導入事例
株式会社商工組合中央金庫「エクサベース ロープレ」
導入事例インタビュー外為収益増加、商工中金がROI検証で示したexaBase ロープレの実力
導入事例インタビュー

株式会社商工組合中央金庫
- 業種
- 金融業
- 部署
- 国際部 国際業務企画グループ
- 育成対象
- 外為マーケットを有する8店舗の営業員(若手〜マネージャー、営業転換予定のバックオフィス担当を含む)
- 用途
- 外為営業のトレーニング、人材育成の標準化、アウトプット機会の創出
インタビューにご協力いただいた皆様
事例概要
課題
- 全国に店舗があり、地域によって外為マーケットの規模が異なるため、担当顧客によっては外為取引の機会がなく「経験の差」や「苦手意識」が生まれていた
- 集合研修などのインプットに比べ、アウトプットの機会が極端に限られていた
- 対人のグループロープレでは、緊張で実力を発揮できず、客観的な評価を得にくかった
- 将来的に外為営業が必要になる営業員が、自信を持って前向きに取り組める環境が求められていた
導入の決め手
- 「AIロープレ 外為」で情報収集する中でエクサベース ロープレの記事を見つけ、抱えていた課題に合致すると判断
- 外為取引の機会が限られる中でも「いつでも・どこでも・1人で」アウトプットを強化できる点
- 外為ならではのヒアリング(海外商流・金流、貿易書類の確認等)を客観的に採点できる点
- 作りたいシナリオが明確にあり、エクサベース ロープレはプロンプトを何度でも修正・改善できる自由度が高かった点
効果
- 導入から約1年後、エクサウィザーズ協力のもとROI検証(利用店舗と非利用店舗の商談件数・収益を比較)を実施し、利用店舗の収益が大幅に増加したことを確認
- 「商談件数は減少したが収益は増加」=1回の商談で聞くべきことを漏れなくヒアリングでき、商談の質・効率が向上したと考えられる
- 為替予約を初めて提案する若手営業社員が、AIロープレでの事前練習によりお客様の信頼を得て成約に至った
- アンケートで「初めての商品も自信を持って提案でき、お客様から『よく分かった』と感謝された」という声
本文
90周年を迎え、「DXからAXへ」。中小企業の海外展開を支える商工中金の国際業務
──まずは御社の事業と、おふたりの役割を教えてください。
当金庫は創立90周年を迎えた、中小企業専門の金融機関です。PURPOSE「企業の未来を支えていく。日本を変化につよくする。」を掲げており、日本の中小企業の未来を支えていくことを使命としています。全国47都道府県に拠点を設けており、海外にも米国・ニューヨーク支店のほか、香港・上海・バンコク・ハノイに駐在員事務所を構えています。中小企業のお客様は全国で約12万社にのぼり、融資にとどまらず、事業承継やM&A、投資銀行的な分野、さらには海外展開の支援まで幅広く手がけています。2025年に民営化されましたが、中小企業のお客様を支えるという使命は変わりません。
DXの取り組みとしては、今年3月に「長期戦略・変革プラン」を公表し、変革に向けた取組みの一つとして「DXからAXへ」という方針を打ち出しました。約12万社のお客様との取引を通じて積み重ねてきた膨大なデータを、いかにAIの力で一元化し、中小企業のお客様への価値創造につなげるか。これを10年後を見据えた長期戦略として掲げています。社内的にもCopilotの活用をはじめ、AIを活用した業務プロセスの構築に取り組み始めているところです。
私は、国際業務企画グループのマネジメントを担っています。国際業務における規定・商品、システムインフラ、人材育成、そして先ほどの長期戦略の実行までを管掌しています。国際部は私たちの所属するグループのほか、「貿易投資支援センター(お客様のサポート)」「国際総合戦略グループ(海外拠点戦略)」の3グループで構成され、部として約30名、国際業務全体では海外を含め約50名の体制です。
私は国際部で、貿易関連の商品担当や中小企業向けの外為営業を行っています。営業店の担当者と同行する際は、営業店だけでは踏み込みにくい実務的な貿易の話をサポートし、あわせて営業店向けの研修も実施しています。特に力を入れているのが営業店における国際業務の人材育成で、その一環として、昨年エクサウィザーズ様のAIロープレ「エクサベース ロープレ」を導入いたしました。

店舗ごとに開く「外為経験の差」。アウトプット不足が苦手意識を生んでいた
──導入前は、どのような課題を抱えていたのですか?
