在の産業構造は大きく変化しました。また、少子高齢化による労働人口の減少や、人生100年時代の到来による需要の変化など、市場を取り巻く環境変化にも対応していかなくてはなりません。さらに、コロナウイルスのパンデミックや、度重なる自然災害といった脅威にさらされています。
こうした変化や困難に対応するのが「人材の力」です。不確定な要素の多い時代、企業が持続的に発展するには人材への適切な投資をおこない、その力を磨いていく必要があるのです。
デジタル化の急速な推進
各企業がDXを推進し業務プロセスの変革に取り組むなか、かつて人の手によりおこなわれていた定型作業の多くは自動化されつつあります。デジタル化によりルーティン業務の削減が図られるなか人材に求められるのは、新たな発想による価値創造です。
企業が持続的に発展するには、付加価値を継続的に生み続けイノベーションを起こすことが欠かせません。唯一その役割を担えるのが人材であり、人材に対する投資が今後の企業成長のボトルネックとなるのです。
人材や働き方の多様化
多くの企業が人材確保に頭を悩ませるなか、安定した事業運営を継続するには、多様な人材の活用が強く求められます。これまで積極的に活用してこなかった人材層を戦力としなければなりません。女性活躍の推進も社会から求められる要素であり、企業には積極的な対応が求められます。
また労働への価値観も多様化しており正規・非正規に関わらず、それぞれの価値観に応じた働き方を提供していかなくては十分な人材が確保できません。こうした状況に対応するための投資も人的資本経営の一環となるでしょう。
ESG投資への関心の高まり
ESGとは、Environment (環境)、Social(社会)、Governance (ガバナンス) の頭文字をとったもので、株主をはじめとしたステークホルダーが企業価値を測る際に重視している要素です。ESG投資を盛んにおこなっている企業は、将来においても企業価値の向上が見込めると判断されます。
人的資本は、Social (社会)とGovernance (ガバナンス)に含まれるため、人材への投資状況を企業の成長性の判断基準とする風潮が強くなりました。そのため、投資家から人的資本への取り組み状況の開示に対する要望が高まり、企業も人材への投資に積極的に取り組むようになったのです。
人材版伊藤レポートが示す人的資本経営
2020年に発表された日本における人的資本経営の指針となる「人材版伊藤レポート」は、2022年に「人材版伊藤レポート2.0」として改訂されました。
そこでは、初版の発行から約2年が経過し明らかになったこととして、改めて以下3つのポイントを挙げています。
人的資本マネジメントへの変革
従来の人的資源管理から人的資本マネジメントへの変革を、各要素において方向づけています。社会環境や産業構造の急激な変化のなか、企業はさまざまな経営課題に直面しており、それらは人材面での課題と直結するものとしました。各要素の変革の方向性は、以下の表の通りです。
| 要素 | 人材=資源 | ⇒ | 人材=資本 |
|---|---|---|---|
| 人材マネジメントの目的 |
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⇒ |
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| アクション |
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⇒ |
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| イニシアチブ(主導権) |
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⇒ |
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| ベクトル(方向性) |
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⇒ |
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| 個人と組織の関係性 |
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⇒ |
