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AIエージェントサービスはどう選ぶ?種類別の違いと選び方を解説【2026年版】

公開日
2026.09.03
AIエージェントサービスはどう選ぶ?種類別の違いと選び方を解説【2026年版】

指示された目的に向けて自分で手順を考え、複数の作業を続けて実行するのがAIエージェントです。提供するサービスは2025年に一気に増え、どれを選べばよいか判断に迷う企業が増えています。

成果を出している企業に共通するのは、最も自律的なサービスを選ぶことではなく、自社の業務データとワークフローに権限管理を効かせて組み込み、狭い定型業務から効果を確かめて広げるという進め方です。多機能さや自律度の高さより、自社の業務にどう組み込めるかが選定の分かれ目になります。

本記事では、AIエージェントサービスの種類の見分け方、得られるメリット、選び方、代表的なサービス、導入時の注意点、失敗を避ける手順、先進企業の事例までを順に整理し、自社に合うサービスを選べる状態まで案内します。

目次

AIエージェントサービスとは

AIエージェントとは、目的を伝えると達成に向けて自分で手順を考え、判断しながら作業を進めるAIを指します。従来のチャットボットや、RAG(社内文書を検索して回答に使う仕組み)を用いたアシスタントが「質問に答える」支援にとどまるのに対し、AIエージェントは調べる・作る・登録するといった複数の工程をまたいで実行するところまで担うのが特徴です。違いを整理します。

区分 主な役割 自律度 向いている使い方
チャットボット・RAGアシスタント 質問への応答・要約・下書きの支援 低い(都度の指示が前提) 調べ物や文章作成の補助
RPA あらかじめ決めた手順の自動化 中程度(手順の範囲内) 定型作業の反復処理
AIエージェント 目的に向けた計画・実行・ツール操作 高い(判断を伴う) 複数工程の業務をまとめて委任

チャットボット・RAGアシスタント・AIエージェントという3つの違いは、自律度の高さそのものよりも、どこまでの工程を任せられるかに表れています。工程をまたぐ必要があるかどうかが、AIエージェントを選ぶかどうかの分かれ目です。

2026年は関心が先行し自律型の実運用はこれから

AIエージェントへの関心と実運用の間には、いまはっきりした開きがあります。

理由は、生成AIそのものの活用が急拡大する一方で、業務を任せきる使い方がその伸びに追いついていないためです。矢野経済研究所の調査では、生成AIを活用する企業は43.4%(全社11.3%+一部32.1%)にのぼり、前年から17.6ポイント増えました。2023年は1割に満たなかったため、2年で4倍を超えた計算です。

図1

図1 国内企業における生成AI活用率の推移

出典:矢野経済研究所「国内生成AI/AIエージェントの利用実態に関する法人アンケート調査を実施(2026年)」(2025年12月)

同じ調査で生成AIを活用していると答えた企業215社に絞ると、業務を任せきる自律型のAIエージェントを利用中の企業は3.3%にとどまります。導入検討中が13.5%、関心があり情報収集中が49.3%で、前向きな回答は6割を超えました。基盤の普及率と実運用率の差が、そのまま関心と実装の距離を示しています。

図2

図2 生成AI活用企業におけるAIエージェントの利活用状況

出典:矢野経済研究所「国内生成AI/AIエージェントの利用実態に関する法人アンケート調査を実施(2026年)」(2025年12月)

活用企業が4割を超えるのに対し、自律型の実運用は3.3%。2026年は、高まった関心を実際の運用へ移し始める転換点にあたります。

選定は自律度でなく自社業務への組み込みで決まる

選定を分けるのは自律度の高さではなく、自社の業務データにつなげられるか、誰がどのデータを扱えるかを決められるかどうかです。

AIエージェントが動くには、社内のデータと操作の権限が必要になります。参照先が整っていなければ答えの精度は上がらず、触れてよい範囲が決まっていなければ実務では動かせません。

見積書の作成を任せる場合、参照するのは製品マスタと過去の見積です。2つのデータが最新でなければ、間違った金額が出力されます。任せる業務と扱ってよい情報が決まっていれば、ツール選定で迷いません。

