お客様の声

インフラ企業でも安心な強固なセキュリティが決め手。
議事録作成や企画立案にかかる時間を大幅に短縮

東北電力株式会社

業種
電力小売事業、発電事業等
従業員数
4,763名(2025年1月時点)
用途
文書作成、企画立案、アイデア出し、Excelのマクロ作成補助など

事例概要

課題

・生成AIをエネルギー事業の価値を高めるための主要技術と考え、導入を進めることとなった

導入の決め手

・事業の特性上機密データを取り扱うことも多いため、セキュリティの高さが決め手となった
・特に、データ処理の国内完結とユーザー活用状況の把握が可能である点を評価した

効果

・生成AIと対話を重ねながら企画を作成することで、質を向上させることができた
・プロンプトテンプレートを活用することで、打ち合わせの議事録作成時間を大幅に短縮できた
・生成AIに質問することで、知識のない状態からExcelマクロを組むことができた
・Webページ改修時の正確性確認や重複チェックにも活用し、効率化を実現できた

東北電力ではグループ全体のDXを推進するため、2024年4月にDX推進部を設立しました。さらに「エネルギー事業の価値を高めるための主要なテクノロジー」として生成AIを位置づけ、2023年9月より「exaBase 生成AI」を導入しています。当初はDX推進部で試験的に導入を進め、有用性を確認後、東北電力全社に導入範囲を拡大しました。

東北電力では、DX推進部以外の部署にも生成AIを普及させること、実際に生成AIを使う現場からアイデアを出してもらうことを目的として社内でアイデアソンを実施するとともに、講習会や研修などを開いて生成AIに触れられる機会を増やしていきました。本記事では東北電力グループにおける生成AIの導入経緯や導入後の効果、今後の生成AI活用の取組について、DX推進部の佐藤 祐輔氏と事業創出部門の鈴木 美咲氏、法人営業部の齋藤 渚氏に伺いました。

「国内完結型サービス」であることが導入の決め手に

Q:どのような経緯で生成AIを導入されたのでしょうか?

佐藤氏:東北電力では中長期ビジョンにおける2030年代のありたい姿として、「東北発の新たな時代のスマート社会の実現に貢献し、社会の持続的発展とともに成⻑する企業グループ」というものを掲げています。そのビジョンを実現するための一つの柱がDX推進です。こうした背景のもと、生成AIを「エネルギー事業の価値を高める重要なテクノロジー」であると捉えて導入を進めていきました。まずはDX推進部で試験的に生成AIを導入し、その後各主管部に展開を行いました。

Q:数ある生成AIサービスの中から「exaBase 生成AI」を導入いただいた決め手はどこにありましたか。

佐藤氏:当社は東北地方のインフラを扱う会社ですから、個人のお客様から法人、行政など、幅広いお客さまの情報を保有しています。情報保護という観点から「生成AIの導入は慎重に行うべきだ」という意見が社内では非常に強くありました。この点、exaBase 生成AIは日本国内でデータ処理が完結すること、管理者が各ユーザーの活用状況などを把握しやすいことなど、セキュリティ面で安心できる材料が揃っていたことが導入の決め手です。

DX推進部 佐藤 祐輔氏

Q:実際にexaBase 生成AIをご利用いただいて、どのような感想を持たれていますか?

佐藤氏:個々のユーザーの利用状況が見えるため重大なインシデントにつながる芽を摘むことができるという点で、管理者として非常に使いやすさを感じています。ChatGPT以外にGeminiやClaudeなどの他のモデルを使うときも「exaBase 生成AI」の利用画面でモデルを選択するだけで済むというのも便利ですね。

議事録作成や企画立案にかかる時間が大幅に短縮

Q:exaBase 生成AIをどのように活用されていますか?

