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Metaのメタバース超応援 ニュースダイジェスト11-1-22

公開日
2022.11.01
更新日
2026.06.17
Metaのメタバース超応援 ニュースダイジェスト11-1-22

◎Metaにはリスペクトしかない

Meta社のメタバース事業が難航しているようで、ザッカーバーグを批判する記事を多く目にするようになってきた。

新しいテックベンチャーに関し、「何が成功するのかは分からないが、何が失敗するのかは分かる」という話を投資家の間でよく耳にする。僕もこれまで数多くのテックベンチャーを見てきて、本当にそうだと思う。Twitterやインスタグラムがここまで成功することを僕は予想できなかった。まだ数十人のベンチャーだったインスタグラムをFacebookが10億ドルで買収したときは、本当にびっくりしたものだ。

逆に失敗する取り組みは分かる。僕が幾つかの日本企業のメタバース事業が失敗すると言っているのは、その姿勢が中途半端だからだ。メタバースが話題だから「うちでも何かしろ」という経営者。経営者から言われたので仕方なくテック企業に相談する担当者。お金を貰えるので断らず、月並みなメタバース事業を薦めるテック企業。全員が無責任で中途半端。成功するはずがない。

一方で、大企業でありながらベンチャー並みに大きなリスクを取っているザッカーバーグ氏。成功するのかどうかは僕には分からない。でもその姿勢にはリスペクトしかない。批判するのは的外れだと思う。

◎現世からメタバースに逃げても

現世が苦しくてメタバースに逃げ込む人たち。しかしやがてそこにも苦しみがあることに気づくだろう。苦しみから逃れるには、現世こそがメタバースであることに気づくしかないと思う。

◎Web3のスラング辞書

僕は英語ができる。と公言している。

なぜ謙遜せずにそう言ってるのかと言うと、アメリカに20年も住んでいたのに、英語ができないって謙遜するのはかえって不自然だから。20年も住んでいたことを知ってもらえれば、英語ができると言っても嫌味にならないのではないかと思っている。

もう1つの理由は、自分で英語ができないと思うと本当にできなくなるから。「自分は英語ができるんだ」と自分で信じ込めば自信を持って堂々と話ができる。自信を持って堂々と話したほうが、相手に伝わる。相手に伝われば、それが自信につながる。好循環だ。逆に自分に自信が持てないと悪循環に陥るので、英語の習得速度が大幅に落ちる。

この2つの理由で、僕は英語がペラペラです、と公言している。

でも実際のところ帰国してから20年。頭の中は日本語だらけだし、英語を話す機会も限られている。自分の英語が錆び付いてきていることを実感する。特に最近のスラングはさっぱり分からない。

ところがWeb3の世界ってスラングだらけ。分からない単語が出るたびにネットで調べるのだけれど、普通の辞書ではまったく役に立たない。そんな中、このサイトはすばらしい。僕が知らないようなフレーズだらけ。Web3の世界を英語でサーフィンしたい人には最適の辞書になっている。

Web3の世界は、多分Google翻訳やDeepLなどの自動翻訳では役に立たないと思う。Web3が広がっていけば、

英語ができることは何かと有利になると思う。英語を諦めていない人、このまま諦めないでください。そんな人には、このサイトがおすすめです。

https://eigoslang.com/category/slang/

◎分散型ライドシャアがウーバーに対抗

Uberの元幹部社員などが立ち上げたDecentralized Engineering Corporationが分散型ライドシャアTeleportを発表した。

Uberという事業者の中抜きをすることで、利用者にはより安く、運転手にはより儲かる仕組みを作るらしい。

こうした金銭的メリットが出るためには、相当に大きなサービスに成長する必要がると思う。大きなサービスになればAIを利用することで、より便利になるから。小さなサービスのままなら、Uberのような事業者が経営したほうが効率がいいだろうから。

運転手がトークンを保持することでこのサービスのオーナーとしての自覚が生まれ、より積極的に働くようになる、というメリットもあるかも。知らんけど。

この間、登壇したパネル討論会で、渡辺創太さんが「Web3はWeb2の敵ではありません」って語ってたけど、僕は敵になる可能性もあるように思う。

https://www.theblock.co/post/180029/former-uber-employees-back-new-startup-raising-9-million-to-decentralize-ridesharing

◎ OpenSeaの終わりの始まり?