AIエージェントサービスで得られるメリット

AIエージェントの価値は、生成AIでもできる要約や下書きの支援ではなく、エージェントでなければ成り立たない使い方にあります。メリットは次の3点です。

  • 複数ステップの業務を自律的に最後まで遂行する
  • 外部ツールやシステムを横断して操作できる
  • 判断を伴う定型業務を任せられる

複数ステップの業務を自律的に最後まで遂行する

複数の工程にまたがる業務は、途中で指示を挟まずに最後まで任せられます。

AIエージェントは、目的を受け取った時点で手順を組み立て、途中の判断も自分で行うからです。工程ごとに人が指示を出す1問1答のやり取りは必要ありません。

たとえば競合調査から比較資料の作成までを指示すると、調べる対象の選定、情報の整理、資料への落とし込みまでを一続きで進めます。担当者が関わるのは、はじめの指示出しと最終確認だけです。

外部ツールやシステムを横断して操作できる

外部ツールや社内システムをまたいだ操作まで、1つの指示で任せられます。

文章や画像を生成して終わるのではなく、ブラウザの操作、社内データの参照、業務アプリへの登録までを実行できます。人が画面を切り替えて受け渡していた作業が、1つの指示で完了します。

たとえば調査機能や画像生成、社内文書の検索といった複数のツールを組み合わせた専用エージェントを用意しておけば、担当者は依頼内容を伝えるだけで、ツールの選択から実行までをエージェント側が担います。

判断を伴う定型業務を任せられる

決められた基準に照らして可否を決める、判断を伴う定型業務も任せられます。

定型業務での判断は、決められた基準に照らして可否を決める作業に収まります。判断がついたあとの連絡や記録までが、AIエージェントの担当範囲です。

たとえば経費申請の確認の場合、金額が上限を超えていないか、領収書が添付されているかなどを確認し、不備があれば申請者へ差し戻すといった業務をAIエージェントで実行できます。

AIエージェントサービス4つの種類

AIエージェントサービスは、提供のされ方でおおむね4つに分けられます。まず4つの違いを押さえ、自社の用途がどれに当たるかを確かめるところから始めてください。

種類 提供のされ方 得意な業務 向いているケース
汎用業務対応型 すぐ使える汎用アシスタント 調査・文書作成・要約・タスク自動化 難しい設定なしで試したい
業務アプリ連携型 CRMやERPなど既存アプリに組み込み 顧客対応や基幹業務の自律実行 既存システムと連携させたい
業務特化型 特定業務に特化したSaaS 営業・CS・経理・人事など 解決したい課題が明確
自社構築型 専用エージェントを構築する基盤 自社固有の業務・ノウハウの反映 既製品では対応できない

表 AIエージェントサービスの4分類

4つの違いは業務への組み込み方にあります。既存システムとの距離が近い種類ほど導入前のデータ整備が重くなり、遠い種類ほど小さく試せます。

汎用業務対応型

汎用業務対応型は、日常の事務作業を業務の種類を問わず手軽に任せられるAIエージェントです。特定の業務向けに作り込まれておらず、自然言語の指示だけで動くため、複雑な初期設定なしで使えます。

対象になるのは、情報の検索、会議の議事録の要約、メール文面の作成、データ整理など、業種を問わず発生する定型業務です。「競合3社の料金を調べて一覧にする」と伝えれば、検索から表への整形までを続けて処理します。一方で、業界固有のルールや自社独自の手順が絡む業務には対応しきれません。

準備の手間が小さく、AIエージェントをまず試したい企業に向いています。

業務アプリ連携型

業務アプリ連携型は、すでに社内で使っているシステムの中で動くタイプのAIエージェントです。CRM(顧客管理システム)やERP(基幹システム)に蓄積された顧客情報や在庫データを直接参照できるため、システムをまたぐ処理まで自律的に進められます。

問い合わせ内容を顧客データに自動で記録する、在庫が一定数を下回ったら発注を起票するといった連携が可能です。普段の画面のまま操作できるので、現場が新しいツールを覚える負担も抑えられます。ただし、項目名や表記が社内で揃っていないとAIが誤った判断をするため、導入前のデータ整備が欠かせません。

