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DX人材育成の方法を大公開|育成の課題・メリット・手法を徹底解説!

昨今、デジタル技術を活用してビジネスモデルの変革を目指す「DX(デジタルトランスフォーメーション)」を推進する企業が増えています。そしてDXを推進するために重要なことはいくつかありますが、DXの成功要因の1つに「DX人材の登用」があります。

DX人材の確保の方法としては、「育成」「新卒採用」「中途採用」「社外の人材の活用」の大きく4つがあり、本記事では「育成」について詳しく解説します。

【資料ダウンロード】DX人材育成の4つの成功モデル
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目次

DX人材とは?

DX人材の定義

DX人材に明確な定義はありません。そもそもDXは、経済産業省が公表した「DX推進ガイドライン」によると、

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

出典:『デジタルガバナンスコード2.0』経済産業省 2022年9⽉13⽇

と定義されています。この定義によると、DX人材とはデジタル技術を活用して製品やサービス、ビジネスモデルを変革し、企業の競争優位を確立するための取り組みを推進できる人材といえるでしょう。

 

DX人材の不足

DX人材の需要は拡大していく一方、日本の労働人口は減少が見込まれており、DX人材の需要と供給のギャップはさらに広まると予測されています。経済産業省が行った「IT人材需給に関する調査」によると、2030年には最大約79万人も不足する可能性があると試算されています。

また、IPAが公開した「DX白書2023 第4部 デジタル時代の人材」によると、日本では、DXを推進する人材が「大幅に不足している」と回答した割合が2021年の30.6%から、2022年には49.6%の約半数と大きく増加しています。

出典:『 DX白書2023_第4部_デジタル時代の人材』IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 2023年2月9日

こうしたことからもDX人材の確保は日本の企業にとって急務だといえます。

では、なぜ「DX人材の育成」が重要なのかを見ていきましょう

DX人材を自社スタッフから育成するメリット

DX人材の確保は各企業にとって急務でありながら、多くの企業で思うように進んでいない現状があります。中途採用や外部人材の活用により社外から調達したり、新卒入社の社員を長期間かけて育成する企業もあるでしょう。

しかし、それが最適な方法だとは限りません。

自社に現在所属している人材を登用し、育成する方法もあります。そのメリットは、自社に最適なDX推進が可能になることです。

自社スタッフをDX人材に育成するメリットについて、以下で確認していきましょう。

自社の現状を把握できている

既存スタッフをDX推進の中心メンバーに据えることの最大のメリットは、自社の内情に精通している点です。具体的な人材像としては、ある程度、社歴を重ね複数の部門を経験している中堅社員が想定されます。

こうした人材は、各部門のキーパーソンを把握しており、誰に話をすればスムーズに物事が進むかなどを理解しています。また、各部門・個人のデジタルリテラシーのレベルを把握しているので、相手に合わせた話ができ、余計な摩擦を生むことなくスムーズに推進できるのです。

自社のビジネスを深く理解している

外部からDX人材を登用した場合、自社ビジネスへの理解の浅さから、的を射ていない施策を講じてしまう恐れがあります。その点、既存の人材であれば、自社の取扱商品やサービス、顧客やマーケットについて熟知しています。

自社のビジネスについて深い理解を持っているのであれば、現状の問題点や手を加えれば効率改善や業績向上が見込める優先課題についても把握できているものです。こうした人材であれば、的外れではない効果的なDX推進を実現できるでしょう。

既存の社内システムと整合性が保てる

既存システムの現状を理解していることも、自社人材がDX推進を担当するメリットです。既存システムの使いづらい点、効率化を阻害している点を理解できていれば、効果的な対策が可能になります。

また、新たにシステムを導入する場合は、既存システムとの互換性を意識した選定が進めやすくなります。外部業者主導でシステム導入を検討するよりも、トータルコストを抑えることが可能になるでしょう。

DX人材育成ではデジタルスキル標準に即した育成が重要

データ活用やデジタル技術の活用が進化し、産業構造が変化するなか競争優位性を確保するには、DXの取り組みは不可欠なものとなっています。しかし、こうした環境において多くの日本企業は遅れを取っているのが現状です。

