お客様の声

5か月連続で「工数削減効果>利用料」を達成。
独自プロンプト開発や推進人材育成により、年10,000時間の削減を見込む

サッポロホールディングス株式会社

業種
酒類、食品・飲料、不動産
従業員数
6,610名(2023年時点)
用途
文書要約、企画立案、アイデア出し、ソースコード生成、プレスリリース作成支援、デザインの案出し、面談準備
桑原 敏輝 氏
DX企画部 グループリーダー
桑原 敏輝 氏
森本 精太 氏
DX企画部
森本 精太 氏

事例概要

課題

• ChatGPTの登場を契機に、生成AIが業務の標準技術となり、成長の鍵を握ると判断。迅速な対応が必要だと考えた。

導入の決め手

• 高いセキュリティ性とコスト効率の良さが評価された。
• 利用データを抽出・分析できる機能があることも決め手となった。

効果

• 文書要約や企画、アイデア出し、ソースコード生成など様々な用途での活用が進んでいる。
• 試験導入開始から5か月間で約5000時間の削減効果があり、年間では10,000時間を超える削減効果を見込む。
• 削減できた時間分のコストは、5か月連続でexaBase 生成AIの利用料を上回る。
• 基礎講習や推進人材の育成、独自に開発したプロンプトの活用など、さまざまな活用促進策を行うことで、月間利用者割合は約56%に達している。

サッポロホールディングスでは、2023年7月に約160名を対象に「exaBase 生成AI」の試験導入を開始。有用性を確認した後、2024年2月には対象者を700名に拡大し、さらなる効果検証を進めています。文書要約や企画、アイデア出し、ソースコード生成など、多様な用途で生成AIを活用し、対象者の拡大後5か月間で約5000時間の業務削減を達成。利用コストを上回る成果を挙げています。本記事では、生成AI導入の背景や具体的な活用方法、効果、さらに活用促進の取り組みについて、サッポロホールディングス DX企画部 グループリーダーの桑原敏輝氏と森本精太氏に伺いました。

生成AIの活用が今後の成長において大きな鍵を握ると判断し、試験導入を決定

Q: 生成AIの試験導入はどのような経緯で始まったのでしょうか

桑原氏:サッポログループでは、2022年にDX方針を策定し、その実現に向けてDX企画部を中心に「人財の育成・確保」「DX推進組織体制の強化」「ITテクノロジー環境整備」「業務プロセスの変革」という4つの観点から環境整備を進めてきました。

当社の主な事業は酒類の開発や販売であり、テクノロジーに強い人財が決して多いわけではないため、特に、DXを推進する基幹人財の育成や全社のデジタルリテラシー向上に注力をしてきました。

そんな中、2022年末にChatGPTが登場し、他企業とも情報交換をする中で、これは今後の業務において当たり前に使用される技術であり、企業の成長においても大きな鍵を握ると考え、試験導入を進めることにしました。

Q: そこで2023年7月に、「exaBase 生成AI」の試験導入を開始したということですね。

桑原氏:まずは、弊社で育成したDX推進基幹人財の中から生成AIを試しに使ってみたい方を募集し、約160名でスタートしました。アンケートを取ってみたところ、非常に評価が高く、有用性があることが見えてきました。そこで2024年2月から、導入効果が高いと見込まれる部署を選定し、サッポログループ各社の企画・管理系部門を中心に、対象を約700名に拡大しました。

 

DX企画部 グループリーダー 桑原 敏輝 氏

導入の決め手は、高いセキュリティ性とコスト効率、そしてデータ利活用の可能性

Q: 試験導入当初から「exaBase 生成AI」をご利用いただいています。どのような点をご評価いただいたのでしょうか。

森本氏:情報保護の安全性がまず重要でした。入力した情報をAIに学習させないとしっかり謳っていたのは、その当時「exaBase 生成AI」を含め、数社だけだったと思います。また、コスト感も考慮に入れました。

利活用状況をモニタリングしつつ、必要な施策を検討・実行したいと考えていたため、利用データを抽出して活用できる点も大きなポイントとなりました。

文書要約や企画、アイデア出し、ソースコード生成など様々な用途で活用

Q: 導入後は、生成AIをどのような用途で活用いただいていますか。

森本氏:基本的には、文章の要約やアイデア出しの壁打ちのような使い方が多いです。DX関連部署では、プログラミングのソースコード生成での利用が多いですね。私もかなり活用しています。

桑原氏:プログラミング未経験でも、やり始めて4か月ぐらいで、ある機械学習サービスのコンペティションに挑戦する社員も現れました。

森本氏:広報部などでは、プレスリリースを作成する際の壁打ちや構成案出しなどを、一連のフローに組み込んで展開していると聞いています。また、資料のトーン&マナーを決める際に、カラーコードやフォントサイズなどを生成してもらう使い方をしている社員もおり、面白い活用法だなと思いました。