既存システムのデータを生かし、業務プロセスそのものを自動化するタイプです。

業務特化型

業務特化型は、営業やカスタマーサポートなど特定の業務に絞って提供されるタイプのAIエージェントです。実務に必要な専門知識と手順があらかじめ組み込まれているため、自社で設計する手間を省けます。

営業向けなら顧客データの分析から提案資料の作成まで、サポート向けなら過去の対応履歴にもとづく回答案の作成までを担います。商談化率を上げる、対応時間を短くするなど改善したい指標が定まっているほど効果が出やすいのが特徴です。担当者ごとに進め方が異なる状態も整えられます。

特定部門の課題に的を絞るぶん、導入後すぐに成果を確かめられるタイプです。

自社構築型

自社構築型は、自社固有の業務に合わせて専用のエージェントを作れるタイプのAIエージェントです。ノーコードやローコード(プログラムを書かずに、または少ない記述で開発する方法)のツールを使えば、専門的なプログラミングの知識がなくても自社特有の要件を満たせます。

自社だけのマニュアルや固有の仕事の進め方をAIに学習させ、ブロックを組み立てるような感覚でシステムを構築できます。独自のルールが多い企業や、社内のIT部門が主導して専用のワークフローを作りたい企業に向いています。

ただし、自由度が高い反面、事前の設計や運用体制の構築、継続的なメンテナンスに一定のリソースが求められます。

AIエージェントサービスの選び方

サービスを比べる前に、解決したい課題とAIに任せる業務範囲を先に決めてください。範囲が決まれば、機能の豊富さに惑わされずに要否を判断できます。そのうえで確認したい基準は次の3つです。

  • 既存システムや外部ツールと連携できるか
  • 導入コストや料金体系が自社に合っているか
  • セキュリティ対策ができているか

既存システムや外部ツールと連携できるか

最初に確かめたいのは、既存のシステムや外部ツールとの連携です。AIエージェントは単独では力を発揮しきれず、社内データとつないではじめて業務を自動化できます。確認するのは、社内ナレッジへのRAG(社内文書を検索して回答に使う仕組み)接続と、CRMなど業務ツールとのAPI連携の両方です。

連携の設定は、ノーコードで済むか、API(システム同士をつなぐ接続口)の開発が必要かで分かれます。自社の技術リソースを超えると、導入も運用も負担が重くなるため、接続先と連携方法の両方を契約前に確かめてください。

導入コストや料金体系が自社に合っているか

導入コストは、年間を通じた総額で試算して比べることが重要です。基本料金だけで比べると、利用状況に応じた変動や見えにくい隠れコストを見落としてしまいます。料金は、毎月決まった額を払うライセンス型と、処理したデータ量に応じて払う従量課金型に分かれます。

従量課金型は、利用が増えたり処理が複雑になったりするほど料金が上がる仕組みです。初期設定費・カスタマイズ費・連携の開発費・保守費が別に発生する場合もあります。隠れた費用まで含めた年間コストを出し、小さく始めて広げられるプランかを見極めてください。

セキュリティ対策ができているか

強固なセキュリティ対策があるかも確認すべき項目です。AIエージェントは社内データにアクセスするため、情報漏洩のリスクや、AIの予測不能な行動によるトラブルを防ぐ必要があります。

具体的には、入力した自社データがAI開発元の学習に勝手に利用されない設定になっているか、アクセス権限の厳密な管理や「誰がいつ操作したか」という監査ログの記録ができるかを確認します。

また、AIが重要なアクションを自動実行する前に、人に最終確認を求める承認プロセスを設計できるかも確認したい点です。情報の保護とログ管理に加え、最終的な判断と承認の権限を人が持てる設計であることが、安全な運用の土台になります。

入力データを学習に使わせない環境でエージェントを使うなら

機密情報や顧客データを扱う場合は、統制機能を備えたサービスが前提になります。エクサベース AIは、入力データを学習に利用しない設定や権限管理、全社の利用状況のモニタリングに対応しています。