その大きな要因として挙げられるのが、DXの素養を持った専門人材の不足です。こうした状況を打開するため、政府の閣議決定によりDX人材育成のためのスキル標準の整備を行う方向性が示されました。

経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)により有識者会議を設置し、検討を重ね令和4年12月にとりまとめられたものが「デジタルスキル標準(DSS)ver.1.0」です。

なお、令和5年8月には、生成AIの急速な普及に対応する形で改訂が行われ「デジタルスキル標準(DSS)ver.1.1」が発表されました。

デジタルスキル標準の内容は、以下の2部構成となっています。

  • 「DXリテラシー標準」:全てのビジネスパーソンが身につけるべき能力・スキルの標準
  • 「DX推進スキル標準」: DXを推進する人材の役割や習得すべきスキルの標準

これから、DX人材を育成しようとする会社は、このデジタルスキル標準を十分に理解したうえで、求められる要件を満たした教育を実施することが重要です。

全社的なDXリテラシー向上を目指す

デジタルスキル標準では、DXリテラシー標準策定のねらいとして「働き手一人ひとりがDXリテラシー身に着けることで、DXを自分事としてとらえ、変革に向け行動できるようになる」ことと定義しました。

DX推進においてこの定義は、経営層から社歴の浅い一般社員にまでに求められるものです。

DXリテラシー標準には全体像として、以下の項目が示されています。

  • DXの背景(Why)
  • DXで活用されるデータ・技術(What)
  • データ・技術の活用(How)
  • マインド・スタンス

これらの項目への理解を深め、意識を向上させることが、DX人材育成において欠かせないものとなります。そのためには、所属する人材のDXリテラシーへの理解度や浸透度を可視化することが必要です。現状を把握したうえで個人・組織の強み・弱みを明確にし、施策を講じることで効果的な育成が可能になるでしょう。

DX推進スキル標準に即した育成をおこなう

DX推進スキル標準には、DX推進の担い手となる人材の類型について、以下の5つが提示され、それぞれ求められるスキルや知識が明示されています。

ビジネスアーキテクト DXの取り組みにおいて達成したい目的を設定したうえで、関係者を巻き込み協働を促すなど、DX推進のプロセスを担う。
デザイナー 自社ビジネスとユーザーの視点を総合的にとらえ、提供する製品・サービスのあり方をデザインする。
データサイエンティスト データ活用のスペシャリスト。業務変革や新規ビジネスの構築に向けて、データの分析や活用や仕組みづくりを担う。
ソフトウェアエンジニア デジタル技術を活用した製品・サービスの提供において、システムやソフトウェア設計・実装・運用を担う。
サイバーセキュリティ 業務プロセスにおけるデジタル環境のサイバーセキュリティーリスクを監視・低減する役割を担う。

さらに、デジタルスキル標準においては人材の類型に共通するスキルリストを定義しています共通スキルリストは、DXを推進する人材に求められるスキルを5つのカテゴリーで整理しており、さらに12のサブカテゴリーにわけ詳細なスキルを定義しています。

カテゴリー サブカテゴリー
ビジネス変革 戦略・マネジメント・システム
  ビジネスモデル・プロセス
  デザイン
デジタル活用 データ・AIの戦略的活用
  AI・データサイエンス
  データエンジニアリング
テクノロジー ソフトウェア開発
  デジタルテクノロジー
セキュリティ セキュリティマネジメント
  セキュリティ技術
パーソナルスキル ヒューマンスキル
  コンセプチュアルスキル

DX人材がコアスキルを保有したうえで、推進に必要な共通スキルをどの程度保有しているのか、また育成における項目としても活用します。
そのうえで、各役割における人材・スキルの要件を踏まえたうえで育成カリキュラムを構築することが欠かせません。また、場合によっては独自の人材・スキル要件を設定する必要性もでてきます。

まずは、自社の人材の現状を把握することが第一です。その上で設定された人材・スキル要件を満たすまでの計画を策定しましょう。

DX人材育成の課題

DX人材育成を実施する上では、大きく5つの課題がよく挙げられます。

①学ぶべきスキル・経験の定義が曖昧

そもそもDXは最近できた概念であり、方向性が定まっていない会社も多いです。そんな状況でDX人材を育成するとなると、学ぶべきスキルや経験の定義が曖昧になってしまいます。

