創業80年の建設会社が挑む「人が育つ」組織改革。生成AIがベテランと若手の“共通言語”となり、研修時間を25%削減
~AIと人の最適な使い分け。属人化を解消し、現場が「より高度な指導」に時間を割ける組織への変革~

株式会社コプロス
- 業種
- 建築
- 従業員数
- 121名
- 用途
- 新入社員教育(メンター)、業務効率化、営業活動分析
事例概要
課題
建設業界の慢性的な人材不足に加え、現場のベテラン社員が多忙で若手の指導に時間を割けない「教育のボトルネック」が発生していた。教える側の負担と、教わる側の「忙しい先輩には聞きづらい」という心理的な遠慮を解消する必要があった。
導入の決め手
図面や顧客情報などの機密情報を扱うため、入力データが学習に利用されない「情報の安全性(高セキュリティ)」が最大の決め手となった。
効果
基礎的な質問(Excel操作等)をAIに任せることで、新入社員研修の工数を約25%削減。社員はより高度で実践的な指導に集中できるようになった。さらに、AI活用をきっかけに若手とベテランの間に「縦のコミュニケーション」が生まれ、組織の活性化や営業活動の高度化にも繋がっている。
建設業界における「2024年問題」や慢性的な人材不足が叫ばれる中、地方の一企業でありながら、400名を超える新卒エントリーを集める建設会社があります。山口県下関市に本社を置く、株式会社コプロスです。創業約80年の歴史を持つ同社は、特許技術「ケコム工法」などの高い土木技術を誇る一方で、建設用3DプリンターやMR(複合現実)などの先端技術を積極的に導入。「DXセレクション2025」準グランプリを受賞するなど、建設業の枠を超えた革新的な経営で注目を集めています。同社がいま、組織変革のツールとして活用しているのが、法人向け生成AIサービス「exaBase 生成AI」です。導入の背景には、多くの中小企業が抱える「若手育成」と「業務効率化」のジレンマがありました。いかにして同社は生成AIを組織に浸透させ、新入社員研修の工数を25%も削減するに至ったのか。その取り組みと、予期せぬ「組織風土への好影響」について取材しました。
導入の背景:教育の「ボトルネック」を解消し、成長スピードを加速させる

株式会社コプロス 専務取締役 宮﨑 隆司氏
「どこの中小企業も同じ悩みをお持ちだと思いますが、人材不足、とりわけ『若手の不足』と『入社後の教育体制の限界』を痛感していました」そう語るのは、同社専務取締役でDX推進をリードする宮﨑 隆司氏です。建設業界において、一人前の社員を育てるには長い時間がかかります。しかし、現場の最前線に立つベテラン社員は常に業務に追われており、新入社員が質問したくても「今は先輩は忙しいから待っておこう」となりがちです。一方で、教える側にとっても、業務の手を止めて指導する時間を確保することは大きな負担となっていました。「教わる側も教える側も、双方が抱える『業務負荷』と『心理的な遠慮』を取り除きたいと考えました。わからないことがあればチャット形式でAIに聞き、業務の手を止めなくても『即座に答えが得られる』状況を作る。そうすることで、人が本来行うべき本質的な指導に時間を割けるようになります」(宮﨑 氏)
コプロスが目指したのは、単なるツール導入ではなく、AIを「専属のメンター(教育係)」として配置することで、社員がストレスなく成長できる環境を構築することでした。

