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ChatGPTに情報漏洩のリスクはある?原因と最新事例から企業の対策を解説【2026年版】

公開日
2024.05.21
更新日
2026.08.05
ChatGPTに情報漏洩のリスクはある?原因と最新事例から企業の対策を解説【2026年版】

ChatGPTは、文章作成や要約、プログラミングの補助など幅広い業務に使える生成AIとして、多くの企業で活用が進んでいます。便利な一方で、使い方を誤ると情報漏洩につながるおそれがあり、導入をためらう声も少なくありません。

ただし、情報漏洩の多くは「AIが勝手に漏らす」のではなく、入力・設定・管理という人と運用の側に原因があります。2026年現在は、共有設定の誤りやシステム不具合、会社が把握しないシャドーAI、AIエージェント経由まで経路が広がっていますが、原因を正しく理解し、設定・ルール・サービスで仕組み化すれば、リスクは十分に抑えられます。

この記事では、どんな懸念があるのか、ChatGPTがデータをどう扱うのか、漏洩が起こる原因と最新の事例、企業がとるべき対策、関連する法令までを順に整理します。

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※デロイト トーマツ ミック経済研究所「LLM(大規模言語モデル)を自律的に連携させ非定型業務を自動化するAIエージェント ソリューションサービスの市場動向 2025年度版
※富士キメラ総研「2026 生成AI/AIエージェントで飛躍するAI市場総調査」<2024年度実績・サードパーティ対話型生成AIアプリケーション・ベンダーシェア>

目次

ChatGPTに情報漏洩のリスクはある?主な懸念事項

ChatGPTに限りませんが、生成AIの使い方を誤ると、機密情報や個人情報が外部に漏れる可能性があります。情報漏洩に直接かかわる懸念は、大きく2つです。入力した機密情報が学習に使われて漏れるケースと、アカウントの乗っ取りや不正アクセスで漏れるケースです。それぞれ原因が異なり、打つべき対策も変わります。

懸念 主な原因 対応する対策
機密情報の漏洩 入力データが学習に利用されうる(プランによる) 学習させない設定・ビジネス向けプラン
アカウント・個人情報の漏洩 アカウント情報の収集や不正アクセス アカウント管理・企業向けサービス

入力した機密情報が学習に使われ漏洩する

ChatGPTに機密情報を入力すると、その内容が学習に使われ、結果として外部に漏れる可能性があります。無料版やPlusでは、既定の設定で入力内容がモデルの改善に利用されうるためです。

停止しないまま顧客リストや未公開資料を貼り付ければ、社内の重要情報を無防備に外部へ渡すことになりかねません。なお、ビジネス向けプラン(Team・Enterprise)やAPIでは既定で学習に使われません。

アカウント情報や個人情報が漏洩する

ChatGPTのアカウント情報が第三者に渡ると、過去のやり取りまで閲覧されるおそれがあります。入力時の不注意だけでなく、アカウントの乗っ取りという経路も見逃せません。

実際に、情報窃取型マルウェアに感染した端末から、ChatGPTの認証情報を含むログが10万件超(101,134件)確認され、闇市場で取引された事例があります。ChatGPTは既定で会話履歴を保存するため、認証情報を奪われると過去の会話に含まれる情報まで見られてしまう点に注意が必要です。推測されにくいパスワードや多要素認証に加え、業務では利用状況を管理できる仕組みの併用が有効です。

ChatGPTは入力したデータをどう扱うか

情報漏洩のリスクを正しく見積もるには、ChatGPTが入力データをどう扱うかを理解しておく必要があります。「入力した内容はすべて学習される」「履歴を消せば消える」はいずれも正確ではなく、扱いはプランと設定によって変わります。

無料版・Plusとビジネス向けプランの違い

入力データを学習に使うかどうかは、利用しているプランで異なります。無料版とPlusは既定で学習に利用されますが、設定で停止できます。一方、Team・Enterprise・Edu・APIは、既定で学習に利用されません。

プラン 入力データの学習利用(既定) 主な特徴
無料版・Plus 利用される(設定で停止可) 個人利用向け。データコントロールで停止する
Team・Enterprise・Edu 利用されない 管理機能・アクセス制御。組織での利用向け
API 利用されない システム連携向け。ゼロデータ保持(入力を保存しない設定)の申請も可