②社員が自主的且つ継続的に学習をしてくれない

育成側がどんなにコミットしたとしても、教育を受ける側の社員が自主的でない場合もあります。 要因として、

  • DXの重要性を理解していない
  • そもそもデジタルに苦手意識を持っている
  • 経営層のビジョン発信が弱い

などの可能性が高いため、DXに興味を持ってもらったり、経営からの発信を強めたりするなど社員が自主的に学習に取り組む動機づけに努めましょう。

③何をどう学んでもらえばいいかわからない

実際に学習を進めるフェーズにおいては、

  • どんな内容を学ぶべきか
  • どんな方法で学習するべきか
  • 効率的な学習方法が何か

といった内容で悩む方も多いでしょう。DXの学習方法の最適解はまだ見当たらないのが現状です。

後述する「DX人材育成の5つのステップ」を参考にしてみてください。

④スキルを身に付けても実務に繋がらない

学習サービスなどでDX関連の知識・スキルを一通り学んだと思っても、実務に移ると活かせられないケースもあります。

理由としては、学習サービスなどで学べるのは汎用的な知識・スキルだけで、実務では

  • どの部署に何を依頼すればいい?
  • 欲しいデータがそもそも社内に存在せず、調達方法がわからない
  • 学習サービスでは習わなかったポイントで躓く
  • 思わぬエラーが発生する

などと様々な壁が存在するためです。

これらの壁を解消するために、とにかく実践経験を積んでもらい、実践の中で他者からのフィードバックを受けられる状態にします。そうすることで実務スキルが身に着いていきます。

⑤業務改善・売上拡大・新規ビジネスまで繋がらない

デジタルに強い人材の教育がうまくいったとしても、必ずしもそれが売り上げや新規ビジネス創出に繋がるわけではありません。

理由としては、

  • そもそも推進しようとしているサービスが市場に受け入れられない
  • デジタイゼーション(アナログ・物理データのデジタルデータ化)やデジタライゼーション(個別の業務・製造プロセスのデジタル化)止まりになっている

というケースがあります。

デジタル技術を活用して、それを基に周りを巻き込んでビジネスの変革を起こしていけるように明確なビジョン・戦略の策定、ロードマップの策定、新規事業企画、経営層のコミット、環境サポートなど様々な要因をケアして真のDXまで繋げていきましょう。

以上のように、DX人材育成は一筋縄ではいきません。しかし、適切な流れと内容で行えば最短距離でDX人材育成をすることができるでしょう。DX人材を育成する方法を詳しくご紹介します。

DX人材育成の5つのステップ

本章ではDX人材育成サービスを開発・提供している株式会社エクサウィザーズが提唱している「DX人材育成5つのステップ」の内容を詳しくご紹介します。

エクサウィザーズではDX人材の育成には、大きく分けて以下5つのステップが重要だと考えており、このステップを踏むことで効率的かつ効果的に育成を実施していくことが可能だと考えております。

DX人材育成の5つのステップ

DX人材育成5つのステップを網羅
DX人材育成サービスの資料を見る

①スキルと素養の可視化

まずは社員のスキルと素養を可視化し現状を把握するところから始めましょう。
可視化をすることで例えば、スキル別にグループを分けて、

  • まだスキルを身に付けていない人→スキル学習から始めてもらう
  • 既にスキルを持っている人→実践研修から入ってもらう

などの育成の最適化が可能になります。

全社の可視化と個人の可視化

可視化は全社の可視化と個人の可視化の2つが重要です。

全社の可視化は、適切な人材配置や育成計画/採用計画、チームビルディングに役立ちます。

個人の可視化は、個人の育成プログラムの最適化や、社員のモチベーションアップに繋がります。DXアセスメントなどを受検してもらい、可視化をして「自分に足りているところ、足りていないところ」がわかるだけでも社員のモチベーションは上がることがあります。

