RAGを導入した企業の事例を教えてください。活用用途(例:社内ナレッジ検索、問い合わせ対応など)や参照データに加え、導入時に陥りやすい失敗や、精度を高めて運用するためのポイントについても知りたいです。
この質問の回答者
RAG(検索拡張生成)とは、生成AIに自社の規程やマニュアルといった独自のデータを読み込ませて回答させる仕組みです。一般的な生成AIでは対応できない社内特有のルールや最新情報に基づいた回答が可能になるため、社内ナレッジ検索や問い合わせ対応の効率化に広く活用されています。
ただし、「データを入れるだけで賢くなる」というわけではなく、実運用を成功させるには、先行する企業の事例を参考にしつつ、適切なデータ整備と運用設計を行うことが重要です。
■RAGを活用した大幅な業務削減と人材育成の成功事例
RAGを活用して成果を上げている企業では、「社内文書の検索」や「若手へのナレッジ共有」といった明確な課題に対してアプローチしています。具体的な導入成果として、以下の3社の事例が挙げられます。
- イオン様:グループ全業態の約1,000名を対象に導入し、膨大な社内資料をRAGで読み込ませることで検索の利便性を飛躍的に高めました。これにより、トップユーザーは月間約130時間もの業務削減を実現しています。
- ファミリーマート様:店舗経営を支援するSV(スーパーバイザー)から本部への問い合わせ対応や、社員教育資料の作成などに活用しています。RAGの活用やプロンプトの改善を通じて、関連業務の時間を最大50%削減することに成功しました。
- フジテックス様:営業改革の一環として導入し、習得まで10年かかるといわれるベテランの営業スキルや商材・事例情報をAIに蓄積させました。これにより、新人営業の圧倒的な即戦力化を実現しています。
■導入時の課題:AIが読み取れないデータ形式と情報の鮮度
こうした成功事例がある一方で、導入時に直面しやすい課題が「期待した検索精度が出ない」という問題です。これには主に2つの要因があります。
1つ目は「データ形式の壁」です。印刷を前提とした複雑なレイアウトのPDFや、図表が入り組んだ独自のフォーマットは、AIが文書の構造を正しく理解できません。
2つ目は「古い情報の混在」です。過去の文書が整理されずに残っていると、AIが最新情報と誤認して事実と異なる回答をしてしまうリスクがあります。
これらをそのままRAGに読み込ませても精度は上がらないため、AIが探しやすくなるようにテキスト情報を整理する「前処理」や、常に最新のデータを参照させる運用ルールが不可欠です。
■高度な課題解決事例:「RAG Ops」の活用
実際にエクサウィザーズが支援した企業様の事例でも、この「データ形式の壁」に直面しました。
社員からの総務関連の問い合わせ対応を効率化するためにRAGの導入を試みましたが、社内規程の文書量が膨大かつ、AIが読み取りづらい印刷前提の独自フォーマットが多数存在したため、一般的なRAGツールをそのまま入れるだけでは全く機能しなかったのです。
そこで、専任エンジニアが入り、独自の文書構造に合わせたデータの前処理や検索の仕組みをフルカスタマイズで構築する「RAG Ops(ラグオプス)」という手法を採用しました。緻密な データ整備とチューニングを徹底した結果、複雑な社内文書からでも正確な回答を引き出せるようになり、実業務に耐えうる精度を実現しています。
■精度を高めるポイント:検索範囲の分割と厳密な権限管理
実務で使える回答スピードと精度を出すためには、1つの大きなフォルダに全社の資料を詰め込む運用は避けるべきです。部門や用途ごとに細かくフォルダを分割し、1回の検索対象を適正なファイル数に絞り込めるように事前にワークフローを整理することが重要です。
あわせて、社内データを扱う以上、「部署Aの機密情報が部署Bに見えてしまう」といった事態を防ぐため、所属グループごとに参照できるデータを細かく制御できるアクセス権限の管理体制も欠かせない要件となります。
法人向け生成AIサービス「exaBase 生成AI」は、複数の最新モデルを用途別に使い分けられるだけでなく、安全なRAG構築、利用ログ管理、アクセス制御、業務削減時間の可視化機能(ダッシュボード)を備えています。
さらに、国内でのデータ処理やISMS認証取得といった強固なセキュリティ環境に加え、レベル別研修や継続的なサポート(内製化支援など)も充実しているため、現場活用と管理・統制を両立しやすいサービスです。また、標準機能では対応が難しい複雑な社内文書に対しては、専任エンジニアが個別に入る「RAG Ops」による高度な構築支援も提供しています。
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