お客様の声

半期の削減効果は3,216時間
LGWAN対応だから実現できた、シームレスな生成AI活用

金沢市

職員数
3,269名 (2024年4月1日現在)
用途
挨拶文・メール文章などの原稿作成、アンケート分析、資料作成の壁打ち・校正、マクロ機能などのコード生成やコードレビュー、消防局における学習補助、研修時の副読本

事例概要

課題・背景

・複数の生成AIサービスでトライアルを重ね、職員が最も使いやすいサービスを探していた
・アカウント管理コストをなくすため、アカウント数無制限が必須条件だった
・全職種の職員が使える環境を求めていた

『エクサベース AI for 自治体』を評価したポイント

・LGWAN環境に対応し、アカウント数が無制限で従量課金ではないこと
・RAG(データ連携機能)がオプションではなく、基本プランに組み込まれていること
・ChatGPT、Gemini、Claudeなどの複数モデルを選んで使えること

効果

  • 「文書業務の要約・原稿作成・レビューで2,298時間」、「コード作成業務の生成・解釈・レビューで918時間」の削減効果(2024年度下半期)
  • 生成AIから新たな視点を学ぶことで、職員の思考の質の向上にも寄与
  • RAGにより、デジタル政策課のお問い合わせを一部代替
  • 若手消防職員の学習補助、教育支援として機能

金沢市は2024年8月に「exaBase 生成AI for 自治体」を全職員に導入し、積極的な活用を進めています。導入に際し最も重視した条件は、アカウント数が無制限であることです。その背景には、生成AIは特定のスキルを補完するものではなく、すべての職種で活用できるため、多くの人に使って欲しいという想いがありました。今回は、金沢市の「exaBase 生成AI for 自治体」活用について、デジタル政策課の富樫宏之氏に詳しくお話を伺いました。

全職種が使いやすい生成AIを導入するため、より良い生成AIサービスを探索

金沢市では、2023年度から生成AIの活用を始められていますが、当時の状況について教えてください。

富樫氏:生成AIに関しては、2023年度から自治体向け・民間向けを問わず様々なサービスを試していました。はじめは試行期間として、私が所属していたデジタル行政戦略課(現デジタル政策課)の職員と希望者を加えた150名ほどが半年間利用し、その効果を検証していました。検証を踏まえて、2024年3月に「生成AI利用ガイドライン」を策定し、2024年度中に本格導入を予定していましたが、年度当初では、金沢市が導入するサービスを決めきれずにいました。

出典:2025年3月28日開催_金沢市の生成AI事例セミナー

試行期間に利用した職員の声を聴いてみると、検索エンジンのような感覚で生成AIを使うケースも多く、期待した回答が得られないと離脱するケースや、どのように業務に使えば良いのか分からないといったケースがあることが明らかになりました。さらに、全庁的に生成AIサービスを展開していくうえで、アカウント数や文字数の制限など運用上の課題も浮き彫りになったため、これらを解決できる「金沢市に合ったAIサービス」をぎりぎりまで探していました。

アカウント数無制限が必須の条件。全庁導入したから気づけた消防での積極活用法

その後、2024年8月に「exaBase 生成AI for 自治体」の全庁導入を決定されました。導入の決め手をお教えください。

富樫氏:より良いサービスはないかと模索しているときに、「exaBase 生成AI」から自治体向けのサービスが登場することを知りました。

私たちが特に重視していたのは、①LGWAN環境に対応していること、②アカウント数が無制限であること、③定額であることです。特にアカウント数が無制限であることは必須と考えており、そこに制限があると、アカウントを発行した後で利用頻度の低い職員から他の職員へアカウントの付け替え作業が生じ、管理コストが大きくなります。

その点、「exaBase 生成AI for 自治体」はこれらの条件を満たしていました。また、RAG(データ連携機能)がオプションではなく、基本プランに組み込まれている点も高評価でしたし、ChatGPT、Gemini、Claudeなど複数のモデルを選んで使えるため、モデルごとの出力の違いを簡単に試せる魅力もありました。