可視化する項目

エクサウィザーズでは個人の持つ「スキル」と「素養(ポテンシャル)」を「デジタル」と「イノベーティブ」という2つの軸で分解し4つの象限でDX人材を捉えています。

DXアセスメント「DIA」で定義しているDX人材に必要な「コアスキル」と「素養」(デジタル領域とイノベーティブ領域)

これら項目の詳しい説明はこちらの「DX人材とは?」の記事で詳しく説明しています。

可視化するときの失敗例

可視化をする際のよくある失敗例としては

  • スキル要件を複雑化しすぎる
  • 直接DXとは関係のないものも詰め込みすぎてしまう
  • 独自定義にこだわりすぎる

というものがあります。

特に「独自定義にこだわりすぎる」と、その後の育成プログラムや研修、スキル可視化のツールもどんどんカスタマイズしていくことになり長期的に見てコストが膨大になります。大枠の考え方は世の中のスタンダードに合わせて、あまり複雑化/独自化はせずにまずはスタートするのが良いでしょう。

スキルと素養の可視化の方法

可視化の方法には

①アンケート

②テスト/アセスメント

の2つがあり、それぞれ次のようなメリットデメリットがあります。

  メリット デメリット
①アンケートでスキルを可視化
(無料のアンケート作成ツールなどで作成)
  • 自社で容易に作成可能
  • 回答ハードルが低い
  • 詳細なスキルは測れない(自己申告になる)
  • 精度が悪い
  • 恣意的な回答になることもある
②テスト/アセスメントで可視化
(テスト/アセスメントツールを導入し受検)
  • 専門理論等も組み込まれているものは、短時間で高い精度
  • ツールによってはスキルや素養など幅広い結果がわかる
  • 自社作成は困難であり、費用がかかる

一旦クイックに自社の現状を大まかに把握したい場合は「①アンケートでスキルを可視化」がおすすめです。

DX人材育成を投資と捉え本気で取り組むなら、コストはかかりますがアセスメントの受検をおすすめします。

スキルと素養の可視化は今後人材育成を進める上での土台になりますのでしっかりと実施しましょう。

②人材育成計画の策定

スキルと素養の可視化が終われば、それを基に人材育成の計画を策定します。

人材育成計画を策定する上で重要なこと

人材育成計画を策定する上で重要なことは

  • 何を目的に
  • いつまでに
  • どんな人を
  • 何人

育成するかです。

そのためには、

①AS-IS
現状把握。どんな人がどのくらい、どこにいるのかを把握(ステップ1の「スキルと素養の現状可視化」で実施)。

②TO-BE
求める人材要件。中期経営計画、DX戦略等を踏まえて要件定義。

③最適なプログラムを設計
個人のスキル・マインド、目標、会社からの期待に合わせた個人最適のプログラムを設計。

という順番が重要になります。

人材要件定義

育成計画を立てるにあたっては、どのようなスキル・素養を持った人材(質の定義)を、どの程度育成する(量の定義)かを定義する必要があります。

質については、前述した「デジタル」と「イノベーティブ」の「スキル」と「素養」の4象限を参考にすると良いでしょう。

量については、中期経営計画などの大きなロードマップから逆算して考えると良いでしょう。

例えば、

3年後には1年間で企画からPoC、商品化に向けた開発にまで至った件数が3件実現できている世界を目指すとすると、3年後にはPoCに対応できる人材を115人育成する必要がある

DX人材の育成目標人数の策定の仕方

といった考え方です。

育成計画が立てられた後は実際に育成を進めるフェーズに入ります。

③知識のインプット(マインド醸成、リテラシー獲得)

DXマインドの醸成

育成を進めるフェーズではまず「DXは重要」「DXはおもしろい」と感じてもらうDXマインドの醸成が重要です。DXマインドが醸成されていない状況でいきなりeラーニングを始めても継続せず効果は最大化されません。

DXがまだ自分事となっていない方には、堅苦しい内容ではなく、まずは「へぇ~おもしろい!」と思ってもらうことからスタートしましょう。雑学ネタとして食堂で話題にしている社員がいたら成功といえます。

