お客様の声

創業120余年の老舗建設会社はいかにして「デジタル化の壁」を乗り越えるのか?
セキュリティとコストを両立し、新入社員を即戦力へ変えた「exaBase 生成AI」という選択

株式会社田中組

業種
総合建設業
従業員数
160人
用途
議事録作成・要約、新人教育(メンター)、文章作成、情報検索 等

事例概要

課題

「シャドーAI」によるセキュリティリスク
生成AI活用への意識が高い社員が個人の無料アカウントで業務利用を開始しかねず、意図せずデータが学習されることによる機密情報の漏洩リスク(シャドーAI)への対策が必要だった。
建設業界の人手不足への対応
「建設業の2024年問題」をはじめとする慢性的な人手不足の中、システム部門のリソースも限られており、効率的なDX推進が求められていた。

導入の決め手

1. 入力したデータがAIモデルの学習に利用されない仕様であり、図面や見積もりなどの機密情報を扱う建設業でも安心して利用できる点。
2. 「ChatGPT」や「Claude」など複数の最新モデルを用途に応じて使い分けられ、個別契約よりもコストを抑えて柔軟に運用できる点。
3. トライアル環境で実際に作成した資料(稟議書等)が高い完成度を示し、経営層への説得材料として「論より証拠」の実演ができた点。

効果

  1. 議事録作成時間を約8分の1に短縮。専門用語が飛び交う会議の議事録作成において、従来2時間かかっていた作業が、AIによる文字起こしと解説によりわずか15分で完了。
  2. 新人教育の効率化と心理的安全性の確保。AIが「24時間質問できる専属メンター」となり、新人が先輩に気兼ねなく質問できる環境を実現。先輩社員の教育コスト削減にも寄与した。
  3. 「リバースメンタリング」による組織変革。AIネイティブな若手社員がベテラン社員の活用をサポートする協力関係が生まれ、組織の風通しが良くなり、全社的なデジタル化の土壌が醸成された。

「建設業の2024年問題」や「慢性的な人手不足」。建設業界を取り巻く環境が厳しさを増す中、創業120余年を誇る北海道の老舗総合建設業、株式会社田中組(以下、田中組)は、静かに、しかし着実な「組織変革」を始めています。

同社が選んだのは、法人向け生成AIサービス「exaBase 生成AI」。
なぜ、歴史ある企業が最先端のAI導入に踏み切ったのか。導入のハードルとなった「セキュリティ」と「経営層の理解」をどう乗り越え、新入社員の業務時間を8分の1に短縮するという劇的な成果を生み出したのか。
現場のリアルな葛藤と成功の軌跡を、建築部工務課 兼 総務部情報システム課 係長の緒方氏、総務部情報システム課 課長の向井氏、そして新入社員である営業部の水戸氏に伺いました。

1.背景と課題:老舗企業が抱える「デジタルの負債」と「シャドーAI」のリスク

見直しの時期にきていたシステム部門と情報の属人化

田中組は創業120余年の歴史の中で、確固たる信頼と実績を築き上げてきました。しかし、その一方で社内の業務フローには「昭和の遺産」とも言うべき課題が残されていました。「以前から『電算室』という部署はありましたが、日々の社内システム対応やインフラ管理業務に追われ、余裕がない状態でした。 社員にはiPhoneやiPad、PCが支給されているものの、管理が行き届いているとは言い難い状況でした」と緒方氏は振り返ります。

最大の問題は「情報の属人化」です。データはクラウドではなく個人のPCローカルに保存されることもあり、共有フォルダも「案件ごと」ではなく「個人名」で管理されるケースが散見されました。「誰がどのデータを持っているか分からない」「担当者が不在だと仕事が進まない」。こうした非効率が、組織の生産性を阻害していました。