OpenAIは公式に、ビジネス向けの各プランとAPIでは入力・出力を既定で学習に使わないと説明しています。あわせて公開されているのが、保存データの暗号化(AES-256)や、保存する地域を選べる仕組み(対象地域に日本を含む)といった、企業利用に向けたデータ保護です。業務で機微な情報を扱うなら、無料版やPlusではなく、これらのプランやサービスを選ぶことが前提になります。

出典:OpenAI「Business data privacy, security, and compliance」 OpenAI「Enterprise privacy」

削除しても消えないデータと消せるデータ

「履歴を消せば学習されない」とは限りません。チャット履歴を削除しても、すでに学習に使われた内容を、学習済みのモデルからさかのぼって消すことはできないためです。過去の入力分まで学習対象から外したい場合は、別途プライバシーフォームからの申請が必要です。

一方で、自分でコントロールできる部分もあります。設定で学習への利用を止める、履歴に残さず学習にも使われない一時チャットを使う、共有リンクを後から削除する、といった操作です。削除したチャットは、OpenAIのシステムからは30日以内に消去されると案内されています。何が消せて何が消せないのかを理解したうえで、そもそも機微な情報を入力しない運用が基本になります。

出典:OpenAI「データコントロールに関する FAQ」

情報漏洩が起こる主な原因

漏洩が実際にどこから起こるのかを整理します。原因は、利用者の入力、設定や共有のミス、会社が把握していない利用、外部からの攻撃の4つに大別できます。自社にどの原因が当てはまるかを確認してみてください。

原因 どう漏れてしまうのか
入力 機密・個人情報を入力し、蓄積・学習される
設定・共有のミス 共有リンクの公開範囲を誤り、第三者に会話が見られる
会社が把握しない利用(シャドーAI) 未承認の個人アカウント利用が広がり、統制が効かない
外部からの攻撃・乗っ取り 不正アクセスや、AIへの不正な指示で情報を抜かれる

入力による漏洩(入力してはいけない情報)

最も身近な原因が、機密・個人情報の入力です。IPAのガイドラインも、プロンプトに個人情報や機密情報が含まれると漏洩につながりうると注意を促しています。次のような情報は、原則としてChatGPTに入力しないことが基本です。

入力を避けたい情報 具体例
個人情報 氏名・住所・電話番号・メールアドレスなど
社内の非公開情報 社内文書・設計資料・議事録・ソースコードなど
契約上の秘密情報 秘密保持契約(NDA)の対象となる情報
取引先・顧客の情報 顧客リスト、取引先から預かった資料など
未公開の経営・財務情報 公表前の業績、価格、事業計画など

特に注意したいのが営業秘密です。社外秘を外部の生成AIに入力すると、秘密として管理されていない状態とみなされ、不正競争防止法上の保護を受けられなくなる可能性があります。入力前に「外に出してよい情報か」を一度立ち止まって確認したいところです。個人が判断する際の考え方は、関連記事のChatGPTに入力してはいけない個人情報で整理しています。

出典:IPA「テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン」(2024)

設定・共有のミスによる漏洩

入力に気をつけていても、共有や公開の設定を誤ると漏洩は起こります。ChatGPTの共有リンクは、そのURLを知っている人なら誰でも会話を閲覧でき、共有した時点までの会話全体が相手に見える仕様です。OpenAIも機微な内容は共有しないよう注意を促しています。

過去には、共有会話を検索エンジンで発見可能にする設定が意図しない公開につながり問題視され、その後この設定は提供を終了しました。作成した共有リンクは設定から後で削除できるため、定期的な棚卸しと、機微な会話は共有しないルール化が有効です。

出典:OpenAI「ChatGPT Shared Links FAQ」

会社が把握しない利用の広がり(シャドーAI)

漏洩は、ルール違反のつもりがない日常の操作からも起こります。会社が許可していない個人アカウントで業務に使う、社内資料を貼り付けて要約させる、上長やIT部門に伝えず使い続ける、といった行動です。こうした悪気のない利用が組織全体に広がった状態が、シャドーAIです。シャドーAIとは、IT部門の承認や監督を受けずに、従業員が個人の判断で生成AIを業務に使うこと(代表例は会社が認めていない個人アカウントでのChatGPT利用)を指します。