DXマインドを醸成する方法としては下記のような方法があります。

  • いつも目にするところに1ネタ提供
    • 会社のエレベーターにDX関連のニュースの切り抜きを週替わりで提示するなど。
  • 朝会でニュースを共有
    • 毎朝の朝会で自社の業界におけるデジタル・IT関連のニュースを共有するなど。
  • リレー形式でDXネタをメールやチャットでシェア
    • みんながへぇ~と言いたくなるような、DX事例をメールで順番にシェアするなど。
  • 有志の社内コミュニティで共有
    • Teamsのチャンネルを立ち上げ、有志でDXネタを投稿し合い楽しんでいるなど。

リテラシー学習

次は実際にデジタルリテラシーをインプットしていきます。学習方法には様々ありますが、フェーズに応じた内容や順番、組み合わせ方が大事です。

①動画:短い動画でわかりやすくサクサク進めるのがおすすめ。

②書籍:会社の経費で書籍を購入できる制度を購入したり、推奨書籍を部署で設定すると良いでしょう。

③セミナー:DX/AI支援企業のメルマガを登録し、お知らせを待ったり、PeatixやTechplay、セミナーズなどで検索し探しましょう。

④オンライン学習サービス:Udemy BusinessやProgate、Schoo、Grow with Googleなど

学習方法の提供順序や組み合わせ例は以下の通りです。

DXスキルの学習方法、順序、組み合わせの例

座学によるインプットが終われば次は実践で身に付けたスキルを自分の物にしていきましょう。

④実務スキルのアウトプット

実務スキル習得の重要性と習得方法

実務スキルとは、知識・スキル・解決力などの掛け合わせです。実務スキルがないと業務での成果には繋がりません。

実務スキルがないと「分析手法を理解はしているが、対象データをどこから準備すればいいのかわからない」「「良いデザイン」はわかったが、どのツールを使って、どう実装すればいいのかわからない」といった壁にぶつかり成果を出せない可能性があります。

実務スキルの習得方法とは、インプット・アウトプット・プロのフィードバックの繰り返しです。インプットした後はとにかくアウトプットの数と質を高めていきましょう。

DXにおける実務スキルの身に付け方のサイクル「インプット」→「アウトプット」→「プロのフィードバック」

実務スキル習得のためのプログラム例

例えば、ノーコードAIツールを使ったデータ分析演習をする場合だと以下のような例があるでしょう。

①AIとは何か、AIの仕組み、AIでできることできないこと、どんなデータが必要かなどを学習

②ノーコードAIツールを活用したデータ分析の一般的な流れやツールのデモ体験、操作方法を理解

③ツールを活用した分析演習を実施。基本個人ワークでたまにグループで相談しながら進める。プロのDXコンサルタントのフィードバックも受けつつ、最後に実務でツールを活用するならどう使えるかをグループで検討

学習方法には様々ありますが、インプットした知識を忘れないうちに、実践し、プロからのフィードバックを受けるということを繰り返せば実務スキルは身に付くでしょう。

⑤実践力強化

実務スキルを習得してきたら、最後にフェーズとして実践力をどんどん磨いていきましょう。このフェーズでは日々の業務の中で”小さい実践”ができる機会を創り出し、学んだことをいかに短いサイクルでたくさん経験するかが大事になってきます。

例えば、手始めに今手元にある構造化データを分析して、示唆を導き出すなど小さい成功体験を積みます。これにより「自分にもできるんだ」と気付きを得て、小さな成功を積み重ね、周りを巻き込みながら規模を大きくしていく例が挙げられます。

以上がDX人材育成の5つのステップでした。これら5つのステップを着実に実践していけば皆様のDX推進も大きく飛躍することでしょう。

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社員をDX人材に育成する際のポイント

既存社員をDX人材に育成する場合、担当者の人選が最終的な成功のカギを握るといっても過言ではありません。社内から何人かの候補者を選定し、適性を見極めてから担当者を決めることが鉄則です。

スピード感のあるDX推進には、担当者の成長が欠かせません。個々の強みや興味の方向性を把握し、それぞれに適した役割をアサインすることで、成長スピードも早まります。

以下のポイントに注意して、育成を進めていきましょう。

  • 実務に紐づいた研修を行う
  • 部署ごとの小さなプロジェクトから始める
  • 全社的な支援体制を構築する
  • すべてを内製化せず外部リソースも組み入れる