外為の営業を推進していく中で、どうしても課題がありました。一つは、アウトプットの機会が限られていたことです。年に数回、集合研修という形で国際業務を学ぶ機会はありましたが、インプット中心の研修に比べると、実際に口に出して練習するアウトプットの機会はどうしても少なくなってしまいます。ロープレをグループで行うこともありましたが、大人数の前に立つことが苦手な方は十分に実力を発揮できず、客観的な評価も得にくいという実態がありました。
さらに、当金庫は全国に店舗があるため、地域によって外為マーケットの規模が大きく異なります。担当するお客様に外為取引をしている企業がいなければ、そもそも経験を積む機会がありません。その結果、社員ごとに「経験の差」が生まれ、「苦手意識」にもつながってしまっていました。しかし、今バックオフィスにいる方も含め、今後は外為営業が必要になる場面が出てきます。そうした方々に、自信を持って前向きに外為営業へ取り組んでもらうにはどうすればよいか。そう考えたときに、「いつでもどこでもアウトプットの強化ができる」AIロープレがぴったりだと考え、導入を決定しました。
──数あるツールの中で、エクサベース ロープレを選んだ決め手は何でしたか?
人材育成の方法を模索する中で、いろいろと検索していた時に、エクサベース ロープレの記事を拝見しました。「まさにこの課題に一致するのではないか」と感じ、すぐに問い合わせをしました。
実際に初めてエクサベース ロープレを使わせていただいたときは、正直「もう少しロボットのような感じなのかな」と思っていたのですが、会話を始めてみるとトントンと自然に進み、これなら実践に基づいた練習ができると感じました。そして何より、プロンプトをいくらでも修正できる点が魅力でした。作りたいシナリオが明確に決まっていたので、「これなら実現できる」と確信しました。外為ならではのヒアリング内容、たとえば海外取引の状況や貿易書類の確認といった細かな営業の観点まで客観的に採点できるので、特に外為に向いているツールだと感じています。

アイスブレイクからクロージングまで。「社長と話しているようなリアルさ」を追求したシナリオ設計
──シナリオづくりで、一番こだわったのはどこでしたか?
シナリオの設計です。もともと決まったフォーマットがあったわけではなく、商品向けの資料を土台に、一から作り上げていきました。よりリアルに、本当に社長とロールプレイをしているような形にしなければ使ってもらえないと考えましたので、アイスブレイクから始まり、海外取引の内容のヒアリング、それに合った海外商品の提案、商品説明、最後のクロージングまで、営業のプロセスが一連で網羅されるようにプロンプトを調整しました。
加えて、社長役アバターの裏設定にもこだわりました。たとえば「今後、中国や韓国に進出しようとしているがこういう悩みがある」「為替については今後円安になると思っている」といった緻密な情報を設定することで、よりリアルなロープレになるよう工夫しています。この裏設定は約2,000字にのぼりますが、アバターの挙動を制御しようとすると、ルールベースに近い形で細かく設定しないと不自然な動きが増えてしまうため、この形に行き着きました。

──面談の“流れ”は、もともと宮腰さんの中にあったものなのでしょうか?
研修ではどうしても一問一答になりがちですが、実際の面談は「このような流れになれば、こうした質問が来るため、このように切り返す」という連続で成り立っています。これは面談経験がなければ作成できません。外為商品は、商品ごとに話すべきことが異なります。ヒアリングは基本的に共通していても、輸入と輸出では提案すべき内容がまったく違うため、商品ごとにシナリオを分けて作成しています。会話は「必ず為替の話ができるかというところから入る」といったように、冒頭の流れも固定しました。こうした暗黙知を形式知として整理できたことは、大きな成果だったと感じています。
※作成したシナリオテーマの一例
| 項目 | シナリオテーマ |
|---|---|
| 外為商品 | 為替予約の提案(初級) |
| 外為商品 | 為替予約の提案(中級) |
| 外為商品 | 貿易商流・金流ヒアリング |
| 外為商品 | 送金説明 |
| 外為商品 | 輸入L/C説明 |
| クーポンスワップ | クーポンスワップニーズヒアリング提案(初級) |
| マネロン対応 | 外国送金の相談対応 |
| マネロン対応 | 外為商流ヒアリング(外為KYC作成) |
──シナリオの改善は、どのように進めたのでしょうか?
