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DX人材に必要な資格とは? 社内でDX人材を育成する注意点も解説

DX人材を育成する際の手段の一つが、DX関連の資格取得とそれに向けた継続的な学習です。DX推進を実行・リードできる人材に必要な資格には、どのようなものがあるのでしょうか。

当社、株式会社エクサウィザーズは、DX人材の促進を支援する「exaBase DXアセスメント&ラーニング」といった、プラットフォームを運営しています。

今回の記事では、DX人材が資格を取得する意味やおすすめの資格、社内でDX人材を育成する際の注意点などについて、当社が培った知見なども交えて解説します。解説します。

DX人材を育成する重要性とは

まずは、DX人材が必要とされる背景から解説します。

企業でDX人材が必要とされる背景

なお、経済産業省が発表した「DXレポート」によると、2025年までに老朽化した基幹系システムを刷新しなければ、年間で最大12兆円の経済損失が生じると予測されています。

一方で、そうした対応を担える人材は不足しており、2025年にはDX人材不足が約43万人まで拡大する見込みです。

加えて、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が発表した「DX白書2023」によると、DX人材が「大幅に不足している」「やや不足している」と答えた日本企業は、2022年度が「83.5%」、2021年度が「84.8%」と、いずれも80%を超えています。このような背景もあり、企業内でDXを推進する必要性が増しているということです。

▼2022年度における調査結果

参考:『DXレポート~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~』経済産業省 2018年9月7日
参考:『DX白書2023_第4部_デジタル時代の人材』IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 2023年2月9日

DX人材に求められる能力と素養

DX人材に求められる能力には、様々なものがありますが、当社、エクサウィザーズでは主に「スキル」と「素養」の2点を重要視しています。DX推進を実行できる能力を備えていても、「やり抜く意志」や「テクノロジーが好き(関心)」といった素養がなければ、周りを巻き込んでDXを推進していくことは難しいでしょう。

一方、素養だけあっても、「データサイエンス」や「プロダクトマネジメント」などのデジタルスキルや「発見力」や、「関連づける力」などのイノベーティブスキルを有していないと、業務を適切に進めるのが困難な場合が多いでしょう。

端的にいえば、高度なビジネススキルと素養のどちらもが求められるということです。

それらの「スキル」と「素養」を証明する手段としても、資格の取得は重要になってくるということです。

DX人材育成において資格を取得する意義とは

DX人材育成において資格を取得する意義は、主に3つあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

  • 専門知識の証明
  • 体系的なスキルの向上
  • 社内の人的資本の把握

専門知識の証明

DX人材育成において資格を取得することで、実務におけるパフォーマンスに貢献し、社内やクライアントからの評価にもつながります。DXに関連したスキルは難解なものも多く、特に、非デジタル関連業務に従事している人からすると、スキルの成熟度を理解するのにも時間を要するものです。

「従業員がどれだけのスキルを習得しているのか」を客観的に判断できる人材が社内にいないケースにおいても、専門知識の証明となります。

例えば、Google広告の運用代行会社では「Google広告の認定資格保持者が○人います」とアピールしている会社もあります。

体系的なスキルの向上

前述したスキルと素養のうち、スキルを体系立てて身に付けるためにも資格取得を目的とした学習は重要です。資格取得に向けた勉強をすることで、知識や実務に活きるスキルが身に着くだけでなく、OJTや独学で勉強すると漏れがちな範囲まで網羅的に勉強できる利点があります。

例えば、プロダクトマネジメントのスキルを向上させるためにはテクノロジーやマネジメントのスキルの他に法律の勉強も必要になるケースがありますが、独学では、手が行き届かないことも多いでしょう。

ですが、資格の勉強をする上では法律知識が組み込まれていたりもするので、網羅的に勉強できるメリットがあります。

社内の人的資本の把握

企業側(経営陣・人事部)の視点でいえば、どの部署にどの資格を持った人材がどのくらいいるかを把握することで、「社内の人的資本」を把握できることも意義の一つです。人的資本とは、個人が持つ知識や技能、能力、資質などを、付加価値を生み出す資本とみなすことです。人材の価値を最大限に引き出す経営の在り方が注目されていることもあり、今後はより重要視されるでしょう。

対外的な発表だけでなく、社内異動においても判断基準の一つになります。

では、DX人材の育成に向けて、実際にはどのような資格があるのでしょうか。資格の詳細を説明する前に、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が運営する資格制度「情報処理技術者試験」の紹介は欠かせないため、先に紹介します。

