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物流DXの課題とポイントを最新事例と共に紹介!

物流DXとは、物流業界の企業において、デジタル技術を活用して製品やサービス、ビジネスモデルを変革し競争上の優位性を確立することです。

【ヤマト運輸DX事例】業務量予測の自動化で経営資源の最適化を実現
【ヤマト運輸DX事例】業務量予測の自動化で経営資源の最適化を実現

物流業界は、人手不足やトラックの積載効率の低下、再配達による非効率化といった課題が顕著になってきているのが現状です。そこで注目されているのが、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進です。

国土交通省でも具体的に物流業界の現状や課題について言及しており、DXをサプライチェーン最適化施策の柱の一つとして考えています。本記事では物流業界の全体像を踏まえた上で、RPAやIoTといったITを技術はじめ、DXの成功事例などを紹介してきます。

物流業界のDXにおける現状と課題

近年、運送業界は労働力不足が顕在化しています。国土交通省のデータでは、2019年の調査で、物流企業の約70%がトラックドライバーの「不足」や「やや不足」と回答しています。

また、新型コロナウイルス感染拡大により、EC市場の需要が急増。それに伴い、宅配便の配送需要は拡大を続け、ここ5年で市場は約1.5倍に拡大しています。

これにより、トラックの積載効率の低下や再配達による効作業率の低下が加速しているのが現状です。ここで、物流業界における各課題を深堀りし、DXの必要性や関連性について確認してみましょう。

出典:『最近の物流政策について』国土交通省 2021年1月22日

DXが進まない要因と成功させるためのポイント
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労働力不足

物流業界の労働力不足の原因として考えられる主な要因は、下記の4つです。

  • 労働環境の悪化
  • 業務時間が長い
  • 賃金が低い
  • 労働者の高齢化

物流業界に限ったことではありませんが、日本の少子高齢化は深刻な人手不足を招いており、日本全体で考えても事態は改善されているとはいえません。特に、物流業界では上記のような理由から、業界全体で労働力が不足しています。

主な原因として考えられているのが、労働時間の長さと、平均賃金の低さです。下記のデータを見てもわかるように、労働時間は、全産業平均より2割ほど長く、年間賃金は全産業平均より1〜2割低いという現状があります。こうした実情が、事態の悪化につながっているといわれています。

出典:『最近の物流政策について』国土交通省 2021年1月22日

また、ドライバーの高齢化も問題になっており、年齢構成が全産業平均と比較した場合、若年層の割合が平均より低く、高齢層の割合が平均より高いといった調査が出ています。

超高齢化社会が問題視されている昨今、現場・配送・事務などの業務において、AIやRPA、IoTといったデジタル技術を活用し、従業員が不足していても業務効率を上げられるシステムを構築していくことは重要なポイントとなります。

トラックの積載効率の低下

EC市場が拡大したことにより、個人宅への配送が増加しました。小口配送が増えたため、トラックの積載量が減少し、業務効率を下げてしまっているのも問題となっています。

営業用トラックの積載効率は、2019年には約40%まで低下。企業の利益やドライバーの不足を補うために必要なのはもちろんですが、トラックの利用最適化を図り排気ガスの排出を減らすといったSDGsに対する社会的な取り組みを満たす上でも、DXの推進が必要となっています。

再配達による非効率化

配送の課題は、再配達が増えて効率が悪くなってしまっているケースも挙げられています。実際に、国土交通省が2017年に開始したサンプル調査によると、宅配便の個数のうち約15%が再配達となっているというデータがあります。

宅配便の総数は2008年度が約32.1億個だったのに対し、2017年度は約42.5億個とここ10年で3割以上増加しているのが現状です。再配達の割合から考えて分かるように、再配達による非効率化はさまざまな観点から改善が求められている問題となっています。