最初のシナリオでは、アイスブレイクからクロージングまで、一連の流れで会話がスムーズに進むようにプロンプトを作るのが非常に大変でした。ただ、エクサベース ロープレの優れた点は、プロンプトの調整がすぐにでき、それがリアルタイムに反映されることです。初期シナリオのリリースした後、数ヶ月でユーザーテストを実施し、現場からいただいた要望をすぐにプロンプトへ反映して改善を繰り返しました。現在は、国際業務関連の3部署で展開しています。
「強制しない」自己啓発ツール。若手をハブに、現場発で広がった
──自己啓発ツールとのことですが、現場にはどう浸透させたのですか?
このAIロープレは自己啓発の一環としてリリースしましたので、業務時間外でも私用の端末を使って練習できるよう環境を整えました。一方で、当初はなかなか使ってもらえず苦戦もしました。そこで、営業店と共同で「AIロープレイベント」を企画し、国際部の社員が営業店に伺い、その場で営業店の社員の皆さんにもツールを体験してもらいました。
あわせて、新しいシナリオをリリースする際は、約300人が参加するTeamsのグループチャットで毎回案内しています。特に最近はバックオフィスから営業に転換する方が増えており、そうした方々は営業経験が少ないため、ぜひこのツールで練習してほしいと呼びかけています。なお、シナリオは数ヶ月に1回程度のペースで追加しています。
こうした取り組みを続ける中で、現場発の広がりも生まれてきました。営業店の中には「外為チーム」を設けている店舗があり、そうした店舗では、若手の社員が中心となってAIロープレ イベントを企画し、周囲に声をかけてくれるケースが多く見られました。
「商談件数は減っても、1商談あたりの収益は+63%」ーROI検証が証明した“商談の質”
──今回、丁寧に効果検証をされたと伺いました。どのような設計で進めたのですか?
先行導入という形でスタートしたため、今後拡大するかどうかを判断するには、どれだけ成果が出ているかを検証する必要がありました。そこで今回、エクサウィザーズ様にご協力いただき、ROI(投資対効果)の効果検証を実施しました。
営業活動である以上、お客様の課題解決や成長支援を通じて、最終的にはその対価である収益が伸びているかが非常に大切です。予測として「外為の商談が増えるのではないか」と考え、最終的には収益向上につながるはずだと見立てました。そこで「商談件数」と「外為収益(手数料・売買益・利息など)」の2つの軸で成果を測ることにしました。検証にあたっては、公平に比較できるよう、店舗規模や属性が似通ったAIロープレの利用店舗と非利用店舗をそれぞれ抽出し、導入前と導入後の実績を突き合わせています。
──検証の結果、どのような成果が現れましたか?
AIロープレの利用店舗では外為収益が+39%と大幅に増加した一方、非利用店舗は−3%と横ばいで、利用の有無で対照的な結果になりました。特に興味深かったのが、商談回数はむしろ15%減少していたという点です。それにもかかわらず収益は伸びており、1商談あたりの平均収益は+63%に達しました。様々な要因が影響していますが、これはおそらく、1つの商談の中で聞くべきことを漏れなくヒアリングできたことで、商談の「量」ではなく「質」が高まった結果だと考えています。

さらに、シナリオ単位でも成果が見えました。為替予約の提案シナリオをクリアした担当者は収益が+301%と大きく伸び、クリアしていない担当者とは明確に差がつきました。ロープレでの練習量と実際の収益がしっかり結びついていることが確認できました。

※本検証は、属性の近い利用店舗・非利用店舗を抽出して比較したものです。記載の収益増分はいずれも分析対象店舗ベースで算出しています。
苦手な人は「自信」を、経験者は「気づき」を。効果は現場でも実感されている
──数字だけでなく、現場の反応はいかがでしたか?
