お客様の声

スピード重視でexaBase 生成AI を導入
社員のリテラシー向上と前向きな組織風土醸成に成果

阪急阪神不動産株式会社

業種
不動産業
従業員数
約900名
用途
従業員教育、業務効率化、生産性向上

2022年4月にDX推進部を立ち上げて以来、デジタルへの取り組みを加速させてきた阪急阪神不動産。今回生成AIを、社員が安心して使える形で、いち早く導入した。同社が選択したのは、エクサウィザーズが提供する、ChatGPTを活用した企業向け生成AIサービス「exaBase 生成AI powered by GPT-4(以下、exaBase 生成AI)」だ。生成AIの導入の決め手や今後の展望などを、DX推進部 課長 清家 邦晴氏とDX推進部兼人事部 課長の向原 孝樹氏に聞いた。

ISMS認証を取得済みで、安価かつ迅速に利用開始できることが決め手

Q:まず、「exaBase 生成AI」導入の経緯について教えてください。

清家氏:2022年11月にOpenAIからChatGPTが発表された直後の当社の方針は、社内では基本的にアクセスを遮断し、希望者だけに許可を出す運用をしていました。本来、こうした革新的なサービスはどんどん使ってほしいのですが、セキュリティのリスクもあったので、希望者には個別に注意事項を説明し、理解してもらった上で慎重に進めていました。

2023年春頃になると、ChatGPTを取り入れたサービスがいくつか立ち上がってきました。ChatGPTの次世代型大規模言語モデル「GPT-4」がリリースされ、業務利用した場合の効果がよりリアルにイメージできるようになったこともあり、当社でも導入を本格的に検討し始めました。

導入に向けては、生成AI環境を独自開発する企業のニュースなども耳にしていましたが、リソースや開発期間の問題を考えると現実的ではなく、企業で安心して利用できるサービスの導入を検討することとしました。

検討したのは、エクサウィザーズの『exaBase 生成AI powered by GPT-4』と、もう一社の別のサービスでした。もう一社のサービスも充実したプロンプト(生成AIへの入力文)例が用意されており、どちらにしようか迷いましたね。

 

Q:当社に決めていただいた導入の決め手は、どんなところにありましたか。

清家氏:「exaBase 生成AI powered by GPT-4」の導入を決めたのは、すでに、エクサウィザーズの別のサービスを導入していたこともあり、安心感があったことと、スピードが早かったことですね。ここで1、2ヶ月遅れるか遅れないかでは、大きな違いになると思ったのです。

生成AIの誤用は情報漏洩などのセキュリティ事故につながる可能性があるため、日常的にAIやデータを取り扱い、ISMS認証を取得しているエクサウィザーズのような会社であれば安心して契約できると考えました。利用ライセンス料も安価で、金額的にもリスクは少ないと判断し、導入を決めました。

6月1日に正式に契約し、6月9日には社内説明会を開催できました。スピード感がありましたね。導入当初は、現在標準搭載されているプロンプトテンプレートがありませんでしたので、説明会ではさまざまなプロンプト例を用意し展開しました。反応はすごく良かったですね。

フェーズに分けて導入を計画。大きい期待にどう答えるかが課題

Q:今後の生成AI導入について、どういったことを予定されていますか。

清家氏:4つのフェーズに分けて考えています。現在は、とりあえず生成AIを触ってみる「フェーズ1」の段階です。「フェーズ2」では、すぐにでも取り組みを始めたいのですが、それほど重要度の高くない自社データを取り込んで活用することを想定しています。次の『フェーズ3』では、自社のデータでも機密性や秘匿性の高いデータを活用したいですね。そして、最終的に外部への情報発信まで持っていく段階が『フェーズ4』となるでしょう。

このうち鍵を握るのは「フェーズ3」だと考えています。フェーズ2からフェーズ3へ移行する際の壁は、思った以上に高いものになるはず。なぜかというと、大規模言語モデルへの期待は大きいものの、具体的に何に期待できるのかが、まだ言語化できていません。数字を計算するような構造化データを扱うのであれば、BIツールの方が有効でしょう。どのようなデータがあって、どのような業務を改善し、どのような効果を期待しているのか。それを各部署から収集し整理したいと思っています。自然言語処理だからこそ、効果を発揮できる領域があるはずです。

例えば、各会議体のデータを学ぶことで、バーチャル秘書のような役割を果たすこともできると考えています。コールセンターでの活用も分かりやすいかもしれません。しかし、曖昧な言葉を無意識のうちに脳内で変換して理解する人間と比較して、どのような効果を発揮するのかは見極めが必要ですね。

Q:利用開始してから1ヶ月ほどですが、どのような手応えを持っていますか。

清家氏:一人900円(税別)の月額ライセンス料の他に、文字数の利用量に対する従量課金という費用体系ですが、それほど高額にはならないものだなというのが実感です。今はグループ会社にも展開し始めており、現在300名ほどが使っています。どのくらいの文字数を利用する人が出てくるのか、引き続き様子を見ていきたいと思っています。

社員のリテラシーの向上と前向きな組織風土の醸成に成果あり

Q:DX人材の育成の観点からは、どんな変化がありましたか。

向原氏:2022年に立ち上がったDX推進部で、すでにエクサウィザーズのサービス「exaBase DXアセスメント&ラーニング」を利用していました。DX人材に必要なスキル・素養を定量化し、eラーニングでDX人材の育成ができるもので、これを全社員に受講してもらい、これをもとにDX人材育成を進めていました。

生成AIをよく使っている人と、『exaBase DXアセスメント&ラーニング』でDXの素養が高いと判断された人との相関があるのかを調べてみると、興味深い結果が出るかもしれません。アセスメントの精度の高さを証明できるかもしれません。

生成AIの活用を全社に浸透させていくには、そうしたアーリーアダプターから、いかに横展開をしていけるかが重要になってくるだろうと考えています。

清家氏:DX推進部では、社内アンケートを通常より細かく取るようにし、その結果を生成AIで取りまとめ、社内に共有しています。管理画面で利用量を見れば誰が多く使っているかが分かります。そうした社員の成果事例を紹介していくのは効果的ですよね。

管理画面で、組織や個人ごとの利用状況を確認可能(ご利用イメージ)

アンケートではすでにいくつか事例をもらっており、壁打ちはGPT-3.5でやって、最後のまとめをGPT-4でやるといいというテクニックや、アイデアベースのプログラムを作るプロンプトの紹介などを社内で共有しています。

プロンプトエンジニアリングの肝は、生成AIの能力を最大限発揮するような聞き方で、継続的にコミュニケーションをとることです。一度の質問で、その答えをもらうだけというものではありません。こちらのアウトプットに対してフィードバックを繰り返すという形なので、これからの社員教育も大きく変わっていくと思っています。インプット中心の学びではなく、どのようなアウトプットをするのかが重要になってくるでしょう。

Q:導入の最大の成果として、どんなことが挙げられますか。

向原氏:今回のDX推進部のスピードは圧倒的に早く、阪急阪神ホールディングスグループの中でも、先駆けて生成AIを導入したかたちとなりました。社員のAIへの感度やリテラシーが上がったことが大きな成果です。

清家氏:DX推進部の仕事は、未来に向けた概念的な取り組みが多く、その成果を社員に理解してもらうのがなかなか難しいのが悩みでした。今回は、社員が直接触るツールであったこともあり、我々の存在意義を示せたと思います。組織風土として、こうした新しいことに前向きに取り組んでいいのだと、伝わってくれると嬉しいですね。