AIに任せない仕事を決めよ Bill Gates氏が「人間専用領域」を提唱
米Microsoft共同創業者のBill Gates氏は8月26日、AIやロボットに任せず、人間だけが担う仕事をあらかじめ設けるべきだとの考えを示した。「Human Reserved(人間専用領域)」と名付け、AIによる急速な雇用の減少に社会が備えるよう求めた。
Gates氏は自身のウェブサイトで公開した論考で、「多くの仕事は永久に消える」と警告した。AIは人間の認知能力を代替できるため、過去の技術革新とは異なり、法律、顧客対応、医療、ソフトウェア、製造業など幅広い分野を短期間で変えるという。
人間専用領域は、機械でもできる仕事を、社会の判断で人間に残すという考え方だ。同氏は自然保護区を例に挙げ、「建物や道路を造ることはできるが、失うものが大きすぎるため、そうしない場所」に似ていると説明した。
具体例として挙げたのが介護や医療である。2020年にアルツハイマー病で亡くなった父親を介護した職員について、「その介護には、かけがえのない人間的なものがあった。ロボットにはできなかったし、させるべきでもなかった」と述べた。治療できない病気を患者に告知する仕事も、技術的にはロボットにできても、人間が担うべきだとした。
一方、教育や精神医療では、人間が責任者となり、AIを補助として使う形が考えられるという。人手不足が深刻な日本については、介護ロボットを積極的に受け入れる可能性があると指摘し、人間専用領域の範囲は国や地域によって異なるとの見方を示した。
Gates氏は、AIやロボットへの課税も改めて提案した。現在の税制は、人を雇うより機械に置き換える方が企業に有利になりやすいとして、課税によって自動化を緩やかにし、職業訓練や社会保障の財源を確保すべきだと主張した。
ただし、どの仕事を誰が人間専用に指定するのかなど、制度の具体像は示していない。同氏自身も「答えを持っていない問題が数多くある」と認め、政府、労働者、企業、教育・医療関係者などを交えた公開の議論を急ぐよう求めている。英The Guardianも報じた。