出典:『宅配便の再配達率のサンプル調査について』国土交通省 2017年10月より開始

物流業界が実施するべきDX

ここまで、物流業界の抱える課題や問題点について言及してきました。ここからは、実際にDXを活用すると、どのように対処していけるのかについて考えていきます。

倉庫の空きスペース最適化

まずは、倉庫管理の最適化についてです。DXを推進することで、効率的な倉庫管理が行なえます。倉庫を一括管理するシステムをはじめ、ロボットを導入することで現場や事務作業のデジタル化を図ることができます。

また、商品や資材といった在庫管理の最適化も可能です。ピッキング作業の効率化などを含め、作業現場でもDXの効果は実感できるようになります。前述の通り、労働力の確保が難しい現代では、DXの推進は労働環境の改善に直結するといえます。

商品管理のデジタル化

次は、商品管理のデジタル化です。商品管理のデジタル化というと、エクセルで在庫管理をおこなったり、バーコードなどの二次元コードを活用したりする企業が多いかもしれません。

他にも電波や電磁波を利用してICタグの情報を非接触で読み書きする自動認識技術「RFID」の導入や、クラウドシステムの活用なども商品管理のデジタル化として挙げられます。これらを有効的に利用するのは、商品管理のデジタル化では有用な方法です。

業務の自動化

DXを推進することで、業務の自動化を図ることもできます。具体的には、下記のような点が挙げられます。

  • 輸送会社とのやりとりを完全自動化
  • 紙のやりとりを無くしシステムでシームレスに自動化する
  • AGV(自動搬送ロボット)の活用

まず考えられるのが、荷物の配送依頼や受付業務などの完全自動化です。荷主ごとに異なる方法や形式で受けるケースの場合、管理が難しくなり、人の手を介すのが主流となります。また、同時に紙のやりとりを減らすシステムを構築できれば、さらなる業務効率の改善が見込めます。

すでに運送業界の現場でAGV(自動搬送ロボット)を導入し、成果を上げている企業も多数存在します。デジタルリテラシーが必要なケースが多いですが、活用できれば大きなメリットを享受できるのがDXの特徴です。

顧客情報や配送情報のデータ化

顧客情報や配送情報をデータ化するのも、物流業界で率先して取り入れるべきDXのための施策の一つです。AIを活用し、顧客の不在情報や過去の配送履歴などをデータとして蓄積すれば、再配達を削減するのに役立つ効果が期待できます。

再配達の増加は、小口配送が増えた影響によりドライバーに直接負担を強いる大きな問題です。人材不足で悩まされる物流業界では、ドライバーの作業負担の軽減は重要な課題といえるでしょう。

納品書などの書類管理の効率化

従来は手書きで行っていた納品書や伝票をデジタルで一括管理する方法は、取り組む企業が多くなっているDXの一つです。書類管理の効率が上がるうえに場所も取らないため、わかりやすく効果を実感することができます。

また、受け取った納品書や伝票がアナログで書かれている場合にはOCRを活用することを検討しましょう。

OCRとは、Optical Character Reader(またはRecognition)の略で、日本語だと「光学文字認識」と呼ばれる技術のことです。OCRを使えば画像データのテキスト部分を認識し文字データに変換できるため、受け取った伝票や納品書をデジタル化できるようになります。

配送の効率化

近年、さまざまな分野でAIやIoTといったデジタル新技術が活用される中、物流分野でも利用が活発化しています。
具体的に以下のようなものがあります。

 

荷主とドライバーを繋げるプラットフォーム

CBcloud株式会社が運営するPickGoは、荷物を届けてほしい人と配送パートナーを繋ぐ配送プラットフォームです。

荷主とドライバーを直接つなげるためリアルタイムに必要な時に必要な数だけ配送することができ物流コストの削減が可能になります。また、同社では車両の位置情報や配送ステータスを取得し管理する動態管理の領域にもAIを活用し、管理者がオフィスにいながら現場の状況をリアルタイムで把握できるようなアプリも開発しています。

参考:『CBcloud、業界初ブロックチェーン技術を採用した動態管理サービス「イチマナ~AI動態管理~」を無料で提供開始』 2018年8月9日

 

