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DX人材不足の要因から紐解く、DX人材を確保するための6つの対処法!

「2025年の崖」問題が迫るなか企業のDX推進は急務ですが、簡単には進まないのが現状です。大きな原因の一つに「DXのための人材不足」が挙げられます。

今回はDX人材について、不足している原因や、どういうスキルが求められているのかといった基礎知識も含めて解説します。さらに今後、企業はどのようにDX人材を確保・育成していけばよいのか、解決方法もご紹介します。

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DX人材とは?DX人材の定義と企業での役割

そもそも「DX人材」とはどのような人材のことを指すのか改めて確認していきましょう。DX人材とは、デジタル技術に長けているだけでなく、DX推進を実行できるスキルや素養を持つ人材のことを指します。

DXとは

そもそもDXとは、経済産業省が2019年に作成した「DX推進ガイドライン」のなかで、以下のように定義されています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

出典:『DX推進指標(サマリー)』経済産業省 令和元年7月

DX人材の定義とは

「DX人材」に明確な定義はありませんが、DXの取り組みに必要なデジタル技術を持っている人材を指します。

前述したDXの定義からDX人材とは、データとデジタル技術を活用でき、顧客や社会のニーズに合わせて製品やサービス、ビジネスモデルを変革できるスキルや素養を持っている人と言えるでしょう。

ビジネス環境の変化に柔軟に対応し、業務やプロセス、組織や企業文化そのものをデジタル技術により変革することが求められます。

DX人材の定義について詳細はこちらの「DX人材とは?DX人材の定義を4象限で解説。育成・採用方法と職種も紹介」の記事を参照ください。

DX人材の企業での役割とは

DX人材は、企業でどのような役割を担うのでしょうか。重要なことはデジタル技術を扱うだけではなく、DX推進を実行・リードするポジションであるということです。

例えば、デジタルを活用し新たな事業を企画・立案できることや、データを解析し課題を解決することが求められます。また、企業や組織の風土自体にデジタルを取り入れて変革することや、新たなDX人材を育成することも役割の一つとなります。

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DX人材不足の現状

DX人材はDX推進に不可欠で需要は高まっていますが、日本では人材不足が問題となっています。特にDX人材に必要なスキルである、データの活用や情報システムを扱えるIT技術を持つIT人材の不足は深刻です。

2030年には最大79万人も不足する予測

経済産業省が行った「IT人材需給に関する調査」で、ITの需要は今後拡大していく一方、日本の労働人口は減少が見込まれており、IT人材の需要と供給のギャップはさらに広まると予測されています。そのギャップは2030年には最大約79万人に拡大する可能性も試算されています。

参考:『「平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(IT人材等育成支援のための調査分析事業)-IT人材需給に関する調査-」』経済産業省 2019年3月

日本企業の80%近くで企業変革を推進する人材が不足

企業変革を推進するDX人材の状況を確認したアンケートでは、「大幅に不足している・やや不足している」と回答した企業は76%に上り人材不足の深刻さが浮き彫りになっています。

出典:『 DX白書2021_第3部_デジタル時代の人材』IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 2021年10月11日

職種別で見る人材の不足状況

DX推進に必要な職種は多くありますが、代表的な例を7つあげます。

職種 役割
プロダクトマネージャー DX実現を主導するリーダー
ビジネスデザイナー DXの企画立案・推進を担う
テックリード(エンジニアリングマネージャー、アーキテクト) システムの設計から実装ができるエンジニアチームのリーダー
データサイエンティスト 事業・業務に精通し、データ解析・分析ができる
先端技術エンジニア ブロックチェーン技術など最先端の技術を扱える
UI/UXデザイナー システムをユーザー向けにデザインする
エンジニア/プログラマー システムの実装や保守・運用、セキュリティ等を担う

このうちプロダクトマネージャー、ビジネスデザイナー、データサイエンティストの3職種は、「大幅に不足している」「やや不足している」の回答が合わせて55%以上と特に不足の割合が高い職種です。IT技術はあっても、DX推進の際に必要なリーダーや企画立案者が不足しているという実態が読み取れます。

プロダクトマネージャーのスキル可視化ツールはこちらから

日本企業はアメリカに比べてDX人材が不足している

同じアンケートのアメリカ企業の回答と比較すると、日米のDX人材の充足感には大きな開きがあることが分かります。

アメリカではDX人材について「過不足はない」が43%と一番大きな割合を占めています。職種別にみても、「不足」と回答した企業はいずれの職種も40%前後でした。アメリカでは約半数以上の企業に、DX人材が確保されていると考えられます。

参考:『DX白書2021_第3部_デジタル時代の人材』IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

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企業のDX人材不足には3種類ある

日本企業でDX人材が不足している原因には大きく分けて3種類の状況が考えられます。自社の原因を把握することで適切な対応が取れ、先々のDX人材不足の解消に繋がっていくため、原因の把握は重要となります。

1.DX人材を採用できていない

一つ目の理由は、「DX人材を採用できていない」ことです。

会社の採用戦略においてDX人材の採用が掲げられていない場合はもちろん、DX人材は中途採用市場で人気が高いため中途採用するハードルも高いです。

新卒採用においては、「そもそも新卒にDXスキルを求めていない。」「新卒はポテンシャル採用だからDXスキルなどを細かく見ていない」という企業も多く、そもそも新卒からDX人材を確保しようと考えている企業が少ないことも一因です。