その深刻さは、漠然とした不安ではなく実際の被害額として表れ始めています。IBMが調査機関Ponemonとまとめた「Cost of a Data Breach Report 2025」(世界600組織を対象)によると、調査対象600組織のうち20%がシャドーAIに関連する情報漏洩を経験し、シャドーAIの利用が多い組織では1件あたりの平均侵害コストに約67万ドルが上乗せされていました。

図

背景にあるのは、ガバナンスの遅れです。同レポートでは侵害を受けた組織の63%がAIの利用方針を定めていないか策定中で、AI関連の漏洩を起こした組織の97%が適切なアクセス制御を欠いていました。こうした状況を受け、IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」では「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が組織向け脅威として初めて3位に選ばれ、AIのリスクが将来の懸念から現実の脅威へ変わったことを示しています。

承認に時間がかかるほど現場は個人アカウントで済ませてしまうため、一律に禁止するより、安全に使える公式の環境を用意し、利用状況を可視化するほうが効果的です。

出典:IBM「シャドーAIとは」 IBM「Cost of a Data Breach Report 2025」 IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」

外部からの攻撃・乗っ取りによる漏洩

利用者側が注意していても、悪意のある第三者からの攻撃で情報が漏れることもあります。代表的なのが、アカウントの乗っ取りと、AIに不正な指示を実行させる「プロンプトインジェクション」です。

アカウントの乗っ取りは、情報窃取型マルウェアなどで認証情報を盗み、過去の会話履歴ごと情報を抜き取る手口です。一方プロンプトインジェクションは、悪意のある第三者がWebページや文書のなかに不正な指示をひそかに埋め込み、それをAIに読み込ませることで、開発者が意図しない動作(機密情報の外部送信など)を引き起こす攻撃です。

こうしたAI特有のリスクは、OWASP(Webアプリのセキュリティ標準化に取り組む国際的な非営利団体)の「Top 10 for LLM Applications」でも上位(1位)に整理されています。攻撃の詳しい仕組みは、関連記事のプロンプトエンジニアリングでも取り上げています。

出典:OWASP「Top 10 for LLM Applications 2025」

AIエージェントをフル活用する場合に増える漏洩リスク

4つの原因に加えて、AIエージェントをフル活用する場合は固有のリスクが重なります。AIエージェントは、指示を受けて複数の手順を自律的に進め、ファイル操作やメール送信、外部サービスへの接続などを実際の権限で実行する機能です。人手を介さずに動くため、処理の途中で誤作動したり、読み込んだデータに紛れた不正な指示に従ったりすると、気づかないうちに情報が外部へ流れることがあります。OWASPは2025年12月、こうしたエージェント固有のリスクを整理した「Top 10 for Agentic Applications(2026年版)」を公開しました。漏洩に直結するのは、主に次の3つです。

リスク どう漏れるか
ツールの悪用 与えたツール(ファイル操作・データベース参照・メール送信など)が、不正な指示や緩い権限設定によって本来の用途を超えて使われる
権限・認証情報の濫用 強い権限や認証情報を持たせたまま動かし、誤作動や乗っ取りの際に必要以上の範囲へ被害が及ぶ
参照データ・メモリの汚染 読み込む社内文書や外部データ、接続先のツール(MCP等の外部ツール連携)に不正な指示を仕込まれ、その指示どおりに動かされる

いずれも、エージェントが自律的に動き、実際の権限を持ち、外部とつながることで生じるリスクです。たとえば、業務で読み込ませた外部ファイルに不正な指示が紛れていると、エージェントがそれに従って社内データを外部へ送ってしまうことがあります。接続先(MCPサーバなど)を経由して機密情報へアクセスされるリスクも、OWASPがエージェント固有の脅威として整理しています。

出典:OWASP「Top 10 for Agentic Applications」(2026年版・2025年12月公開)

ChatGPTの情報漏洩・サイバー攻撃の実例

ここからは、一次情報で確認できる事例を取り上げます。ChatGPTそのものの欠陥というより、使い方や設定、外部環境に起因するものが中心です。まず全体像を一覧で示します。

