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AIの性能でMetaが半年でGoogleを超える可能性=SemiAnalysis

公開日
2026.07.12
更新日
2026.07.14
AIの性能でMetaが半年でGoogleを超える可能性=SemiAnalysis

「最終的にOpenAIを超えるのはGoogleだ」ー。半年ほど前は、テクノロジーに詳しい人たちの間で、そういう意見が主流だった。しかし今はどうか。米調査会社の米SemiAnalysisは7月9日に発表したレポート「The Future of Meta Superintelligence: A 1 Year Progress Update(Metaの超知能の未来)」の中で、「最先端のAIは、ますますOpenAI対Anthropicの2強による一騎打ちの様相を呈している」との見方を示した。Googleについては「Gemini 3 ProやNano Bananaで一時は脚光を浴びたものの、その影は劇的に薄くなってきた」と厳しく評価している。

さらにSemiAnalysisは、GoogleではなくMetaがOpenAIとAnthropicに並ぶ可能性があるという主張を展開してきた。SemiAnalysisは、AI半導体やデータセンター投資の傾向を追うことでAI開発競争の行方を分析するという独特の手法で、高い評価を得るようになった新興の調査会社。最先端AIの開発競争では、MetaもGoogle同様に影が薄くなってきているはず。なぜSemiAnalysisは、GoogleではなくMetaが再浮上すると考えるのだろうか。レポートの中身を詳しくみてみよう。

注目すべきは今の性能よりも、開発体制

SemiAnalysisは、Metaの最新モデルの性能そのものを評価しているわけではない。SemiAnalysisによると、Metaが公開したMuse Sparkは、同時期に登場したDeepSeek v4 ProやKimi K2.6といったオープンモデルに、多くのベンチマークで後れを取っているという。Muse Spark 1.1についても、AIが複数の手順を自律的に進めるエージェント用途では、AnthropicのOpus 4.6や中国系モデルGLM 5.2と同程度との評価にとどまる。

それでもSemiAnalysisは、MetaがGoogleを超えてOpenAI、Anthropicに近づく可能性を指摘する。なぜなら現在のモデルの性能が低くても、モデル改善のための体制が整ってきたからだという。

実務データを社内で集めるMeta

Metaは従業員の画面やキーボード、マウス操作の記録をAI開発に活用しようとしていると報じられている(Metaは、プライバシーの観点からの反発を受けて一部操作記録の入手に関し一部、譲歩したが、全面的に禁止したわけではない)。SemiAnalysisは、この動きこそがMetaの新しい強みになるとしている。AIモデルの訓練は、大きく事前学習と事後学習に分けられる。事前学習は、文章やコードなどの膨大なデータから、言葉や知識のパターンを学ばせる段階だ。事後学習は、そこで学習したモデルを、人間の指示にうまく答えたり、特定の仕事を実行したりできるように、さらに調整する段階である。

事後学習に使われる手法の一つが強化学習だ。AIモデルに回答や作業を繰り返させ、その結果を評価し、より良い成果を出せるように学習させる。AIモデルは、与えられた評価の仕組みの中で、自ら試行錯誤を重ね、高い評価を得やすい回答や行動を身につけていく。最近は、AIの推論能力や仕事を実行する能力を高める方法として、この強化学習が注目されている。

この強化学習には、AIモデルに解かせる課題に加え、作業に必要なツールや、結果を評価する仕組みなどが必要になる。SemiAnalysisは、Metaが収集する従業員の画面やキーボード、マウス操作の記録を、こうした課題や評価環境の構築に活用できるとみている。

日々の業務記録を基にすれば、実際の仕事に近い課題を作りやすい。人間が仕事をどのように進め、どこで判断し、どの状態になれば作業が完了したといえるのか。SemiAnalysisは、そうした実務の過程を示すデータを大量に集められることが、Metaの新たな強みになると指摘している。

 

3000人のエンジニアが課題作成に回る

Metaは、AIモデルの改善に必要な訓練データを社内で作る新組織「Applied AI Engineering」を設けた。Wall Street Journalによると、同組織はMeta Superintelligence Labsと連携し、AIにタスクを実行させ、その結果をモデル開発に生かすという。

SemiAnalysisによると、約3000人のエンジニアが同組織で、強化学習用の課題や作業環境を作る。同社は、Metaの社内に、強化学習の訓練環境を開発するトップ級スタートアップが突然誕生したようなものだと表現している。

かつてAIの訓練データ作りには、画像へのラベル付けなど比較的単純な作業も多かった。しかし最先端モデル向けの強化学習では、モデルがどこで失敗するかを見極め、評価基準の抜け道を防ぎ、品質を保ったまま課題を増やすなど、高度な設計が求められる。

そのためAI大手は、質の高いコーディング課題1件の作成に5000ドル以上を支払うこともあるという。

Metaは、こうした高コストの訓練材料を社内で大規模に作る体制を整えようとしている。SemiAnalysisは、この体制こそが、まだ十分に評価されていないMetaの強みの1つだという。

計算資源と人材も大規模に集める

SemiAnalysisは、MetaがAI向けの1ギガワット超級クラスターを5つ同時に整備していると指摘している。SemiAnalysisは衛星からの写真データを元にデータセンター建設の現状を把握している。この領域が同社の得意分野の1つだ。

SemiAnalysisによると、既に一部が稼働しているオハイオ州のクラスター「Prometheus」に加え、ルイジアナ州の「Hyperion」、その他にもテキサス州エルパソ、アイオワ州、インディアナ州の大規模拠点を整備中だという。

SemiAnalysisの独自推計によると、こうしたクラスターの整備で、Metaは年内にもOpenAIとAnthropicを上回るAI計算資源を持つ可能性があるという。

なかでもHyperionでは、Metaが400メガワット級の建物を複数建設中で、合計1.5ギガワット相当のクラスターが誕生するという。またアイオワ州では、Metaが1ギガワット規模のデータセンター契約を結んだともしている。

人材面でも、Metaは大きく動いている。Scale AIへの143億ドルの「投資」を通じて、Scale AI創業者Alexandr Wang氏や、AIの安全性評価などを担う同社内の一部主要人材を取り込んだのに加え、OpenAI、Anthropic、Google、Thinking Machinesなどから研究者やエンジニアを多く採用しているという。

成功はまだ保証されていない

SemiAnalysisは、Metaがまだ出発点に近く、OpenAIやAnthropicに追いつける保証はないとする。それでも、データ、人材、計算資源を大規模にそろえ始めたことで、先頭グループに加わる可能性は見えてきた。次に浮上するのは、Googleか、Metaか。SemiAnalysisは、Metaがまだ出発点に近く、OpenAIやAnthropicに追いつける保証はないとする。それでも、データ、人材、計算資源を大規模にそろえ始めたことで、先頭グループに加わる可能性は見えてきた。次に浮上するのは、Googleか、Metaか。