桑原氏:私が特に興味深いと感じた使い方は、マネージャーが部下の面談の前に、シミュレーション相手として使っている事例です。どのような言い方が良いのかアドバイスをもらっているのだそうです。

私個人としては、企画を考えるときに使うことが多いです。課題に対する解決案を提案してもらって、5回ぐらいのラリーを繰り返します。外部企業に提案してもらう際にも、こちらに方向性のイメージがあることで、スムーズに会話ができると感じています。

 

出典:サッポロホールディングス

試験導入から5か月で、約5000時間を削減。「工数削減効果>利用料」を連続で達成

Q: サッポロ様では、独自のダッシュボードも作られ、活用状況や効果を可視化されているかと思います。試験導入後5か月が経過した現在の状況や定量的な効果を教えていただけますか。

森本氏:月間の利用者割合は約56%、月間の質問総数は約1.4万回というデータが出ています。また、アンケート回答者の申告ベースではありますが、2024年2月に展開対象者を拡大してから5か月間での総削減工数は約2500時間に達しました。

アンケートに回答した利用者が全体の約50%であることから、単純計算でこの2倍、すなわち約5000時間の削減効果が出ていると想定しています。当初、年間で10,000時間の業務削減を目標としていたため、これを超えるペースで進んでいると言えます。

さらに、削減できた時間分のコストとexaBase 生成AIの利用料を比較したところ、5か月連続で工数削減効果の方が上回っていることを確認しています。

 

DX企画部 森本 精太 氏

「基礎講習会」や「推進者研修」、独自プロンプトの活用で利用率が向上

Q: 月間の利用率が約56%というのは順調な利用状況ですね。どのような施策を行なっているのでしょうか。

森本氏:複数の施策を実施している中で、総合的に伸びているのだと思います。

まず大きかったのは最初に、生成AIに初めて触れる社員向けに、「基礎講習会」を実施したことです。2回に分けてオンラインでライブ配信したのですが、オンタイムで450名ほどが参加してくれました。質問も活発に飛び交い、参加者の反応も良かったです。その後、アーカイブも残しておいたので、対象者のほとんどがこの動画を見ていると思います。

また、これとは別に、各部署にて生成AI活用の素養がありそうな人を1~2名選出してもらい「推進者研修」というものも実施しました。本研修の受講者が各部署の業務に効果的な独自のプロンプトを作ったり、自身の所属部署にて自分なりの勉強会を開いてくれたりするなど、部内の生成AIの利用を促進する役割を担ってくれています。

モニタリング用に作成したダッシュボードを公開し、各部署でどの程度利用されているのかや利用量上位20名の人が誰なのかを見える化していることもある種のモチベーションにつながっていると思います。また、そうした利用上位者を個別に取材して事例記事化するなども行っています。

桑原氏:サッポログループのシステムや業務に合わせたプロンプトのテンプレートをエクサウィザーズと共同開発し、社内に展開したことも活用を推進できている1つの要因になっていると考えています。

生成AIの活用を推進していく中で嬉しかったのは、利用頻度の高い社員が、生成AIで何ができるか我々と一緒に考えたいと、社内の副業制度を使ってDX企画部に応募してきてくれたことです。我々の立場では、どうしても実務との距離ができてしまいます。このようなスーパーユーザーが、実務として何が本当に効果的なのか、温度感の高い情報を持ってきてくれるので、お互い大きなメリットがあると感じています。

 

出典:サッポロホールディングス

迅速な機能アップデートと手厚いサポートを評価

Q: exaBase 生成AIのプロダクトやサポート体制は、どのように評価されていますか。

森本氏:生成AIは最新モデルの展開が非常に早い印象ですが、「exaBase 生成AI」はそれに対応し、追加機能のアップデートも非常に迅速ですね。また、月に1度、要望を聞いてもらえる面談の場も持っていただいているので、サポート面でも手厚いと感じています。

Q: 最後に今後の展望についてお聞かせください。

森本氏:生成AIの活用の観点からみると、今はまだ単体業務の効率化というレベル感が多いと感じています。これをより大きな、ビジネスプロスセスの変革やDXによる新規事業の創出へと繋げていければと思っています。また、生成AIは優れたインタフェースにもなり得るものです。社内の様々なデータやシステムと繋げて、サッポロ独自のAIエージェントの確立も目指していきたいですね。

桑原氏:生成AIによって業務が効率化していくことで、よりクリエイティブな面に時間を使えるようになってくると考えています。我々のDX方針の一つである「お客様の理解を深め接点を拡大する」という意識が高まっていくことにも期待しています。生成AIとともに、お客様にワクワクしてもらえるような活動を増やしていければと思っています。