サッポロホールディングスが全社員4000人のeラーニングと、150人のDX人材発掘・育成に取り組む真意とは?
サッポロホールディングス株式会社
業種 | 食料品 |
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従業員数 | 6,872名(連結) |
用途 | DX人材育成 |
サッポロビール株式会社 改革推進部 グループリーダー
サッポロビール株式会社 改革推進部 マネージャー
今までのやり方では間に合わない。DX案件の増加で人材育成が急務に
安西:業界全体の課題ではありますが、DXを推進するデジタル人材が不足していることが最大の理由です。サッポログループでも、ビジネスや社会環境の急激なデジタル化に関する業務課題が急増しており、DX人材が枯渇しています。
DXはビジネスや業務を単にデジタル化するだけではなく、何を変革させたいのか課題を認識し、本質的な部分を理解する必要があります。外部ベンダーに全てお任せする「丸投げ」ではなく、社内にDXに関する知識・スキルを持った人材がいなければ協働できません。そこでホールディングス主導のもと、グループ全体のDX人材育成を一気に進めていくことになりました。
河本:まずは全社員のDXに対するリテラシーを向上させるべく、エクサウィザーズのexaBase DXアセスメント&ラーニングを導入し、全社員約4,000人に向けたeラーニングを進めることを決めました。
さらにDX案件を推進する人材育成として、全社から希望者を募って専門eラーニングとDXアセスメントの研修を実施し、「DX・ITサポーター」約500人と「DX・IT推進リーダー」約150人の育成を行います。グループ全体の戦略推進力の向上を図り、2024年には社内で自走的にDX人財育成ができる体制を構築する予定です。
「DXとは何か」を共通言語化することで、社内に乱立する案件を整理
河本:DX推進グループでは、経営陣から求められる戦略策定から事業部側が抱える業務課題まで、現段階で約60件のDX推進案件を抱えています。ただ、そもそもDXとはどういうことなのか、その言葉一つとっても理解が十分ではなく、この2月にeラーニングを受講するまでは、デジタルに関する課題は何でもDX案件だと認識している状況でした。
また、社内におけるDXの定義や方針を明確に謳ってこなかったために、個別最適な案件が乱立する状態になってしまいました。そこで今回の全社eラーニングによって、DXに対する理解を一律に深め、共通言語化したかったのです。
安西:まさに経営陣も含めた全社員の認識を一律に合わせた上で、DXを推進していくことが課題の一つでした。例えば、RFP(提案依頼書)一つ書くにしても、課題設定やその解決に向けた取り組みに対して、どのようなスキル・知識を持つ人材が必要なのか、社内で共通言語化し、体系化することができます。これも大きな成果の一つだと考えています。
eラーニングとアセスメントがセットになったシステムに魅力を感じた
安西:当社では、DX案件においてどのようなスキルを持った人が必要なのか、社内の人財はどう育成すればいいのか、その育成成果をどう測るかといった点に悩んでいました。
最初はeラーニングの受講者を選抜するためのアセスメントを探していたのですが、eラーニングとアセスメントがセットになったexaBase DXアセスメント&ラーニングを提案いただきました。育成とアセスメントがきちんと体系化されており、非常にいいシステムだと思いました。
河本:10社から提案を受けていたのですが、eラーニングとアセスメントがセットになったプランは他になかったですね。御社の石山社長との面談も大きな決断ポイントになりました。
安西:正直な話をすると、スタートアップ企業はエッジが立ってるというイメージがあり、エクサウィザーズもアセスメントサービスに特化したサービス提供をしていると思っていました。ところが、教育を含めたトータル的なDX推進に関するサービスを総合的に提供する会社だと知り、今後のDX推進についても一緒にやれる可能性を感じました。
「コンテンツが面白い」「DXが理解できた」という反響に手応えを感じる
安西:現時点では、DX人材育成プログラムの第一段階である全社員4,000人が6時間のeラーニングを受講しているところです。このeラーニングが評価が低かったら、その先のサポーターステージ、リーダーステージの応募は集まらないのではないかと危惧していました。
ところが、定員の300名に対して、一次募集だけで350名の応募が来ています。研修自体が魅力的だったこともありますが、次に繋がる期待感を持ってくれた人が多かったのではないかと考えています。とてもいいスタートが切れている状況です。
河本:応募者数は少なくとも500人、おそらく600人までいくんじゃないかと。全社員向けアンケートはこれからなのでクチコミでの感触になりますが、かなり反響が大きく、「あのコンテンツが面白かった」「堅苦しくなくて、わかりやすい」という声が多い印象を受けています。DXに対する関心や理解を深めた社員も多かったと思います。
企業風土や意思決定プロセスの変化、全社員の意識改革に期待
安西:サッポログループのDX戦略を推進する方針として、「3つのグループDX方針」を策定しました。「お客様接点を拡大」「既存・新規ビジネスを拡大」「働き方の変革」という3つの方針を成し遂げていこうと考えています。
さらにDXの知識、意識が根付いていくことで、グループ全体の組織風土や意思決定プロセスなどの考え方に変化を起こしていきたいですね。一部の優秀な社員だけがDX人材になるだけでは、会社は変わりません。4,000人の社員全員が変わっていくことで変革が起こることを目指したいと思います。
例えば、「縦割りの文化からコラボレーション文化」に、「リスク回避的な文化から実証検証をどんどん進めていく文化」になるなどです。物事の進め方は石橋をたたいて渡るよりも、まずはスモールスタートで小さい実験を試み、良い結果が出ればスケール拡大していこうとするカルチャーに変わってほしいです。
組織カルチャーが変わることは、我々が目指すところのサステナビリティ経営にも繋がっていきます。そのベースに流れる川みたいなものを築いていけたらうれしいですね。
常に新しいことをキャッチアップできる情報を発信してほしい
安西:DXを取り巻く環境やテクノロジー、必要な人材像やスキルなどは、とにかく変化が早いと感じています。我々だけの情報では、追いつけなくなっていくでしょう。常にアップデートされた最新トレンドや今後の予測などの情報を提供いただきながら、一緒に人材育成やDX推進を進めていきたいと考えています。
河本:エクサウィザーズにはDX推進におけるパートナーとしての信頼も高まっているので、来年度以降も継続的にご相談をさせていただきたいですね。