事例 何が起きたか 原因の型 教訓
認証情報10万件超の流出 認証情報を含む感染端末ログがダークウェブで確認 外部からの攻撃 多要素認証・個人アカウント任せにしない
システム不具合(2023年3月) 他ユーザーの履歴タイトルや一部の請求情報が表示 提供側の不具合 機微な情報を預けすぎない
入力した機密の流出 従業員がソースコード等を入力し社外秘が外部へ 入力 入力前の線引きと社内ルール

ChatGPTの認証情報10万件超がダークウェブで流出

シンガポールのセキュリティ企業Group-IBは2023年、情報窃取型マルウェアによってChatGPTの認証情報を含む101,134件分の感染端末ログがダークウェブで確認されたと公表しました。原因はChatGPTの基盤の脆弱性ではなく、利用者側の端末感染です。ChatGPTは既定で会話履歴を保存するため、認証情報を奪われると過去のやり取りに含まれる業務情報まで閲覧されるおそれがあります。多要素認証の徹底と、業務利用を個人アカウント任せにしない運用が有効です。

出典:Group-IB「プレスリリース」(2023)

システム不具合で他ユーザーに情報が表示された事例

2023年3月、OpenAI側のオープンソースライブラリ(redis-py)の不具合で、他の利用者のチャット履歴のタイトルが表示される事象が発生しました。同じ不具合により、特定の約9時間にアクティブだったChatGPT Plus利用者の約1.2%について、氏名・メールアドレス・請求先住所・カードの種類と下4桁・有効期限が表示されうる状態だったとされています(完全なカード番号は除く)。入力ミスがなくても漏洩は起こりうる事例です。提供側の不具合は利用者側では防げませんが、機微な情報を預けすぎない姿勢が被害を抑えます。

出典:OpenAI「March 20 ChatGPT outage」(2023)

入力した機密情報が外部に出たケース

入力起因の漏洩として広く知られるのが、2023年に海外メディアで報じられた電子機器メーカーでの事例です。従業員がソースコードや社内会議の内容をChatGPTに入力し、社外秘の情報が外部に渡ったと報じられ、同社は一時的に社内利用を禁止しました。便利さを優先した入力が、そのまま漏洩につながった典型例です。

事例から見える共通点

これらの事例に共通するのは、個人や無料のアカウントでの業務利用と、入力データの無防備さです。裏を返せば、設定と運用次第でリスクは大きく下げられます。一律に禁止するだけ、ツールを配るだけでは、かえって把握できない利用を生み、解決にはつながりません。

ChatGPTで情報漏洩を防ぐセキュリティ対策

企業が実践すべき対策を整理します。柱になるのは、利用ルールの整備、社員教育、学習させない設定、法人向けプランの利用、管理機能を備えたサービスの導入の5つです。どれか一つに頼らず、効果を見ながら複数を組み合わせると、リスクを着実に下げられます。

  • 入力してよい情報の線引きをルールにする
  • 社員教育・研修で安全な使い方を定着させる
  • 学習させない設定を全社で標準にする
  • 法人向けプランで学習停止とアクセス管理を標準化する
  • 禁止ワードや利用状況を管理・シャドーAIを可視化する
  • AIエージェントを使う場合は権限と接続先を最小限にする

入力してよい情報の線引きをルールにする

まず、業務で使う際のルールを社内で定めることが基本です。誰が・どの業務で・どこまで使ってよいかを決めておくと、人的ミスを大きく減らせます。「入力してはいけない情報」をチェックリスト化し、生成物の確認者やルール違反時の対応もあわせて決めておくことが大切です。たとえば「個人情報・取引先情報・未公開の経営数値は入力しない」「社外公開する文章は必ず上長が確認する」といった禁止事項と確認フローを、1枚のガイドラインにまとめると運用しやすくなります。

社員教育・研修で安全な使い方を定着させる

AI時代の社員教育は、一度の注意喚起では定着しません。効果を出す鍵は、現場の業務に即した実践型にすることです。まず、承認済みのツールで実際に手を動かし、どこまで入力してよいかを操作しながら体得してもらう実習が有効です。あわせて、営業・開発・管理部門など職種ごとに起こりうる入力を題材にしたシナリオで判断を練習し、「迷ったら入力せず相談する」という判断の基準と相談先を明確にしておきます。実際に起きた漏洩事例ややりがちなNG行動も、自部署の業務に当てはめて議論することが効果的です。新しい漏洩事案やルール変更が出たら教材を更新し、定期的に再周知することで、知識が運用に根づきます。