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| 雇用のコミュニティ |
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⇒ |
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参考:「人的資本経営の実現に向けた検討会報告書~ 人材版伊藤レポート2.0~」経済産業省
変化が激しい時代では、想定しない事態に対しても柔軟かつ強靭に対応していかなければなりません。企業・個人の双方に、さまざまな変化への対応力を養うためにも、従来の人的資源管理から人的資本マネジメントへの脱却が求められるのです。
経営陣・取締役会・投資家が果たすべき役割
人的資本経営においては、経営陣・取締役会・投資家のアクションが重要であるとして、それぞれが果たすべき役割を以下のように示しています。
| 経営陣 | 【人的資本経営に向けた経営の変革をリード】
|
|---|---|
| 取締役会 | 【経営陣を監督・モニタリング】
|
| 投資家 | 【経営陣との対話】
|
参考:「人的資本経営の実現に向けた検討会報告書~ 人材版伊藤レポート2.0~」経済産業省
人的資本経営においては人材戦略の変革が必要です。経営トップのイニシアチブにより推進し、外部に向け積極的な発信をすることが求められます。取締役会は人材戦略において発揮する役割を明確にしつつ、経営陣の取り組みをモニタリングし適切な方向へ導く役割を担います。投資家は経営陣からの発信を踏まえて、企業価値向上につながる人材戦略を評価し、投資先を選択することが求められるのです。
人材戦略に求められる3つの視点と5つの共通要素
経営陣主導による、経営戦略と連動した人材戦略の策定・実行において重要なポイントとして、以下の3つの視点と5つの要素にまとめています。
【3つの視点】
| 視点1 | 経営戦略と人材戦略の連動 | 人材戦略における取り組みが、経営課題解決に直結するか |
|---|---|---|
| 視点2 | As Is-To be ギャップの定量把握 | 目指すべきビジネスモデルや経営戦略と現時点での人材や人材戦略との間のギャップを把握できているか |
| 視点3 | 企業文化への定着 | 人材戦略が実行されるプロセスで、組織や個人の行動変容を促し、企業文化として定着している |
【5つの要素】
| 要素1 | 動的な人材ポートフォリオ | 目指すべきビジネスモデルや経営戦略の実現に向けて、多様な個人が活躍する人材ポートフォリオを構築できているか |
|---|---|---|
| 要素2 | 知と経験のD&I | 個々人の多様性が、対話やイノベーション、事業のアウトプット・アウトカムにつながる環境にあるのか |
| 要素3 | リスキル・学び直し | 目指すべき将来と現在との間のスキルギャップを埋めていく取り組みがなされているか |
| 要素4 | 従業員エンゲージメント | 多様な個人が主体的、意欲的に取り組めているか |
| 要素5 | 時間や場所にとらわれない働き方 | 働き方の多様性への対応はできているか |
参考:「人的資本経営の実現に向けた検討会報告書~ 人材版伊藤レポート2.0~」経済産業省
経営陣は経営戦略と連動した人材戦略を策定・実行するにあたり、これら3つの視点を持ち続ける必要があります。そのうえで、人材に関する共通の取り組みだけでなく、自社の人材課題を人材戦略と連動させながら、具体的な施策や数値指標を実行・検証することが重要です。
経営戦略と連動した人材戦略の重要性
人材版伊藤レポート2.0では、人材戦略に求められる3つの視点のうち最も重要なのは、視点1で挙げた「経営戦略と人材戦略の連動」であるとしています。しかし、人的資本経営の重要性は理解していながら、「一度に多くのことはできない」「何から着手すればよいか分からない」といった悩みを抱える企業は多いのではないでしょうか。
こうした企業は「経営戦略と人材戦略の連動」させる取り組みから、まずは着手すべきです。なかでも、「CHROの設置」および「全社的経営課題の抽出」が重要なステップであり、人材戦略に経営責任を持つ担当者が中心となり正しく自社の経営課題を抽出し、経営陣の共通認識とする必要があります。
