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OpenAIのCodex800万人に急増=開発以外の利用増で

OpenAIのCodex800万人に急増=開発以外の利用増で

米OpenAIのAIコーディングツール「Codex」とナレッジワーカー向けエージェント機能「ChatGPT Work」の合計アクティブユーザーが800万人に到達した。同社Codex担当エンジニアリングリードのTibo Sottiaux氏が7月14日にX上で発表した。Codexの週間ユーザー数は今年2月時点で100万人に満たなかったが、7月9日の新モデル「GPT-5.6」投入を境に数日で一気に急増した。注目すべきは、その中身だ。利用者のうち100万人以上がソフトウェア開発以外の業務で使っている。AIコーディングツールはもはや開発者だけのものではなく、知識労働全般の道具へと変わり始めている。

成長のスピードは、エンタープライズ向けソフトウェアとしては異例だ。Codexの週間ユーザー数は今年2月時点で100万人未満。6月初旬に500万人に達し、そこから約1カ月足らずの7月9日、OpenAIは新モデル「GPT-5.6」を投入した。ここから曲線が跳ね上がる。7月12日に600万人、そのおよそ24時間後に700万人、週末には800万人を突破した。5カ月で8倍、しかも最後の300万人はわずか数日で積み上がった計算になる。

需要の爆発はOpenAIのインフラをも揺さぶっている。AIサービスでは、ユーザーが一斉に使い過ぎるとデータセンターの処理能力がパンクするため、各社は利用トークン数や利用時間に上限を設けている。OpenAIはこの利用上限について、GPT-5.6投入以降、かけては解除するという対応を繰り返しており、X上では「これで5回目だ」という声も上がる。さらに5時間ごとに利用量を区切る制限も一時的に撤廃した。CEOのSam Altman氏は「5.6 Solの成長は尋常ではない。推論チームが素晴らしい動きで需要を支えてくれた。今後も全力でインフラ増強を続けるが、近いうちに多少の混乱が生じる可能性はある」と投稿している。供給側が需要に追いつくのに必死、というのが実情のようだ。

⅕が開発以外の利用

急成長の中身を見ると、単なる開発者ツールの普及とは違う構図が浮かび上がる。OpenAIによると、6月初旬のCodexの週間ユーザー数500万人超のうち、100万人以上がソフトウェア開発以外の業務で利用している。資料作成やデータ分析、業務の自動化など、コードを書かない仕事にAIエージェントを使う層が急速に厚みを増しているわけだ。

OpenAIの製品戦略も、この層に照準を合わせている。同社はGPT-5.6投入と同時に、単体のCodexデスクトップアプリをChatGPTデスクトップアプリに統合し、ナレッジワーカー向けの新しいエージェントモード「ChatGPT Work」を立ち上げた。開発者向けに磨いてきたエージェント技術を、そのまま知識労働全般に開放する動きだ。AIコーディングツールはアーリーアダプターの段階を超え、日常業務の道具になり始めている。

数時間後に動いたAnthropic

この急成長は、競合であるAI企業の米Anthropicをも動かした。The New Stackによると、OpenAIがユーザー数700万人到達を発表した数時間後、AnthropicはフラッグシップモデルClaude Fable 5のプロモーション価格を7月19日まで延長し、AIコーディングツールClaude Codeの週間利用上限を50%引き上げた。同メディアは、両者の因果関係は分からないとしつつも、このタイミングの一致は憶測を呼ぶ余地が十分にあると指摘している。

AIコーディングの分野では、開発者からの評価でAnthropicが先行してきた。だが潮目は変わりつつあるようだ。GPT-5.6はAIモデルの人気投票サイトArenaのエージェント部門で2位に浮上しており、The New Stackは、開発者の間でOpenAIを再びこの分野の先頭と見る向きが増えていると伝えている

利用上限の緩和やプロモーション価格の延長といった「大盤振る舞い」の応酬は、両社がいまこの瞬間を勝負どころと見ていることの裏返しだ。Anthropicは公式のユーザー数を公表していないが、第三者の推計ではClaude Codeの週間ユーザー数は200万人超から400万人強とされる。ChatGPT Workとの合算とはいえ、Codexの800万人という数字は、これを上回った可能性があるのかもしれない。AIエージェントが知識労働の日常に入り込み始めた今、ユーザーは毎日の仕事でどのツールを使うのかをまさに選んでいる最中だ。一度慣れたツールからの乗り換えは起こりにくい。両社の攻防が激しさを増しているのは、そのためだ。

著者
湯川鶴章

AI新聞 編集長

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『生成AIで心が折れた』(2025年)、『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。