迫りくる「シャドーAI」の脅威

さらに、情報システム担当として緒方氏が危機感を抱いたのが「シャドーAI」のリスクです。
世間一般でChatGPTが話題になるにつれ、リテラシーの高い一部の社員であれば、個人の無料アカウントで業務利用を始めかねないという事態を想定していました。
「建設業は図面や見積もりなど、機密情報の塊を扱います。無料版のAIサービスに社内データを入力し、それが学習データとして再利用されてしまえば、取り返しのつかない情報漏洩につながりかねません。会社として公式に、かつ安全な環境を用意する必要がありました」(緒方氏)

また、向井氏は組織的な観点からこう語ります。
「これからは『AIを使える人』が『使えない人』の仕事を奪う時代が来るとも言われています。会社としてAI活用の土台を提供しなければ、社員のスキル格差は広がり、ひいては企業の競争力低下に直結するという危機感がありました」

2.選定の理由:経営層を動かした「実証」と「コストパフォーマンス」

なぜ「exaBase 生成AI」だったのか
数ある法人向け生成AIサービスの中で、同社が「exaBase 生成AI」を選定した理由は明確でした。

盤石なセキュリティ(データ学習の防止)

入力したデータがAIモデルの学習に利用されない仕様であること。これは企業導入の大前提でした。

マルチモデル対応とコスト効率

「『GPT-4o』や『Claude』、『Gemini』など最新のAIであっても、現状はそれぞれに特性や得意不得意があります。そのため、社員が業務に応じて最適なAIを選び、使い分けられることは必須条件でした。複数のモデルを自由に切り替えて使える本サービスはその点で非常に魅力的であり、個別に有料契約を結ぶコストを抑えられる点も導入の決め手となりました」(緒方氏)

稟議を通すための「逆転の発想」

生成AI導入にあたり、情シス担当者の最大の難関は「経営層の理解」であることが多いです。新しいテクノロジーに対し、懐疑的な層をどう説得するか。緒方氏がとった作戦は、論より証拠の「実演」でした。

「稟議書や添付資料、そのすべてを『exaBase 生成AI』のトライアル環境で作成しました。そして、資料の最後にこう書き添えたのです。『この文章と資料は、すべてAIが作成しました』と」(緒方氏)

「AIとは何か」「何ができるのか」を口頭で説明するのではなく、目の前にある完成度の高い資料そのものを証拠として提示する。このアプローチにより、「これだけのことができるなら」と経営層の承認をスムーズに得ることができました。トップダウンではなく、現場からのボトムアップで導入を勝ち取った好例と言えます。

3.導入効果:新入社員の「即戦力化」とベテラン社員との「共創」

導入後、当初50アカウントでスタートした同社のAI活用は、特に若手社員の間で劇的な効果を発揮し始めました。

【定量効果】議事録作成時間が2時間から15分へ

今年入社したばかりの営業部・水戸氏は、配属直後、会議の議事録作成という壁にぶつかっていました。
「飛び交う専門用語や、過去の経緯(文脈)が分からない状態で会議に参加し、録音を聞き直しながら文字起こしをする作業は大変な作業でした。上司や関係者が見ても分かるようにまとめるためには、専門用語をしっかりと理解する必要があるため、単語それぞれをひとつひとつ調べるために1時間の会議の議事録作成に2時間近くかかることもありました。」(水戸氏)

そこで導入された「exaBase 生成AI」を活用し、録音データを文字起こしさせ、要約を指示しました。
「感動しました。これまで2時間かかっていた作業が、わずか15分足らずで完了したのです。しかも、分からない専門用語の解説までAIがしてくれます」(水戸氏)

【定性効果】「心理的安全性」の確保と教育コストの削減

新入社員にとって、忙しく働く先輩社員に「こんな初歩的なことを聞いていいのだろうか」と躊躇する時間は、見えないロスとなります。
「exaBase 生成AI」は、いわば「24時間いつでも質問できる専属のメンター」として機能しました。
「過去の経緯が分からない会議でも、AIが文脈を補完してくれるため、要点を掴んでから先輩に質問できるようになりました。これは精神的にも非常に楽です」(水戸氏)

