DX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が増加してきている昨今、アナログな業務が一般的であった農業や建設業、製造業でもデジタル化の波は進むなど、DXの文字を見ない日はないほどになっており、日本の企業はデジタル技術を活用した事業構造、組織構造の変革(DX)が求められています。
しかし、DX推進とはいうものの、具体的にどんな取り組みをしたらよいのか、有効なアプリやツールは何なのか分からない人も多いでしょう。そこでこの記事では、企業のDXを推進するためにおすすめのアプリやツールを紹介・解説しています。自社に合ったアプリを使って、DX推進の第一歩を踏み出してみましょう。
DXにおいてアプリ/ツールを活用する重要性
DXを推進する中で、アプリやツールを活用することにはどのような効果があるのでしょうか。アプリ開発やアプリ作成を考えている企業の方も、既存のアプリやツールを現場に導入しようと考えている方も、まずは導入するメリットから理解していきましょう。
新しいビジネスの創出やビジネスモデルの変革
DXとは最終的に企業が新規事業創出やビジネスモデルの変革を実現できるまでをさします。これからの企業競争に生き残るために、各社がデジタル技術を駆使したビジネスの創出に取り組んでいます。その過程でアプリやツールは重要になります。
例えば、2022年3月に発表されたみずほフィナンシャルグループと米グーグルとの提携では、各種取引情報や各アプリを活用して、顧客に最適化したコミュニケーションの実現や先進的な金融サービスの実現を目指しています。あくまでアプリやツールの導入はDXを達成するための一手段と理解して活用しましょう。
出典:『みずほフィナンシャルグループとGoogleのデジタルトランスフォーメーション分野における戦略的提携について』株式会社みずほフィナンシャルグループ 2022年3月23日
業務効率化・自動化
本格的にDXを進めるためには、企業文化の変革や従業員全体のスキルアップが必須です。しかし、日々の業務が忙しくて時間を捻出できないというケースも多いのではないでしょうか。
そこでDXの前段で、アナログなデータのデジタル化(デジタイゼーション)や、個別の業務・製造プロセスのデジタル化(デジタライゼーション)が必要になってきます。
アプリやツールを活用することでデジタイゼーションやデジタライゼーションが進み業務効率化・自動化が進みます。以下に業務効率化や自動化の例を記載します。
- オンラインツールの活用による業務効率化
サーバー上でデータ編集ができるクラウドツールを活用すれば、場所にとらわれずにオンラインで仕事を遂行できるようになります。これにより移動にかかる時間やコストを削減でき、書類の紛失といったリスクもなくせます。 - ルーティン業務の自動化
AI技術やRPA技術を活用すれば、今までは人の力で対処していたルーティン業務を自動化できます。上手く活用すれば今まで人の手でやっていた業務を全部自動化し24時間休まずにシステムで行うことができるのです。
出典:『報告書:デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査』 独立行政法人情報処理推進機構 2020年5月14日
今までできなかった業務・施策が可能に
アプリやツールを活用すると、例えば、IoT技術を用いてモノとインターネットをつなげることで、業務プロセスや製造プロセスの可視化ができます。また、得られたデータをビッグデータとしてまとめ、BIツールを使って分析・活用することも大切です。今までは経験と勘に頼っていた業務に、データによる根拠を与えることで、新たな施策・プロジェクトの立案につながります。
新しい顧客体験・従業員体験を生む
スマートフォンが普及した現代において、企業と顧客はインターネット上でさまざまな接点を持つようになりました。複数のチャンネルから膨大な情報を得る顧客に対して、従来とは異なるアプローチが必要になっています。MAツールを活用すれば、顧客が欲しい情報を欲しいタイミングで発信することができ、今までよりも1ランク上の体験を生み出せます。
また、従業員と顧客、従業員同士のコミュニケーションもアプリやツールで変えていくことが大切です。顧客からの問い合わせをチャットボットで対応したり、従業員同士がリモートでアバターを使ってやり取りしたりするなど、新しい体験につながります。
優秀な人材の確保
デジタル技術の著しい発達によって、世代間の「当たり前」は短期間の間に大きく変化しています。例えばデジタルネイティブと呼ばれる1990年代~2000年代に生まれた人々はインターネットがあるのが当たり前の世代となり、それ以前の世代の人々よりもデジタルツールの活用や働き方の変化に柔軟です。
そのため、旧世代のアナログな業務内容には抵抗を示す傾向があります。一方で、先進的なアプリやツールを入れて単純作業などを自動化し、人間がよりクリエイティブな業務を実施できている企業は、デジタルネイティブ世代からすると魅力的に見えるもの。DXへの取り組みは優秀な人材確保の要件にもなっています。
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DXに役立つアプリ/ツール一覧
ではここで、DXに役立つアプリ/ツールを一覧で紹介します。自社にあったツールを試してみてください。
