SBT③関係性が分散型社会の魂になる
この原稿は、一般公開用の原稿の草稿のようなものです。一般公開用の原稿にする際に、多くの情報を削ぎ落とします。会員の皆様にはできるだけ多くの情報を提供したいと思いますので、草稿の段階で共有いたします。ですので、この原稿の一般公開はお控えください。
【SBT原稿その③】SBTとソウル
それではSBTの仕組みを詳しく見ていこう。SBTとは、その人の学歴、職歴、技能を示すようなデータだ。例えば、卒業証書や技能研修の修了証、社員証などの職歴データ、論文やブログ記事、アート作品などもSBT化できる。他人の卒業証書を手にしても、使い道がない。それが譲渡可能なNFTとは異なる点だ。
こうしたその人物のスキルや属性を表現できるSBTを格納したアプリを「Soul(ソウル、魂)」と呼ぶ。暗号通貨やNFTを格納するウォレットのようなアプリだ。
ソウルは1つである必要はない。多くの人は複数のペルソナ(人格)を持っているといわれる。〇〇会社の会社員としてのフォーマルなペルソナ、学生時代の友人たちの間で見せるカジュアルなペルソナ、配偶者に見せるペルソナ、親としてのペルソナ、といった具合に、普通は2、3個のペルソナを使い分けているのだと思う。
それと同様に一人の人間が複数個のソウルを持つことになるのだと思う。
複数個のソウルの必要性は十分に理解できる。実は私はアマゾンのアカウントを2個持っている。1個は仕事関係の書籍を購入するためのアカウント。もう1つは、それ以外の商品を購入するためのアカウント。趣味の本や生活用品、息子の漫画などは、こちらのアカウントで購入している。仕事用のアカウントでは仕事関連の本がレコメンドされてくる。読むべき本を探し出すのが本当に大変なので、レコメンド機能は本当にありがたい。非常に重宝している機能だ。
そのレコメンドに、息子の漫画や生活用品が混じり込んでほしくない。趣味の瞑想の本や仏教の本の購買記録データが混ざるとレコメンデーションの精度が落ちるような気がする。また確定申告のときも仕事用のアカウントで購入した本をすべて経費扱いできるので、アカウントを2つ持つのは本当に便利だ。
同様の理由で、私はソウルは複数持ちたいと思う。どんな本を読んで勉強しているかも、私の属性を示す重要なデータなのでSBTとしてソウルに格納しておきたい。
ソウルの中のSBTは基本的に一般に公開される。中には一般公開したくないSBTもあるだろう。それは「プログラム可能なプライバシー」という機能で対応できるようになっている。「プログラム可能なプライバシー」機能は後述する。
SBTの中には履歴書のように自分で作成するものもあるが、卒業証書や運転免許証、ファンクラブの会員証のように、他の人や組織が発行したものもある。SBTを発行した人や組織も、そのデータをSBTとして、自分たちのソウルの中に格納することになる。
関係性を持つソウル同士が同じSBTを持つので、片一方のSBTが間違って消去されたとしても、もう一方のソウルのSBTをベースに失われたSBTを復元できるわけだ。
またソウル自体が盗まれたとしても、関係性を持つすべてのソウルがそれぞれのSBTを復元すれば、盗まれたソウルを復元できることになる。
本人認証の手段としては、戸籍やマイナンバーといった国が発行するID番号をベースにすることも考えられるが、われわれが友人知人を認識する場合、戸籍やマイナンバーで認証しているわけではない。その人の仕事や社会での役割、自分との関係性などの属性データをベースに、その人を一つの人格として認識している。それが自然な認識方法だ。
国がそのような認識方法をとっていないのは、属性データを基にAさんとBさんの違いを認識できる仕組みがなかったから。マイナンバーという数字で国民を認識するしかないからだ。
しかしAI とSBTを使えば、個々の人格の違いを認識できるようになる。われわれは数字ではない。社会の関係性の中に存在する人格である。
今われわれは、関係性で社会を再定義するという時代変化の入口に立っているのかもしれない。
ではこのSBTを使ってどのようなことが可能になるのだろう。次の原稿からは具体例を挙げることで、SBTの可能性を探っていこう。