世代間ギャップを埋める「リバースメンタリング」

さらに興味深い変化が起きています。ベテラン社員が大量の文章作成に困っていた際、AIネイティブである新人の水戸氏が「AIへの指示ならすぐできますよ」と代行したのです。
「上司が『自分でAIに指示を出してもうまくいかない』と悩んでいたところを、私がAIに入力して数パターン出力し、選んでもらう。私が上司のAI活用のアドバイザーのような役割になることもあります。」(水戸氏)

ITツールは時としてベテラン社員を置き去りにしがちですが、田中組では「若手がAIを使ってベテランを支援する」というポジティブな協力関係(リバースメンタリング)が自然発生しています。これは組織の風通しを良くする予期せぬ効果でした。

激動の建設業界を支える、AIという「パートナー」

コロナ禍や『建設業の2024年問題』への対応など、私たちを取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。これらに対応すべくAIやICTの活用が進んだことで、単位時間あたりの業務処理量は飛躍的に高まりました。
こうした高密度な業務環境において、AIとの対話は単なる効率化ツールを超え、業務を支える『パートナー』としての役割を担い始めています。次々と発生する課題に対しても、AIと対話することで思考が整理され、的確な判断を下す助けとなります。セキュアな環境で安心して情報を共有できるAIは、プロフェッショナルのパフォーマンスを最大化させるための、不可欠な存在になりつつあります。このように、業務の深い部分までAIと共有し合える関係性は、高度な安全性を備えた「exaBase 生成AI」ならではの特長と言えます。

4.今後の展望:現場DXと「全社的なAI実装」に向けて

現場への展開と「Geminiシリーズ」等の新機能活用
現在は管理部門や営業部門での利用が主ですが、今後は建設現場への展開も視野に入れています。特に、画像解析機能を用いた「ひび割れ箇所の原因推定」や、Google GeminiなどのマルチモーダルAIを活用した「図面からの資材提案」「内装床面積の積算」など、専門的な業務への応用が期待されています。
また、画像生成技術を活用し、リフォーム後のイメージパース(モダン風、レンガ風など)を瞬時に作成して顧客に提案するといった、営業力強化への活用も模索中です。
「様々な経験を持った弊社の技術者には及ばないことはありますが、下書きやアイデア出しといったところで、生成AIをもっと活用していきたいと考えています。」(向井氏)

「とりあえず触ってみる」文化の醸成

課題がないわけではありません。緒方氏は「利用する社員としない社員の二極化」を指摘します。
「便利だと分かっていても、食わず嫌いをしてしまう層は一定数います。今後は、水戸のような成功体験を持つ若手が中心となり、社内での成功事例を共有する勉強会などを通じて、全社的な底上げを図っていく、ということも検討していかなければと考えております。」(緒方氏)

向井氏は、導入を検討している企業の経営層・情シス担当者に向けてこうメッセージを送ります。
「『AIをどう使うか』と難しく構える前に、まずはGoogle検索をするような感覚で、すべての業務を一度AIに投げてみることです。『とりあえず触ってみる』。そこからしか、組織の変革は始まりません。まずはセキュアな環境を用意し、社員にツールを渡してしまうこと。それが最初の一歩です」

 

 

株式会社田中組

創業120余年を誇る田中組は、北海道の社会基盤を支える総合建設業です。道路・河川等のインフラ整備や空港、総合病院、学校等教育施設などの大規模プロジェクトに参画。民間事業でも、病院・学校・オフィスビルなど多岐にわたる建築を手掛けています。長きにわたり蓄積された技術力で、公共から民間まで幅広い領域で街づくりと人々の暮らしを支え続けています。2025年3月期の売上高は約130億円、従業員数は160人(2025年3月31日現在)。現社屋の老朽化に伴い、新社屋を札幌市中央区北6条西11丁目へ移転するべく新社屋を建築中です。移転は2026年5月ごろを予定しています。

 

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株式会社エクサウィザーズ / 株式会社Exa Enterprise AI
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