AIエージェントサービスを種類別に紹介

ここでは、実務で名前の挙がる代表的なサービスを4分類で紹介します。特徴は各提供元の公式情報にもとづく内容です。

種類 AIエージェント 主な提供元
汎用業務対応型 Manus/ChatGPTエージェントモード Manus・OpenAI
業務アプリ連携型 Salesforce Agentforce/Microsoft 365 Copilot・Copilot Studio/ServiceNow Now Assist Salesforce・Microsoft・ServiceNow
業務特化型 Zendesk AI/Devin Zendesk・Cognition
自社構築型 Google Vertex AI Agent Builder・Gemini API/Dify/エクサベース AI Google Cloud・LangGenius・エクサウィザーズ

汎用業務対応型

Manus

Manusは、Web調査や資料作成などを自律的に進める汎用のAIエージェントです。ブラウザ操作まで任せられるため、情報収集からレポート化までを一連の作業として自動化できます。データ連携なしで使い始められ、小規模な試験導入に向いています。

出典:Manus「Manus Browser Operator」

ChatGPTエージェントモード

ChatGPTのエージェントモードは、OpenAIが提供する自律実行の機能です。指示すると、情報収集からスライド作成までを一連の作業としてこなします。影響の大きい操作の前には承認を求め、実行中でも作業の停止やブラウザ操作の引き取りなどが可能です。

出典:OpenAI「Introducing ChatGPT agent: bridging research and action」(2025年7月)

業務アプリ連携型

Salesforce Agentforce

Agentforceは、Salesforce上で稼働する自律型のエージェントです。CRMやサービス業務と連携し、問い合わせ対応やケース処理をサポートします。Trust Layerにより、企業向けの安全性とアクセス管理を確保しながら運用できるのも特徴です。

出典:Salesforce「Agentforce」(2026年7月時点)

Microsoft 365 Copilot・Copilot Studio

Microsoft 365 Copilotは、OfficeやTeamsに統合されたアシスタントです。Copilot Studioを使えば、自然言語でノーコードのエージェントを構築し、社内データと連携させられます。Purviewを通じてガバナンスを効かせられる点も特徴です。

出典:Microsoft「Microsoft Copilot Studio」(2026年7月時点)

ServiceNow Now Assist

Now Assistは、ServiceNowのプラットフォーム上で動くAIエージェント機能です。IT・人事・カスタマーサービスなどの問い合わせやタスクを自律的に処理します。AI Agent Studioでは独自のエージェントを構築でき、データを学習に使わせない設定にも対応しています。

出典:ServiceNow「AI Agents」(2026年7月時点)

業務特化型

Zendesk AI

Zendesk AIは、カスタマーサポートに特化した自己改善型のエージェントです。問い合わせの意図を理解し、システムを横断してアクションを実行できます。複数ステップの対応まで自動化が可能です。ポリシー設定やQA機能で、挙動を確認しながら制御できます。

出典:Zendesk「AIエージェント」(2026年7月時点)

Devin

Devinは、Cognitionが提供する自律型のソフトウェアエンジニアです。計画からコードの作成、テスト、修正までを一連で進め、プルリクエストの作成まで引き受けます。サンドボックス環境で動作し、情報セキュリティの第三者認証であるSOC 2 Type IIやISO 27001にも対応しています。

出典:Cognition「Enterprise security」(2026年7月時点)

自社構築型

Google Vertex AI Agent Builder・Gemini API

Vertex AI Agent Builderは、エージェントを構築して本番まで運用するGoogle Cloudの基盤です。ADK(エージェント開発キット)やGeminiを含む多様なモデルを、API(外部システムから機能を呼び出す接続口)経由で組み合わせ、自社の要件に合わせて内製できます。生成したコードは、マネージドなサンドボックス環境で安全に実行する仕組みが用意されています。

出典:Google Cloud「Vertex AI Agent Builder overview」(2026年7月時点)

Dify

Difyは、オープンソースのLLM(大規模言語モデル)アプリ・エージェント開発基盤です。ノーコードでワークフローやRAG、エージェントを構築でき、利用するモデルを自由に切り替えられます。セルフホストすれば、機密データを外に出さずに運用できる点が評価されています。

出典:LangGenius「dify(GitHubリポジトリ)」(2026年7月時点)