配送計画の自動化

株式会社オプティマインドが開発する「Loogia」は、誰でも最適で高精度な配車計画・配送ルートを作成できる自動配車クラウドです。

組み合わせ最適化アルゴリズムと車両データを活用し「どの車両が、どの訪問先を、どの順番で訪問するのが最短ルートか」を算出します。人間では難しい高精度な配車計画を実現します。

参考:『物流革命2022』監修:角井亮一 日本経済新聞

 

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物流業界のDX事例

ここからは、物流業界のDXに対する取り組みについて、事例を踏まえながら紹介していきます。

ヤマトホールディングス株式会社

実施内容・成果

ヤマトホールディングス株式会社は、2020年7月から機械学習(Machine Learning)の技術を応用し、宅急便の集配を行う営業所における業務量予測の精度向上に取り組んでいます。また、経営の構造改革の中核にDXを位置づけており、グループ全体を通して抜本的な変革に取り組んでいます。

イノベーションの担当組織は「R&D“+D”」(Reserch&Development+Disruption)を掲げ、インパクトのある新規ビジネスモデルの構築を提言。例として、1000機規模の空飛ぶトラックと、1000台規模の自動走行トラックをシームレスにつなぐことを目指したビジョンが掲げられています。

また、ヤマトグループ横断のプラットフォーム「ヤマトデジタルプラットフォーム」を構築し、膨大なデータを経営資源として活用する「クロネコビッグデータ」にも取り組んでいます。

 

参考にしたいポイント・アクション

  • 経営層がコミットし、経営戦略やVISIONなどを発信しています。
  • DX組織の構築やDX人材の確保・育成など組織から変革しようとしています。

参考:『 Yamato Digital Transformation Project』ヤマトホールディングス株式会社

参考:『中期経営計画「One ヤマト 2023」説明資料 』ヤマトホールディングス

参考:『ヤマト運輸、MLOpsで経営リソースの最適配置を実現』エクサウィザーズ 2022年8月3日

 

SGホールディングス株式会社

実施内容・成果

SGホールディングスグループは、物流業界全体を領域としてトータルロジスティクスの機能を強化し、競争優位性を高めるソリューションを提供しています。

そこで活かされるDX施策は相互に連携しあい、ITにより単価や個数、原価、品質を含む、主要KPIの可視化を主軸とするデジタル基礎の進化を推進しています。

また、データとアルゴリズムを持つ企業と連携し、業務の効率化、顧客・同業連携によるプラットフォームサービスの拡充をメインとするサービスの強化に取り組んでいます。

それぞれの顧客をはじめ、同業・異業種のベンチャー、開発パートナーなどの多様なステークホルダーと連携を図り、オープンイノベーションを積極的に行える環境の構築や取り組みを加速・発展させるシステムができています。

 

参考にしたいポイント・アクション

  • 単なるデジタル化ではなく”イノベーション”を強く打ち出した戦略を策定しました。
  • DX戦略をロードマップに落とし込み発信しました。
  • ヒト・モノ・カネ・情報の観点、業務効率化とサービス強化の観点、組織体制の観点と網羅的に変革を推進しました。

参考: 『IR・ESG情報 DX戦略』 SGホールディングス

 

日本郵船株式会社

実施内容・成果

日本郵船株式会社は、グループ内の4つのラボやスタートアップ企業がタッグを組み、社外パートナーと新たな価値を共創しています。

具体的な施策としては、毎時の詳細な運行状態や燃費に関するデータを船陸間でタイムリーに共有可能にし、最適経済運行や省エネ運行を実現しています。

また、2,000におよぶチェック項目を電子タブレット入力にし、異常検知やデータ共有といった、乗組員の負担軽減につながる船内作業の効率化システムも導入しました。

異常を検知した場合に陸上の担当者へ通知し、機器異常に早期対応するためのシステム開発も進められています。

 

