AIチャットボット「exaBase FAQ」導入により
約9割の日常業務問合せを削減し、MRの生産性を向上
住友ファーマ株式会社
医薬品事業を中核とし、医薬品以外の新たなヘルスケアソリューションの提供を目指すフロンティア事業を展開する。中期経営計画2022においては、「DX」を事業基盤再構築のための重要な取り組みの一つと位置付け、「新たな価値創造」と「効率的なオペレーション構築」に取り組んでいる。(2022年4月1日に大日本住友製薬株式会社から社名変更)
概要
overview
国内のMR(医療情報担当者)をはじめとする社員の生産性向上を目的として、エクサウィザーズが提供するAIチャットボット「exaBase FAQ」を導入。FAQの追加・ユーザーからのフィードバック・改善のサイクルを回し、業務効率と生産性を大幅に向上することができた。
課題
・毎月100件以上の日常業務に関する問い合わせが社内から届いており、対応を効率化・削減したかった
・社員が電話やメールでの問い合わせをしなくても、不明点を自己解決できる環境を作りたかった
解決
・学習済のAIを搭載し、高い回答率や精度を誇るAIチャットボット「exaBase FAQ」を導入した
・学習済AIと優れたUIにより、スムーズに利用開始でき、問い合わせの約9割を削減することができた
・ユーザーからのフィードバックを収集・見える化し、改善のレコメンドをする機能が充実しており、利用促進に向けたPDCAを効率的に回すことができている
・回答精度を改善するためのチューニング作業がほぼ不要のため、運用コストを大幅に圧縮することができている
事例の紹介
世界中の人々の健康で豊かな生活の実現に向けて、グローバルに医薬品とヘルスケアソリューションを提供する住友ファーマ。中期経営計画2022においては、「DX」を事業基盤再構築のための重要な取り組みの一つと位置付け、グループ全体で推進している。
DXを通しては、「新たな価値創造」と「効率的なオペレーション構築」を目指している。その一環として取り組んでいるのが、国内のMRをはじめとする社員の生産性向上を目的とした、AIチャットボット「exaBase FAQ」の活用だ。
exaBase FAQは、ユーザーが入力した文章の表現のゆらぎを吸収し、意図や文脈に沿った回答を返すことができる独自アルゴリズムを持ったAIチャットボットである。
5分でわかる「exaBase FAQ」紹介動画
本記事では、exaBase FAQ導入の背景や決め手、効果について、マーテック戦略推進室長 横田 京一氏、同 アシスタントマネージャー 大洞 伸一氏、同 主事補 瀬﨑 宏明氏、営業統括部 営業企画グループ 主事 山﨑 由紀氏に伺った。聞き手は、エクサウィザーズ exaBase FAQグループ プロダクトマネージャーの祖父江 雄介と、セールス担当の戸矢崎 凌が担当した。※所属は取材当時のものです
目標は、毎月100件以上届く問合せの削減
AIチャットボット導入検討の背景には、マーテック戦略推進室に届く、毎月100件以上の日常業務(特にデジタル関連)に関する問い合わせの削減があった。問い合わせはMRからが中心で、デジタルツールの使い方から緊急時の対応まで様々な内容が届いていたという。
自らもMRを経験し、現在はマーテック戦略推進室にて、数々のデジタルコミュニケーションツールの導入や運用を担当する瀬﨑 宏明氏は「問い合わせが多く届くということは、それだけ情報にたどり着けずに困っているMRがいるということです。自分自身がMRだった経験を活かして、私に聞かなくても必要な情報にいつ・どこからでもすぐにたどり着けるシステムにすることを目指しました」と語る。
導入を検討し始めた2021年には、顧客管理システム(CRM)をはじめとする複数システムの入れ替えが予定されており、システム変更による社内からの問い合わせ数の増加を見込んだ対応でもあった。
学習済AIによる、高い回答精度と保守性が導入の決め手
導入検討にあたって、実は同社内には別のAIチャットボットシステムも稼働していたという。
当時導入に関わった、マーテック戦略推進室 アシスタントマネージャーの大洞 伸一氏は、「既存のAIチャットボットも含めて複数のシステムを比較検討しました。その中で、exaBase FAQを選んだ理由は、学習済のAIが搭載されているので他のツールと比較しても正答率や回答精度が高かったこと。チューニング作業(運用履歴をもとに、回答できなかった質問と回答を追加し、回答精度を改善する作業)もほぼ必要ないという話を聞き、費用も比較的リーズナブルということで導入を決めました」と教えてくれた。
約9割の問い合わせ削減とMRの生産性向上に成功
直感的なUIにより、スムーズに利用をスタートすることができた
導入を決めてからは、すぐに運用を開始できたという。
瀬﨑氏は「exaBase FAQは、ユーザーが直感的に利用できるUIになっているので、説明会などをすることもなく、スムーズに使い始めてもらうことができました。唯一伝えたのは、『単語』ではなく『文章で検索してほしい』という点くらいです。その方が回答精度が高くなりますし、検索された内容を見返す際に、文章だと質問意図が分かるので、FAQの追加もしやすくなります」と教えてくれた。
学習済AIの搭載により、チューニング作業がほぼ不要