エクサベース AI

エクサベース AIは、エクサウィザーズが提供する法人向けの基盤です。自社のノウハウを組み込んだ専用のエージェントを作成し、権限管理や学習不使用の設定のもとで運用できます。

出典:エクサウィザーズ「エクサベース AI」サービスページ(2026年7月時点)

AIエージェントサービスを導入する際の注意点

AIエージェントは、目的を与えると手順を分解し、社内システムや業務ツールを操作しながら処理を進めます。人が都度確認していた工程が自動で流れるぶん、管理の対象は使う人の操作ではなくAI自身の接続先と実行範囲です。

効果を見込める業務であっても、備えのないまま進めると情報漏えいや誤った出力の見落としを招きます。導入前に押さえておきたい点は、次の3つです。

  • セキュリティリスクへの配慮
  • 予測不能な出力やエラーの発生
  • 汎用型AIエージェントの適用限界

セキュリティリスクへの配慮

AIエージェントは与えられた目的に沿って社内システムを横断的に参照するため、導入前にセキュリティリスクへの配慮が必要です。権限の設計が曖昧なまま動かすと、担当外の人事情報や顧客データが回答に混ざります。線引きを後回しにした場合に発生するのは、稼働後の権限とログの設計のやり直しです。

選定時には、入力したデータを学習に使わせない設定と、接続先ごとにアクセスできる範囲を制御できるかどうかを確認します。判断の基準は、扱う情報の重要度に見合った環境かどうかです。機密度の高い情報を扱う部門から着手する場合は、情報システム部門による事前確認を契約前の要件に含めます。

▼関連記事|AIエージェント時代に変わるセキュリティリスクと対処方法

予測不能な出力やエラーの発生

自律的に動くAIエージェントは処理の順序を自ら組み替えるため、予測不能な出力やエラーの発生を織り込んだ運用設計が前提です。同じ指示を与えても、参照する情報や出力の内容が実行のたびに変わります。検証で問題がなかった手順が、本番でもそのまま再現されるとは限りません。

判断の過程が記録に残っていないと、誤りが混じった段階を後から特定できなくなります。対策は、外部への送信や確定処理の手前に、人が内容を確認する工程を残すことです。情報の処理やタスクの実行はAIに任せ、最終的な品質チェックと承認は人が担うという分担を、稼働前に運用ルールとして文書化しておきます。

汎用型AIエージェントの適用限界

汎用型のAIエージェントは判断基準が外から与えられる作業を想定して作られているため、専門業務に使えるかどうかは適用限界の見極め次第です。業界特有のルールや社内独自の承認ルールが絡む業務では、精度が落ちます。対応しきれないのは、法令の解釈や社内の承認基準のように、外部にない判断材料を要する業務です。

それでも汎用型で押し切ると、判断基準をゼロから作り込むことになり、開発と保守の工数が膨らみます。比較の候補は、特定の業務向けに機能を絞った業務特化型と、自社の業務に合わせて開発する自社構築型です。専門業務が中心であれば、汎用型だけで進めず、目的に合う種類を選んでから導入を決めます。

AIエージェントサービスの導入手順4ステップ

導入がうまくいくかは、性能だけでは決まりません。進め方の設計で差がつきます。成果につなげる手順を4つに分けて説明します。

  • 1. 解決したい業務を1つに絞る
  • 2. 小規模のテスト運用で効果検証する
  • 3. 自社データと運用ルールを整えて実務で使える状態にする
  • 4. 成果をもとに適用範囲を広げる

1. 解決したい業務を1つに絞る

最初のステップは、AIエージェントで解決したい業務を1つに絞ることです。対象を絞ることで初めて、導入の成否を判断する基準が定まります。

目的が曖昧なまま複数の業務に同時に導入すると、どの数値を見て続けるかを決められず、活用そのものが途中で止まりかねません。たとえば問い合わせメールの一次回答のように、判断の型が決まっていて誤りを人の確認で補える業務なら、効果の測定も立て直しも容易です。対象を1つに絞ることから始めてください。