Board Ape Yacht Clubでお馴染みのYuga Labが自分たちのNFTのマーケットプレイスを11月にオープンすべく開発を進めているらしい。もともとブランド力があるのだから、別にOpenseaに2.5%の手数料を払ってNFTを取り扱ってもらわなくても、自分たちで売買できるということなんだろうな。

独自マーケットプレイスの手数料は0.25%で、その収益はDAOのトレジャリーに貯金されるらしい。

最近のコレクタブルNFTってブランド力のあるところしか勝ち残ってない。そういうところってどんどん独自のマーケットプレイスを作っていくんじゃないかな。

https://forum.apecoin.com/t/aip-98-a-community-first-apecoin-dao-marketplace-proposal/8079

◎初めて見た!セカンドライフとメタバースの違い

これまでVRやメタバースで大騒ぎしている人たちに「セカンドライフとの違いって何?」って質問してきた。「試してみたら分かりますよ」って言われて試してみても、今一つピンと来なかった。初めて体験する人には衝撃的かもしれないけど、何度も同じようなことを体験してきた僕のような職業の人間にとってみれば、何も物珍しさはなかった。

メタバースはいずれマスアダプションするのだろうとは思ってきたけど、それが今回のブームなのかというと、ちょっと違うように思っていた。今回のブームでは、ゲーム、訓練、教育などの領域では価値を出すだろうけど、それ以外の領域では物珍しさが薄れてくれば、セカンドライフやアメーバピグと同様に飽きられて終わるのだろうなって思っていた。

でもこのBoard Apes Yacht Club(BAYC)のメタバースを見たとき、これはひょっとするとゲーム、教育とは違うもう一つの領域で成功するかもしれないなって思った。どういう領域かと言うと、あえていえばSNS。いやSNSというよりコミュニティーというほうが近いかもしれない。クリプトの世界で財を築いた、新しいもの好きなお金持ちのコミュニティーだ。SNSは誰でも参加できるオープンなコミュニティーだけど、 BAYCは新しい物好きの大金持ちしか入れないコミュニティーで、クローズで、排他的。でもその排他性がコミュニティーの熱量を盛り上げている。まさに普通のことに飽きて(board)暇をもてあそぶお金持ちのクラブだ。

もう一つの特徴はやはり技術的進化。4500人がChromeブラウザで同時にアクセスしても遅延を起こさない環境って、恐らく2、3年前には無理だったと思う。2、3年前だと同時アクセスで遅延しない環境に参加できるのは百人程度ではなかっただろうか。100人集まるのと数千人集まるのでは、盛り上がり方が違うと思う。地方の市民ホールで開催されるライブと、武道館で開催されるライブでは盛り上がり方が違うのと同じことだ。

マスアダプションにはまだ少し遠いかもしれないが、ゲーム、教育に続く第3の用途として、選別されたメンバー向けの大規模イベント、というものも成立するのかもしれない。この動画を見てそんな風に思えた。

https://www.youtube.com/watch?v=s34wMcDyq6E&feature=share&si=ELPmzJkDCLju2KnD5oyZMQ

◎コンテンツ業界のWeb3化

Web2のコンテンツビジネスは広告ベースだった。広告ベースの事業では、プラットフォーマーは確実に儲かったが、クリエイターはなかなか儲からなかった。例外的にYouTubeは一部クリエイターが巨額の富を得るようになったが、大半のクリエイターはほとんど収益を得ることができず、別の収益源を探さなければならない状態だ。

