お客様の声

宅配ピザ企業初のDX認定取得。“身近なAI活用”でMAU80%、業務時間平均51%削減を実現し、新たな顧客価値創造へ

日本ピザハット株式会社

業種
飲食業
従業員数
約4,400名(アルバイト・派遣含む、2026年3月時点)
用途
文書やメール作成、文書チェック、情報収集・調査・分析、コンテンツ作成支援、棚卸リスト更新、採用支援、等

事例概要

課題

・DX戦略やAI活用方針がない中での生成AI導入と具体的な活用方法が手探りであった
・店舗・本部の双方、各部門における高い業務負荷と生産性向上の必要性
・「AIは難しい」という心理的ハードル払拭や導入後の活用促進と社内定着に向けた施策整備

導入の決め手

・親会社での先行導入があり、検討を進めやすかった
・複数の生成AIモデルが試せることに加え、RAG機能により、業務活用のイメージを持てた
・利用状況の可視化など、運用や分析に役立つ管理機能が充実していた

効果

・AI活用が社内に定着し、月間利用率80%を実現した
・各部門で好事例が生まれ、特定業務で業務時間平均削減率51%などの業務効率化が進み始めた
・宅配ピザ業界初のDX認定取得時にも生成AIを活用。対外的にも成果が見える形となった
・利用状況の分析によって、好事例を共有しやすく生成AI活用を広げられた

グローバルピザブランド「ピザハット」の日本法人、日本ピザハット株式会社は、2025年5月にexaBase 生成AIを導入し、2026年1月には、宅配ピザチェーンとして初めて「DX認定事業者」の認定を取得しました。

「私たちは”ピザのチカラ”を通じて、人々に笑顔と感動をお届けします」と企業理念を掲げる同社は、生成AI活用を推進し、全社の業務生産性向上とお客様への価値向上を目指しています。
「“ピザのチカラ”を通じて、笑顔と感動をお届けしたい」と企業理念を掲げる同社は、店舗スタッフがお客様と向き合う時間を生み出し、それを支援する本部組織の生産性も同時に高め、単なる効率化ではなく、会社全体の前向きな変化につなげるためにexaBase 生成AIを活用しています。

2025年6月に社長直下のDX推進委員会を立ち上げ、生成AIが日常業務で使える身近な存在となるような継続的な情報発信や、各部署を巻き込み、自発的な活用を促す仕掛け等を取り入れた結果、MAU(月間アクティブユーザー率)は80%を達成しました。業務改善や効率化に加え、スピード感のある細やかな施策実行を可能にし、新たな施策展開へとつなげています。

しかし、導入当初から活用の目的や課題が明確だったわけではありません。手探りで始まった生成AI活用を社内に浸透させ、成果へとつなげるまでには、地道な積み重ねがありました。
本インタビューでは、DX推進委員会副委員長の岡田氏、塩津氏に、活用浸透に向けた工夫と、その先に生まれた成果について伺いました。

ピザハットのDX戦略と推進体制

まずはピザハット様のDX戦略とお2人の役割について教えてください。

岡田氏:当社は、2025年度を初年度とする3か年のDX戦略をスタートさせました。初年度は予算が限られているため、DX推進基盤を作っていくことを重視し、各部門へのヒアリングや生成AI導入、情報発信を進めながら、社内に少しずつDXの土台を作り、AI活用の文化醸成に注力しました。

2026年度には、AIを単なる検索ツールのようなものではなく、業務プロセスそのものに組み込んでいくAX(AIトランスフォーメーション)の段階。また経営層や管理職への意識醸成も狙い、カリキュラムに組み込んで、上から下まで一気通貫でAIを推進する基盤を拡大し、2027年度には、DXによる事業成長を本格化させる計画です。

私はその中で、本部システムの保守・改善などを担いつつ、DX推進委員会の副委員長としてツール導入や人材育成のカリキュラム調整などを担当しています。

塩津氏:私はIT推進グループで、CTO付けの飛び道具的な役割として生成AI推進を担当しています。私自身は昨年5月までAIに触れたこともないIT素人だったのですが、社内の資格一覧に「ITパスポートを取りたい」と書いていたのを社長が見つけ、「DXに興味ある?」と推進メンバー(副委員長)に抜擢されました。

社長直轄の「DX推進委員会」とは、どのような組織ですか?