導入当初から全庁展開を決めた背景には、どのような理由があるのでしょうか。

富樫氏:全職種に一気に展開するか、一部職種に絞るかという論点はありましたが、私個人としては、全職種に公開しない理由はないと思っていました。生成AIは特定のスキルを補完するものではなく、各業務のプラスアルファを担ってくれるものだと考えています。だから、事務職でも技術職でも医療技術職でも、職種に限らず生成AIを使うシーンはあるはずです。

実際、導入して意外だったのは、消防部署での利用がかなり多いことです。消防の職員に聞いたところ、各種法律やガイドライン、マニュアルなどの多くの文書が存在し、若手消防士が訓練の合間にそれらを読んで理解するには、かなりの時間がかかります。そこで、若手消防士の教育や学習の補助ツールとして生成AIを使っているとのことでした。この使い方は、全庁導入していなければ気づけなかった活用法のひとつです。

カスタムテンプレートで業務を効率化、RAGの活用も推進

消防以外での具体的な「exaBase 生成AI for 自治体」の活用法をお教えください。

富樫氏:挨拶文やメール文章などの「原稿作成」業務に一番よく使われています。金沢市版にカスタマイズしたメールテンプレートを作成したところ、多くの職員が実際の業務に使ってくれるようになりました。他には、アンケートの自由記述項目を生成AIにポジティブ・ネガティブ判定させたり、簡易な集計や分析をさせたりと幅広い業務で重宝しています。

出典:2025年3月28日開催_金沢市の生成AI事例セミナー

コード生成やコードレビューによく使われているのも金沢市の特徴かもしれません。基本的にはエクセルのマクロ・関数作成での活用が多いのですが、マクロ・関数を作れる人が自分のコードレビューに使うのはもちろんのこと、過去の担当者が作ったマクロ・関数を解析する際に使う人もいるようです。

関数に関しては、やりたいことを入力すればその関数を回答するプロンプトと、その関数を解説するプロンプトをカスタムテンプレートで作りました。これらの「関数の生成と解説」をセットで使うと非常に便利で、これもコード生成での利用が伸びている要因かもしれません。

出典:2025年3月28日開催_金沢市の生成AI事例セミナー

RAGは全庁でどのように活用されていますか。

富樫氏:我々デジタル政策課では、システムの保守やDX推進、デジタル人材育成など多岐にわたる仕事を担当しているため、非常に多くの問い合わせが来ます。忙しい時期になると、電話がつながらなくなってしまうこともあるほどです。そこで、デジタル政策課に関係するFAQ文書や各種マニュアルや手順書をRAGに格納して、「exaBase 生成AI for 自治体」上で必要な情報を得られるようにしています。

出典:2025年3月28日開催_金沢市の生成AI事例セミナー

ここでも、LGWANの環境に対応している点が非常に大きなポイントです。FAQの回答リンクから直接申請フォームやグループウェア上のページにシームレスに飛べるため、離脱を防ぐことにつながっています。

将来的には、人事課や会計課など問い合わせが多い課にも広げていきたいと考えています。また、特定の部署だけが使えるRAGを運用すると、人事異動のたびにグループの権限付け替えが発生してしまうため、そのようなRAG機能の開放は原則行わないつもりです。消防を除いて、基本的には全公開か管理権限を持つユーザーのみの運用をしていこうと考えています。

時間削減だけでなく、職員の思考の質の向上にも寄与

職員様の活用方法の中で、特に印象的だったものはありますか。

富樫氏:研修や講演会に参加している際に、副読本のように活用している職員もいました。聞き慣れない単語を生成AIに聞いて理解を深めたり、アイデア出しの研修で壁打ち相手に使ったりすることもあるようです。LGWAN環境で使えるうえに利用制限もないので、「とりあえず生成AIに投げてみる」という新しい選択肢が生まれていて、担当者として嬉しく思っています。