実務に紐づいた研修を行う

DX人材の育成において、IT関連の知識や技術のみを教育するだけでは不十分です。知識の習得だけが目的化してしまい、具体的なDX推進に繋がらない恐れがあるためです。

知識習得のための研修を実施したら、必ず現場の実務と紐づけた実践の機会を合わせて用意する必要があります。学んだ知識を使い、現場のDXを少しずつ進めていく。そのプロセスで必要になった知識をさらにインプットし、現場に反映させるといったサイクルを構築すると効果的な育成が可能です。

部署ごとの小さなプロジェクトから始める

DX人材の育成過程で、いきなり全社的なビックプロジェクトを担当させるのは得策ではありません。まずは、部署ごとの特定の業務をピックアップしてDXを進めましょう。

マンパワーが無駄にかかっている業務があれば、積極的に介入しDXにより解決を図っていくのです。うまく解決できた場合は、その部署の社員から感謝・称賛されることが成功体験に繋がります。このプロセスを繰り返していけば、DXの効果を実感する社員の輪が広がっていくため、全社的なDX推進の気運が高まっていくでしょう。

全社的な支援体制を構築する

DXが失敗する原因の1つに、担当者に任せきりになってしまうことが挙げられます。全社的な支援体制ができていないため、その都度現場の理解を引き出すことに力を注がなくてはならなくなるのです。

こうした事態を避けるには、経営トップから明確なメッセージを発信し、全社を挙げての取り組みであることの共通認識の形成が必要です。既存のやり方に固執し、業務プロセスの変更に抵抗する社員は少なからずいます。こうした抵抗勢力がDX推進の妨げにならないように、全社的な支援体制が必要になるのです。

すべてを内製化せず外部リソースも組み入れる

プロデューサーやデザイナーとしてDXを主導するのは、自社の人材でチームを組織し進めることが望ましいでしょう。反対に、ツールやシステムの実装といった個別のプロセスは、外部に委託することをおすすめします。

すべてを内製化しようとすれば、かなりの確率でリソース不足に陥ります。全体的なデザインはできても、実装が追いつかず全体の進捗が遅れるといった事態が起きてしまうのです。外部に任せる部分を明確に線引きし、限られたリソースを重要な業務に振り分けるようにしなくてはなりません。

DX人材育成に必要な資格や注意点については、こちらの記事でも紹介しています。ぜひ、合わせてお読みください。

DX人材に必要な資格とは? 社内でDX人材を育成する注意点も解説

DX人材育成に使える補助金

DX人材育成には色々と費用もかかります。ここで厚生労働省が従業員の人材育成・スキルアップに活用できる助成金制度を用意しているのでご案内いたします。

厚生労働省が用意している人材開発支援助成金は事業主などが雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための職業訓練などを計画に沿って実施した場合などに訓練経費や訓練期間中の賃金の一部などを助成する制度です。

令和6年4月には制度改定が行われ、一部コースの支援内容拡充や、手続きの簡素化が図られています。

参考:人材開発支援助成金を利用しやすくするため、令和6年4月1日から制度の見直しを行いました。厚生労働省

人材開発支援助成金には以下の7コースがあります。

人材育成支援コース

令和5年4月より「特定訓練コース」「一般訓練コース」「特別育成訓練コース」を統合し新設されました。雇用する人材に対し、職務に必要な知識・技能を習得させるために訓練を実施した場合に助成されるコースです。人材育成支援コースの詳細はこちら

教育訓練休暇等付与コース

有給教育訓練休暇等制度を導入し、労働者が当該休暇を取得し、訓練を受けた場合に助成するコースです。教育訓練休暇等付与コースの詳細はこちら

人への投資促進コース

デジタル人材・高度人材を育成する訓練、労働者が自発的に行う訓練、定額制訓練(サブスクリプション型)等を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成するコースです。人への投資促進コースの詳細はこちら

事業展開等リスキリング支援コース

新規事業の立ち上げなどの事業展開等に伴い、新たな分野で必要となる知識及び技能を習得させるための訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成するコースです。>事業展開等リスキリング支援コースの詳細はこちら

