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OpenAI未上場株、シリコンバレー起業家に意外と不人気!?

OpenAI未上場株、シリコンバレー起業家に意外と不人気!?

米ニュースメディアAxiosでベンチャー投資やM&Aを担当するビジネス編集者のDan Primack氏が今週、シリコンバレーの起業家約30人に非公式の調査をした。米Anthropic、米SpaceX、米OpenAIの3社のうち、どの株を選ぶか。答えはAnthropicが3分の2、SpaceXが3分の1で、OpenAIを選んだ人は一人もいなかった。

春から続くOpenAI離れ

30人ほどの回答なので、統計的な裏付けにはならない。ただ、OpenAI株の不人気は今に始まった話ではない。ブルームバーグ通信は4月、未上場株の売買を仲介する米Next Round Capitalに、Anthropic株を買いたい投資家から計20億ドルの購入資金が寄せられる一方、既存株主が売りに出したOpenAI株は約6億ドル分が売れ残っていると報じた。同じく仲介を手がける米投資銀行Rainmaker Securitiesの社長、Glen Anderson氏も当時、「当社の市場で最も手に入りにくいのがAnthropic株だ。売り手がまったくいない」と語っていた。

当時Anthropicが好まれた理由としては、割安感、事業の勢い、話題性が挙げられていた。企業価値はOpenAIの8520億ドルに対してAnthropicは3800億ドルで、値上がりの余地が大きいと受け止められた。米調査会社PitchBookのデータでは、企業が自社のシステムに組み込むAIモデルのシェアで、OpenAIが50%から25%に下がり、Anthropicは12%から32%に伸びていた。さらにAnthropicは3月、米国防総省から「サプライチェーン上のリスク」に指定された。Anderson氏は、これで同社が「大きな政府に立ち向かうヒーロー」のように応援され、OpenAIとの違いが際立ったと見ていた。

巻き返しても選ばれない

その後、事情は変わった。Anthropicの企業価値は5月の資金調達で9650億ドルとなり、OpenAIを上回った。割安感はもうない。製品の勢いでは、OpenAIが巻き返している。米Wall Street Journalが入手した報告書によると、複数のAIモデルを価格や性能に応じて使い分けられる仲介サービス、米OpenRouterの利用に占めるOpenAIのシェアは、年初の25%未満から9月には50%近くまで高まった。調査をしたPrimack氏自身も9月末のコラムで、抜きつ抜かれつのモデル開発競争で目下Anthropicはやや後れを取っているように見えると書いている。

それでもOpenAIが選ばれなかったのはなぜか。回答者が理由を語っていないので、正確なところは分からない。考えられる要因は三つある。

売上高の数字が180億ドル目減り

一つ目は、調査と同じ週に起きた売上高をめぐる騒動だ。英経済紙Financial Timesが最初に報じ、米経済ニュース局CNBCが確認したところによると、OpenAIは投資家に、9月末時点の年換算売上高(直近の売上を1年分に引き延ばした数字)が約500億ドルだったと伝えた。9月下旬に広く報じられていた680億ドルを大きく下回る。

関係者によると、680億ドルはAnthropicと比べやすくするため、提携先経由の売上を総額で数えた数字だった。Anthropicはクラウド事業者経由の売上を相手の取り分を差し引く前の総額で計上し、OpenAIは差し引いた後の純額で数えている。売上が消えたわけではないが、8日の米株式市場では、OpenAIと取引の深い米NVIDIAが3%、米Oracleが6%近く、GPUクラウドの米CoreWeaveが8%近く下落した。

上場前に手に入れたい

二つ目は上場のタイミングだ。Anthropicは上場目論見書の公開が近日中にも見込まれ、11月下旬までの上場がうわさされている。一方、OpenAI CEOのSam Altman氏は9月12日、米経済誌Fortuneのインタビューで「安全性をめぐる今の状況を考えれば、上場するには賢明でない時期だ。急ぐ必要も感じていない」と述べ、年内の上場を否定した。

Anderson氏の経験では、上場が近い株には買いが集まる。同氏は4月の取材で、SpaceXの上場申請が伝わった日に「SpaceX株を回してくれ」という投資家が殺到したと話していた。上場が近づくと持ち主は手放さなくなり、株は品薄になるという。上場前に手に入れておきたいという思惑が、Anthropicへの票を押し上げた可能性がある。

技術者の手元にはClaude Code

三つ目は、AIを使いこなす人たちの間でのAnthropicの評判だ。一般の利用者の間では、OpenAIのChatGPTが圧倒的に知られている。調査会社ICT総研が2月に日本のネット利用者約2000人に聞いた調査では、ChatGPTの利用率36.2%に対し、AnthropicのClaudeは4.3%だった。世界全体のアクセス数でも、8月はchatgpt.comの56億回に対しClaude.aiは9億5000万回にとどまる。

開発者の間では逆だ。開発者向けツール大手の蘭JetBrainsが5〜7月に世界の開発者1万5000人以上に聞いた調査では、Anthropicの開発ツールClaude Code(AIに指示してプログラムを書かせる道具)を仕事で使う人は39%で、米国に限ると47%に達した。OpenAIの対抗製品Codexは16%だった。

OpenRouterのデータと矛盾するようだが、測っているものが違う。OpenRouterが示すのは、企業が自社サービスの中で呼び出すAIモデルの比率で、JetBrainsの調査は開発者が自分の仕事で使う道具の比率を見ている。製品に組み込むモデルではOpenAIが巻き返しても、技術者が毎日手元で使う道具はClaude Codeという構図だ。シリコンバレーの起業家の周りには、こうした技術者が多い。Anthropic優勢の空気を日々肌で感じていても不思議ではない。

日本から見える景色との違い

三つのうち、どれが決め手だったのかは分からない。ただ、三つ目の要因が示す溝は、日本の読者にとって見過ごせない。ChatGPTの名前ばかりが目立つ日本から見えるAIの勢力図と、AIを毎日使いこなす人たちが見ている勢力図は、かなり違っているからだ。