実際にどのくらいの業務効率化が実現できているのでしょうか。

富樫氏:削減効果を数値化するのは難しいのですが、管理画面上で表示される数値を基に試算すると、下半期で「文書業務の要約・原稿作成・レビュー2,298時間」、「コード作成業務の生成・解釈・レビュー918時間」が削減されています。

出典:2025年3月28日開催_金沢市の生成AI事例セミナー

また、時間削減の効果も大きいですが、職員の思考の質の向上にもかなり寄与していると感じています。結局、生成AIから出てきたものをそのまま使うことはありません。生成AIが出したものを人間が確認して、自分の責任で文章を作り直して公開する過程で、生成AIから新たな視点を学べ、考える質が上がっていると思うのです。

庁内講師による実践的な研修や口コミ効果で利用促進

職員の皆様の生成AIの利用を促進するために、どのような施策を行っていますか。

富樫氏:庁内のグループウェアにある掲示板に月2〜3回、定期的に情報を発信しています。新しく作ったプロンプトをカスタムテンプレートとして登録して使い方を知らせたり、先日は国からの通知を踏まえて「DeepSeek」の注意喚起などを投稿したりしました。

情報源は、エクサウィザーズさんが主催するオンラインセミナーやオウンドメディア『AI新聞』などを参考にしています。セミナーには2024年度中だけで10本以上参加させてもらっており、トレンドを学んでいます。また、「exaBase 生成AI for 自治体」は頻繁にバージョンアップが行われ新機能が追加されるので、投稿するネタに困らず助かっています。

 

出典:2025年3月28日開催_金沢市の生成AI事例セミナー

庁内研修も、2023年度は体系的な理解を深めるために、外部業者による入門研修やプロンプトエンジニアリング研修などを行っていました。ですが、2024年度は庁内講師によるハンズオンの機会を増やし、実務に根付いた実践的な研修を中心に行っています。

今でも毎日、新規にアカウントを作って欲しいという依頼が来ます。おそらく口コミによる効果も大きいと思われます。やはり、近しい人から「便利だよ」と勧められることが、利用促進には一番効果的なのだと感じています。

まずは使ってもらわないことには始まらないので、その最初の一歩をいかに踏み出してもらうか、そして、利用している中でいかに離脱させないかを強く意識して運用しているところです。

全職員が生成AIを活用できれば、仕事の質は劇的に変わると思う

「金沢市DXアクションプラン」では「AIを活用した市民サービス向上」に取り組まれると宣言されていました。今後、生成AIをはじめとするデジタル技術等の活用を通じて、どのような自治体を目指していきたいとお考えですか。

富樫氏:2024年度は庁内で生成AIの活用を進め、効率的な業務遂行を通して市民サービスの質向上に努めていました。2025年度以降は、これを継続しつつ、市民向けにもどのように生成AIサービスを展開できるかを考えていきたいと思っています。例えば、江戸川区様は公式ホームページのサイト内検索サービスに生成AIが組み込まれています。ホームページ上のチャットボット用のデータ管理を行う必要がなくなり、自動で最新のRAGデータを生成、回答してくれるようになるのは、非常に面白いですよね。

また、今後は、庁内でもより専門的に作り込んだ機能が欲しいというニーズが高まってくると予想しています。埼玉県様は、AIソフトウェア開発環境「exaBase Studio」を導入されたとのことですが、今後、我々もご相談させていただくこともあるかと思っております。

最後に、「exaBase 生成AI for 自治体」の導入を検討している自治体に向けて、メッセージをお願いいたします。

富樫氏:検索サイトが登場した際、みなさん何となく覚えて、何となく使いこなしてきたと思います。生成AIも同様で、たくさん使って成功や失敗してく中で、その便利さに気付いていくものと思います。何となく覚えて、何となく使える段階まで全職員が生成AIを活用できるようになれば、仕事の仕方と質が劇的に変わると考えています。「exaBase 生成AI for 自治体」は、アカウント数に制限がなく、一部モデルが使い放題という設計なので、利用者、担当者双方にとって魅力的なサービスだと感じています。