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アセスメントで隠れたDX人材を発掘
基幹業務の効率化プロジェクトにアサインし軌道に乗る

2023年8月3日

SocioFuture株式会社

SocioFuture株式会社(日本ATM株式会社から2022年1月に社名変更)は、全国にあるATMの約6割の監視・運用業務を担うATMトータルソリューション企業だ。金融機関向けにATMの監視や保守業務、ソフトウェア開発などATMに関するサービスを幅広く展開する。また、これまでに金融サービス分野で培ってきた技術力とノウハウを活かし、社会課題解決企業として、行政・健康の分野にも積極的に挑戦している。

概要

overview

ATMトータルソリューションを提供するSocioFutureは、2022年初頭にDX推進部を立ち上げる。最終的には、現場のあらゆる事業部が自立してDXに取り組んでいる状態を目指し、2022年度〜2024年度末までをDX推進本部が事業部のDXに伴走するフェーズ、2025年度以降を事業部内のDXチームが自走するフェーズと位置付け、DX人材育成に着手することとなった。

課題

・開発部門・ユーザー部門間の業務要件に対する認識レベルのギャップが開発プロジェクトで手戻りを発生させ、結果としてコストがかさむということが時々起こっていた。
・DX人材育成を始めるにあたり、現在位置を把握したかったが、社員がどの程度のDXスキルを持っているのか分からなかった。
・最終的には各事業部でDXを自立的に推進できる組織を目指しており、システム開発部門からコールセンターのオペレーション部門まで組織全体のDXスキルを底上げしたい。

解決

・総合職の500人に対し、「exaBase DXアセスメント&ラーニング」のアセスメントを受検してもらい、現在位置の把握やDX人材の発掘ができた。
・発掘したDX人材を基幹のATMのフルアウトソーシング事業に関わるプロジェクトにアサインし、順調に立ち上がっている。
・アセスメントの結果は、育成の効果検証や進捗確認、人材配置、育成対象の選抜にも活用予定。
・eラーニングコンテンツは、DXに関する最新トピックスの解説など、DXを面白いと感じるような学習コンテンツを通してリテラシーの醸成ができるため、受講いただいた社員にも好評。

事例の紹介

SocioFutureがDXの取り組みを本格化するべく、DX推進本部を立ち上げたのは2022年の初頭。手探りでDXに取り組む中、DX人材をいかに育成するかが喫緊の課題となっていた。そこで導入したのが、経済産業省が公開したデジタルスキル標準(DSS)を網羅・準拠した、DX人材発掘・育成サービス「exaBase DXアセスメント&ラーニング」だ。

2022年10月に総合職の500人が、DXの実践に必要なスキルや素養を計測・スコア化できる「アセスメント」を受検。アセスメントでDXスキルの高い人材を発掘し、同社の基幹であるATMのフルアウトソーシング事業に関わるプロジェクトにアサインし順調に立ち上がっているという。今回の導入を決断した決め手や効果、今後の展望などについて、DX推進本部 本部長の田中 聡氏とDX推進本部 DX企画部 部長の中村 邦幸氏に話を伺った。

評価と教育の連動およびイノベーティブスキルの見える化が導入の決め手

2022年初めにDX推進部を立ち上げたSocioFuture。その意図をDX推進本部 DX企画部 部長の中村 邦幸氏は次のように語る。「DX推進本部は、データを利活用し、事業全体の変革を考えています。まずは足元からということで、各事業部における業務のデジタル化、業務フローの変革などから始めているところです」

DXにおける最終的なゴールについて、DX推進本部 本部長の田中 聡氏は「最終的には、現場のあらゆる事業部が自主的にDXに取り組んでいる状態を目指しています。そこに向けて、2022年度〜2024年度末までをDX推進本部が事業部のDXに伴走するフェーズ、2025年度以降は事業部内に設置予定のDXチームが自走するフェーズと位置付けました」と話す。

出典:SocioFuture株式会社

全社を挙げてDXを推進するためには、社員自身がITのリテラシーを高めていかなければならない。ITスキルを高めるだけでなく、データやDXの重要性を理解し変革するマインドの醸成も重要だ。「社員全員に変革の意識を高めてもらうことに加え、実際にDXプロジェクトを主導できる人材を育成する必要があり、そのためにはどういった教育をしていけばいいのか、検討を進めていました」(中村氏)

ロジカルシンキングやプログラム言語などのさまざまなスキルを身につけるための研修はあったものの、ITリテラシーに特化した研修体系はまだ整備されていなかった。また、IT部門とユーザー部門間のリテラシーギャップが起こっており、社内の開発プロジェクトでは、手戻りが発生しコストがかさむということが時々起こっていたという。こうした問題を解決するために、現場のデジタルスキルを高めることが喫緊の課題だった。

そこで、同社が導入を決めたのが、エクサウィザーズの提供するDX人材発掘・育成サービス「exaBase DXアセスメント&ラーニング」だ。

その目的を田中氏は次のように説明する。「当社の社員が、どの程度のDXスキルを持っているのか、定量的な評価ができていませんでした。まずはその現在位置を把握したかったのです。他社のサービスは、研修のみというパッケージが多い中で、エクサウィザーズさんのサービスはアセスメントとeラーニングの両方を揃えていました。よく考えられていると感じました」

また、デジタルスキルとイノベーティブスキルを分けて評価できるところが決め手だったと語るのは田中氏だ。「当社には、システム開発部門からコールセンターのオペレーターまで、さまざまな人材がいます。我々が見据えているのは、ユーザー部門も含めた会社全体のスキルアップなので、今は目に見えるデジタルスキルを持っていなくても、素養を持っている人材を見える化できるというのは非常に大きかったです」と話す。