いずれにせよ、人材に関する施策は長期的な視点に基づくものであり、一朝一夕に理想的な成果が得られるわけではありません。経営理念の実現に向けた経営課題を特定し、優先順位をつけ、常に試行錯誤しながら改善のサイクルを回すことが重要です。そうした取り組みから具体化されるものが、人的資本経営における投資家への本質的なメッセージとなるのです。
経営戦略と人材戦略を連動させる取り組み
人材戦略に求められる3つの視点のうち最も重要な「経営戦略と人材戦略の連動」における具体的な取り組みを深掘りしていきます。
前述の通り「CHROの設置」と「全社的経営課題の抽出」が最も重要な施策であり、まずは優先して取り組む必要があります。
CHROの設置
CHROとは、経営陣の一員として経営レベルで人材戦略の策定と実行を担う責任者であり、社員・投資家を含むステークホルダーとの対話を主導する役割を担います。自ら人事戦略を起案し、他の経営陣と議論のうえ組織全体の方向性を見出します。実効性のある人事戦略を策定するには、事業部門における実績を持ち成果責任を負った経験が役立ちます。
全社的経営課題の抽出
CHROは経営陣を主導し、経営戦略実現の阻害要因となる人材面の課題を抽出しなくてはなりません。自社特有の課題を特定し対応方針を策定するには、事業部門での経験が活きてきます。また、CHROは課題解決の取り組みの進捗についても共有し、経営戦略の実行を着実に推進させる役割を担います。
KPIの設定、背景・理由の説明
CHROは他の経営陣と連携し、人材戦略の進捗と効果を正しく評価するために、十分な検討を重ねKPIを設定します。単に数値指標を示すだけでなく、そのKPIを設定した理由や背景まで説明する責任を負います。それを社内外に分かりやすく共有することで、ステークホルダーの理解を得られるのです。
人事と事業の両部門の役割分担の検証、人事部門のケイパビリティ向上
人的資本経営により総合的な企業価値を高めていくには、自社が運営する各事業の価値も同時に高める必要があります。そのためには、人事部門と事業部門における役割分担を明確にしなくてはなりません。具体的には全社的な経営人材の育成や企業文化の浸透などは人事部門が担い、事業部門は各セクション内の人事施策に責任を持ち、人事部がこれを支援するような体制です。こうした体制を構築するには、事業部門の経験を持つ人事スタッフの育成が欠かせません。
サクセッションプランの具体的プログラム化
長期的・短期的視点での、経営人材の後継者育成を踏まえ、サクセッションプランのプログラム化も必要です。20代・30代からの若手人材から将来の経営人材候補を選抜し、計画的に育成する取り組みが求められます。また、経営の硬直化を防ぐために、近い将来の経営人材として育成すべく、グループ会社の経営経験者などをサクセッションの候補者にすることも重要です。
指名委員会委員長への社外取締役の登用
後継者候補を選抜し育成することも重要ですが、選抜された候補者に経営の適性があるかの検証を常におこなう必要もあります。こうしたチェック機能は不適切なバイアスを避けるために、社外取締役が担うことが望ましいとしています。判断に責任を持てる社外取締役を、指名委員会委員長として登用することを検討すべきです。
役員報酬への人材に関するKPIの反映
経営戦略と連動した人事戦略を推進するには、CHROだけでなくすべての経営陣が同じ意識で取り組むことが不可欠です。人的資本経営の推進が、経営陣が進めるべき最重要ミッションの一つであることの共通認識を形成するために、役員報酬の一部または全てが、人材に関わるKPIと連動する制度を構築することが望ましいとしています。
人的資本経営を加速する “スキルデータ活用ガイド” を手に入れる
現代の企業経営では、人的資本をただ“資源”として扱うだけではなく、戦略的な資本として最大化する視点が欠かせません。そこで本記事のテーマと直結する実践資料として、「人的資本を最大化するスキルデータ活用ガイド」 をご紹介します。
このガイドでは、以下の内容を具体的に解説しており、人的資本経営を本格的に推進したい方に向けた実践的なインサイトを得られます。
- スキルを「見える化」するデータ構造の設計
- 採用・育成・配置・評価をスキルデータで連動させる方法
- リーダー候補・ハイパフォーマーの発掘手法
- 属人的マネジメントからの脱却と再現性ある判断基準
- 人的資本経営とDX/AX戦略との紐づけ
この資料は、DX・AX時代の人材戦略を支える “戦略的スキルデータ運用” のロードマップ として最適です。特に、次のような方におすすめします。
- 育成や配置を属人的判断から脱却したい
