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【連載】PdMがAIを「自分専属の秘書」に(後編) ~私にとってAIは人とデータを繋ぎ、可能性を広げる存在~

【連載】PdMがAIを「自分専属の秘書」に(後編) ~私にとってAIは人とデータを繋ぎ、可能性を広げる存在~

生成AIやAIエージェントの進化が、企業経営のあり方を大きく変えようとしている今、私たちエクサウィザーズは、自らが最前線の「実験場」となり、AIドリブン経営を日々実践しています。

前編では、日報や英語のJiraチケット作成、さらには「自分の弱点や癖を書き込んだ3層プロンプト」によってAIを専属秘書化するノウハウをお伝えしました。

後編では、自社プロダクトの品質検証をワンクリックで自動化した開発プロセスや、社内ボットの運用、さらにはエンジニアや他チームとの関係性の変化についてお話しします。

1週間かかっていた約200件の評価作業を自動化し、安全性も担保するまで

AIを自分の「秘書」として使うだけでなく、PdMとしての業務プロセスそのものを自動化した事例があります。それが、「エクサベース AI」における「システムプロンプトの品質検証(評価)」の自動化です。

当社が提供する「エクサベース AI」は、最新の生成AIモデルがアップデートされるとすぐに利用できる環境を整えており、ChatGPT、Gemini、Claude(エコノミー/スタンダード)など、用途やコストに応じて複数のモデルを柔軟に選択・活用できる点が大きな特徴です。

だからこそ、検証において難易度を上げていたのがマルチモデルでの品質評価でした。それらのモデルの挙動を調整する際、「指示を守った出力をできるのか」という観点から複数のテストケースを作成してテストを行っています。、1件ずつ、複数モデルそれぞれに対して手動で画面入力し、結果をスプレッドシートにコピペして評価する作業を行っていました。1つのテストケースにつき5〜6回同じ作業を繰り返す必要がありました。

もし途中で指示を守らないことが判明してシステムプロンプトを修正をする、そして少しでも修正したら、また1から全テストケースをやり直さなければなりません。人の手でやれば1日3〜4時間を費やし、それを3〜4ループ繰り返して丸1週間近くかかってしまう作業でした。

そこで、Microsoftが開発したブラウザ自動化ライブラリの「Playwright」を使って「コマンドを1行打つだけで、バックグラウンドで約200件規模のテストを実行し、モデルごとの仮ラベル・一次評価まで自動出力するワークフロー」を構築するように、AIに依頼をしました。こういう重めの実装タスクなどでは、何の目的で、どういうことをしてほしいのかを具体的に指示することはもちろん、実装に取りかからせる前に「仕様の不明点を質問票にして聞いてください」と指示をすることを心がけています。それによって、AIが勝手に不明瞭な仕様を埋めることなく、私の理想に一発で近づけることができます。今回は30〜40分ほどでほぼそのまま使えるワークフローの構築ができました。

現在では、コマンドを打って30分〜1時間ほど放置している間に、私は別の本質的なPdM業務を進められます。上がってきた評価を見て「このモデルならこの挙動は許容範囲だな」「ここだけ修正しよう」と最終判断を下すだけ。修正したとしても、またすぐコマンド打って他の作業をしながら待てば結果が上がってくる。1週間近くかかっていた作業がほぼ自動化されて、自分の脳のメモリを別の仕事に使えるようになりました。

「社内問い合わせボット」のコードをAIに委ね、自分は純粋なPdMに専念

もうひとつ、自分の働き方が変わったエピソードがあります。新卒当初のエンジニア時代、私は、プロダクトについての社内用問い合わせAIエージェントを作りました。PdMになった今も、そのエージェントの運用と継続改善を行っています。

PdMの本業が忙しくなるにつれて、コードの改修や不具合修正に手が回らなくなっていました。そこで、このAIエージェントのソースコードを完全にClaude Codeのためにリニューアルし、「AIをエンジニアとして扱い、自分はPdMの立場に徹する」という運用に切り替えたのです。

「こういうエラーが多く発生しているから原因を見つけて直して」「こういう新機能を作りたいから実装して」とAIに指示を出し、上がってきたアウトプットに対してフィードバックを返して再修正させる。

これまで自分が手を動かしてやっていた作業をすべてAIに任せ、自分は「指示出し・仕様判断・レビュー」という役割に専念する働き方にシフトできました。エンジニアや他チームとの関係性の変化——「コードを読んで話せるPdM」へ

一次調査やコードの解釈をAIに任せられるようになったことで、開発チームや他チームとのコミュニケーションの質も変わりました。

  1. コードの裏付けを持って不具合対応できる
    バグが発生した際、AIと一緒にコードを見に行って原因を特定。自分でJiraチケットを起こし、緊急のものの場合は当日〜数日のうちに修正リリースまで持ち込めるスピード感が生まれました。
  2. 技術設計のレビューに対等に踏み込める
    以前はエンジニアの技術設計書を見ても「よさそうですね」としか言えなかった場面がありました。今ではAIと一緒にPRDと技術設計をコードと突き合わせ、「ここだけ確認したい」とポイントを絞って対等にディスカッションできるようになりました。
  3. チームナレッジの共有
    開発チケットの作成時には、どのような要件を満たすべきかを書く部分があります。ある時、QAチームから「この要件の記述形式、すごくわかりやすくて助かる!PdM全員のスタンダードにしてほしい」と言ってもらえ、チーム全体にそのSkillを共有しました。その結果、チーム全体のQAフローの改善につながりました。
    さらに、AIとの調査結果や自分の考えなどをClaude Artifactsを活用して出力をビジュアル化し、さっとメンバーに配るなど、チーム内でのナレッジ共有にも役立っています。

セーフティとガバナンス:人間が必ず握る判断基準

AIをここまで業務に組み込んでいるからこそ、人間が必ず最終チェック・判断を行う基準(ガバナンス)を明確に定めています。

最後の「人の評価」については特に重要視しています。AIを使うとメンバーの活動量を簡単に数値化できてしまいますが、だからこそ「何のために見るのか」という目的意識を手順書に記載し、解釈と判断は必ず人間が行うよう徹底しています。

私にとってAIとは「人とデータを繋げ、人の可能性を広げる存在」

AIを日常的に使うようになって、私自身の働き方は「マルチタスクが苦手で脳のキャパシティが溢れそうだった状態」から、「複数のプロジェクトを同時に抱えても、チャットのログに文脈が残っているため、脳のメモリを消費せずにスムーズに復帰できる状態」へと変化しました。

PdMとしての役割も、「手を動かして資料やチケットを作る人」から、「何を問うべきかを決める人(問いを立てる人)」へとシフトしています。どの仮説を検証すべきか、何をやらないか、誰にいつ合意を取るか——。AIが作業を肩代わりしてくれるからこそ、人間しかできない「意思決定」に集中できるようになりました。

私にとってAIとは、「人とデータを繋げ、人の可能性を広げる存在」だと思っています。

自分自身や組織のデータ、自分の考えや思考の癖をデータとして貯め、それをAIの知識と繋ぎ合わせる。そうすることで、自分ひとりの能力やキャパシティだけに左右されず、アウトプットの品質を上げ、できることの可能性をどこまでも広げていける。

プロンプトのテクニックを覚えるよりも、まずは「自分が毎日やっているルーティン作業の手順を、テキストファイルに書き出してみること」。自分専用の取扱説明書をAIに渡すことから、自分の可能性を広げる一歩が始まるはずです。

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