情報処理技術者試験とは

情報処理技術者試験とは「情報処理の促進に関する法律」に基づき経済産業省が、情報処理技術者としての「知識・技能」が、一定以上の水準であることを認定している国家試験です。

実際には、以下の図の通り、複数の試験から構成されています。

また、ITに関わる全ての人に活用できる試験として広く知られており、基礎的な内容からスペシャリスト向けの高難易度な内容まで、網羅的に能力を測れる試験になっています。

情報処理技術者試験の体系図(2017年度春期からの試験制度)

出典:「情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 試験要綱」独立行政法人情報処理推進機構

後述するITパスポートや基本/応用情報技術者試験、プロジェクトマネージャ試験もこの試験群の一つです。

情報処理技術者試験の各資格のレベルについては、以下のように定義されています。

情報処理技術者試験における各レベルの定義

出典:「情報処理技術者試験 情報処理安全確保支援士試験 試験要綱」独立行政法人情報処理推進機構

【ゼネラリスト向け】DX推進におすすめの資格4選

まず、ゼネラリストとしてDX推進に携わる方が取得しておきたい、おすすめの資格を4つ紹介します。技術だけではなく、ビジネスに関する領域も試験範囲になります。

ITパスポート

ITパスポートとは、ITに関する基礎的な知識を有していることを証明する国家試験で、情報処理技術者試験の一つです。ITを活用する全ての学生・社会人が備えておくべき資格といわれ、新しい技術や新しい手法、経営全般、IT、プロジェクトマネジメントなど幅広い分野の総合的知識が問われます。

IT業界に勤める人向けの入門的な立ち位置の資格と言えるでしょう。

ITパスポートで問われる知識

  • 「AI」「ビッグデータ」「IoT」など新しい技術
  • 「アジャイル」など新しい手法
  • 「マーケティング」「財務」「法務」など経営戦略の知識
  • 「セキュリティー」「ネットワーク」などITの知識
  • プロジェクトマネジメントの知識

ITパスポート試験は、コンピューターを利用して実施するCBT方式により、年間を通じて随時実施しています。2023年1月度の合格率は52.6%で、IT関連の国家資格の中では合格率が高いといえるでしょう。ITパスポート試験ホームページでは、2009年度以降の過去問題(問題冊子・解答例)を公開しています。

参考:「ITパスポート試験」独立行政法人情報処理推進機構

G検定

G検定(ジェネラリスト検定)とは、ディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して、事業活用する能力や知識を有しているかを検定することを目的にした検定です。一般:13,200円(税込)、学生:5,500円(税込)で受検が可能です。

試験範囲は「AIの定義や歴史」「AIをめぐる動向」「機械学習・深層学習の具体的な手法」「ディープラーニングの社会実装に向けて」「数理統計」などが出題され、最新のAIの動向や法制度に関する問題も含まれるため、最新のAIニュースやAI白書などの書籍に目を通すことも重要です。

試験時間は120分で、200問程度の多肢選択式の問題がオンラインで実施され、試験は年に5回ほど実施されます。合格率は、G検定が始まった2017年以降、最も低い時で56.84%、一番高い時には72.76%あり、毎回半数以上は合格しています。

G検定・E検定の合格者コミュニティCDLE(Community of Deep Learning Evangelists:シードル)は4万人を超える日本最大級のAIコミュニティとなっています。

参考:『「2023年 第1回 G検定」開催結果を発表』一般社団法人日本ディープラーニング協会 2023年3月20日
参考:『G検定とは』一般社団法人日本ディープラーニング協会

データサイエンティスト検定

データサイエンティスト検定とは、リテラシーレベルの数理・データサイエンス・AIの知識やスキルを有していることを証明する検定です。一般社団法人データサイエンティスト協会が主催しており、2021年9月に第1回目が実施されました。

検定の対象は、「データサイエンティスト初学者」や「これからデータサイエンティストを目指すビジネスパーソン」などです。

試験範囲は、次の3分野に分けられます。

データサイエンス 情報処理、人工知能、統計学などの情報科学系の知識を理解し使う力
データエンジニアリング データサイエンスを意味のある形に使えるように実装・運用できるようにする力
ビジネス 課題背景を理解した上で、ビジネス課題を整理し解決する力

合格率は、第1回目が約66%、第2回目(2022年6月実施)が約50%で、合格ラインの目安は正答率約80%です。同検定の公式サイトには、参考書籍や対策講座、模擬問題が紹介されているため、学習方針の参考になるでしょう。