アセスメントで発掘した人材によるDXプロジェクトを推進

こうして、2022年10月、総合職の500人がアセスメントを受検した。現場社員のDXスキルの見える化はもちろんのこと、DXの素養を持つポテンシャル人材を発掘することも重要な目的だった。その結果に意外性はあったのだろうか。

「どちらかというと良い方の驚きが多かったです。この人にそんなスキルがあったのか、という意外性があった人が何人も出てきましたし、この人はやはりスキルが高かったなという、今まで曖昧だったものが確信に変わった例もありました」(中村氏)

新しく立ち上げたDXプロジェクトの人選には、アセスメントの結果を参考にした。DXスキルを持つ人をアサインしたため、これまで以上にプロジェクトの進行が順調に進んでいるという。「アセスメントの結果から、DXスキルが高いと判明した社員2名をプロジェクトのリーダーと補佐にアサインしたのですが、スピード感がこれまでとは全然違います。ベースの理解があるので、無駄な打ち合わせが減り、かなり効率的になりました」と中村氏。

このプロジェクトは、同社の事業の根幹とも言えるATMのフルアウトソーシングサービスに関わる業務効率化プロジェクトだという。

育成の効果検証や進捗確認、人材配置、育成対象の選抜にもアセスメントを活用

アセスメント結果は、DX人材の発掘以外にも、様々な用途で活用されているのだという。

田中氏は、その用途の1つである、育成効果の検証や育成計画に対する進捗状況の把握について、次のように教えてくれた。「各事業部のDXチームが自走できる状態に向けて、DX人材を4つのレベルに分け、徐々に高いレベルの人材を増やしていく計画をしています。eラーニングコンテンツや実践型の育成プログラムを受講してもらい、レベル別の人数がどう変化したかや学習効果はどうかということを、毎年実施予定のアセスメントで定点観測したいと考えています」

出典:SocioFuture株式会社

また、アセスメントによるスキルの定量的な可視化は、人材配置にも活用できると考えているのだという。田中氏は「人材配置を考える上で頭を悩ませるのは、全社員一律の指標で判断するのが難しいということです。アセスメントを活用すれば、前回からどのくらいスキルを伸ばしているのか、全社員同じ尺度で定量的に測ることができるので、様々なプロジェクトの進捗に合わせて、参画メンバーのポートフォリオを最適化できるのではないかと考えています」と話す。

そのほか、育成対象の選抜にもアセスメントを活用する予定だという。中村氏は「高いレベルのDX人材を増やしていくために、エクサウィザーズさんが提供する課題解決型の研修の導入を検討しています。その際にも、アセスメントでDXのポテンシャルがあることが分かった社員や、ラーニングコンテンツを受講してDXスキルを高めた社員の中から育成対象者を決めたいと考えています」と教えてくれた。

最新トピックス解説などで「DXを楽しく、分かりやすく学べる」

社員のITリテラシーの現在位置が見えてきたところで、2023年3月より、500人の社員を対象にexaBase DXアセスメント&ラーニングのeラーニングコンテンツの提供も開始した。中村氏は「コンテンツの中には、ChatGPTなどのDXに関連する最新トピックスをわかりやすく解説する動画などもあります。単に知識を得るだけではなく、DXを面白いと感じるような学習コンテンツを通してリテラシーを身につけられることも魅力の1つだと思います。社員からも『DXを楽しく、分かりやすく学べる』と好意的な声をもらっています」と評価する。

何を受講するかを能動的に社員自身が選べるのもいいと、田中氏は語る。「社員からは、不得意な分野を優先的に受講するべきでしょうかと聞かれることもあるのですが、そんなことはないと答えています。得意なところをどんどん伸ばしてもらってもいいのです。自分で受講するコンテンツを選べるのは、やらされ感がなくてすごくいいと思っています」

より多くの社員にアセスメントやラーニングを展開していく

DX人材育成の今後の展望について、どのように考えているのだろうか。「今は総合職の500人から、アセスメントの受検やeラーニングの受講を始めていますが、当社には派遣社員も含め3000人ほどの社員がいます。マネージャー陣からも受講していない社員に展開したいという声もあるので、まだ受けていないメンバーにも展開し、より多くのDX人材の発掘や全社員のスキルの底上げをしていきたいです」と中村氏。

田中氏は、全国のATMのソリューションを提供する立場として、次のように想いを語る。「ATMからコールセンターに電話してくる方はご年配の方が多いです。コールセンターにはそうした意見がデータとして集まってきていますが、まだまだ活用しきれているとは言えない状態です。例えば、その声をAIで分析して、認知症の兆候を早期に発見できるようになるかもしれません。また、今はオペレーターの経験値で、振り込め詐欺を阻止しているケースもあるのですが、それもデータから検知できるようになる可能性もあります」

このようなソリューションを発想し実装していくには、現場の深い知識とDXスキルの両方を持ち合わせている必要がある。田中氏は「DXアセスメント&ラーニングのコンテンツや育成プログラムをフル活用して、DXスキルを習得し、生活基盤を支えるベンダーとして進化をしていきたいです」と語る。

最後に、田中氏はエクサウィザーズに今後期待することとして、次のように語ってくれた。「DX人材育成の進化と拡大はもちろんのこと、エクサウィザーズさんの高いアンテナで捉えた情報をいかに当社の中に取り込んでいけるかに期待しています。当社の事業ミッションとエクサウィザーズさんの事業ミッションは、社会課題の解決という分野で重なるところも多いでしょう。ぜひ、事業パートナーとしても、今後のお付き合いをお願いできればと思っています」

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