外為営業に苦手意識を持っていた人と、ある程度得意な人とで、感想が違っていました。もともと経験があまりなかった方は、これから為替営業をするというタイミングで活用し、何を言うべきかというところからインプットして練習できたため、滞りなく営業に臨めていました。一方で、外為営業をしてきた経験者は、逆に自分に不足していた商品知識や、面談で話すべき内容が可視化され、改めて気づきを得ることができました。
AIロープレイベントでも印象的な声がありました。ある社員は「外為営業を頑張ってきて自信があったのに、思った以上に点数が低かった。よく結果を見ると、商品説明で説明しなければいけないところがいくつか抜けていたと改めて分かった」と話してくれました。苦手な人はもちろん、これまで経験を積んできた人にも効果があるツールなのだと、イベントを通じて実感しました。
利用者へのアンケートでも、こうした手応えは数字に表れています。「失敗を恐れず繰り返し練習できる」という項目には約75%が、「自信を持って臨めるようになった」には約67%が肯定的に回答しました。さらに「商談ですぐ活用できた」という声も4割を超えており、練習で得た力が実際の商談へと着実に転移し始めています。
やってよかったと最も感じたのは、為替予約を初めて提案する若手の社員が、実際にエクサベース ロープレを使って提案前に何度か練習した結果、当日も必要なヒアリングや商品説明をきちんと行うことができ、お客様からの信頼を得て成約まで繋がったことです。「初めての商品でも自信を持って提案でき、お客様からも『よく分かった』とありがたい声をいただけた」という声も寄せられており、本当に嬉しく思っています。
──責任者の立場からは、どのような価値を感じていますか?
外為の世界は、1件あたりの収益額はそれほど大きくないものの、後年度に亘って永続的に寄与する領域です。そのため目に見える効果はこれから出てくる部分もありますが、今回のROI検証で明確な成果が確認できたことは大きな自信になりました。このAIロープレを使うことで、外為の提案ができる人材を数多くで育てられると考えています。
目指すは「どこに異動しても外為に前向きになれる」全店・全国への拡大
──今後は、どのように活用を広げていきたいですか?
現在は外為マーケットの大きい店舗8店舗に導入していますが、今後は外為マーケットがあまり大きくない店舗も含め、全営業店へ展開していきます。そこにいる方々も、今後外為マーケットの大きい店舗へ異動になることを見据えると、どんな場所に行っても外為に前向きに取り組めるマインドを醸成することが大切です。そのために拡大していきたいと考えています。
現在は国際、外為系、そしてマネーロンダリング防止というコンプライアンスの観点から、当部を含めて3部署でエクサベース ロープレを展開しています。全社展開をきっかけに他部署が「使いたい」となれば、他の商材でも本格的に横展開していく形になると考えています。今回のROI検証で良好な結果が得られましたので、引き続きAIロープレを活用し、外為の営業力・交渉力をさらに伸ばして、国際業務の基盤を拡大していきたいと考えています。
これから導入を検討する金融機関の方へ
本事例から見えてくる、エクサベース ロープレ活用を成功させるポイントは次の3点です。ぜひ参考にしてみてください。
1. 営業プロセスを「一連の流れ」で設計する
アイスブレイクからクロージングまでを網羅し、社長役アバターに緻密な裏設定を持たせることで、現場が「本当に使いたい」と思えるリアルな擬似面談が実現する。プロンプトを即時修正・改善できるエクサベース ロープレの強みを生かし、ユーザーの声を反映し続けることが定着の鍵。
2. 「強制しない」からこそ、現場の巻き込みを設計する
自己啓発ツールとして位置づけつつ、ロープレイベントやTeamsでの継続発信を通じて、若手をハブに現場へ自然に広げていく。年齢による差よりも、主体的に取り組むかどうかが成果を分ける。
3. 効果は「収益」で実証する
CRMデータとAIロープレの利用状況を紐づけ、利用店舗と非利用店舗を比較するROI検証を実施。「商談件数は減っても収益は増える」という結果は、商談の質・効率が高まったことの証左であり、全国展開を後押しする客観的な根拠となる。