学習させない設定を全社で標準にする

無料版やPlusを使う場合は、入力内容を学習に使わせない設定を業務利用の標準にすることが基本の対策です。ウェブ版でサインインしている場合の手順は、次のとおりです。

  • プロフィールアイコンから「設定」を開く
  • 「データコントロール」を選ぶ
  • 「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにする

オフにすると、会話は履歴には残りますが学習には使われません。過去の入力分まで外したい場合は、プライバシーフォームからの申請が別途必要です。履歴に残さず学習にも使わせたくない場合は、一定期間後に削除される一時チャットも使えます。なお、設定画面の名称は変わることがあるため、最新の表記はOpenAIの公式情報で確認してください。

出典:OpenAI「データコントロールに関する FAQ」

法人向けプランで学習停止とアクセス管理を標準化する

法人向けプランの利点は、入力が既定で学習に使われないことに加え、管理者がアクセスと利用を統制できる点にあります。OpenAIは、ChatGPTのTeam・Enterpriseのコンテンツを学習には使いません。管理機能では、誰がどの範囲で使えるかを管理者が設定し(メンバー管理・アクセス制御)、シングルサインオンや監査ログで利用状況を把握できます。個人任せにせず、「使える人・使える範囲・利用の記録」を組織として管理できることが、無料版との大きな違いです。導入にはコストがかかるため、効率化できる業務を見極め、費用対効果を検証したうえで判断します。

出典:OpenAI「Enterprise privacy」

禁止ワードや利用状況を管理・シャドーAIを可視化する

社内ルールだけでは限界があるため、管理機能を備えた企業向けサービスの導入も有効です。禁止ワードの設定、社内の利用状況のモニタリング、セキュリティ面のサポートなどを備えたサービスを使えば、把握できない利用(シャドーAI)を抑え、ルールを実際の運用へ落とし込めます。

シャドーAI対策の要は「禁止」よりも「可視化と統制」です。誰がどのように使っているかを把握できる仕組みを用意し、公式に使える安全な環境へ利用を集約することが、近道になります。

AIエージェントを使う場合は権限と接続先を最小限にする

AIエージェントを業務で使うなら、5つの基本対策に加えて、エージェントならではの備えが必要です。基本は、与えるツールと権限を必要最小限に絞ることです。操作できる範囲や参照できるデータ、接続してよい外部サービスを限定しておきます。ファイルの削除や送信のように影響の大きい操作には、人による承認を挟むとリスクを抑えやすくなります。

接続先となる外部ツール(MCPサーバなど)はあらかじめ許可制にし、認証情報は短期間で失効する形にしておくと安心です。あわせて操作ログを記録し、異常な動きを監視しておけば、乗っ取りや誤作動が起きても被害を抑えられます。こうした制御は、後づけよりも設計の段階で組み込んでおくと抜け漏れを防ぎやすくなります。

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担当者が知っておくべき生成AIの法令・ガイドライン

生成AIをめぐっては、ルール整備が技術の進展を追いかける形で進んできました。動向を網羅的に追う必要はありませんが、社内ルールを整える担当者として、最低限知っておきたい指針を3つ取り上げます。

まず確認したい個人情報保護委員会の注意喚起

担当者がまず把握しておきたいのは、個人情報を入力する際は「利用目的の達成に必要な範囲内か」を確認する責任がある、という点です。個人情報保護委員会は2023年6月の注意喚起でこの確認を求めており、これは社内ルールに「個人情報の入力可否を判断する手順」を組み込む根拠になります。

加えて、海外サービスでは保存先と準拠法(適用される国の法律)の確認が欠かせません。委員会は2025年2月、中国のDeepSeekについてデータが中国のサーバに保存され中国の法令が適用される点を情報提供しました。ChatGPTも米国サーバーを用いるため、特定サービスを危険視するというより、導入時に保存先と準拠法を点検する運用を定着させることが、今後のサービス選定での実務的な備えになります。