建設労働者認定訓練コース

認定職業訓練または指導員訓練のうち建設関連の訓練を実施した場合の訓練経費の一部や、建設労働者に有給で認定訓練を受講させた場合の訓練期間中の賃金の一部を助成するコースです。建設労働者認定訓練コースの詳細はこちら

建設労働者技能実習コース

雇用する建設労働者に技能向上のための実習を有給で受講させた場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成するコースです。建設労働者技能実習コースの詳細はこちら

障害者職業能力開発コース

障害者の職業に必要な能力を開発、向上させるため、一定の教育訓練を継続的に実施する施設の設置・運営を行う場合に、その費用を一部助成するコースです。障害者職業能力開発コースの詳細はこちら

自社にあった助成金コースはどれかよく調べ必要な場合はぜひ申請しましょう。想定よりも低いコストで人材育成に取り組めるかもしれません。

出典:『人材開発支援助成金』厚生労働省

DX人材育成の取り組み事例

DX人材育成の取り組み事例を3つ紹介します。育成のイメージがより明確になるはずです。

サッポロホールディングス株式会社

サッポロホールディングス株式会社は、同社グループ全体の約4,000人に大規模なDX人材育成を行いました。

また、全社から募集された「DX・IT推進サポーター」約500人に対して専用の育成方法を施し、内約150人には「DX・IT推進リーダー」の育成を実施します。

この取り組みは2022年2月から開始し、2023年までにグループ全体の戦略推進力の向上を図り、さらに2024年には、社内で自走的にDX人材育成ができる体制を整える見込みです。

サッポロホールディングスの全社員DX人財育成計画

参考:『サッポロホールディングスが、DX人材発掘・育成サービス 「exaBase DXアセスメント&ラーニング」を採用』株式会社エクサウィザーズ

パーソルテクノロジースタッフ株式会社

エクサウィザーズ、パーソルテクノロジースタッフ DX/AI人材の育成を共同で開始パーソルテクノロジースタッフ株式会社は2022年1月より、株式会社エクサウィザーズと共同でDX/AI人材の育成をスタートしました。

この育成では、パーソルテクノロジースタッフに所属する社員のITエンジニアが対象で、DX推進で求められるスキルを習得させるというものです。

トレーニングが完了した対象者には、AIを用いたシステム実装などの業務が割りあてられます。

参考:『エクサウィザーズ、パーソルテクノロジースタッフ DX/AI人材の育成を共同で開始』株式会社エクサウィザーズ

中部国際空港

中部国際空港株式会社はセントレアグループ全社のDX人材育成のためにエクサウィザーズの提供するDX人材発掘・育成サービス「exaBase DXアセスメント&ラーニング」を活用してDX人材育成を推進しています。

また、基礎となるステップとして、2023年2月からの1年間でグループ全社員約1000人を対象に本サービスのアセスメント及びeラーニングを実施します。これにより、DX人材に必要なスキル・素養を定量化した上で最適なオンライン学習コンテンツを提供し、継続した学習に欠かせないDXマインドの醸成や、DX実務に活きるリテラシーの習得を支援することになります。

次のステップでは基礎ステップで選抜した100〜200人の社員を対象として、実務に繋がるDXスキルの習得および実際の業務改善や顧客の立場に立ったサービス向上等の取組みを推進できる組織構築を目指します。

参考:『中部国際空港がグループ全社にDX人材発掘・育成サービス「exaBase DXアセスメント&ラーニング」を採用』株式会社エクサウィザーズ

 

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DXを実施するにあたっては、単に既存業務の効率化をおこなうだけでなく、どのように競合優位性を確立するかという経営観点にもとづいた推進が必要です。
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まとめ

DX人材育成は時間がかかり根気のいる取り組みですが会社が今後生き残っていくためには必要な取り組みといえます。DX人材育成には本記事で述べた5つのステップを正しく理解し自社に最適な状況で推進していきましょう。

株式会社エクサウィザーズでは800社以上、5万人が採用したDX人材育成サービスを提供しています。AI活用がDXを実際に推進しているプロが多い会社だからこそ実現できたプログラムやDXアセスメントを提供しています。興味のある方はぜひお問い合わせください。

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