1. トップ
  2. トレンド
  3. 無料クリーンエネルギーの時代 ニュースダイジェスト1-28-2022

無料クリーンエネルギーの時代 ニュースダイジェスト1-28-2022

公開日
2022.01.28
更新日
2026.06.17
無料クリーンエネルギーの時代 ニュースダイジェスト1-28-2022

ここ最近、個人的に気になった世界のテクノロジー関連ニュースを集めました。この記事は、会員向けの限定公開記事です。未確認の情報や個人的見解を含みますので、一般公開はご遠慮ください。

◎無料クリーンエネルギーの時代は、本当に来るのか

Google中国支社の元支社長Kai-fu Lee氏「AI2041」という本の中で、同氏が「エネルギーは今後、無料でクリーンになる」と主張している。

それによると、太陽光エネルギーのコストは2010年からの10年間で82%減少しており、風力発電も同時期に46%減少しているという。同氏によると、太陽光と風力は既に、最も安価な電力源だという。ただ晴れの日や風の強い日でなければ、電力を供給できないという弱点がある。

一方で、リチウム電池のコストは87%減少。電気自動車の普及で量産され、さらに低下が見込まれている。つまり将来的には、太陽光発電、風力発電の余剰電力が低コストで貯蔵可能になるわけだ。

米シンクタンクRethinkXの試算によると「2030年までに2兆ドルの投資をすれば、米国の電力コストは現在の1/3の、1キロワット当たり3セントになる。2040年ごろには、それがさらに低下する」という。さらには「天気のいい日、風の強い日は、エネルギーが無料になる」と予測しているという。

この無料エネルギーを利用して、自動車のバッテリーチャージ、金属精製、ブロックチェーンのマイニング、AI創薬、工場操業など、本来エネルギーコストが大量にかかる産業のコストを削減できるという。

またこれまでコスト的に不可能だと思われていたことが可能になるわけで、その結果新たな産業が次々と生まれてくるだろうとLee氏は予測している。

といってもすべての国や地域でエネルギーが無料になるわけではなく、オーストラリアのように技術革新や投資に前向きな国から順に無料クリーンエネルギーの時代に入っていく、としている。

非常におもしろい主張だし、確かにクリーンエネルギーが無料になると産業構造が大きく変化しそうだが、本当にそんなことが可能なのだろうか。

シリコンバレーに住むハードウェアの専門家の友人に聞いてみた。

その友人によると、リチウムイオン電池は1997年にソニーが最初に商品化して今のレベルになるまでは25年かかっている。また今話題の全固体電池にしても2020年の商品化を目指して各社努力してきたが、まだ商品化できていない状態。確かに電気自動車への搭載でマーケットの拡大が期待されているものの、「量産と実用化はそれほど簡単ではなく、各社苦戦している」という。

また投資家の別の友人は「リチウムの価格がそろそろ高騰しそうな雲行き」だと指摘する。電気自動車への急転換がリチウムの価格を高騰させ、結局は電池価格を高騰させる結果になるのではないかと言う。

ほかの友人たちに聞いてみたところでも、2030年や2040年に、クリーンエネルギー無料の時代になるというのは少々楽観的過ぎだという意見が多かった。

長期傾向で見れば、エネルギーはクリーンで無料か低コストの方法に進んでいくのかもしれない。しかし、いつそうなるのかはまだまだ分からないように思う。Lee氏はAIの専門家なのでAIに関する未来予測は的確だと思うが、エネルギーや電池は専門領域ではないので今一つ説得力がないように感じた。

◎薬剤耐性が最大級の死因に

米ワシントン大学の研究チームの調査によると、2019年に薬物耐性で亡くなった人は120万人以上もいることがわかった。同チームによると、薬物耐性が、人類の最大の死因の1つになっているという。