参考:「データサイエンティスト検定™リテラシーレベル」一般社団法人データサイエンティスト協会

プロジェクトマネージャ試験

プロジェクトマネージャ試験とは、情報処理技術者試験の高度区分試験の一つでレベル4に定義されています。プロジェクトを取り巻く環境変化やステークホルダの多様な要求に柔軟に対応しながら、プロジェクトを確実に成功に導くマネージャを目指す方に最適な資格です。

プロジェクトの責任者として現場を統括し、計画から実行、管理までを担う人材を対象としているため、学ぶ範囲も多岐にわたり、難易度も高いとされています。公式サイトにはシラバスや過去問が公開されているので、事前に確認しましょう。

参考:「プロジェクトマネージャ試験(PM)」独立行政法人情報処理推進機構

【スペシャリスト向け】DX推進におすすめの資格6選

ここからは、エンジニアなどスペシャリストとしてDXに携わる方の取得をおすすめする資格を6つ紹介します。

AWS認定試験

AWS認定試験とは、AWS(Amazon Web Service)を適切に運用・構築するための知識やスキルを認定する資格で、Amazonが作成・管理しています。AWS認定は、全12種類あります。内訳は、基礎知識レベルが1つ、アソシエイトレベルが3つ、プロフェッショナルレベルが2つ、専門知識レベルが6つに区分されています。試験勉強を通して実務レベルの知識やスキルを身に付けられるのが、AWS認定試験の特徴です。

なお、AWS認定試験は試験ごとに「試験時間」や「受験料」が異なるため、事前に確認しておきましょう。認定資格の有効期限は3年間です。AWSは常にアップデートされるため、自身の知識やスキルをアップデートしていくためにも、継続的な学習が推奨されます。

参考:「AWS認定」Amazon

基本/応用情報技術者試験

基本/応用情報技術者試験とは、経済産業省認定の国家資格「情報処理技術者試験」の試験区分の一つです。

基本情報技術者試験(FE)は、ITエンジニアの登竜門として知られ、情報処理技術に関する基本的な知識・技能を有していることを認定する試験です。情報処理技術者試験の中では「レベル2」に当たります。情報系の大学卒業程度の問題が出題され、上位者の指導の下、ITを活用したシステム設計・開発などを行える程度の知識・技能が求められます。

応用情報技術者試験(AP)は、ワンランク上のITエンジニアとして、応用的な知識・技能を有することを認定する試験です。情報処理技術者試験の中では「レベル3」に当たります。大学院卒業程度の問題が出題され、独力で、ITを活用した戦略の立案やシステム設計・開発などを行える程度の知識・技能が求められます。

FEは、2023年度より随時実施されています。一方、APは、春期・秋期と年2回の実施予定です。試験要項やシラバスなどは随時更新されるため、最新の情報は情報処理推進機構の公式サイトで確認するとよいでしょう。

参考:「情報処理技術者試験」独立行政法人情報処理推進機構
参考:「基本情報技術者試験(FE)」独立行政法人情報処理推進機構
参考:「応用情報技術者試験(AP)」独立行政法人情報処理推進機構

ITストラテジスト試験

ITストラテジスト試験とは、「情報処理技術者試験」の高度区分試験の一つで、「レベル4」に相当します。

ITストラテジストとは、エンジニア系上級職の一つです。企業のトップマネジメントとともに事業計画段階から参画し、経営戦略に基づいてIT戦略を策定する「戦略家」の役割を担います。ITストラテジストの資格を取得することで、「ITを高度に活用した事業革新」「業務改革」「競争優位を獲得する製品・サービスの創出」などのスキルを有していることを証明します。

試験時間・出題形式・出題数・回答数は以下の通りで、様々な形式で期待される水準に達しているかを見極められます。

  試験時間 出題形式 出題数 回答数
午前Ⅰ 9:30~10:20(50分) 多肢選択式(四肢択一) 30問 30問
午前Ⅱ 10:50~11:30(40分) 多肢選択式(四肢択一) 25問 25問
午後Ⅰ 12:30~14:00(90分) 記述式 4問 2問
午後Ⅱ 14:30~16:30(120分) 論述式 3問 1問

試験に関する詳細は、公式サイトで確認してください。

参考:「ITストラテジスト試験」独立行政法人情報処理推進機構

データベーススペシャリスト試験

データベーススペシャリスト試験とは、「情報処理技術者試験」の高度区分試験の一つで難易度は「レベル4」に相当します。

この試験では、データベースに関するプロフェッショナルとして、最適な情報システムの企画や要件定義、開発、運用、保守において中心的な役割を担う人材であることを証明します。「企業活動を支える膨大なデータ群の管理」「パフォーマンスの高いデータベースシステムの構築」「顧客のビジネスに活用できるデータ分析基盤の提供」などに携わる、データベース管理者やインフラ系エンジニアを目指す方に最適な資格です。