2. 小規模のテスト運用で効果検証する

次のステップは、対象を絞ったPoC(効果を確かめる小規模なテスト運用)です。本格導入の前に試験段階を挟むことで、投資を広げるかどうかを数値で判断できます。

効果が見えない段階で全社に展開すると、判断の根拠がないまま費用だけが膨らみかねません。規模の目安は、1つの部署の定型業務に対して1カ月程度です。

たとえば経理部門の請求書処理に絞り、処理時間や差し戻し率が導入前からどう変わるかを測ります。小さく検証してから広げるという順序を守れば、無駄な投資を防げます。

3. 自社データと運用ルールを整えて実務で使える状態にする

エージェントの精度を左右するのは、参照する自社データの整い方です。エージェントは社内のナレッジを参照して回答や処理を組み立てるため、元データの質がそのまま出力の質に表れます。

データが古い・重複しているままでは、正しい手順で導入しても期待した精度は出せません。あわせて、誰がどのデータを扱えるかという運用ルールと権限を設計しておけば、機密情報への意図しないアクセスも防げます。データと運用ルールを実務水準に整えてから展開すれば、対象を広げた後に現場が混乱することもありません。

4. 成果をもとに適用範囲を広げる

最後のステップは、検証で確かめた成果をもとに、対象の業務や部署を段階的に広げることです。検証で得た数値を根拠にすれば、次にどの業務を任せるかを迷わず選べます。

1つの部署で処理時間の短縮を確認できたら、同じ型の業務を持つ別の部署へ横展開するという進め方です。PoCで整えたデータと運用ルールはそのまま流用できるため、2巡目以降の立ち上げには最初ほどの手間がかかりません。小さく始めて確かめ、数値を根拠に広げる、という積み重ねが導入を成果につなげます。

運用と定着まで伴走を受けたい場合は、法人向けのエクサベース AIが選択肢になります。

▼関連記事|優秀なAIエージェントの育て方 ~定型業務をスムーズに流す3つの型のAIワークフロー設計~

AIエージェントサービスの導入事例

先進的な企業では、AIエージェント機能を備えた生成AI基盤の全社活用が進んでいます。ここでは、公式に公表されている国内企業の取り組みを紹介します。

企業 業種 活用の要点
阪急阪神不動産 不動産 2023年導入。グループ約20社・1,200名超が全社で利用
イオン 小売 2023年からグループ各社で利用。バックオフィスから店舗商品部まで拡大
名古屋鉄道 運輸 複数の生成AI環境をグループ会社全体へ展開し自律型の自動化を検証

3社に共通するのは、特定部署の実験にとどめず、グループ全体の基盤として広げている点です。導入の起点は部門でも、定着させる単位は全社に置かれています。

阪急阪神不動産はグループ約20社・1,200名超で日常業務に定着させた

阪急阪神不動産は、2023年にエクサベース AIを導入しました。グループ会社を含む約20社・1,200名を超える規模へ利用が広がり、日常業務に組み込む形で定着が進んだ事例です。

同社の担当者は、セキュリティと使いやすさを備えた必要不可欠なツールとして定着し、業務効率を大きく向上できたと述べています。全社に配るツールでは、限られた部署が高度に使いこなすことよりも、情報管理の要件を満たしたうえで誰もが日常的に触れられることが条件になります。

1,200名を超える規模は、一部の担当者が使いこなすだけでは到達しません。どの業務のどの場面で使うかが社内で共有されて初めて、全社員に行き渡ります。

出典:エクサウィザーズ「エクサベース AI、提供開始2年で利用ユーザー数10万人突破」(2025年7月)

イオンは店舗の商品部など現場まで活用を広げた

イオンは、2023年からグループ各社で生成AI基盤の利用を開始しました。バックオフィス部門にとどまらず、店舗の商品部など現場でも利活用の事例が生まれています。

特徴は広がり方の向きです。文書作成や調査といった事務中心の使い方から始まり、商品の仕入れや売場づくりを担う現場へと範囲が移っています。現場が自分の業務に引き寄せて使い道を見つけた結果、事例が下から積み上がる形になりました。