別の収益源とは、オンラインサロンであったり、noteであったり、メルマガであったりするのだけど、最近はアメリカでsubstackというメルマガのようなサービスが人気らしい。大手報道機関を辞めたジャーナリストたちがsubstackで情報発信を始めており、コロナ禍でメディアやネット上の情報の信頼性が薄れる中で、広告主の影響を受けないジャーナリストの情報に注目が集まっているらしい。

substackは自ら広告媒体になるのではなく、参加するジャーナリストやライターのマネタイズを支援することで手数料を取るビジネスモデル。その証拠に、substackを辞めるときに、自分のメルマガの購読者のメールアドレスのリストを一括コピーして、別のサービスに持ち出すことが可能らしい。顧客リストは、プラットフォームのものではなく、クリエイターのものだという思想がWeb3っぽい。クリエイターに対する敬意を感じることができる。今の広告ベースのプラットフォームは、クリエイターを商品のように扱っているように感じる。事実そうなんだと思う。

こうした広告に頼らずクリエイター支援を重視するプラットフォームはWeb2の広告媒体から、Web3のファンコミュニティへの移行の橋渡し的存在なのだと思う。

いずれこうしたクリエイター支援ビジネスは、トークンベースになりDAOへと移行していくのだと思う。

これが未来なんだと思うんだけど、問題はWeb2のテック大手がこの未来に向けて自分たちのビジネスのあり方を変えることができるのかどうかということ。創業者がCEOだと大企業でも方向転換は可能だと思うけど、秀才の合議制を取っている大企業なら、たとえ未来が見えたとしても一時的に売上が減少するような手を打てるのかどうか。多分無理だろうなあ。

◎Web2は「Don’t be evil」、Web3は「cannot be evil」

Googleの社是は「we don’t do evil(悪いことはしない)」。それほど大きくなかったときはこの社是を守ることができた。でもGoogleが大きくなるにつれ、状況は変わってきた。米国防省のプロジェクトを支援することが、いいことなのか、悪いことなのか。判断は難しい。

Web3の世界観では、不変のルールがブロックチェーン上に書き込まれるので、悪いことができなくなる。これがWeb2とWeb3の大きな違い。

◎Web3のオピニオンリーダーの記事

今年3月のTime誌のビタリック・ブテリン氏の特集が無料で読めます。英語だけど。クリプトの現状がよくまとめられています。

この記事によると、ビタリックは本当に非中央集権の理想を追いかけているけど、クリプト業界の多くの人は理想と現実の中間を目指している感じ。中央集権的だけど、イーサリアムよりも速くて利用料が安いブロックチェーンの競合が幾つか出てきていて、イーサリアムがシャーディングという方法で計算量を削減しようとしている最中なんだけど、イーサリアムが早く結果を出さないと、多くの開発者は中央集権的なブロックチェーンを使う結果になりそうだとしている。

あと米国政府もWeb3をビジネス視点で利用しようとしているところもあり、ビテリックの理想とはかけ離れた形でWeb3が進む可能性がありそうだという。

やっぱりそこまで大きな価値観変化ってまだ起こっていないのかも。

それとビタリックはエルサルバドルがビットコインを法定通貨にしたことを快く思っていないらしい。ビットコインは成りすましに使われたり、価格の乱高下が激しいから。それに独裁政権が、反政府活動家を迫害するのにブロックチェーンを利用する可能性があるからという。

テクノロジーは諸刃の剣。いい結果も、悪い結果もうむ。ビタリック自身は、それでいいと思っている。いい結果を生むようにと善意で技術をコントロールすることが、悪い結果を生むことがあるから。大事なのは技術ではなく、それを使う人間。「より多くのいいことが生まれるように、使い手が気をつけて使うべきだ」と語っている。

https://time.com/6158182/vitalik-buterin-ethereum-profile/

著者
湯川鶴章

AI新聞 編集長

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。