参考にしたいポイント・アクション

  • グループ内外の企業と連携し、業務を効率化するシステム・ツールを多く導入しました。
  • DXの一丁目一番地は「人の育成」とし、全社員対象のデジタル人財育成を推進しました。

参考: 『Digitalizationの取り組み』 日本郵船株式会社
参考:『日本郵船のDX推進の原動力は「人の育成」と「組織文化の変革」 』アシスト

 

日本通運株式会社

実施内容・成果

日本通運株式会社は、日本電気株式会社(NEC)とDXによる価値共創の業務提携を締結しており、短期から中長期まで幅広く視野に入れてDXに取り組んでいます。

これまで培ってきた物流ノウハウと、NECが有するAIやIoTといった最先端のデジタル技術などを活用し、社会課題の解決や持続可能な社会の実現に貢献することを掲げています。

短期的な目標に倉庫オペレーションの効率化・省力化・無人化、中長期的な目標に両社の新たな事業の発掘と創造の実施が挙げられています。2022年1月1日付で経済産業省が定めるDX認定に基づき、「DX認定事業者」の認定を受けるなど、具体的にその取り組みが認められています。

 

参考にしたいポイント・アクション

  • 短期的な取り組みとして「IoTを活用した倉庫オペレーションの効率化・省力化・無人化」を掲げ集中して推進しています。
  • 重点領域である電機・電子領域から推進し成功例を作り、半導体、自動車のサプライチェーンなどへの横展開を目指しています。

参考:『日本通運とNEC、DXによる価値共創に向けた業務提携契約を締結』 日本通運株式会社 2021年6月21日

株式会社日立物流

実施内容・成果

株式会社日立物流は、経済産業省が定める「DX認定事業者」としての認定を取得しました。同業他社とデジタル上に形成されたプラットフォームを共有し、シェアリングエコノミーの拠点として活用していく方針を掲げています。

情報をオープンにすることで可能となる業界内でのやりとりを大切にし、サプライチェーンの要となり得る物流業界を全体で支える仕組み化を推進しています。

得られた情報はAIなどにより分析、知識化を行い、サプライチェーン上の情報を一元管理・可視化し、課題解決にも役立てています。

社内向けDXとしては、業務効率化やデータ管理の一環となるシステム・データの集約・統合はもちろん、ボトムアップ強化のためのRPA導入推進、KPIの設定・管理によるDX分野でのPDCAサイクルの構築、代表執行役社長をDX推進する責任者として充当するなど、精力的にDXに取り組んでいます。

 

参考にしたいポイント・アクション

  • 代表執行役社長を実務執行総括責任者とし、社内のDXを推進するCDO(Chief Digital Officer)を選任するなど人や組織の観点からもDXを推進しています。

参考:『経営計画 DX戦略』株式会社日立物流

株式会社ヒサノ

実施内容・成果

株式会社ヒサノは、精密機器などの輸送事業をしており「働くことを幸せにつなげる」をモットーにDXを推進しています。DXの促進をビジネス変革のチャンスと捉え、人材採用から教育、業務改善、サービス向上にデータを役立てています。

取り組み内容としては、保有資源をデジタル技術とリンクさせた最適な物流の実現や、データに基づく業務プロセスの改善・標準化により、協力会社との連携や社内業務改善、ドライバーの能力向上といった要素を含む働き方改革の推進を実現しています。

 

参考にしたいポイント・アクション

  • 「経営企画」による全社横断機能強化をし、DX推進事務局を中心にDXを推進しています。

参考:『DX戦略』株式会社ヒサノ

まとめ

物流業界に限らず、DXはこれからの日本の経済を支えていく上で重要な役回りを果たしてくれます。本記事を読んで、物流業界でもDXを推進することでさまざまな課題解決に役立つのはおわかりいただけたと思います。

物流業界のDX事例は大規模なシステム導入などが多く初期コストがかかるものも多いので実施を検討する際は先行事例をよく調査してから準備して実行していきましょう。その代わり元々がアナログな業界のため実施効果はかなり大きなものになります。