岡田氏:2025年5月頃、当時の社長指示があり6月に発足しました。部門間の壁を排除して全社横断で動けるよう社長直轄の体制をとっており、事務局メンバーに加え、各部署から選出された25名のメンバーが、本務の傍らプラスアルファの活動として連携しています。

▲DX推進体制(日本ピザハット株式会社のDX戦略より)

塩津氏:発足当初は予算もなかったため、まずは対外的な成果を出そうと今年度中の「DX認定事業者」取得を目標に設定し、2026年1月に無事認定を取得することができました。

導入の背景:DX戦略が十分に整う前のAI導入。業務課題の解決期待とともに、手探りで活用を開始

生成AI導入に至った背景を教えてください。

岡田氏:2025年5月に、DX推進を進める上で、生成AIは必要なツールとして導入が決定しましたが、最初から明確な活用方針が見えていたわけではありません。ですが、事業の生産性を上げていくうえで、AIはきっと力になるという期待感がありました。
当社は「“ピザのチカラ”を通じて、笑顔と感動をお届けしたい」という理念があります。その実現には、店舗スタッフが注力すべきピザづくりやお客様と向き合う時間を生み出し、それを支援するSVや本部組織の生産性も同時に高めていく必要があります。一方で、店舗も、店舗を支える営業統括も、さらにバックオフィスも多くの業務を抱えて忙しい状況だったので、生成AIで組織全体の業務負荷を軽減することが顧客価値の向上に直結すると考えたためです。

また、導入時点では「どの業務のどの課題に生成AIが効果があるのか」「課題に対しどういった活用方法があるのか」なども見えていませんでした。導入後にDX推進委員会の活動を通じて各部門にヒアリングを重ね、各部門へ活用提案をしていく中で、現場ごとの課題や効果的なユースケースが明らかになってきました。振り返ると、導入後の活用促進そのものが、課題を発見するプロセスにもなっていたと思います。

(写真左:DX推進委員会副委員長 岡田氏、右:同 塩津氏)

導入の決め手:RAG機能の強みと利用状況の可視化や分析しやすい点が、導入判断の後押しに

数ある生成AIの中で、導入を決めた理由は何でしたか?

岡田氏:直接のきっかけは親会社の先行導入で、各グループ会社に案内がありました。
その上で比較検討を進めた際に、大きな決め手になったのがRAGの機能(社内資料やマニュアルなど、あらかじめ登録した情報を参照して回答を生成できる機能)です。一般的な対話だけではなく、社内情報や業務に紐づけた活用がイメージしやすく、想定効果に魅力を感じました。

また、管理者の視点では運用しやすさも重要です。ユーザー管理のしやすさに加え、利用状況をレポートで把握・分析できるため、導入後の活用促進につなげやすいと感じました。実際、誰がどの程度使っているのか、どのような広がり方をしているのかを可視化できたことは、その後の施策を考えるうえでも大きな助けになりました。

導入後の活用と成果:導入後の壁を乗り越え活用率は80%を達成。バックオフィスと店舗、両方の業務で成果と好事例が広がった

導入後の活用はスムーズに進みましたか?

岡田氏:いいえ、使い始めた当初の活用はスムーズではありませんでした。こちらで用意したテンプレートはあまり活用されず、あらためて、ツールを入れるだけでは定着しないと感じました。

岡田氏:活用促進の方法は、エクサウィザーズからいろいろ提案をしてもらい、それを順次取り入れて実践していきました。導入当初は我々もノウハウがなかったので、伴走して提案いただけたことはとてもありがたかったですね。今も継続していますが、社内発信や活用支援を重ね、定着に向けた施策を積み上げて、徐々に活用率が伸びていきました。
導入初期は検索の代替や文章の整えなど比較的ライトな使い方が中心でしたが、継続的に働きかけることで、様々な業務の中で多様な使われ方をするようになり、全体の活用も増えていきました。MAUが80%に達し、社内でAIを使うことが自然な状態になってきました。

非常に高い活用率ですね。具体的な活用方法や成果も教えてください。

岡田氏:バックオフィスでは、文書の整合性確認や、契約書をもとにした稟議書のたたき台作成など、文書作成・チェック業務で活用が進んでいます。細かい注意を要する確認作業は生成AIの正確さが有用ですし、定型的な文書の下書き作成等では、人がゼロから作るより、まずAIにたたき台を作ってもらってから整える方が効率的です。一部の業務では、従来と比べ作業時間が平均51%も削減できた効果が出ています。

本部でのユースケース紹介事例

店舗では、イベント出店時の商圏エリアのニーズ調査や、在庫の管理などのルーティン業務の効率化といった様々な使い方が生まれています。自分で調査や確認をするには多くの時間を要することが、exaBase 生成AIを使うとスピーディかつ正確に実行できるようになりました。