薬物耐性とは、抗生物質などの薬を飲み続けることでウイルスなどが変異して薬への耐性を持ち、薬が効かないウイルスが増えていくこと。

早い段階で対応しないとコロナの次のパンデミックになるとしている。

医者によっては薬をいっぱい出す人がいるように思う。その方が儲かるからなのでは、と勘繰ってしまう。

儲かればいいという資本主義的な考え方を追求していると、大変なことになりそうだ。

情報ソース Antimicrobial resistance now a leading cause of death worldwide, study finds

◎どんな文章で3行に要約してくれるAI

「これはスゴい!」とTwitter上で絶賛されていたので、試してみた。長文要約AIのイライザダイジェスト。東大松尾研究室発のプロフェッショナル集団「ELYZA」が開発したらしい。

ちょうど3行くらいに要約できる内容の文章だったら、まあ使えるかなって感じ。「いやこの文書の要約は、少なくとも30行くらいは必要でしょ」というような文書だったら、3行に要約されれば、大事なところが全部抜け落ちちゃう感じ。当たり前か。

あとは元の文章が構成もしっかりしていて、分かりやすい文章である必要がある。何書いているのか分かりにくい文章を要約するのは、今のAIでは無理。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ちなみにここまでの文章を要約してもらうと、以下のような感じになった。

AIのイライザダイジェストが、どんな文章で3行に要約してくれる。東大松尾研究室発のプロフェッショナル集団「ELYZA」が開発した。3行くらいに要約できる内容の文章だったら、まあ使えるかなって感じ。」

https://www.digest.elyza.ai

Operaが世界初のブロックチェーンブラウザ開発へ

エンジニアとかの玄人好みのブラウザOpera。僕自身も何度か試したことはあるけど、すぐにやめてしまった。SafariやChromeで十分いいもん。

なので最近はあまりその名前を聞かなくなったけど、Web3タイプのブラウザを新しく開発するプロジェクトを立ち上げたと発表した。

新しいバズワード「Web3」の正体

Web3って、ブロックチェーン技術を使って、GoogleやAppleなどのテック大手に頼らない世界を作ろうという動き。Operaが開発を進めているのは、世界初の暗号ブラウザで、dApps(非中央集権アプリ)や、ブロックチェーンゲーム、メタバースポータルなどにスムーズにアクセスできるようになるという。

情報ソース Opera Releases Web3 Browser to Let Users Seamlessly Link Crypto Wallets to Blockchain Services

◎若返り研究所Altos Labs発足

山中伸弥京大教授の研究成果をベースに細胞の若返りプログラムを研究開発するAltos Labsが、30億ドルの投資を受けて発足した。

研究所は、米サンフランシスコ、サンディエゴ、英ケンブリッジに拠点を置き、日本の研究者とも共同で研究していくという。

若返りって、投資家の間では注目領域の1つ。いろんな若返り技術が開発されつつあるし、不死の時代って本当にくるのかもしれない。

今回のAltos Labsって、日本の研究が中心になるみたいで、すごいことだなって思うけど、一方で産業のフェーズで英米においしいところを持っていかれるんじゃないかなって感じもあるね。

情報ソース Altos Labs launches with the goal to transform medicine through cellular rejuvenation programming

もう既に不老不死の時代!?「あと10年で、寿命回避速度に入る」レイ・カーツワイル氏

◎次世代電池、量子電池でブレークスルー

夢の次世代電池として期待されていた量子電池で、ブレークスルーがあったもよう。オーストラリアのAdelaide大学がPoCデバイスの実験で成功したのだとか。

量子電池は技術的課題が多く、日本マイクロニクスは2020年に量子電池「バテナイス」の研究開発を中止している。

情報ソース QUANTUM BATTERY BREAKTHROUGH PAVES WAY FOR REVOLUTION IN ENERGY STORAGE

◎テスラボットは、「最強のAI開発プラットフォームに」

去年、テスラのAI Dayというイベントで、イーロン・マスク氏が人型ロボットの開発計画を発表した。自動運転車を作るのも、ロボットを作るのも、同じような技術、部品が必要なので、「テスラは最強のロボットメーカーになる」ってマスク氏が言ってた。