活用部署 | カテゴリ | アプリ/ツール例 |
---|---|---|
全社 | RPA | BizRobo!、WinActor、UiPath |
オンラインストレージ | Google Drive、Dropbox、Microsoft OneDrive | |
業務改善プラットフォーム | kintone、TeamSpirit | |
Web会議システム | Zoom、Skype、Google Meet | |
バーチャルオフィス | Gather.Town、RISA、FAMoffice | |
ビジネスチャット | Slack、ChatWork、Teams、LINE Works | |
営業/マーケ | MAツール | Hubspot、Pardot、Marketo、SATORI |
SFAツール | Salesforce、Sales Cloud、Senses、kintone | |
CRM | Salesforce、kintone、Sansan | |
BIツール | Tableau、Looker Studio(旧 データポータル)、Domo、exaBase 予測・分析 | |
人事 | 労務管理 | SmartHR、ジョブカン |
育成・研修 | グロービス学び放題、Schoo、Udemy Business、Aidemy Business、exaBase DXアセスメント&ラーニング | |
エンゲージメント | WEVOX、TUNAG、モチベーションクラウド、ラフールサーベイ、Unipos、Geppo | |
タレントマネジメント | カオナビ、HRBrain、タレントパレット | |
採用 | HRMOS採用、HERP Hire、採用一括かんりくん | |
経理 | 会計 | マネーフォワードクラウド会計、freee会計 |
次にどのアプリ/ツールを選べばいいのか、選ぶときのポイントを紹介します。
DXアプリ/ツールを選ぶ際のポイント
実際にアプリやツールを導入する際には、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。コスト面や現場のニーズなど、考えるべきことは沢山ありますが、まずは下記のポイントに注目してみてください。
他のシステムとデータ連携できるか
一般的にアプリやツールはある特定の業務範囲を対象に開発されています。そのため、一つのツールを導入しただけでは、部分最適化に陥ってしまうことも考えられます。複数のツール同士を横断的に連携できれば、より良いDXを引き起こすことができるのです。
また、アプリやツールによるサービスを顧客へ提供する際に、顧客にも同じツールの導入が求められるようではサービスが広がりません。既存のシステムとも連携できるようなツールであることが必要です。ツールを選ぶときには、他のシステムとのデータ連携が可能かどうかを事前に確認しておくことがポイントです。
UI/UX
アプリやツールを導入するときには、効果だけではなくシステムを利用する社内ユーザーにも焦点を当てて検討することが大切です。使いにくいUI/UXのアプリでは、従業員に使ってもらえなかったり、逆に業務効率が低下したりする可能性があります。
導入前には、きちんとユーザーへのヒアリングを行っておくことが必要です。どんなに効果が高いツールであったとしても、体験版を小規模の人数で試してみてから導入に踏み切ることがおすすめです。また、ツール導入後には新しいUI/UXにスムーズに慣れるように、社内講習会やサポート窓口を設置し、心理的抵抗を減らす施策も並行して実施しましょう。
サポート体制
企業のDXを成功に導く上では、ツール導入時よりも運用状況のほうが重要になります。ツールを運用していく中では、新たな課題が次々と出てくるもの。これらの課題を解決できないようでは、長期的な導入の効果は得られません。
わからない点の対応や改善要望の反映など、導入後も継続的で手厚いサポートが得られるかどうかもツールを選ぶときのポイントです。また、自社からの質問に答えるだけではなく、新しい改善案を積極的に提案してくれる運営会社であれば心強いでしょう。
有名なアプリの中にはユーザーのコミュニティがありユーザー同士がアプリについて議論したり、お互いの質問に答えたりするものもあります。またアプリを活用するためのeラーニングや資格試験を自社で用意しているものもあります。
更新性
サポートと並んで運用時に大切なポイントが更新性です。現在は変化のスピードが速い時代です。導入当時は最新のツールだったとしても、更新されなければすぐに陳腐化してしまいます。アプリやツールを導入した端末のOSが更新された際にも、それに対応するためのアップデートが必要となります。
また、アプリやツールは必然的に企業の重要な情報を取り扱うことになります。万が一にも情報漏洩を引き起こさないように、最新のセキュリティー対策が反映されることも求められます。そのため、高い頻度でツールの機能追加・改善が行われているかどうかも大切なチェックポイントです。
まとめ
この記事では、DXを推進するためにアプリ/ツールを導入する重要性と選ぶときのポイントについてご紹介しました。業務効率化や新規事業の創出を求めて、多くの企業がアプリやツールを導入しています。また、ツール導入時には、他システムとの連携やUI/UX、サポートなどのポイントにこだわって選ぶことが大切です。