試験時間・出題形式・出題数・回答数は以下の通りです。

  試験時間 出題形式 出題数 回答数
午前Ⅰ 9:30~10:20(50分) 多肢選択式(四肢択一) 30問 30問
午前Ⅱ 10:50~11:30(40分) 多肢選択式(四肢択一) 25問 25問
午後Ⅰ 12:30~14:00(90分) 記述式 3問 2問
午後Ⅱ 14:30~16:30(120分) 記述式 2問 1問

参考:「データベーススペシャリスト試験(DB)」独立行政法人情報処理推進機構

E資格

E資格とは、ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力・知識を有しているかを認定する資格です。一般社団法人日本ディープラーニング協会が主催しています。

同協会が別途定める、基準およびシラバスを満たす高等教育機関や、民間事業者が提供する教育プログラムの「JDLA認定プログラム」を、試験日の過去2年以内に終了していることが、受験条件です。JDLA認定プログラムとして、ディープラーニングの理論を理解する講座などが推奨されています。

E資格向けの講座は、トータルで46時間+課題時間となっています。働きながら受講する場合は、各講座を隔週または週1回、2時間ペースで受講するイメージです。その他の時間で自主的な予習や課題に取り組むなど、段階的に成長していくことを想定して組まれています。

参考:「E資格とは」一般社団法人日本ディープラーニング協会

Professional Data Engineer

Professional Data Engineerとは、Google Cloud認定資格の一つです。専門知識資格として、「データ処理システムの設計」「機械学習モデルの運用化」「ソリューションの品質の確保」「データ処理システムの構築と運用化」などに関する能力を有しているかを評価します。

出題が想定されるトピックは、データ処理システムの設計から構築・運用、機械学習モデルの運用、ソリューションの品質保証まで多岐にわたります。そのため、業界経験が3年以上(Google Cloudを使用したソリューションの設計と管理の経験1年以上を含む)の方に、推奨されています。

資格取得に向けて、学習プログラムを活用するのもおすすめです。

参考:「Professional Data Engineer」Google Cloud

大規模公開オンライン講座「MOOCs」

近年、世界中の質の高い学習をオンラインで無料もしくは低額で受講でき、一部コースでは証明証の発行もある大規模公開オンライン講座「MOOCs」についても紹介します。

MOOCsとは

MOOCs(ムーク)とは、「Massive Open Online Course(大規模公開オンライン講座)」の頭文字をとった言葉です。大学や研究機関、企業などが配信する専門的な講座を、誰もが無償もしくは一部有料で受講できるのが特徴です。2012年にアメリカで始まったとされていますが、現在は日本の大学や企業でも活用され始めており、教育に大きな変革をもたらすものとして期待されています。

なお、MOOCsには講座終了時に修了証を取得できるものがあります。他にも、MOOCsの豊富な講義内容には資格やビジネススキルに特化した教育サービスもあるため、資格獲得のための学習方法の一つとして活用することをおすすめします。

参考:「大学における多様なメディアを高度に利用した授業について」文部科学省

Udemy

Udemyとは、IT技術からビジネススキル、趣味の分野まで幅広いテーマを網羅した、世界最大級のオンライン学習プラットフォームです。米Udemy社が2011年からサービスを提供し、日本では事業パートナーのベネッセコーポレーションによって、2015年からサービス提供されています。

Udemyでは自分が学びたい講座を購入し、提供されている動画を視聴して学習します。一つの講座は5〜10分程度の動画で構成されており、通勤・通学や休憩などの隙間時間に学習できるのが特徴です。一度購入した講座は繰り返し視聴でき、復習や再学習にも活用できます。

スキルアップに役立つ講座には、Pythonを使って機械学習とプログラミングの基礎が学べる「みんなのAI講座 ゼロからPythonで学ぶ人工知能と機械学習【2022年最新版】」などがあります。なお、Udemyの有料コースを修了すると「修了証明書」が発行されます。

参考:「オンライン学習プラットフォーム「Udemy」の使い方!効率的に学ぶコツも」株式会社ベネッセコーポレーション Udemyメディア 2021年11月16日

Grow with Google

Grow with Googleとは、Googleが提供する教育プログラムで、個人や企業、スタートアップや教育関係者のスキルアップをサポートし、キャリア開発と事業の成長に役立てることを目的としています。このプログラムは、個人、ビジネスオーナー、教育者、開発者、求職者など、さまざまな立場の人々を対象にしています。