出典:個人情報保護委員会「注意情報」 個人情報保護委員会「DeepSeekに関する情報提供」(2025)

社内ルールの土台になるAI事業者ガイドラインとAI法

担当者にとって、この2つは性格が異なります。AI事業者ガイドライン(総務省・経済産業省、2026年3月に第1.2版)は、自社の利用ルールを作るときの「ひな型」として使え、項目立てや禁止事項の設計に直接役立ちます。一方のAI法(2025年6月公布・9月全面施行)は、罰則を伴う規制ではなく研究開発と活用を推進するための枠組み法で、企業に直接の遵守義務を課すものではありません。

つまり今すぐ取りかかるべきはガイドラインの参照で、AI法は「将来の規制強化の方向性を示すもの」と捉えておくとよいでしょう。ガイドラインは改訂が続くため、最新版を追って自社ルールへ反映する運用が、今後の影響への備えになります。

出典:AI事業者ガイドライン(第1.2版)(総務省・経済産業省、2026) 内閣府「AI法」(2025)

今後に備える個人情報保護法の改正動向

担当者として把握しておきたいのは、「今すぐの義務はないが、近い将来ルールが変わりうる」という見通しです。個人情報保護法は3年ごとの見直しのなかで、生成AIの学習段階と利用段階それぞれの事業者の義務を明確にする方向で検討が進んでいます。確定すれば、入力してよい個人情報の範囲や説明責任に影響が及ぶかもしれません。現時点で具体的な対応は不要ですが、個人情報保護委員会の公表資料を定期的に確認し、内容が固まり次第すぐ社内ルールを見直せる体制を整えておくことが望まれます。

出典:個人情報保護委員会

エクサベースAIで「漏洩を防ぐ仕組み」を整える

これらの対策を、個人の注意ではなく仕組みとして実装できるのが、当社の法人向け生成AIサービスエクサベース AIです。データ処理を国内で完結し、入力を学習に使わない設計で、禁止ワードや機密情報のブロック、利用状況の可視化、政府調達基準ISMAP(政府が求めるセキュリティ基準を満たすクラウドサービスの登録制度)への対応を備えます。情報漏洩の論点ごとに対応機能を整理しました。

情報漏洩の論点 エクサベースAIの機能
データの保存先・準拠法 データ処理を国内で完結。海外への越境を避けられる
入力の学習利用 入力データを学習に利用しない設計
入力の統制(NG情報) 禁止ワードの設定や機密情報のブロックで、危険な入力を仕組みで防ぐ
シャドーAI・利用の可視化 利用状況をダッシュボードで把握し、把握できない利用を抑える
セキュリティ基準 政府調達基準ISMAPに対応

個人の注意やルールだけに頼らず、危険な入力を仕組みで防ぎ、利用状況を可視化できる点が、組織的な漏洩対策の土台になります。導入や全社展開を検討している場合は、お気軽にご相談ください。

出典:エクサウィザーズ「プレスリリース(exaBase 生成AI データ処理を国内で完結)」

まとめ

ChatGPTの情報漏洩は、入力ミスだけが原因ではありません。共有設定の誤りや不正アクセス、提供側の不具合、会社が把握しないシャドーAI、AIエージェント経由の漏えいまで経路は広がっており、入力時の注意に加えて共有設定・アカウント管理・利用環境の整備まで含めて見ておく必要があります。

もっとも、手の打ちようがないわけではありません。機微な情報を扱うなら、学習させない設定やビジネス向けプランを選ぶことが前提です。そのうえで、入力ルール、事例を交えた社員教育、禁止ワードや利用状況を管理できるサービスを組み合わせれば、個人の心がけに頼らず入力を統制できます。保存先と準拠法を確認し、機微な情報には国内完結型を選ぶことも有効です。

漏洩の多くは人と運用の側に原因があり、裏を返せばコントロールできます。一律に禁止するのでもツールを配るだけでもなく、安全に使える環境を整えて統制することが、現実的な漏洩対策です。設定・ルール・サービスを組み合わせれば、ChatGPTは安全に業務へ取り入れられます。

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よくある質問

著者

エクサウィザーズが誇るAIエンジニアや、DXコンサルタントを始めとするプロフェッショナルの監修の元、マーケティンググループが監修・執筆しています。