鈴木氏:アイデア出しをするときに生成AIを活用しています。私は事業創出部門でDX事業の検討を進めており、その検討の一環としてセミナーを開催してるのですが、セミナー名を決める際に、「生成AIに関するセミナーを開催する予定です。多くの人が惹きつけられるようなセミナー名を考えてください。」と質問をしています。そして、こうしたざっくりとした質問に返ってきた回答にさらに何度か質問を重ねたり情報を提供したりすることで、自分の理想に近く、かつ自分では思い付かない魅力的なセミナー名を生み出すことに繋がっています。生成AIと練っていったセミナー名は実際に使用しているので、今後ぜひ注目してみてください!なお、質問を投げかける際、生成AIに対して「あなたは○○という職業のプロです」などと役割を設定することで、より求める回答に近しい回答を得られるようになりました。

事業創出部門 鈴木 美咲氏

また、生成AIは打ち合わせの議事録作成にも使用しています。今までは全て自分で考え作成していましたが、テンプレート機能を使うことで、本当に驚くくらい一瞬で出力してくれ、作成時間を短縮することができました。もちろん出力結果からの修正は必要ですが、8割くらいの出来で形を整えてくれるので効率がかなり上がっています。

齋藤氏:私は営業部門に所属しているのですが、案件の進捗管理や実績管理、法人顧客のアンケート集計などをExcelで行うときに、マクロの組み方をゼロから教えてもらっています。うまくいかないときには「こんなエラーが出たときはどうすればいい?」と生成AIに訊ねれば解決に導いてくれるので、とても助かっています。

活用例としてもう一つ、 Webページの改修にも生成AIを活用しました。取り扱っているサービスや顧客ニーズが多岐にわたることも多く、どのソリューションがどのカテゴリーに分類できるかなどをチェックするために活用しましたが、瞬時にアウトプットが出て効率的だなと感じています。

法人営業部 齋藤 渚氏

exaBase 生成AIは、ユーザーの画面でも業務削減時間が見えるのですが、こうした積み重ねによって、ひと月あたり約670分の業務時間を短縮することができています。

ユーザー画面でも業務削減効果を可視化(ご利用イメージ)

生成AIを現場で活かしてもらうため、アイデアソンでアイデアを募集

Q:どのように生成AIを普及させていったのでしょうか?

佐藤氏:普及のための施策として活用したのがアイデアソンです。現場で生成AIを活用するわけですから、活用アイデアは各現場から出してもらった方がいい。「自分の仕事に生成AIがどう役に立つか」という視点を持ってもらうことによって生成AIへの苦手意識を払拭し、距離を近づけてほしいというのがねらいです。

事務系の部門から現場業務を行う部門まで幅広く参加者を募集し、生成AIの活用の幅を広げるアイデアを出していただきました。また、アイデアソンに参加した人にユーザーアカウントを付与するという運用で生成AIの普及を進めていきました。その他にも基礎講習会、プロンプトエンジニアリング研修などを開催し、生成AIに触れられる機会を多数提供しています。

Q:アイデアソンでは、どういった成果がありましたか?

佐藤氏:実際に数多くのアイデアが出てきました。企画提案の壁打ちや文書要約、文書作成だけでなく、それぞれの業務に近しい内容のアイデアも多く見られました。

こういった業務内のアイデアは、大半がある程度経験を積んだ熟練者なら的確に判断することができますが、そうすると限られた人員しか判断ができません。そこで、生成AIを活用することによって経験が浅い社員であっても判断できるようにしたい、というアイデアがアイデアソンで提出されました。現状は文章で情報をインプットして生成AIに判断させている状況ですが、今後は図面などの画像データからも処理できるようにしたいと考えているところです。

アウトプットの精度を高めるためにプロンプトエンジニアリング研修を開催

Q:アイデアソンの他には、どのような施策をされたのでしょうか?

佐藤氏:一つがプロンプトエンジニアリング研修です。この研修はすでに数回行っていて、生成AIの使用にあまり積極的ではない層の方たちが生成AIに触れるきっかけ作りにもなっています。

鈴木氏:私もプロンプトエンジアリング研修を受講したのですが、「質問する前に生成AIに役割を設定するといい」「出力された回答を再度生成AIに投げかけ意見を聞くといい」など、アウトプットの精度を高めるための様々な方法を教わりました。研修前と後では回答の精度も大きく変わったため、参加して良かったと思っています。

生成AIを現場で活用できる人材を一人でも増やしたい

Q:今後は生成AIをどのように活用していきたいと考えていますか?

佐藤氏:業務に生成AIを活用する人を一人でも増やしていきたいと考えています。生成AIに触れてはみたものの「面白いね」だけで終わってしまわないように、継続した取組みが必要だと考えています。今進めている取組みの一つが、生成AIを使って得られた知見や成果などを全社に共有する掲示板の作成です。取組み内容を共有することにより、他部署で生成AIを活用するときのヒントとしても役に立つのではないかと感じています。