店舗でのユースケース紹介事例

塩津氏:2026年1月、宅配ピザ企業で初となるDX認定を取得したことも成果の一つです。当社のDX推進を対外的にも示す成果として意義があるものですが、実はDX戦略の策定や、DX認定に必要な DX戦略ページの作成にもAIを活用しています。ノーコード構築とあわせて、HTMLの作成などもexaBase 生成AIで進めました。AI活用が取り組みの前進や成果につながることを示した好例だと感じています。

社内浸透の工夫:メルマガやチャンピオン制度で“AIは難しい”の心理的ハードルを払拭。自分事化し、親しみやすい存在へ

こうした成果につながった、社内浸透の具体的な取り組みを教えてください。

塩津氏:活用されるためには、AIが身近で役立つものと感じてもらうことが大切だと思い、社内発信やユースケースの共有をしてきました。
最初は「AIは気になるけれど、自分が使うイメージが持てない」という人も少なくなかったと思います。活用促進の施策では、心理的ハードルを下げ、AIを特別なものではなく「身近で、自分にも使えるものなんだ」と感じてもらえることを意識しました。
社内向けのメルマガや雑談スレッドでは、AI関連のニュースや社内事例を紹介しながら、難しい専門知識としてではなく、映画やスポーツなどの話と絡めて興味を持ってもらい、まずは触ってみようと思える空気を作るようにしています。

AIが身近なものになるよう継続発信しているメールマガジン

塩津氏:メルマガの記事作成にも、もちろんexaBase 生成AIを活用しています。継続するのは簡単ではありませんが、AIに関する情報を追ったり、どう伝えれば相手に届くかを考えたりしていると、自分の世界も広がる感覚があります。自分自身の学びにもなっているので、それが続ける力になっていると思います。

岡田氏:これもエクサウィザーズからの提案の一つですが、「生成AIチャンピオン制度」を行い、大きな効果がありました。各部署から候補者を選出し、自部署の業務に合ったユースケースを考えて1か月間活用を推進してもらいます。期間終了後には活用内容や成果から、優れた取り組みを表彰するというもので、使ってもらうことで活用のメリットを感じてもらった結果、現場主導の自発的な活用が生まれました。

各部署の活用率上昇に効果的だった「生成AIチャンピオン制度」

塩津氏:好事例の共有方法も工夫しています。
各部署へのヒアリングを行う中ではなかなか事例が出てこないことがあります。exaBase 生成AIでは、利用状況が詳しく見られるので、私たちが実際の生成AIとのメッセージのやりとりを見て、内容を読み解き、効果的な使い方の事例を抽出し、メルマガなどで共有しています。好事例の具体的な内容を社内で共有することで、それぞれの業務に落とした活用方法を考えてもらいやすくなり、活用促進と定着につながっています。

今後の展望:利用者拡大とMAU向上を通じて、組織全体にAI活用の恩恵を広げ、顧客価値の向上へ

今後の展望を教えてください

岡田氏:当社は全国で直営・フランチャイズ合わせて約620店舗を展開しています。(2026年3月時点の店舗数)現在は本部社員全員と、先行テスト中の25店舗にアカウントを付与していますが、今後は直営店、さらにフランチャイズ店と、生成AIを活用できる環境を整えていきたいと考えています。

また、エクサウィザーズと一緒に進めているMAUのさらなる改善・定着に向けた施策として、UM(ユニットマネージャー:課長クラス)に向けた生成AIの研修を実施する予定です。まずは管理職層がAIをしっかり業務に組み込んで使いこなせるようになることで、自ずとその下の階層のメンバーもAIを活用する組織風土が作れると考えています。

並行して、店舗向けのAI活用コンテストの開催も予定しており、現場の優れた事例を集めて表彰することで活用を底上げしていく狙いです。単に利用率を上げることが目的ではなく、組織全体で生成AIを活用することで、業務の効率化や、新しい取り組みに使える時間を生み出していきたいと考えています。

これから生成AIに取り組む企業担当者の方へのメッセージ

生成AIの導入検討や活用の改善を行っている企業の担当者に向けて、メッセージをお願いします。

塩津氏:AIは、難しいツールではなく、“仕事のバディ”のような存在として使っていくのが大事だと思います。友達のように話しかけ、考えを整理したり、たたき台やアイディアを作ったりすることで、仕事の質やスピードは変わります。身近な情報発信や活用事例の共有などの働きかけは、その一助になると思います。

岡田氏:大切なのは、生成AIを導入して終わりにしないことだと思います。業務のどこに組み込めるかを考え、現場で使われる形にまで落とし込んでいくことで、少しずつ定着し、成果につながっていきます。最初から完璧を目指すのではなく、まずは一歩踏み出して、そこから活用を育てていく姿勢が重要だと感じています。