導入の立ち上がりも速く、エクサウィザーズの事例集によると、全業態90社・約1,000人への展開を3カ月で終えています。禁止ワードの管理や学習に使わせない設定を備えていたことが、短期導入を支えた要因に挙げられました。現場に近づくほどデータの範囲と権限の設計が問われるため、統制を先に固めた広げ方は他社にも参考になります。

出典:エクサウィザーズ「エクサベース AI、提供開始2年で利用ユーザー数10万人突破」(2025年7月)
出典:エクサウィザーズ「イオン×エクサウィザーズ 全業態90社1000人に3カ月で導入」(2025年3月)

名古屋鉄道は複数の環境を束ねて自律型の業務自動化を検証する

名古屋鉄道は、複数の生成AI環境を組み合わせてグループ会社全体に基盤を展開しました。あわせて自律型の業務自動化ツールを検証しており、定型作業を自律的に処理する使い方まで適用範囲を広げようとしています。

検証の対象は、RPAの構築と運用を担う「exaBase だれでも自動化」です。従来は人が手順を組んでいた定型処理を、エージェントが自律的に組み立てて実行する段階にあたります。生成AIで文書を作る使い方から、業務そのものを回す使い方への移行です。

単一のツールに寄せず複数の環境を束ねる進め方は、グループ企業ごとにIT環境が異なる場合の現実解といえます。同社の担当者も、複数の環境の展開でグループ全体に基盤を広げられていると述べ、検証中の自動化ツールによる一段の効率化に期待を寄せました。文書を作る使い方で基盤を定着させ、その土台の上で自律型を検証する順序は、本記事で示した小さく確かめて広げる進め方の実例です。

出典:エクサウィザーズ「エクサベース AI、提供開始2年で利用ユーザー数10万人突破」(2025年7月)

自社の業務に組み込めるAIエージェントの選択肢:エクサベース AI

ここまで見てきた「自社データへの連携」「統制」「小さく始めて広げる」を満たす選択肢の一つが、エクサウィザーズのエクサベース AIです。導入企業は1,700社、利用ユーザー数は15万人にのぼります(2026年7月時点)。

出典:エクサウィザーズ「エクサベース AI、利用ユーザー数15万人・導入社数1,700社を突破」(2026年7月)

自社のノウハウと業務フォーマットを組み込んだ専用エージェントを作れる

エクサベース AIのカスタムエージェント機能では、自社のノウハウや業務フォーマットを組み込んだ専用のエージェントを作成できます。管理者とグループ管理者が作成したものは組織全体や特定のグループで共有でき、一般の利用者は自分専用のエージェントを作成する形になります。属人化していた進め方が標準化され、ノウハウが組織の資産として蓄積されます。

「やりたいこと」を入力するだけでエージェントを自動生成する機能も備えます。専門知識がなくても、現場の担当者が自分の業務に合わせて作れます。

出典:エクサウィザーズ「エクサベース AI、新機能『カスタムエージェント』を提供開始」(2026年6月)

権限管理と学習不使用の設定で統制を効かせられる

入力データを学習に利用しない設定や、国内リージョンでのデータ処理、アクセス権限の管理、全社の利用状況のモニタリングに対応します。統制を効かせながら、自社データのうえでエージェントを運用できます。

出典:エクサウィザーズ「エクサベース AI」サービスページ(2026年7月時点)

まとめ

AIエージェントサービスの選定は、最も自律的なものを選ぶことではなく、自社の業務データとワークフローに権限管理を効かせて組み込め、狭い定型業務から効果を確かめて広げられるかで成果が分かれます。

まず種類で全体像を掴み、連携・コスト・機能・セキュリティの4つで比べ、注意点を押さえて小さく始める。この順序で進めれば、自社に合う一社を選びやすくなります。

※ 料金やモデルの仕様、利用上限などの最新情報は変更される可能性があるため、導入検討の際は必ず各サービスの公式ウェブサイトにて最新の金額・情報をご確認ください。
※ 記載されている会社名、製品・サービス名は、各社の商標または登録商標です。

よくある質問

著者

エクサウィザーズが誇るAIエンジニアや、DXコンサルタントを始めとするプロフェッショナルの監修の元、マーケティンググループが監修・執筆しています。