エクサウィザーズと京都大学、PMDA評価結果を学習させた医薬品安全性の評価AIを開発 〜医薬品の報告評価の効率化を促進し、人による調査対象例を削減〜
株式会社エクサウィザーズ(東京都港区、代表取締役社長:春田 真、以下、エクサウィザーズ)は、国立大学法人京都大学(以下、京都大学)と共同で、公益財団法人日本医療機能評価機構(以下、評価機構)が公表している「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業」の事例(以下、薬局ヒヤリ・ハット事例)の独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下、PMDA)による過去の評価結果を学習させた評価AIを開発しました。この評価AIにより、薬局ヒヤリ・ハット事例における医薬品の「モノ」の対策が必要となる事例の見落としをなくし、人による評価が必要な事例の数を30~60%程度削減する効果が期待できます。
エクサウィザーズと京都大学は、患者の健康被害に繋がる可能性のある薬剤取り違えなどの「薬局ヒヤリ・ハット事例」に対してPMDAが実施した評価結果をもとに、2020年度より医薬品の安全性に関するテキスト報告データを評価するAIを開発(※1)。2021年度および2022年度の追加検証・評価モデルの更新を経て、この度、エンジニアではない現場調査員の方でも利用が期待できる評価AIシステムを開発しました。過去のPMDA評価結果を学習した医薬品安全性の評価AIを導入することにより、報告評価の効率化が促進され、人による評価が必要な事例を削減することが期待されます。
☑︎ 見落としを最小にし、人による評価削減で、効率性と安全性を両立
薬局ヒヤリ・ハット事例は年間あたり10万〜18万件程度報告されており、そのうちPMDAの調査対象となる事例は年間6000〜7000件程度発生しています。PMDAでは、当該調査対象事例の発生要因に対する製造販売業者等による安全管理対策(「モノ」の対策)の要否を検討し、評価結果を踏まえ必要な対策を講じています。PMDAによる調査対象は増加傾向にあり、報告評価の効率化が期待されています。しかし、報告データにはテキストデータが含まれており、報告項目の単純な場合分けでは評価の自動化が難しいという課題がありました。そのためAIの活用による効率化が期待されていました。
エクサウィザーズと京都大学は共同で、PMDAが実施した過去の評価結果を学習させた安全対策要否の評価AIを開発し、2020年度時点において、対策が必要となる事例を「見落としを最小化する」指標であるRecallにおいて96%の精度を出すことに成功しました(※1)。
また、2021年度および2022年度の調査対象事例を対象とした検証では、人による評価が必要と判断される事例(図参照)をすべて抽出することを確認しました。その後、「AIによる評価」と「検証結果によって導き出されたルールによる評価」を組み合わせた評価モデルを開発することにより、検証時においては対策が必要となる事例の「見落としをゼロ」にしながら、既存の抽出条件を適用したのみの場合と比較してPMDAの調査対象事例を約30〜60%削減できることを実現しました(※2)。
さらに、開発された評価モデルを、エンジニアではないPMDAの現場の方も活用可能なシステムとして開発しました。なお、当システムの開発にあたってはexaBase(※3)の基盤を活用しています。今後、人による評価を併用しながら試行的に実務に導入して有用性を確認し、本格導入の適否を検討する予定です。
今回エクサウィザーズは、薬局ヒヤリ・ハット事例における医薬品の「モノ」の対策が必要となる事例の見落としをなくし、人による評価が必要な事例の数を削減する評価AIを開発しました。今後もこうした薬剤の属性情報を参照して評価するAI、および薬剤情報を含むテキストデータを評価するAIなど、医療・医薬品に関するさまざまな課題解決ができるAIソリューションの提供に取り組んでいきます。
(※1)2021年8月11日リリース「医薬品の安全性に関するテキスト報告データ評価AIをエクサウィザーズと京都大学が共同開発」を参照(https://exawizards.com/archives/16841)。
(※2)2020年3月〜2022年6月のPMDA評価対象件数に対して、評価モデルが人による評価が不要と判断したものの割合。PMDAでは数か月単位ごとに報告事例を評価しており、評価タイミングごとの事例種類の分布に応じて削減割合が変動。
(※3)exaBaseは、AIアルゴリズム・API、すぐに使えるAI・DXのSaaSなどを提供するAIプラットフォームです。年間250件以上のAI・DXプロジェクトの支援を基にしてアセットを蓄積・改善しています。
※exaBaseはエクサウィザーズの登録商標です。
☑︎エクサウィザーズについて
エクサウィザーズは2016年の設立から、一貫して社会課題解決に取り組むためにAIを利活用したサービスの開発・実装、戦略立案などの事業展開を行っています。当社の事業セグメントはAIプラットフォーム事業とAIプロダクト事業の二つに分かれ、マルチセクターマルチモーダル戦略としてAIプラットフォームおよびAIプロダクト事業の両輪を回しながら、独自のアルゴリズム・データを蓄積しています。累計特許出願数196件、累計特許取得件数95件 (2023年3月末時点)であり、ロボット、AIカメラ等のハードウェア領域においても先進技術を保有しています。エクサウィザーズのCare & Med Tech事業についてはhttps://exawizards.com/care-med-tech をご覧ください。
【株式会社エクサウィザーズ 会社概要】
会社名 :株式会社エクサウィザーズ(証券コード:4259)
所在地 :東京都港区東新橋1丁目9−2 汐留住友ビル 21階
設立 :2016年2月
代表者 :代表取締役社長 春田 真
事業内容:AIを利活用したサービス開発による産業革新と社会課題の解決
URL :https://exawizards.com/
<広報に関するお問い合わせ先>
株式会社エクサウィザーズ 広報部 メール:publicrelations@exwzd.com