- 客観的データにもとづいた人材評価・選抜を整備したい
- 経営視点と人材戦略を連動させたい
- DX/AX 推進における人材基盤を強化したい
ぜひ、ダウンロードをして自社の人的資本経営を加速させましょう。
経営戦略と人材戦略連動の企業事例
ここからは人材版伊藤レポートに基づいた、経営戦略と人材戦略を連動させ人的資本経営を実践している企業事例を紹介します。
アステラス製薬株式会社
アステラス製薬では「戦略の実現に向け、“健全”な組織・文化・人材を経営・事業と共に創り出す人事」を目指し、まず人事部門の役割の再定義をおこないました。社外から「Global head of HR」を招へいし、HRデータの高度な分析と結果の提示により事業部門への支援を加速させています。
加えて、社内文化やマインドセットの浸透を重視した、組織健全性目標を設定し経営層と一般社員の対話機会を設ける取り組みをしています。また、社内で「健全」な市場原理を生み出し、人材ポテンシャルを最大化する取り組みもおこなっています。国籍を問わず優秀な人材を経営ポジションに登用する取り組みや、公募による社内転職制度により、優秀な人材が適材適所で十分な力を発揮できる環境を進めています。
KDDI株式会社
KDDI株式会社では、経営層・事業部門から信頼される人事として全社一体となり人事戦略を実行しています。同社では、本社の営業部門で約20年の業務経験を持つ人材を人事部門トップに登用し、人事と経営層・事業部門で密な連携が取れる体制を構築しています。これにより、経営戦略を踏まえた人事施策の実施や、経営層・事業部門への人事戦略の浸透がなされました。
その他、事業環境の変化に対応しうる人員体制の構築を目指し、採用と育成にも注力しています。人材ポートフォリオを作成し、今後の事業展開を見据えたあるべき人員体制とのギャップを把握、不足分を採用・育成・配置により充足させる取り組みを実施。また自律的なリスキリングを促す教育体系整備や、キャリア採用・新卒採用に関する変革をおこない、社員のエンゲージメント向上と専門性獲得の両立を目指しています。
株式会社荏原製作所
株式会社荏原製作所では、全世界の社員が「競争し、挑戦する」企業風土の構築に向けた体系的な人材戦略を打ち立てています。同社は「人材の活躍促進」を長期ビジョンの最重要課題に位置づけ、グローバルでの持続的な成長に向けた基盤整備と、競争し挑戦する企業風土への変革を目指した施策を掲げ、それらのKPIと過去の成果を広く公表しています。
その他、将来におけるグローバル展開の基盤として、海外拠点のキーポジションを担う幹部の後継者育成にも力をいれています。また社内に閉じない人材活用で、知・経験のダイバーシティを向上を目指し、事業・工業団体・学会などと連携した人材育成や、アルムナイネットワークの構築など、さまざまな取り組みをおこなっています。
双日株式会社
双日株式会社では、人材KPIにより人事戦略・施策を「見せる化」し、経営戦略と連動した人的資本経営を目指しています。同社では人事施策のKPIの進捗を、経営会議と取締役会への定期報告を義務付け、役員報酬の評価にも活用しています。人事施策として「多様性を活かす」「挑戦を促す」「成長を実感できる」を3つの柱とし、それぞれに定量的な目標を定めています。
その他、社内外での多様なキャリアの実現を支援する取り組みとして、独立起業や副業を支援するなど多様なキャリア・ライフプランの形成を後押ししています。また社長自らが新規事業創出にコミットし、新入社員から取締役までが「個の発想」で新規事業を持ち寄るコンテストを実施。そのいくつかは実際に事業化に向け動き出しており、入社4年目の社員が新社長に就任するといった成果も出ています。
まとめ
人的資本経営は、人材を「コスト」ではなく「資本」として捉え、育成や環境整備などの投資により力を磨くことで企業価値向上を図る考え方です。
人的資本経営において最も重要なことは、経営戦略と人材戦略の連動です。経営課題の解決や新たな価値創造は最終的に人材の力によるため、人材戦略と経営戦略が乖離していては望むような成果は得られません。
CHROの設置や全社的経営課題の抽出、KPI設定を通じて、人事施策を経営レベルで統合し、投資家をはじめとしたステークホルダーに発信することが求められます。さらに、人事部門と事業部門が連携することで、人的資本経営は企業成長を促すエンジンとなるのです。
変化の激しい時代、企業の持続的成長を支えるのは、人的資本経営の取り組みに他なりません。