でもデモでは、人間がロボットの着ぐるみを着て、ロボットダンスを踊る、という笑えないプレゼンテーションだった。

この記事はテスラのAI部門の責任者をインタビューしたもので、プロジェクトは計画通りに進んでいるらしい。人間の背格好と動作で収集したデータを使うことで、より人間の感覚を理解するAIが開発できるようになるわけで、そういう意味でこの責任者が言う「最強のAI開発プラットフォームになる」というのは間違いないと思う。

情報ソース Tesla AI Director: ‘I believe ‘Tesla Bot’ is on track to become the most powerful AI development platform’

◎自分で動く外科ロボット

今の最先端の外科ロボットって、隣の部屋で外科医がモニターを見ながらロボットアームを操作するタイプ。このSmart Tissue Autonomous Robotは、自分の目(カメラ)で見て、どう処置するのかを判断して外科手術するらしい。

しかも人間がコントロールするよりも、正確。まあそうだろうなって思う。

情報ソース Experimental Robot Surgeon Can Operate Without Human Help

Metaもスーパーコンピューター開発競争に参入

Facebook改めMetaも、スーパーコンピューターの開発に乗り出したらしい。DeepFakeなどのフェイク情報を流す側と、それを見破る側の戦いは、コンピューティングパワーの戦いになる。何が正しい情報で何がフェイク情報を見分けるのは誰になるんだろう?国家?警察?司法?

まあテック大手になりそうかな。

情報ソース Meta leaps into the supercomputer game with its AI Research SuperCluster

◎スペア臓器の時代

再生医療を使って臓器を作っておくことができれば、どこかの臓器が悪くなってもスペアパーツを取り替える感じで、人間って永遠に生きるようになるんじゃないだろうか。そういう主張があるけど、今はどの程度までできるようになっているんだろうか。Petere Diamandis氏のブログで、現状をまとめていた。それによると、大別するとブタの臓器を使う方法と、人間の細胞を培養させる方法の2種類の取り組みがあるという。

①xenotransplantation(ゼノトランスパンテーション)

動物の臓器を人間に移植する方法。重度の火傷の患者にブタの皮膚と移植したり、ブタの心臓の弁を人間の心臓に移植するのって、もう既に行われている。

昨年秋には、ブタの腎臓を人間に移植したことがニュースになってたし、今年に入ってからはブタの心臓移植も成功している。

動物の臓器を人間に移植したら、拒絶反応を起こしそうなものなんだけど、なぜそれが可能かというと、ブタの臓器の遺伝子に人間の遺伝子を組み込んだから。

この分野に挑戦するスタートアップとしては、Revivicor社、eGenesis社があるらしい。

こうしたスタートアップは、健康な臓器を移植するだけではなく、将来的にはウイルスに感染しないような臓器を作ろうとしているという。

②biofabrication(バイオファブリケーション)

人間の細胞を培養して臓器を作る方法。自分の細胞だから拒絶される心配がない。先行するスタートアップはAdvanced Regenerative Manufacturing Insititue社。臓器を短期間で製造する産業インフラの構築を目指しているらしい。

既に7cmくらいの骨ー靭帯ー骨のパーツを42日間で作ったという。

次に目指しているのは子供の心臓を40日間で作ること。臨床試験は2024年を計画しているという。

普通にブタの臓器を移植するだけじゃなく、ウイルスに感染しないように臓器を進化させて、それを移植するって、すごい話。人類は、自分自身で進化の方向を決めていることになる。

また臓器製造産業のインフラを作ろうとしているという話も、すごい。産業になるんだ!


まあ確かに一大産業になるかもしれない。

情報ソース BACKUP ORGANS: A HEALTHCARE REVOLUTION

著者
湯川鶴章

AI新聞 編集長

AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。2017年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(2015年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(2007年)、『ネットは新聞を殺すのか』(2003年)などがある。趣味はヨガと瞑想。妻が美人なのが自慢。