2.DX人材になり得る人材はいるが気づいていない

実は社内にDX人材はいても、気づかれていないという問題もあります。企業があまりDX推進に熱心でない場合は、DXとは関係のない他の部署で業務を行っている場合があります。

この場合は本人もDX関連業務をしたいのにできておらずモチベーションが下がっている可能性もあります。早期に発見してDX推進業務にアサインできないか検討するといいでしょう。

3.DX人材がDXから遠い業務をおこなっている

DX関連業務に従事していても、細かい事務作業や直接DX推進に関係のない業務などに工数を取られ、DX推進に集中できない場合なども考えられます。

特にDX推進室などが垂直立ち上げされている場合、組織の環境や制度が整っていなかったり、メンバー内の意思疎通が取れていなかったりする場合があり、雑務に工数を取られていることは少なくありません。この状況が続くといつまでも人材不足が解消できないため解消に努めましょう。

DX人材不足の解消方法は?

では、DX人材の不足の解消方法にはどのようなものがあるのでしょうか。また、スムーズな人材確保の方法だけでなく、長期的にDX人材を確保する方法も探っていきます。

DX人材の不足については大きく6つの対処法がある

DX人材の不足を解消するポイントは、大きく6つの方法が考えられます。
社内で行うべき方法(1~3)と、社外に人材を求める方法(4~6)に分けられます。

  1.  既存業務の生産性向上
  2.  DX人材の育成
  3.  DX人材の離職防止
  4.  DX人材の中途採用
  5.  DX人材の新卒採用
  6.  外部リソースの活用

詳しく見ていきましょう。

1.既存業務の生産性向上

DX人材も会社の環境や制約に囚われて非効率な業務をしていることがあります。まずは既存業務のプロセスをすべて洗い出し、ツールなどを導入して効率化できるところはないか確認する必要があります。

また、DX人材がDX推進関連業務に集中できるよう、DX関連以外の業務を他にアウトソースするなどの対応も必要です。

2.既存社員の育成

DXを実現するには、業務や社風、ビジネスモデルやお客様のニーズなどをよく分かっている既存社員の存在が重要なため、既存社員にデジタルリテラシーを身に着けてもらうことが大事になります。

その企業のことをよく分かったDX人材がいれば、企業にとって最適なDX推進を企画できるからです。外部採用だけでなく既存社員の育成にもじっくりと取り組みましょう。

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3.DX人材の離職防止

DXを実現するには一朝一夕ではいきません。取り組みの効果が出るまで数年かかることもあります。そのためDX人材に長く在籍してもらわなくてはなりません。

業務に応じた報酬を与えたり、無理な働き方をしていないか相談に乗ったりなど、企業が社員をフォローすることが大切です。DX人材は市場価値が高いため他の企業の待遇面や働く環境がどうなのかよくリサーチするといいでしょう。

次に社外にDX人材を求める方法を見ていきましょう。

4.DX人材の中途採用

DXの推進をすぐにでも始めたい場合、DX人材を中途採用する方法がスピーディです。DX人材を募集する際は、どのような職種の人材を必要としているか、業務はどういう内容を行ってもらいたいかを明確にしましょう。

DX人材は各企業から引く手あまたのため、あいまいな募集では応募に繋がらないのが現状です。

また、新しい価値観やデジタルリテラシーが高い人が主なので、旧態依然とした会社ではないことや、仮にそうだったとしても経営層がコミットして今後変えていくという思いを伝える必要があるでしょう。

5.DX人材の新卒採用

大学や大学院等で最先端のIT技術を学んだ新卒を採用し、DX人材として登用するのも良い方法です。採用範囲を理系の学生や有名大学に限らず幅広く探すようにしましょう。

文系や中堅大学の学生の中にも、DX人材としてのポテンシャルを持つ学生はいるため、見極めることが大切です。新卒採用に役立つアセスメントはこちらから。

採用面接はもちろん、適切な母集団形成やインターンシップなどを有効活用し、自社が求める人材に集中してアプローチしましょう。コロナ禍以降、学生の就活量が増え、内定保有数が増えてきているため内定辞退率も高まっています。

内定通知後に辞退されることがないよう、コミュニケーションを取りしっかり内定者をグリップすることも大切です。

6.外部リソースの活用

DX人材の採用や育成が追い付かない場合は、不足するスキルを持つ人材をアウトソーシングすることも有効な方法です。

単純にDX関連業務が進むだけでなく、自社だけだと気づかなかった新たな観点を外部の立場から気づいてくれるメリットもあります。

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まとめ

DX推進に必要不可欠なDX人材の不足は深刻化しています。「2025年の崖」問題が迫るなか、DX人材をいかに確保するかは、ビジネスの成功の鍵でもあります。DX人材はIT技術の能力を持つだけでなく、それぞれ担う役割によって職種が異なることを理解しておきましょう。

DX人材不足の問題は残念ながら早々に解決する問題ではありません。育成や採用、アウトソーシングなどさまざまな方法を考慮し、自社の経営戦略に合った人材を確保できるようにすることが大切です。

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