学習済のAIを搭載していることは、通常1〜2ヵ月程度掛かると言われるチューニング作業の手間の削減にも役立っているという。
瀬﨑氏は「FAQを追加するだけで、チューニング作業はほとんど要らないです。製薬会社ということもあって、カタカナやアルファベットの専門用語も多いですが、全角や半角、大文字や小文字も自動で判別してくれます。社内独特の用語や同義語を登録ができる点も便利ですね。ユーザーにとっても、頭に浮かんだ文章で検索をしても回答にたどり着くので、どんどん利用が促進されていくという好循環が生まれています」と評価する。
実際に、これまで月に100件以上届いていた問い合わせの約9割が削減されたという。
社員からは「とても使いやすい」と評判の声
実際に利用する社員からの評判はどうだろうか。
マーテック戦略推進室長の横田 京一氏は「社員からは『とても使いやすい』という声を聞きますし、私自身も便利だなと感じています。例えば、パソコンの調子が悪いときに、exaBase FAQで質問をすると、パッと一瞬で回答が返ってくるし、関連する回答も出てきます。マニュアルの場所を調べるよりも、圧倒的に早く情報にたどり着くことができるので自然と手が伸びています」と教えてくれた。
フィードバックの収集・見える化により、活用促進に向けたPDCAを回すことができる
表示された回答に対して、ユーザーが「役に立った」「役に立たない」「知りたい回答ではない」「内容の修正依頼」の4つのフィードバックを送ることができる点もexaBase FAQの特長だ。
管理者は、管理画面のレポートから、ユーザーがどのFAQを閲覧し、「役に立った」「役に立たない」と評価しているのかを一覧で見える化することができる。また、検索文と回答の一致度合いからAIが独自にスコアを算出し、それを元にユーザーが回答を見つけられなかったであろう質問や回答の改善ポイントを明らかにすることもできる。
この点についても、瀬﨑氏は「改善点がすぐに分かり、修正も簡単にできます。業務に根付いて便利に使ってもらうためには、ユーザーが求めている回答が得られることと、そこにストレスなくアクセスできることが重要です。exaBase FAQはUIが良いことに加えて、どのような情報が不足しているのかを管理者が簡単に把握でき、クイックに追加・修正することができる点も気に入っています」と評価する。
MRが本業に集中できる環境を作り出す
「役に立った」とフィードバックがある回答の傾向は、書類の置き場所や名刺の発注方法など、特に入社や異動直後は誰に聞けば良いのか分かりづらい質問や、出張旅費やタクシーチケットに関するルールなど、日常で頻度は高くないけれど正確性が求められる種類の質問が多いという。
営業統括部 営業企画グループ 主事 山﨑 由紀氏は「営業第一線の営業所長からは、営業活動の同行中などですぐに部下の質問に回答ができない場合も、exaBase FAQを利用するようになってからは、自己解決ができたり、一次回答を得られるケースが増え、とても便利だと聞いています。MRが本業に集中できる環境づくりに向けて、細かい社内ルールなどの情報を『覚える、誰かに聞く』という以前の状態から、『調べる』ことですぐに知れる状態にシフトできていることは、とても良い傾向だと思っています」と話す。
利用者からの評判を受け、一元化に向けて利用部門を拡大
山﨑氏は、exaBase FAQの他部門への展開も推進している。
「exaBase FAQによってカバーできるQAの範囲が広くなることがMRにとっての時間効率のメリットが大きいと思ったので、関係部門にも導入を依頼し、参入していただきました。現在は5つの部門に参画いただき、QAの拡充に協力いただいていますが、導入時は1部門1時間ほどのレクチャーで、トラブルなく導入をすることができています。FAQの追加や修正は、各部門で行っていますが、どの部門のどのような質問が閲覧されているのか定量データで管理画面上で分かるのも便利だなと思っています。今後はさらに利用部門を広げていきたいです」と教えてくれた。
利用促進に向けたPDCAサイクルを回しことと、利用部門を拡大したことによって、利用ユーザー数が大幅に増加
音声検索の活用でさらなる利便性向上を検討
今後はexaBase FAQの音声入力機能の活用も検討しているという。
大洞氏は「今後は、音声入力を使って検索できるようにしていきたいと思っています。MRは移動が多いので、今もスマートフォンから検索できるようにしています。音声入力機能を使うと自然と検索ワードが文書形式になり、回答精度の向上が期待されます。音声入力機能の周知によって、もっと利便性を上げることができるのではと考えています」と期待する。
最後に、横田氏は今後のエクサウィザーズとの協働の展望について語った。
「エクサウィザーズさんには、exaBase FAQ以外にも、AIやビッグデータを活用した効率的なオペレーション構築に向けた提案などをしてもらってきました。今後は、人間では気付きにくいビジネスチャンスの発見やレコメンドにAIを活用するなど、新たな営業活動のあり方を共に探っていきたいと考えています」
Member
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祖父江 雄介株式会社エクサウィザーズ
exaBase FAQグループ
プロダクトマネージャー -
戸矢崎 凌株式会社エクサウィザーズ
exaBaseFAQグループ
セールス