内容としてはマーケティングやGoogleのツール・サービスに関すること、ビジネス戦略、eコマース、働き方、キャリア、セキュリティー、子どもの教育に関することが学べます。

参考:『スキルアップしてあなたのキャリアを開発しましょう – Grow with Google』

Linkedinラーニング

LinkedIn Learningは、ビジネス、技術、クリエイティブ分野を中心に学ぶことができるビデオコースが提供されています。

ビジネススキル、リーダーシップ、プロジェクト管理、デザイン、プログラミング、データ分析など、さまざまな分野の専門家によって作成された数千のビデオコースが提供されています。

また、ユーザーの職歴・スキル・興味に基づいて、おすすめのコースや学習パスを提案してくれたり、コース終了時に取得できる証明書を取得するとLinkedInプロフィールに表示することができ、これにより学んだスキルをアピールすることができたりするといった点があります。

1か月間の無料トライアルがあり、年間だと約22,000円/年(月額換算で約1,800円/月)、月額だと約3,600円(年間契約の約倍)で受講ができます。

参考:『LinkedInラーニング』

DX人材の育成・研修の注意点

DX人材の育成・研修に活用できる教育サービスを見てきましたが、ここからは自社で取り組む際に押さえておきたい注意点を3つ紹介します。

  • 資格を取得する目的を社内で共有する
  • 社内人材のDXへの適性を見極めて推進する
  • 社内で資格取得の費用補助制度を導入する

資格を取得する目的を社内で共有する

DX人材を育成する前に取り組みたいのが、資格取得の目的の社内への周知です。「なぜ、この資格が自社のDX推進に必要なのか」を従業員に説明する機会を設けましょう。

従業員が資格取得後の仕事内容をイメージできるよう、資格取得によってどのような効果を得られるのか、具体的な事例を挙げながら紹介することをおすすめします。

目的も共有せずに資格の取得を奨励すると、従業員のモチベ—ションが下がったり、「実務に活かせる勉強ができた」と実感できなかったりする可能性があるため、注意が必要です。

社内人材のDXへの適性を見極めて推進する

DX関連の資格取得を奨励しても思うような成果が得られない場合、そもそもDXへの適性がある人材を見極められていない可能性があります。DXへの適性がない人材に、デジタルスキルの習得やDXマインドを醸成させるのは難しいでしょう。

そのため、育成・研修を実施する前には、DXへの適性がわかるアセスメントツール(客観的な基準を元に対象者を評価するツール)などを活用することをおすすめします。アセスメントツールにより、DXスキルと素養を定量的に可視化でき、ポテンシャルの高い人材を見つけられるため、効率的なDX人材育成につなげられるでしょう。

エクサウィザーズが提供する「exaBase DXアセスメント&ラーニング」では、DXアセスメントで現状の人材を可視化し、その人の適正に沿ったeラーニングを受講してもらうことで最適なDX人材育成を支援しています。ぜひ活用ください。

<主な特徴>

  • デジタルスキル標準に完全準拠したデジタルイノベーターアセスメント「DIA3.0」
  • 人材要件の定義と育成計画策定もご支援
  • 個人に最適化された育成プログラムの提供

<企業での活用事例>

阪急阪神不動産株式会社
三菱HCキャピタル株式会社
SocioFuture株式会社

社内で資格取得の費用補助制度を導入する

DX関連の資格取得の機運を高めるためには、資格取得の費用補助制度を導入することも効果的です。資格取得に際し、企業が金銭面でサポートすることで、「従業員のモチベーションやスキルの向上」「業務の効率化や生産性の向上」が期待できます。

一方で、企業にとってはコスト面での負担増が懸念されます。厚生労働省が従業員の人材育成・スキルアップに活用できる助成金制度を用意しているため、活用できるか検討してみるとよいでしょう。

参考:「人材開発支援助成金」厚生労働省
参考:「DX人材育成の方法を大公開。DX人材育成5つのステップはスキルと素養の可視化から」

まとめ

自社のDX推進には、社内におけるDX人材の育成・研修が欠かせません。DX人材の育成につながる資格は、経済産業省が認定する国家資格の「情報処理技術者試験」や「ITパスポート」などさまざまあります。

企業の業態や課題に応じて、どのような資格をどのくらい社内で保有してもらうべきかは、異なってきます。

根底としては、自社のDX戦略を定義するところからではありますが、社内での資格取得へ向けた支援整備を進めてみてはいかがでしょうか。