Anthropic、史上最大のIPOへ 調達1000億ドル超・時価2兆ドルを視野
米AI開発企業のAnthropicが、早ければ9月末から10月にかけての米国上場に向けて準備を加速させている。関係者の話として米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)などが伝えたところによると、調達額は1000億ドルを超え、企業価値は2兆ドル前後に達する可能性がある。実現すれば、今年6月に857億ドルを調達した米宇宙企業SpaceXを抜き、史上最大の新規株式公開(IPO)となる。
Anthropicは6月1日、米証券取引委員会(SEC)に上場申請書(様式S-1)の草案を非公開で提出したと発表した。発表文はSECの審査完了後に上場する選択肢を得る手続きだと位置づけ、発行株数も価格も未定だと説明するにとどめている。ライバルの米OpenAIも、その8日後に同様の非公開申請を明らかにした。
正式な目論見書は8月中にも公開される見通し。WSJによると、Anthropicは投資家向けの説明で、AIが将来担いうる業務をすべて取り込んだ場合の潜在市場規模を30兆ドル超と提示する構えだ。ただ、S&P1500に含まれる191のテクノロジー企業の昨年の売上高合計は約2兆4000億ドル。その12倍を超える規模となり、算定根拠には懐疑的な見方も出ている。
強気の背景にあるのは売上高の急伸だ。第1四半期の48億ドルに対し、第2四半期の速報値は115億ドルを超え、調整後営業損益は黒字に転じた(未監査)。年換算売上高(ランレート)は5月時点の470億ドルから7月末には650億ドルへ拡大し、投資家は年末までに1000億〜1200億ドルに達するとみる。5月のシリーズHでは650億ドルを調達して評価額が9650億ドルとなり、3月時点で8520億ドルだったOpenAIを初めて上回った。主幹事は米投資銀行のGoldman Sachs、Morgan Stanley、JPMorganの3社。
リスクも小さくない。CNBCによると、目論見書には「AIへの反発」が正式なリスク要因として明記される見通しだ。Anthropicは同社をサプライチェーン上のリスクと認定した米政府と係争中で、6月には主力モデルが一時的に輸出規制の対象になった(規制は6月30日に解除)。加えて、同社の最上位モデルの利用料金はOpenAIの主力製品の2.5倍以上で、AI予算を絞り始めた企業がより安価なモデルへ移る動きも出ている。中国勢の低価格モデルも競合として控える。
追う立場となったOpenAIは、上場時期を2027年に置く。同社CFOのSarah Friar氏は8月中旬の社内向け説明で、Anthropicが数週間以内に申請を公開して9月に上場する可能性に触れたうえで、「それで構わない。我々は我々のレースを走っている」と語った。
2社の上場は、生成AIの経済性が公開市場の監査に初めてさらされる場となる。私募市場でついた1兆ドル近い値札が、公開市場で通用するかどうか。答えは数週間後に出る。
主なソース
- Anthropic公式発表: https://www.anthropic.com/news/confidential-draft-s1-sec
- WSJ報道の要約(30兆ドルTAM、1000億ドル調達): https://thenextweb.com/news/anthropic-ipo-30-trillion-addressable-market / https://yellow.com/news/anthropic-30-trillion-ai-ipo
- CNBC(AIへの反発をリスク要因に): https://www.cnbc.com/2026/08/21/-anthropic-ipo-filing-will-show-ai-backlash-as-risk-sources-say.html
- FT報道の要約(評価額2兆ドル、売上見通し): https://dealroom.co/news/144860-anthropic-investors-eye-2trn-valuation-in-record-october-ipo/
- Friar氏発言(CNBC報道): https://stocktwits.com/news-articles/markets/equity/open-ai-targets-public-market-debut-by-2027-while-dismissing-ipo-race-pressure-with-anthropic/cZYdUgXRJlv
- Forbes(両社比較、輸出規制の経緯): https://www.forbes.com/sites/investor-hub/article/openai-vs-anthropic-ipo-comparison/