導入の決め手:機密情報を扱う建設業でも「導入」に踏み切れた、強固なセキュリティ
コプロスでは約10年前からデジタル化を推進してきた歴史があり、「デジタルに関してはこの人に聞けばわかる」というキーマンの配置が進んでおり、新しいツールが浸透しやすい土壌がありました。しかし、地方の老舗企業であり、機密情報を扱う建設業という立場上、新しい技術の採用には慎重な判断が求められました。数ある生成AIサービスの中から「exaBase 生成AI」が選ばれた背景には、企業利用における「情報の安全性」への信頼がありました。建設業は図面や顧客情報など、機密情報の塊です。exaBase 生成AIは、入力データが学習に利用されない仕様であり、国内リージョンでのデータ処理、禁止ワード設定などの強固なセキュリティ機能を備えています。これが、地方の老舗企業でも安心して導入に踏み切れた大きな要因となりました。
1.新入社員研修の工数を「25%」削減。AIによる自律的な学習スタイル
導入後、最も顕著な効果が現れたのは新入社員の教育コスト削減です。
同社では文系出身の学生も多く採用しており、入社後の4月・5月の2ヶ月間は、業務に必要なITリテラシーを高めるための研修が行われます。特にExcel操作などの基礎スキル習得には、従来20〜25時間ほどの講習時間を割いていました。
「これまでは講師役の社員がつきっきりで教えていましたが、今は『まずはAIに聞いてみて』という仕組みに変えました。わからない関数や操作方法はexaBase 生成AIが即座に教えてくれます。感覚値ですが、これによって新入社員研修にかかる工数の約25%を削減できていると感じています」(宮﨑 氏)
「誰に聞いても答えが同じような基礎的な質問」はAIが担当し、現場での実践的な指導や、企業文化に関する教育は人間が担当する。この役割分担により、教育担当者の負担は劇的に軽減され、より付加価値の高い教育へリソースを集中できるようになりました。
2.「縦のコミュニケーション」が活性化。AIがベテランと若手の翻訳機に
さらに興味深い成果として、宮﨑氏は「ベテランと若手のコミュニケーションの変化」を挙げます。建設現場の実務を知り尽くしているが、ITツールには不慣れなベテラン社員。
現場のことはまだわからないが、デジタルツールを使いこなす若手社員。
従来であれば「教えるのが大変」「若手は手間がかかる」といった認識で分断されがちだった両者の間に、exaBase 生成AIが介在することで、新たな化学反応が起きました。
「若手が生成AIを使って業務を効率化したり、新しいアウトプットを出したりすることで、ベテラン社員も『これならもっとこういうことはできないか?』『これをすれば業務が早くなるんじゃないか』と興味を持ち始めたのです」(宮﨑氏)
若手はITスキルを武器に現場に貢献し、ベテランはそのリクエストに応える形で現場の知恵を授ける。互いの「得意」と「不得意」が綺麗にハマり、AIを共通言語として「縦のコミュニケーション」が生まれたのです。
「若者から見て働きやすそうな環境ができている」と宮﨑氏が語る通り、最新のAIツールが揃っていることは、デジタルネイティブ世代の採用ブランディングにおいても強力な武器となっています。
3.営業活動の高度化とナレッジシェア
活用の幅は研修だけにとどまりません。営業部門では、商談内容の録音データをテキスト化し、exaBase 生成AIに取り込んで分析させています。
「若手営業マンは、上司と一緒にAIの分析結果を見ながら『次の一手』を考えています。顧客情報の属人化を防ぐとともに、受注確度を高めるための壁打ち相手としてAIが機能しています」(宮﨑氏)
また、社内の成功事例は月に一度、社長を交えた会議で発表され、部門を超えて共有されます。今後は社内の独自知識を学習させた「社内版知恵袋」のようなシステムの構築も構想中とのこと。テンプレートの整備も進めており、全社員が迷わずAIを活用できる環境づくりに余念がありません。

成功のポイント:なぜコプロスではAIが定着したのか?
多くの企業が「導入したけれど使われない」という課題に直面する中、なぜコプロスではこれほどスムーズに活用が進んだのでしょうか。取材から見えてきたポイントは3つあります。
1.「負担軽減」という明確な目的
漠然とした導入ではなく、「教育におけるボトルネックを解消する」という、現場の課題解決に直結する目的がありました。
2.若手への権限委譲
新しい技術に対して抵抗感の少ない若手に主導権を持たせ、彼らが成果を出すことでベテランを巻き込む形を作りました。
3.トップダウンとボトムアップの融合
社長参加の事例発表会というトップダウンの施策と、現場からのテンプレート作成というボトムアップの活動が噛み合いました。
今後の展望:RAG活用で「ここに聞けば何でもわかる」世界へ
宮﨑氏は今後の課題として、社内データを活用したRAGの精度向上を挙げています。「PDFやデータベースなど、データの形式によって回答の精度が変わる難しさはありますが、理想としては『ここに聞けば社内のことは何でもわかる』という状態にしたい。また、出力がそのままPowerPointなどの資料形式になれば、さらなる業務短縮に繋がると期待しています」
exaBase 生成AIもまた、こうしたユーザーの声に応えるべく、ファイル解析機能の強化や PowerPointでのダウンロードが可能な資料生成エージェントの実装など、日々アップデートを続けています。
AIは「冷たい効率化」ではなく「温かい対話」を生む
「AIを導入したことで、逆に人対人の対話が増えています。」(宮﨑 氏)
業務の基礎やマニュアル的な回答をAIに任せることで生まれた余白時間は、ベテランが若手に「経験や勘所」を伝える貴重な時間へと変わりました。
「AIの導入は人間関係を希薄にするのではないか」。そんな懸念に対し、コプロスの事例は一つの意外な答えを提示しています。同社では「exaBase 生成AI」の活用を通じて、むしろ世代間の会話が増え、組織の一体感が高まるという結果が得られました。単なる業務効率化にとどまらず、人材不足や技術継承という課題に向き合う企業にとって、AIが組織風土を変えるきっかけになり得ることを、この事例は示唆しています。
株式会社YMFGグロースパートナーズ(販売代理店)
YMFGグロースパートナーズは、長年、山口・広島・福岡で地元に根ざして活動してきた山口フィナンシャルグループの子会社として、2025年7月に発足しました。私たちは「地域課題解決のプラットフォーマー」への進化を目指し、地域のお客さまの事業成長を総合的に支援します。多様化・複雑化するお客さまの経営課題解決を最大の提供価値と位置付け、業務効率化・DX支援をはじめ、戦略策定、経営人材の紹介、投資助言など、異なる分野の専門性を融合したソリューションを提供いたします。

exaBase 生成AI
AIエージェントNo.1(※)を誇る法人向け生成AIサービス。
ChatGPT / Gemini / Claudeなど最新モデルに対応し、入力データが学習されない高セキュリティ環境を提供。社内独自データを活用できるRAG機能や、業務利用状況の可視化機能など、企業のDX推進を強力にサポートします。
(※富士キメラ総研「2026 生成AI/AIエージェントで飛躍するAI市場総調査 )